ヒーローのカタチ   作:サモア リナン

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いかん!原作から離れていく、まて!待つんだ。
こんなに崩すつもりは無かったんだ!


第9話「MASCODER: First Strike」

「解析急いで!」

 

叫びながら型形作身。いや、マスコーダーは地を蹴った。既に周囲の空気は焦げ、子供の泣き声が遠くで響き、焦げた鉄と血の匂いが鼻をつく。崩れたビルの瓦礫の影には、逃げ遅れた市民の姿も見える。全然被害に対して救助が間に合っていない。

 

「マスコーダー、左!接近型──質量2.3t!来る!」

 

カタチの警告と同時に、黒い巨体が唸りを上げて突進してきた。間一髪、右へステップ。作身の背中に展開されたエネルギーバレットが自動起動し、弾幕を形成する。

 

バシュッ、バシュバシュ──

 

「接近戦は苦手だけど、そうも言ってらんない!」

 

両腕のデバイスを展開。右腕からエネルギーブレイドを生成し、左腕には円形シールドが展開される。浮遊型援護兵装の補助を受けつつスラスターを吹かせ、超低空で高速接近する。すれ違いざまに刃で関節を切断、足元に炸裂弾を放つ。

 

爆風と共に脳無の体勢が崩れた。その瞬間を見逃さず、作身は距離を取って指を鳴らす。

 

「コード07、ダウンロード:マスコット戦車モデル”STG-Cata”!」

 

光の束が形づくり、彼女の横に異様に小型の戦車が数多く現れる。カタチがぴょんと搭乗し、主砲を構えた。

 

「やっつけろー!やっつけろー!いけーいけー!」

 

ややコミカルな動きではあるがやっていることはえげつない。カタチが乗る大きさゆえに小さくはあるが、十分な威力持つ砲弾の雨を一体に向けて1発も外さないという大量かつ正確な物量超一点集中攻撃。

 

相手が硬く再生待ちの脳無だからこそ許可した攻撃だ。

 

砲撃が全弾命中し、1体の脳無が吹き飛ばされながら、さらにカタチの乗る小型戦闘機がバルカンで追撃する。

 

しかし即座に脳無は再生を開始する。

 

「どんだけ回復すんのよコイツ……!」

 

もう1体が後方から飛びかかってくる。作身は素早くデバイスを切り替え、衛星からの長距離砲撃座標を入力。

 

「コード11、レーザー照準、範囲指定、衛星照波斉射──!」

 

天頂が閃き、一条の光が降り注ぐ。炸裂。1体の脳無が大破し、再生が追いつかない。

 

「コード00、捕縛兵装:バインドシェルター展開!」

 

マスコーダーの周りに浮遊していた捕縛専用機が素早く捕縛布を巻き、衛生から落とされた小型の拘束専用機「シェルター」が脳無を挟むことで完全な捕縛が完了する。

 

「……よし、一体は捕縛完了!」

 

 

その時だった。

 

「マスコーダー!上空から広範囲の音波攻撃を確認!回避して」

 

カタチから警戒の声が出される。

 

咄嗟に高速離脱するが避けきれず兵装の3割が破壊された。

 

瞬時に転送にて換装する。

現れたのはUSJで私を崩そうとした人。

 

たしか、黒いモヤみたいな人に死柄木葬華って呼ばれてた。

 

灰色の髪、死人の様に白くひび割れている肌、でも不気味に清潔感がある。

 

あの時とは違い長い髪は後ろでまとめられていた。まとめているのが人の小さい手なのが不気味さを倍増させている。

 

やや綺麗めな黒と灰色を基調としたジャケットとズボン。各ポケットに大人?ぐらいの手が入っている。

 

あれは、いったい?

 

「こんにちわ。有象無象ども。私は死柄木葬華、敵連盟のリーダーだよ。仲間であるステイン先輩に用があって来たんだけど、あなた邪魔だね。まさか脳無がこんなにあっさり捕まるなんて思わなかった」

 

──死柄木葬華はさっきまで相手にしていた、もう一体の飛行型脳無の背に立ち、空を滑るように降り作身を見下ろす。

 

「ご丁寧にどうも、あなたも捕まってくれないかな?」

 

「あはは!…笑えない」

 

脳無が咆哮し、空中戦が始まる。カタチ達が転送された複数の戦闘機に乗車、空を駆け、作身はライフルを連射。高々度、変則軌道、無限再生の脳無と、壊れては再転送の無制限に近い転送兵装のぶつかり合い。

