ヒーローのカタチ   作:サモア リナン

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頑張って書きました!
よろしくお願いします!


第31話「AFOを知るは魔王のみ」

対AFO(オール・フォー・ワン)

 

AFOに事前に準備した10機の戦闘機から機関銃での攻撃や射出される超硬質で線状物質のタングステンで行く手を阻みつつ、ただの巨大な機動物質をぶつける。彼にとっては大した障害ではないが、そこまでやってやっと、その巨大物質内に隠蔽していたワープゲートに触れさせる事が出来た。

 

結果、彼専用の決戦地、鹿児島県にある種子島にワープさせることに成功した。

 

そこには

 

スターアンドストライプ、ベストジーニスト、通形ミリオ、緑谷出久、爆豪勝己、青山優雅

そしてスターと共に来日した戦闘機20機が

ヒーローとAFOを円状に取り囲こんだ

 

「ふははは、こうも何回もしてやられるのは初めてだ。さあて…ここは…種子島か…随分遠くにワープさせられたな。

どんな罠があるのかな、楽しみだねぇ〜。最近は予定通り物事が進みすぎて詰まらなかったんだ

……年甲斐もなくワクワクするね。では開戦の狼煙をあげさせてもらおうかな。まさかこれだけで終わるなんて事…ないだろうからね?

 

『空気を押し出す』+『筋骨発条化』+『瞬発力×3』+『膂力増強×4』+セルドライバー“音波”+“範囲拡張”+“斥力”」

 

 

…………ーーーードゥン!!!!

 

 

ドッッッ!!!!

 

音だけで世界が震えるかの様な攻撃

 

様々な罠が準備されていたはずの種子島は形を変えた

 

ドッパアアァァァァアン!!

 

海水が雲まで届くかと思うほど高い水柱が上がり海に大きな波紋が広がり波を打つ

 

「なんて化け物!個人が島を削るのか!!……!?」

 

さらに余波で戦闘機が4機撃墜された事が通信で連絡が入る

 

《戦闘機4機、撃墜確認!ダニー、マイク、ジェームズ、ロバートが──ッ!》

 

「な!?…おのれぇAFO!!」 

 

「――あっはっは!やはり増強系は楽しいな。さて…ヒーロー諸君、絶望に抗う覚悟はあるか?」

 

スターがAFOのあまりの現実離れした火力に戦慄しつつも仲間が犠牲になった事に怒りを表すスター

 

「なんて威力なんだ!?

あんなの、まともになんか受けれない!最初から全力で行かなきゃ…余力を残して勝てる相手じゃない!!」

 

「さっきのは撃たせちゃいけない!かと言って迂闊に近接も出来ない… hit-and-awayを繰り返す!起点は僕が作ります!チャンスは4回だ!覚えといてくれ!」

 

「頼むぜ、ルミリオン先輩様よぉ!

にしても、あのクソボスが……やりやがったなぁ!!…まぁ、予備動作はちょっと理解した…危ない橋を渡る事になるが…あと一回ぐらい見りゃあ、なんとか出来るかもしんねぇなぁ」

 

「ムッシュ爆豪…AFOを相手に良くそんな強気なこと言えるね…才能の塊って思ってたけど、それでも過小評価だったかもしれないねぇ」

 

「素晴らしい観察眼、才能だ!しかし…張り巡らせたデニム繊維達が破壊された…警戒されたか?だが、まだまだ罠はある…焦るなくとも良い。落ち着いて対処しよう。ルミリオンの後に続き臨機応変だ!」

 

「……仲間がやられた事にはドタマに来るが、あんたらは頼り甲斐がありそうな連中で良かったよ!!じゃあ、ルミリオンだっけ?でっかい事言ったんだ!失望させないでくれよなぁ!」

 

スターとジーニスト、そしてルミリオンは戦闘機の上に立ち、緑谷と爆豪は自前の個性で空中戦を仕掛ける

 

爆風が巻き上がる空の果て

 

そこは、既に人の営みが消えた“戦場”となる

空すらも拒絶するような、オール・フォー・ワンの圧倒的な存在感。

純粋な悪意の集合体。その一歩一歩が、空間を歪ませていた。

 

