ヒーローのカタチ   作:サモア リナン

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原作では雄英体育祭は、学年ごとに開催されていましたが、ここは改編して全学年参加型としますね。そしてヒーロー科の2・3年生はインターン中で不参加という事にさせてもらいます!


第8話「私の信念とヒーロー名」

校内の掲示板に貼られた、大きなポスター。赤く燃えるようなロゴと、力強く跳ねるキャッチコピーが、誰の目にも飛び込んでくる。

 

 

《雄英体育祭、開幕》

 

 

ちらりと横目に見た私は、小さくため息をついた。

 

 

 

「……私も、去年は出てたなー」

 

 

 

“個性”と“ヒーロー”の繋がりがまだピンと来ていなかったあの頃。

張り詰めた緊張と、息苦しいほどの熱気の中で、どう動けばいいのか分からず、ただただ必死だった。

 

 

 

――あれから、一年。

 

 

 

今年の私はあの競技場にはいない。

 

 

 

雄英高校ヒーロー科、二年――型形 作身(かたがた・つくみ)。

体育祭の最中、私は短期インターンに出ることになっている。しかもその行き先は、あの――

 

 

 

「インゲニウムの事務所、かぁ」

 

飯田くんのお兄さんが所属する、“正義の象徴”とも呼ばれるヒーロー事務所。その名前を聞いただけで、なんとなく背筋が伸びる。

 

実は去年、リューキュウ事務所にいた時に、ちょっとだけチームアップする機会があって。そのときに、一度だけ顔を合わせたことがあるんだよね。

あのときの雰囲気がすごくよくて、「次はここに行きたいな」って、なんとなく思ってた。

 

ちなみに三年生たちはすでに長期インターンで校外に出ているし、体育祭は例年どおり一年生の“お披露目”。

私は校門の前で、背中のリュックをぎゅっと握りしめていた。

 

 

 

そこには、小さなぬいぐるみ――私の相棒、「カタチ」が、ちょこんとくっついている。

 

 

 

「よし、行こうか。……あっちはあっちで大事だけど、こっちはこっちでやるべきことがあるもんね」

 

 

 

カタチはコクン、と頷いた。

変形もせず、言葉も発さず、けれど確かに――私は、彼と共にある。

 

 

 

 

 

* * * 

 

 

 

インターン初日。事務所で挨拶を済ませた私は、さっそくインゲニウムとともに市街地のパトロールに出ていた。

 

 

 

「久しぶりですね、型形くん。去年より、少し背が伸びたかな?」

 

 

 

「えへへー、どうかなー。でも、カタチはちょっと太ったかも」

 

 

『太ってない』

 

 

足元をちょこちょこ歩くマスコット・カタチが、間髪入れずに否定する。

インゲニウムは思わず吹き出しつつも、真剣な眼差しを私に向けた。

 

 

「今日も、学ぶことは多いはずだ。現場は一秒ごとに変わる。それを“判断する”のも、ヒーローの仕事だ」

 

 

「はいっ、がんばります!」

 

 

 

――その言葉が、後になって胸に刺さるなんて。

あのときの私は、まだ知る由もなかった。

 

 

* * * 

 

 

 

夕暮れの市街地。穏やかな巡回が、一本の無線で一変する。

 

 

 

『ヒーロー殺し、ステインを保須市内で確認!』

 

 

「なんだって!? 行くぞ!」

 

 

 

「え、ステインって、あの……!」

 

 

 

全身が強張る。喉が渇く。それでも――足を止めなかった。

私は、仲間の背中を追って、現場へと向かった。

 

 

 

 

 

* * * 

 

 

 

だが、到着してすぐ、インゲニウムが私に向き直る。「しまった」と、低く呟いた。

 

 

 

「……連れてきてしまってすまない。俺もまだまだ未熟だ。ここから先、仮免の君は、まだ早い」

 

 

 

「……え?」

 

 

 

「もしものことがあれば、後悔しても遅い。命令だ、型形くん」

 

 

 

その目に、迷いはなかった。私は、ただ頷くしかなかった。

 

 

 

「……はい」

 

 

 

ステインは凶悪だ。殺されたヒーローは一人や二人じゃない。

ヒーローの仮免を持っているとは言え、私はまだ学生…これが現実。

 

 

 

……そう、“判断した”つもりだった。

 

 

 

 

 

* * * 

 

 

 

夜。速報が、テレビの画面を赤く染める。

 

 

 

《ヒーロー殺しステイン、襲撃。インゲニウム、重傷》

 

 

 

「……うそ、でしょ……」

 