 

「無制限に武器出せるの?チートだなぁ…!」

「そっちこそ……無限再生、ずるいよ…!」

 

互いに悪態を吐きつつ、譲らぬ攻防。

 

音波攻撃を仕掛けてくるが周波数は解析済み、同じ音波を当てて無効化する。

 

「うわ、なんで無効化出来んの?意味分かんない」

 

急上昇したかと思えば爆音とともに、空から死柄木葬華が脳無から飛び降り急降下してくる。

 

「ッんな!!」

 

あまりにも自分の命を軽視している戦闘方法。

 

追いかけようと急加速した直後だったため避けるだけで精一杯。

 

すれ違ったのは一瞬

 

なのに

 

ボロボロ

 

っと

 

USJの時みたいに全ての服、兵装が崩れる。

 

「嘘でしょ!?」

 

完全に崩れる前に咄嗟に全パーツの再換装を行う。

 

接近戦じゃ部が悪すぎる。

 

と言うか、こんな動き出来る人が脳無とタッグ組んでたのに、触らせなかったオールマイト、凄すぎるを超えて凄すぎる。

やば過ぎて何言ってんのか分からなくなっちゃった!

 

 

少しでもダメージをと、換装が終わり切る前に最初に転送されたライフルを葬華に向けて撃つ。

 

が左腕に盾のように変形した脳無が密着しており弾かれた。

硬質化された皮膚が表面を覆い、僅かにうねる様子は生物というより“装備”そのもの。

右腕には筒状に変形した脳無?が合体しており、まるでライフル……

 

「ほら――撃つよ?」

 

バシュッ。

 

照準もなにもあったもんじゃない。適当に打つ。

 

けど、銃身が向いた方向は逃げてる人が集まる密集地帯だった。

 

「ッツ!ふざけんなぁ!」

 

指で遠隔操作シールドを操作。装備の耐久限界を超えたスピードで動き市民の盾となる。

 

「次はそっちね」

 

ターン

 

「くぅ!!」

 

瞬時に、背後から展開した障害用バリアドローンが回避誘導。そのまま横に跳ねるようにして、作身はスライディングしながら身を翻す。

 

「外した。銃って性に合わないなぁ、やっぱり接近戦だよね」

 

表情を変えずに笑い、死柄木が突進してくる。左腕の盾型脳無を前面に突き出したまま、個性“崩壊”を帯びさせながら迫る。接触=即死の危険。しかも、足元の飛行脳無が滑空を補助して、スピードも予測不能。

 

「息つく暇もくれないのね!」

 

作身は跳躍。ブースターを起動し、真上へと吹き飛ぶ。カタチが即座に送った支援ドローンが、周囲に煙幕とレーザー照準妨害をばらまく。

 

「MASユニット、遠距離支援展開!A04、バレットモード!!」

 

右腕に合体したユニットが変形し、細身のエネルギーライフルへと変化。複数のモジュールが自動展開、数多の銃身が葬華に向く。長距離狙撃に特化したセンサーが起動する。

 

「おっと、それはヤバそうだ」

 

死柄木が歯噛みしながら脳無が翼をはためかせ急速上昇、距離をとる。

 

……なんであのスピードを生身で受けて無事なんだよ……。

 

直後、大きく揺れながら接近を図ってくる。盾型脳無が大きくなる。

 

しかし、マスコーダーはチャンスとみた。

「スナイプ支援、今!」

 

ビルの屋上、カタチが搭乗した小型狙撃ユニットが一瞬だけ姿を見せ、照準を合わせる。

 

『撃つ』

 

パンッ。

 

一発の成形炸薬弾(せいけいさくやくだん)が、盾形脳無に直撃。その衝撃で飛行型脳無から落ちる死柄木葬華。

 

「うっそ、この子、衝撃吸収と超硬質化ついてるんだよ!?」

 

(はぁ!?500〜600mmの鋼鉄を余裕で貫通する特別な弾なんだよ!?完璧なタイミングで撃ったのにその程度のダメージなわけ!?)