 

その声に、並んで前に出たのは――日本の次期No1ヒーローと期待されるルミリオンとアメリカNo.1ヒーロー、スターアンドストライプ。

 

「お前はここで止める!!不幸を生み出し続けるあんたに…悪は栄えないって昔からの定番と…最強のユーモアってやつを!教えてやるよぉ!!」

 

「世界に絶望をばら撒いてきたアンタを、今日、完全に終わらせるッ!」

 

「やってみなさい。『空気を押し出す』+『筋骨発条化』+『瞬発力×3』+『膂力増強×4』+セルドライバー“音波”+“範囲拡張”+“斥力”…を両手だよ」

 

ーーーー早い!!!

 

初撃の倍の範囲と威力が、先程とは比較にならない素早い動作で発生し彼らを襲う

 

そこに逃げ場は…当然ない

 

 

「うおぉぉぉ!僕の透過は10日(とおか)で進化したんだああぁぁ!!」

 

くだらない親父ギャグをかますルミリオンが左手を伸ばしてAFOの攻撃に突貫し触れた…瞬間

 

彼の表皮は左手から顔の半分と首元と胸まで剥がれ、腕は骨は曲がってはいけない方向ばかりに曲がり折れる。そして夥しい出血と激痛が彼を襲う

 

…彼の“透過”は進化していた。

 

触れている対象を、任意で“透過”させる。

 

AFOの攻撃自体を透過──すなわち、無効化。

 

ルミリオンの左手の犠牲と引き換えに、周囲に一瞬の“完全な隙”が生まれる

 

「今だあああああぁぁあ!!」

 

彼は4回のチャンスがあるといった

 

その意味を瞬時に全員が思い至る

 

 

 

「ふふふ、面白い…個性と笑いのセンスはなかなかの様だね」

 

ルミリオンの親父ギャグを褒めるAFO

 

 

ユーモアに対するジェネレーションギャップを感じつつ決死の覚悟で次の手に迫る

戦闘機16機のレーザーが唸る。

“新秩序(ニューオーダー)”のルールを刻む

 

「大気は私!……レーザーは束なって槍となれ!」

 

空間に大気で出来た巨大なスターが現れる。

その右手には戦闘機から照射されたレーザーを集めて一つの巨大な光の槍

 

それだけで世界を作った神が現れたかの様に錯覚してするほど神々しいものだった

 

さらに

 

全身が発光する青山

 

「この…強化ネビルレィザァを…偉大なルミリオン先輩に捧げます。“キラメキはトキメク光…見逃さないよ、キミ以外はね☆”レィザァキック!!」

極光のレィザァとなり光に近い速さで蹴撃する。

最初にAFOに到達したのは青山優雅

 

「ほぉ…」

 

避け続けるAFO…いつの間にか接敵した緑谷と爆豪が瞬きの連携を魅せる。緑谷はフルカウル100%に加えて歴代個性を使い合わせ、爆豪は天才的な戦闘センスと更に進化と深化を果たした個性を使いこなし青山の早さに合わせている。

 

まさに光り輝く煌めきの3人連携

そして遂に星形の軌跡を描き、最後の5画目でAFOを捉えた

 

「む!?」

 

…下半身が吹き飛ぶ

 

グニャリ…と再生を始める

 

しかしスターがレーザーを纏めた必殺技『十字軍アバトワール』で残りの上半身を追撃する

「おいおいおい、本当にやるじゃないか!!マスターがあっさり第一線から退いた訳が分かったよ!こんなに有能な若者が揃っているなら日本は安泰じゃないか!羨ましいよ!!」

 

「ちょっと危ないかな…」

 

バシィ!!

とデニム繊維が重なり生地となる。

 

「む…」

AFOを逃さないように締め上げる

 

「逃すものか!!超スキニーデニム展開!!」

 

対して

「服は適切なサイズが好みなのだがね……調子に乗られると腹が立つね。さて仕方ない。筋力強化、衝撃吸収、皮膚硬化、斥力展開──五重に重ねてみた……が…ふむ……君の火遊びには、いささか足りなかったな……」

客観的に火力に対する防御力の評価を下す

 

評価通り

 

十字軍アバトワールがAFOの展開した防御全てをぶち抜いて本体に突き刺さる

 

「ぐあああぁぁぁぁ!!!!」

 

ジュワアアアアアアッ……!