 

 

目の前の現実が、心を突き刺す。気づけば私は病院にいた。

待合室で、飯田天哉と目が合う。彼の瞳に宿るのは、怒りでも悲しみでもなく――冷たい、決意だった。

 

 

 

「飯田くん……」

 

 

 

声をかけた私に、彼は静かに答える。

 

 

 

「……型形先輩。……仕方ないと分かっています。先輩が悪いわけじゃない。無事でよかったとも思ってます。……けど今は、あなたと顔を合わせたくありません。……すみません」

 

 

 

その言葉が、刃のように胸を貫いた。

 

 

 

怖かったからじゃない。“判断した”と思い込んで、納得していた自分が、情けなかった。

 

 

 

 

 

* * * 

 

 

 

数日後。

 

 

 

飯田くんが保須市でのインターンを申請した――居ても立っても居られなかった。

 

私は学校を休み、ひとりで保須へ向かった。

 

 

 

「……何が、指示通り、だよ」

 

 

 

誰にも届かない独白が、心の奥で渦巻く。

 

 

 

「逃げてただけじゃん。判断なんかじゃない、保身だよ。守るって、なんなの……?」

 

 

 

その時――爆音が響く。

 

 

 

ビルが爆ぜ、黒煙が空を覆う。吠えるような獣の声。

数秒で、街は地獄と化した。

 

 

 

「っ、カタチ!」

 

 

 

『了解。状況把握モード、起動』

 

 

 

ドローン、索敵機、転送開始。

データリンク完了。市街地に配備開始。

 

 

 

「嘘……作身!USJで見た“あの”脳無が、5体!?暴れてる!」

 

 

 

「ヤバい、ヤバすぎる……っ」

 

 

 

「市民の救助と被害抑制、急ごう!制圧は私がやる!」

 

 

 

「もう始めてる!」

 

カタチが分裂。複製体が各所へ走り出す。

半壊したビルの上階で助けを叫ぶ人影、崩れかけた路地にうずくまる老婦人、子供の泣き声。

混乱と絶望に塗れた街で、それでも誰かを守る手は動いていた。

 

 

『A班:瓦礫救助開始。B班:火元送水中。C班:避難誘導移行』

 

 

ポンプ車、救助車、高所作業機。月面から必要な機材が次々に転送される。

熱源センサー搭載の小型ロボットたちが瓦礫の中へ潜り、反応を報告。

 

 

「さすがカタチ……っ!私は――敵を!!」

 

 

 

転送粒子が足元に収束。月面施設からのダウンロード――完了。

 

 

 

戦闘用ユニット《MAS-X03》。非殺傷捕縛型ヒーロー用装備。

 

 

 

ブースター起動。脚部アシスト。腕部シールド&捕縛ユニット展開。

迎撃システム、脳無の熱源補足。

 

 

『非殺傷設定。敵数:5。戦術最適化中』

 

 

 

――怖い。今も震えてる。けれど、私は。

 

 

 

「相手が誰だって……!」

 

 

 

叫ぶ。

 

 

 

「何度だって、相手してやる!! 不殺捕縛が、私の信念だ!!」

 

 

 

跳躍。ブースターが空を裂く。

地上の脳無に急降下、肉薄。スタンブレード起動、命中。

 

 

 

「何人だって! 何度だって……!」

 

 

 

翼を持つ脳無が援護に飛来。応戦。

ビルに叩きつけられるも、即時復帰。兵装補填、再転送完了。

 

思い出す。

 

病院の白い壁。薬品の匂い。ベッドの上で、包帯でぐるぐる巻きになっていた――インゲニウムの姿。

 

偶然聞こえた内容。もう動くことのない下半身。ショックだった。先生達は私のせいじゃないって言ってくれた。

 

でも

 

――ごめんなさい。私、ただそれを見てることしか、できなかった。

 

 

「止まるもんか!」

自分に言い聞かせる。

 

「逃げるもんか!」

奮い立たせる。

 

「もう…間違えるもんかぁ!!」

後悔をバネに前へと進む。

 

 

 

彼女は、過去の自分を越えようと必死だった。

 

「――私は!!」

 

 

 

 

「ヒーロー・マスコーダーだ!!!」

 




本来は脳無3体でしたが5体にしますね。

あ、、、今更ですが死柄木は女性にします!←マジで今更
サンマソンm(_ _)m

マスコーダーの意味
マスコット(Mascot)
作身の個性「マスコット」に由来しています

コードを扱う者(Coder)
カタチや作身が高度な技術や機器を使いこなすことを示唆しました
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