 

「はああぁぁぁ!」

 

スタンブレイド展開。作身は斜め下から加速をかけた突撃。直撃は避けられたが、脇腹に一筋、青白い軌跡が走った。

 

「いてっ、痺れるなぁ」

 

死柄木が空中で姿勢を整えて地面に着地する。

周囲の瓦礫が突然崩れ始める。彼女の個性が、半径数メートルに及ぶ地面を“崩壊”させていた。

 

「やっぱ、近くにいさせたくない。カタチ!」

「うん、あの人怖すぎるよーー」

 

作身はブースターをフル出力。上空へ跳び、上昇しながらカタチがポッド型兵装を転送する。

 

『高軌道迎撃支援機《AIGIS-05》、展開完了』

 

複数のミサイルユニットと迎撃機が周囲にホバリング。作身の周囲に防衛圏を形成しつつ、再度飛行脳無と死柄木に対して集中砲火を浴びようとする。

 

葬華は呟く。

「無制限は言い過ぎかと思ったけど、マジじゃん。ほんと……。チートめ」

 

マスコーダーは再度、バレット展開しレーザー連射、脳無への捕縛弾を打ち込む。

 

しかし、すべては黒い霧に飲み込まれた。

 

「な!?」

 

「ん?黒霧、どうしたの?」

 

死柄木の後ろにゲートが開く。

 

「彼が捕まりました。」

「あちゃー、ステイン先輩、捕まっちゃったかぁ。じゃあ今日はここまでかな」

 

唐突に飛行脳無と共に黒霧の空間へと飛び込む直前、悪意をこめて私に中指を立てる葬華。

「あんた本当に邪魔、迷惑」

 

「え…?」

 

………………

 

「シーン」という音が聞こえた気がした。

 

 

急な出来事で頭が追いつかなかったがハッとする。

 

辺りを見渡す。倒壊した建物、避難は完了しているはずだ。けど、見逃しがないか再確認が必要だ。

カタチのお陰で被害は最小限。

 

「……でも、0にはできなかった」

 

悔しさが、胸を締め付ける。

 

「カタチ……まだ助け待ってる人いるかもしれない。行こう。」

「うん」

 

作身はふらつきながらも救助活動に向かう。崩落しそうなビルに支柱を展開、医療キットを展開し、負傷者の応急処置──。

 

全てが終わったのは朝日が見えた頃だった。

 

 

 

■ 報道番組『ニュース・トゥナイト』より抜粋

 

「今夜のトップニュースは、二つの衝撃」

一つは、“ヒーロー殺し”として知られる凶悪ヴィラン――ステイン、ついに逮捕。

そしてもう一つは、若きヒーロー候補生が見せた決死の奮闘。雄英高校2年・型形作身(ヒーロー名:マスコーダー)による、脳無事件での市民大量救出です。

 

 

【ヒーロー殺し・ステイン逮捕について】

 

「“本物のヒーロー以外は許さない”――その過激な思想を掲げ、複数のプロヒーローを襲撃した“ヒーロー殺し ステイン”が、保須市にて逮捕されました。動機は極めて独善的とされながらも、その演説動画がネットを通じて拡散。過激派模倣犯の増加も懸念されています。」

 

 

【ヒーロー候補・マスコーダーの奮闘】

 

「一方、同じ事件の裏で――現場に居合わせた雄英高校2年生、“マスコーダー”が冷静な判断と未曾有の戦術で多くの市民を救助。その背後には、戦闘用兵器だけでなく災害救助用機器と思しき個性の展開があり、どの様な個性なのか?と疑問が残ります。しかし専門家は“極めて先進的な攻撃型と支援型を両立したヒーロー”として注目を集める存在だと語ります。」

 

 

「片や“ヒーロー社会を糾弾する者”、片や“未来を担う雄英の秘蔵っ子”――

一夜にして現れた、この対照的な二つの存在が、ヒーロー社会に新たな波紋を投げかけています。さらに共通するものが一つ。それは敵(ヴィラン)連盟。ヒーロー殺しステインの所属していた組織とされ、マスコーダーはそのリーダーと激しく戦闘していました。この奮戦は多くの人々が確認しています。…追加情報です!敵連盟のリーダーは“死柄木葬華”と名乗っていたそうです!雄英高校へ侵入したのも彼女であるとの情報があり、事実確認を………………………」

 

その夜、ニュースはこの2つの話題で持ちきりだった。

 

1体の脳無を生きたまま捕縛、もう1体を退け、被害の最小限化に貢献。

だが──そんな世間の評価とは裏腹に…マスコーダーは………。




これが……バタフライ効果か……
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