 

──蒸発。

 

それ以外に表現はなかった。

 

あの巨悪、オール・フォー・ワンは──光と炎の中に完全に焼き尽くされた。

 

──勝った。

 

誰かが、そう思った──その瞬間だった。

 

 

 

「……これで終わるなんて、思えるかよ!!」

 

 

 

乾ききった喉を裂くように、爆豪勝己の怒声が響き渡る!

 

「ふざけんなよ! こんなもんで終わるわけがねぇだろ!! 気を抜くな!!! なに空気緩めてんだ、クソが!! 

全員、今すぐ構えやがれぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

 

その雄叫びと同時に──

 

 

 

種子島の沿岸、戦場と化した灼熱の砂浜。アバトワールの余波で灼け焦げた地面が、低く、重く、うねった。

 

ズズズ……!

 

 

 

白い蒸気がたちのぼり、その帳の向こうから現れたのは──

 

鍛え上げられた上半身に、ピチピチの黒タイツ。そしてカーゴパンツと異様な色合いの紺マントを纏い──あの仮面がなくとも伝わる、強烈な“既視感”。

 

否。彼ではない。

 

だが、誰もが“彼”を思い出す。

 

“ソレ”は……笑っていた。

 

 

 

──。

 

 

 

「やれやれ。随分と焦っていたようだし、扱いも荒かったな。せめて最後くらい、手向けの言葉が欲しかったよ」

 

爆豪がギリ、と奥歯を噛みしめる。全身に火花が走る。

 

「てめぇ……何者だ……!!」

 

 

 

「誰、だって? ……変なことを聞く。“オレ”は、“僕”さ。若返っただけのね」

 

 

 

男が、軽く指を鳴らす。パチン、と小気味よい音。

 

蒸気が風に散り、その中から現れたのは──古びた“抜け殻”。

 

 

 

「個性名は《ドッペルゲンガー》。自分自身の“意思と個性”を、完全に再現する個性だ。まあ……発動には一度死ぬ必要があるから、こんな状態はオレも初めてなんだけどね。どうせなら若い肉体がいいと思って“設定”してみた。……成功して良かったよ」

 

 

 

「ふざけんな……!!」と誰かが怒鳴る。

 

 

 

だが──若きAFOは、ただ静かに、残酷な口調で告げた。

 

 

 

「君たちは、勝利を信じた。その時間ごと、壊してあげよう。……オレからの、ささやかな餞(はなむけ)だ。経験則だけどね。最高の絶望ってのは、“勝った”と思った直後に生まれるらしい」

 

 

 

そして──

 

 

 

誰もが見ていた“蒸発したはず”の地点。

 

そこから──

 

黒き残滓が、這い上がるように立ち昇る。

 

 

 

ズ……ズズズ……ッ!!

 

空間が、まるで地割れするかのように割れた。

 

その裂け目から、ヌルリと浮かび上がるように現れたのは──

 

老いたAFOだった。

 

顔の左半分は崩れ、呼吸も断続的。だが、その眼光は未だ鋭く、狂気と支配者の威厳を放っていた。

 

 

 

「……痛いし、熱いし、苦しいし……悲しい。ん?不思議かな? この個性の名は《復活》だ。死んだ時のバックアップだから蘇る。当然だよ」

 

 

 

若AFOが声をかける。

 

「やあ、“オレ”。どうやら《復活》は成功したようだな。《ドッペルゲンガー》発動後のタイミングが読めなかったが、賭けに勝てて良かったよ」

 

老AFOも返す。

 

「やあ、“僕”。そちらも《ドッペルゲンガー》が成功したようだね。死んだ後に《復活》しても無効化されないか、少しだけ不安だったよ」

 

 

 

「「──ふははは、愉快愉快」」

 

 

 

2人のAFOが笑い合う。

 

その禍々しさ、凶悪さ──今この瞬間、この場にいる誰一人として経験したことのない“終わりの気配”だった。

 

 

 

ルミリオンでさえ、その左手の痛みを忘れ、「そんな……」と呟き、絶望に沈む。

 

