ヒーローのカタチ   作:サモア リナン

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第3話:「災害救助訓練《USJ》と先輩」

雄英バリアが突破されたなんて事件があったけど、混乱は収束し事件から数日が経った。

騒動を収めたのはヒーロー科の1年生らしい。すごいなぁ

 

そして今日、私は授業の一環として1年生と行動を共にする。

 

 

「行くぞ。しっかりついて来い。ここが災害救助訓練施設《USJ》だ」

 

相澤先生の気怠げな声に、僕たち1年A組は一斉に顔を上げた。

 

ドーム型の巨大建造物。中は災害を模したエリアに分かれ、火災、洪水、瓦礫崩壊……さまざまな状況を再現してヒーローとしての訓練が行える場所。

 

「うわあ……ほんとにテーマパークみたいだな……」と上鳴がぽつりと呟く。

 

「だが、災害模擬って聞くと……気が引き締まる」飯田が眼鏡を押し上げる。

 

そんな中、僕たちの後方から、元気な声が響いた。

 

「はーい!型形 作身、2年A組!後輩たちのお手伝いに来ましたー!」

 

「カタチも一緒だよ」

 

現れたのは、袖を軽くまくった制服姿の女の子と、その足元でふわふわ浮かぶぬいぐるみのような存在。

 

「あ、先輩だー!」と芦戸が声を上げる。

 

「……なんで2年生が?」と轟が眉をひそめるのも無理はない。だって彼女は――

 

「今回のUSJ訓練、3年生はインターン中で不在だ。つまり型形の交流相手がいない、ついでに経験者としてサポートに回すことにした。まぁ交流訓練の名目ってやつだな」と相澤先生が補足した。

 

「ふふーん、去年ここで訓練したことあるんです!今回は先輩として、一緒に参加しつつ皆さんの動きとかフォローとか見させてもらいますね!」

 

「すでに訓練済み……さすが、上級生……」と僕はノートをめくりながら、彼女の記録ページを更新する。

 

「えーっと、私とカタチは瓦礫エリア担当なので、同じグループの人、よろしくねー!」

 

「よろしくお願いしまーす!」とカタチも笑う。

 

そしてその小さな目が、一瞬だけ、辺りをスキャンするように鋭く動いた――

 

「さーて、がんばるぞー!」と明るく拳を掲げる作身。

 

それが“彼女らしさ”なのだ。

 

USJ訓練。1年A組と2年の先輩・型形作身との、はじめての“共闘”が、幕を開けようとしていた。

 

 

 

救助訓練用施設《USJ》――災害現場を模したステージの数々に、雄英高校1年生たちの声が響いていた。

 

火災ゾーン、洪水ゾーン、土砂崩れゾーン。それぞれに分かれた生徒たちは、目の前のシチュエーションに限界まで立ち向かってもらう

 

「倒壊現場の移動時は“天井”も意識してね~!」

 

作身(つくみ)は、いつもの笑顔で声をかけながら後輩、芦戸ちゃんや障子くんたちと動く。

 

 

「ふふ、あのころの私より、みんなずっと頼もしいなぁ。ね、カタチ?」

 

「ですね。あ、そこの生徒、瓦礫の角度危ないですよ。3度傾いてます」

 

「細かっ!」

 

ほんのりとした笑いと、微かな汗の匂い。

それは“日常”としてのヒーロー訓練の一環であり、未来のための平和な一日になるはずだった――

 

――黒い霧が、空間を割くまでは。

 

「記録にない“個性”パターン!?」

 

カタチが瞬時に警戒を上げる。作身も即座に顔を引き締めた。

 

中央ゲートに出現した、黒い霧の渦。その中心から、人影が、ぞろりぞろりと現れる。

 

「え!?……生徒じゃない、職員でもない……!」

 

一人、二人、いや、十人以上……。異形の者、怪しげなコートを纏った者、鋭い武器を構える者――

 

「まさかヴィラン!!」

 

生徒たちがざわつき、教師たちの目が鋭く光る。

そして、煙の中から一人、別格の雰囲気を纏う男が姿を見せた。

 

「……はじめまして、ヒーローの卵さんたち」

 

不気味な笑みを浮かべたその人物の背後では、今まさに異形のヴィランたちが、戦闘態勢をとりはじめていた。

 

「今日はちょっと、“実戦”の授業を追加あげようと思ってね――地獄の教材を、、ね。」

 

「いずれわかるから言っとくよ。名前、死柄木。こいつは黒霧、デカいこいつは脳無な」

 

作身は、膝下サイズのぬいぐるみ――カタチをきゅっと抱きしめながら言った。

 

「交流訓練って、ヴィランと仲良くなる意味じゃなかったよね……?」

 

「当然です」

 

そのぬいぐるみの目が、きらりと光った。

 

「作身、戦闘プランC-11を推奨。全ヴィラン、排除対象です」

 

「よーし。なら、ヒーローらしくお出迎えしなきゃだね!」

 

作身は昨年、インターン先はリュウキュー事務所だった。そして実践は見たことがある程度。経験という程の事はしていない。けど、私は先輩だ!

 

後輩を守らなきゃ!

 

次の瞬間、彼女の足元に――光の粒子と共に、“何もなかった場所”から

 

「ダウンロードエラー:ノーリンク」

 

武器のダウンロードができなかった。

 

「え、なんで!?」

 

「畜生!!こういう事があるから、個性は厄介なんだ!」

通信遮断の個性があるんだろう。お陰で兵装のダウンロードが出来なかった。

混乱した直後、更に黒いゲートが襲いかかってくる。

 

「しまっ…」

大した抵抗もできないまま

私と芦戸ちゃんが一緒に巻き込まれる。

 

気付けば森林コースに移動させられていた。

 

立ち塞がるは2人のヴィラン

「へへへ、女のガキ2人かラッキーだ」

 

「うぅ……先輩、どうしよう」

 

「大丈夫だよ、芦戸ちゃん」

 

「ヒーロー科、甘く見んなよ!」

ダウンロード使えなくたって、鍛えた接近戦と持っているもので出来ることをやるだけだ!

 

平和な訓練の空気は、音を立てて壊れた。

だが、雄英のヒーロー候補たちは、それに屈するつもりなどない。

 

戦いの幕が、上がる。

 

 

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