 

 

緑谷は、震える声で叫んだ。

 

「そんな……そんなのって……!! 歴代の意思が……今は“逃げろ”って!? だめです!! ここで止めなきゃ、もっととんでもないことになる!!」

 

 

 

青山は、必殺技の反動で肩で息をしながら、怯えた瞳を泳がせていた。

 

「あああああ……はぁ、はぁ……パパン、ママン、ごめんなさい……僕は……僕は、もう……ここまでかもしれない……」

 

 

 

「ちッ……AFOが二体!? しかも若くてナウなヤツと、ジジィがコンビ組むだと!? ふざけんな!! ヤバすぎだろ、マジで!!!」

 

爆豪が、なぜか微妙に古臭い言葉を交えて絶叫し、拳を強く握る。

 

 

 

スターアンドストライプは歯を強く噛み、唇を切り裂き血を流す。

 

通信機から戦闘機部隊のオペレーターの声が入る。

 

 

 

『スター!聞こえるか!? これはヤバい……AFOが2体!? もう脅威度が規格外だ!! 一度撤退して態勢を立て直そう! 大統領からも正式に撤退指令が──!』

 

 

 

「分かっている……こんなの、正気じゃ相手できない……マスターの全盛期でも勝てたかどうか……! だが……だが、だがあああああああああ!!!!!」

 

 

 

「──貴様……!! ヴィンテージデニムのレプリカだとぉ!? 許されるわけがない!!」

 

 

 

皆の脳裏に、“撤退”の二文字がよぎった。

 

だが──

 

 

 

「「──逃すわけがないだろう?」」

 

 

 

それは、2人のAFOの同時の声だった。

 

空に展開する十六機の戦闘機部隊。そのすべてが、スターの命令によって《自己強化》の個性を付与され、仮初めながら“準・強化個性持ち”として戦場に舞い降りていた。

 

──だが、それでも。

 

 

 

ズドォォォン!!

 

一瞬だった。真横を並走していた第一機が、鋭く穿たれた。

 

直線的な光線かと思えば違う。《瞬間圧縮》された空気が爆発的に解放され、不可視の衝撃波として機体を直撃──そのまま、爆風に呑まれて空へと散った。

 

「一撃で……!? 機体ごと、吹き飛んだ……!?」

「後方より敵性個性反応! 緊急回避──間に合わな──ッ」

 

 

 

ボゴォォン!

ドシャアアア……ッ!!

 

次々に、第四機・第六機・第九機が墜落。機体は避けきれず、空中には黒煙と機体の残骸が散乱するばかり。

 

 

 

「こんな……ッ! 空から潰されたらただでさえ不利なのに!! トキメクキラメキ・ティンクルバレット!!」

 

キュン! キュン! キュン!

 

青山が華やかにして熾烈なレィザァを誘導発射。だが──若返ったAFOは即座に個性を展開し、黒い闇爪でその軌道を切り裂いてみせた。

 

「フルカウル100%! 発勁・浮遊・煙幕! 加速強化した黒鞭で拘束する!!」

 

緑谷が煙幕を展開。紫の濃霧が空に広がり、その中を超高速で移動する黒影が、一閃──狙いはAFOの目前。

 

しかし。

 

若い肉体を得たAFOは、まるで重力さえも感じさせぬような、なめらかな動きで攻撃を捌いた。

 

「若さというのは素晴らしいな。動けるというだけで、世界が変わる。さて、崩すならどこからにしよう……空か、地か、それとも──心か」

 

そう囁いたAFOは、迫ってきた黒鞭を掴み、そのまま緑谷を種子島に叩きつけた。

 

「ぐッ……!? なっ──!」

 

ドッガアァァァン!!

 

たった一瞬の出来事だった。

 

 

 

「……妙に静かだな。だが、怒気は隠せてないぞ?」

 

音すら置き去りにした爆豪の爆速ターボが、無音で戦場を駆け抜ける。連続爆破で高速移動し、背後に回り込んだ爆豪は、前傾姿勢のまま逆方向へ飛ぶように跳躍──AFOの闇爪を回避。

 

「ち、なるほどな。反応しやがるか」

 

「……その姿勢で避けるとは。見えていたのか? いや、最初から攻撃する気すらなかったな。目的は“観察”……フン、そのセンス──才能だけなら、オールマイトやこの私すら凌駕する。……やれやれ、天才とはこういう奴のことか、嫌になるね」

 

「テメェに褒められても嬉しかねぇんだよ! 爆散して消し飛べ、クソボスがァ!!」

 

「おとなしく苦しんで死んでくれるなら、検討してやってもいいがね?」

嘲笑を浮かべ、AFOが再び構えを取る。

 

「まだまだぁ!!」

 

種子島から緑谷が飛び上がり、空からは青山がレィザァと共に降り注ぐ。

 

三人が集結──若返ったAFOとの死闘が、ここに幕を開けた。

 

――――――――――

 

一方その頃、空では──

 

スター・アンド・ストライプは、残る十二機の戦闘機部隊と共に空を駆けていた。

 

「全機、上空散開! 再集結は北座標α! 逃げられないなら……必ず……生きて帰還しろ!!」

 

《新秩序》を限界まで行使し、身体は悲鳴を上げている。それでも、彼女は前に出る。

 

「タイトに行こう!」

 

後方から、ベストジーニストが声を上げた。

 

「了解。あの広範囲攻撃が来たら僕が出る!」

「アンタの透過は切り札だ、ミリオ。回数制限がある……見極めるぞ!」

 

「任せてください!」

 

機体とヒーローが一斉に動く。だが──そのわずかな連携の隙を、老AFOは逃さなかった。

 

 

 

「やれやれ……侮ってくれるなよ。私には、歴戦の知恵と最新の個性がある。こんな芸当だって可能だ」

 

軽く腰を鳴らしながら、AFOは大量の闇爪を発生。前線を牽制するなか──彼が“再現”したのは、撃墜された『八機の戦闘機』だった。

 

その座席には──死んだはずの仲間たちの顔が血塗れで笑っていた。

 

 

 

「将棋は好きでね。なぜって? 奪った相手の駒を使えるからさ。こんな風にね」

 

「お前……っ!!!」

 

ルミリオンが怒声を上げた。

 

「「貴様ァアアアア!!!!」」

 

スターとジーニストの叫びが戦空を震わせる。

 

死体を弄び、仲間を道具として操る──その非道を前に、誰一人として冷静ではいられなかった。

 

 

 

──だが、気合いで勝てるほど、相手は甘くない。

 

どれほどの戦術を講じようと、次々に味方の戦闘機は撃ち落とされ、その度に“敵の駒”が増えていく。

 

最先端の兵器でさえ、AFOの多重個性の前では“的”に過ぎなかった。

 

十二機、十一機、九機……七機。

 

わずか数十秒で、戦力は半減し──半数が敵の手に落ちた。

 

 

 

「くっそ……!」

「……私たちは、仇に“駒”としか思われていないのか」

「屈辱……ッ」

「仲間に報いたい……でも、力が……」

 

「私たちにしかできないことが、きっとある。そう思わなければ……理性が保てない……」

 

 

 

彼らは──サイモン、エヴリン、スーザン、サリー。極運の持ち主・マイケル、ジョン、リンダ。戦闘機の残されたエースたち。

 

彼と彼女たちは、操縦桿を握りつぶしそうなほどの怒りと悔しさを噛みしめていた。

 

 

 

そして、スターが叫ぶ。

 

「ルミリオン、今だ!!」

 

「了解!!」

 

ルミリオンがAFOの視界を遮り、スターが“極超音速大陸間巡航パンチ”をぶち込む。

 

標的はAFOだけではない。

 

操られた仲間たちもだ。

 

──涙が、止まらなかった。

 

彼女は叫びながら──仲間たちを、撃った。

 

ドガガガアアア!!

 

「ごめん……ごめんなさい……大好きだった皆……お願いだから、許さないで。あなたたちに手をかけたことを忘れないわ……。その思いを背負って、絶対にアイツを倒すから!!!」

 

 

 

その背後に──AFOが迫る。

 

「筋肉女の涙……三流の茶番劇だな。“希望”という幻想、今ここで粉砕しよう」

 

だが、それを許さぬ者たちがいた。

 

「死角を作る!!」

 

「……D-SOW!!」

 

ギュァッ!

 

ルミリオンが死角を作り、ジーニストが“血に染めた繊維”でAFOの腕を切り落とす──!

 

 

 

「とんでもない切断力だな。かなり硬い皮膚にしているのだが…まるで繊維のノコギリか……」

 

「……もう、貴様を“捕らえる”ことは考えない。生死は問わない。私はヒーロー失格だ……だが、盟友を弄ぶお前だけは、絶対に許さない──」

 

 

 

彼は血に染めた繊維で空間を埋め尽くす。

 

両手の指で輪を作り、技を完成させた。

 

「籠目維──糸刻繊(かごめい・しこくせん)!!」

 

 

 

赤い繊維が空間を支配する。

 

ジーニストの決意が、戦場を紅く染め上げた──!

 

 

対 死柄木葬華

死柄木葬華を相手取るのは――マスコーダー、スナイプ、そして“シン脳無”の協力者・クサナギ。

 

地球軌道上にて、極秘裏に進行していた分断作戦が発動された。

 

宇宙空間から投下されたのは、特製の浮遊壁。空間そのものを巻き込みながら死柄木を押し潰そうとするも、触れた瞬間、壁は無残にも崩壊し、粒子の如く消滅した。

 

それが、“本物”の崩壊――何一つ痕跡を残さない、死柄木葬華の個性だった。

 

だが、狙いはそこにはなかった。

 

ほんのわずかなタイムラグ。

そこを突くかのように、衛星軌道上から転送装置が起動――死柄木の身体が空間から弾かれるように消失する。

 

そして次に現れたのは、月の裏側に建造された緊急拠点。

名を――《セレネノヴァ》。

 

そこに強制転送されたのは死柄木だけではなかった。マスコーダーとスナイプ、さらにマスコーダーの協力者であるクサナギの三人も、同時に現地に送り込まれる。

 

通信は地球と最小限のみ繋がる。

酸素供給は基地内部のみ。外に出れば即、窒息死。

そして何より、ここで戦えば地球を巻き込むリスクはゼロだった。

 

「……よし、これで最低ラインはクリア。アンタの“詰み”は確定だ」

 

転送完了直後、マスコーダーが死柄木に宣言する。

 

すぐさまカタチが補足する。

 

「この施設は僕の支配下にある。外に出れば、空気はない。

生きて帰るには、僕たちに敗北して“捕まる”しか手段はないよ」

 

死柄木が目を細め、唇を噛む。

 

「……どういうつもりだ?」

 

苛立ちを隠さず問いかける死柄木に、マスコーダーが淡々と現実を突きつけた。

 

「ここは月の裏側。転送装置は片道きり。

戻る術はなし。酸素も食料も有限。

ここで勝とうが負けようが、私たち以外に地球に戻す手段はない」

 

「……はぁ!?そんなのアリかよ!!理不尽すぎんだろ!」

 

「戦う選択肢もあるよ。私が勝てば、アンタは捕まって刑務所行き。

アンタが勝てば、一生ここで孤独に過ごして、いずれ餓死。

それに暴れすぎて施設壊せば、酸素も漏れて即アウト。ほら、選び放題だよ?」

 

ギリギリと歯ぎしりする死柄木。その横で、スナイプが苦笑いを浮かべた。

 

「……オレ、ここにいて意味あんのか?」

 

だが、そのとき――隣にいたクサナギが、ふと口を開いた。

 

「なあ、死柄木葬華……オレ、お前に惚れた。俺の女になれ」

 

時が止まった。

 

マスコーダーとスナイプが反射的に一歩踏み出す。

 

「…え?アンタ…何、言って――」

 

「はァああッ!?」

 

怒声が基地内に響いた。死柄木葬華が本気でキレている。

 

「誰がなるかッ!オマエ、シン脳無だろ!?

……っていうか、テメェみたいな歪んだヤツに惚れられてもキモいんだよッ!」

 

「そっか……残念だ。

なら力づくで、俺のモノにする」

 

クサナギの目が細まり、顔には狂喜の笑みが広がる。“協力者”の仮面は、もはや存在していなかった。

 

「異常行動確認。クサナギ、お前を敵性認定する」

 

カタチの声が、電子音ながらも鋭く冷たい。

 

「……はは、何だよコレ。敵が味方で、味方が敵かよ」

 

スナイプが半笑いで銃口を向ける。

 

「本能に忠実すぎんだよ、テメェはよ」

 

「それが俺の真実。死柄木葬華を“嫁”にする」

 

「うぇえぇぇ!? まっすぐなプロポーズされたけど、地獄の味しかしねえええ!!

やべ、これヒミコの気持ち分かんねーわ!?逆に緑谷ってやつの苦労に同情したくなってきた!」

 

そのとき、クサナギの腕から異形のブレードが展開される。黒く、禍々しく、破壊を渇望する刃。

 

マスコーダーも迎撃態勢に入る。手には二振りの光刃――

「月の脇差・宵小太刀」――静かに構える。

 

 

スナイプが肩を竦める。

 

「月面で、三人がかりで元味方の脳無と戦うって……ギャグかよ」

 

死柄木は苦虫を噛み潰しながら呟いた。

 

「……なんで、ヒーローと一緒に脳無と戦わなきゃなんねーんだよ、最悪だろ……」

 

そして――

 

マスコーダーの足元から、蒼い光が滲む。

 

「……やるなら初手から、全開でいく、手加減して生き残れる相手じゃない」

 

その声は静かで、だが確かに戦場の重圧を断ち切る覚悟を孕んでいた。

 

彼の目が紅く染まる。

 

 

 

──【VRED:Virtual-Reactor-Enhancement-Drive】──

いわゆる“自己強化機能”、彼女の中に組み込まれた“超演算自己変質型強化駆動”。

幾度かの実践投入とテストでその能力は完成した

「コード起動──自己強化【VRED】、制限解除ッ!!」

 

 

 

ドン!!

 

直後、彼女の身体を中心に青白いエネルギーの球体が炸裂する

 

肉体に内包された“並列思考コード”が解放され、各神経接続ポイントへ最適化された強化刺激が一斉に放出。

 

細胞レベルで筋出力と反応速度が爆発的に増大し、視界がまるで“監視モニター”のように広がる。

 

「……“拡張認識”を確認」

 

体から放たれる赤と青のグラデーションは、光子とデータの融合色──

 

 

 

「続けて行くよ。コードカウント、ギア・EX、リミットブレイクモード追加機能《エルクレス》──起動!」

 

 

バシュゥゥッ!!!

 

次の瞬間、白の戦闘コートが音もなく裂け、内側から強化外骨格《エルクレス》が装着されていく。

 

──蒼い肩部ユニット、腰部のハイブリッドダンパー、胸部の拡張コア。

 

──背面にはスラスター×3が接続され、蒼白の火花を散らす。

 

──そして両腕には“多目的アームド・ナックルユニット”が装着されていく!

 

 

 

「《支援ユニット・フラクタ》展開──散開戦術・モードⅣ!」

 

周囲の空間にパキンと亀裂が入り、そこから6基の浮遊支援ユニットが姿を現す。

 

フラクタたちはマスコーダーの脳波に同調して先読み・迎撃・バリア制御・干渉解析を同時展開。

 

 

 

──この時点で、マスコーダーはもはや“個人”ではなかった。

 

“知性を持つ戦術システム”そのものと化した

 

 

 

「リミットブレイク・エルクレス──初動加速、行くよッ!!」

 

ヴンッ!!

 

蒼白の閃光が地を蹴り、マスコーダーは一気に加速。

フラクタが追従し、データ光が尾を引いてゆく。

 

 

その矛先は──異端の裏切り者・シン脳無クサナギへと向けられていた。

 

 

 

「あなたを止めるよ!!」

 

《VRED+エルクレス》の組み合わせは、マスコーダーが持てる力の最終進化系。

 

それをみた死柄木葬華はつぶやく

「相変わらずゴチャゴチャしてて…意味分かんないわ」

 

………

 

月面基地セレネノヴァにて、二対一の戦闘が幕を開ける。




爆豪が天才すぎた(笑
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