クソボケ谷八幡君 in よう実   作:結構暇なひと

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中身のほとんどない会話回ですね。


ちょっとした日常回

「比企谷八幡。貴方、エキセントリックな移籍の仕方をしておきながら結構普通ですね。」

 

 

「…どこにでも居るような庶民の長男だからな。えーっと…。」

 

 

「森下藍です。藍ちゃんって呼んでもいいですよ。」

 

 

「分かった、森下。」

 

 

2年目が始まって半月くらいの放課後に、クラスメイトになった森下という子にいきなりそう言われた。どうやらズバズバと物を言う子らしい。Cクラスに居た頃に一番欲しかった人材かもしれない。龍園に毒舌吐いてる姿を見たら面白かったかもしれないし。

 

 

「しかしまあ、普段からそういう行動取ってたらやばい奴だろ。なあ、消しカスを前の席の奴に飛ばしてる森下よ。」

 

 

「…訂正します。結構イイ性格してますね、比企谷八幡。」

 

 

「俺が元居たクラスを考えてみろよ、これくらいのメンタル無いとやってけるわけねえだろ。わんぱく小僧の群れみたいなクラスだったんだぞ。」

 

 

「わんぱく小僧と言うには全然可愛げが無いですね。荒くれ者と言う方が正しいでしょう。」

 

 

大分歯に衣着せぬ言い方をする奴である。どのクラスにも変わり者を編入させるルールでもあるのだろうか。

 

 

「話を戻します。しばらく観察していましたが特に目立った動きがありませんでしたので、直接聞くことにしました。比企谷八幡は、坂柳有栖の右腕ではないのですか?顎で使われるのを想定していたのですが。」

 

 

「…そういや特に何も命令はされてないな。なんでだろう?」

 

 

「思ったより使えねーなって思われてるんじゃないですか?」

 

 

「なんてこと言うんだお前。」

 

 

コイツも結構イイ性格してやがる。ほんのちょっぴりそうなんじゃないかって思ってる所を突いてくるあたりが。

 

 

後ろから様子を見守っていたであろう有栖の笑い声が聞こえた。

 

 

「…ふふっ。ふふふふっ。森下さん、私と八幡くんは対等ですからね。お願いはするけど命令はしませんよ。」

 

 

「…という事だそうだ。知らんうちに玉座に座ってたわ。」

 

 

「比企谷八幡は王と言うには周りにあまり人が居ないじゃないですか。4人も侍らせてるって意味ではハーレムキングは名乗れそうですが。」

 

 

ビックリするほどズケズケ言いやがるな、コイツ。事実を並べてるだけに否定も出来ねえし。

 

 

「そういえば同棲してましたね。ヒモキングの比企谷八幡とでもお呼びしましょうか?」

 

 

「そう呼んだら消しカスの森下藍って呼ぶからな。普通に比企谷とでも呼べ。」

 

 

どこで同棲している事実を知ったのやら。それはそれとして、ちょっと気になった事をついでに聞く事にした。

 

 

「俺はどっちかと言えば駒として動く方が良いからそうしてきたし、そうするつもりだが森下はどうなんだ?」

 

 

「…と、いうと?」

 

 

「この学校の連中は、どこかおかしい奴ほど実力を備えているからな。高円寺に近いくらいの自由人の森下もそのクチかなって。」

 

 

「高円寺六助と同じくらいの自由人と噂されている比企谷八幡が言うと説得力がありますね。」

 

 

「あそこまで自由に過ごしてねえわ。聞く所によるとアイツ、こないだの試験で手抜きしたらしいじゃねえか。」

 

 

真面目にやってたならDクラスは勝利がほぼ確定していたのである。敗北が決まってからの参加にならなくてよかったって今でも思う時があるぞ。

 

 

「まあ、俺が悪かった。高円寺に近い自由人は言い過ぎだったわ。高円寺と比べて三段くらい劣る自由人だな、多分。」

 

 

「まだまだ落ちると思いますが、まあ許してあげましょう。」

 

 

「んで、実際の所はどうなんだ?」

 

 

「驚かないでくださいね、私は名探偵の孫なのですよ。推理物なら主役を張れますよ。」

 

 

「えっ、マジで?頭の切れが綾小路や有栖並なら対綾小路を完全に任せたいんだけど。」

 

 

「かよわい乙女に危険人物を押し付けないでください。Dクラスに居る事自体が詐欺みたいなものでしょう、綾小路清隆は。」

 

 

「確かにな。アイツ1人に盤面ひっくり返されてもおかしくねえし。」

 

 

そう言うと森下は驚いていた。まだ綾小路を観察し始めたばかりなのだろう。

 

 

「まあ、綾小路ばかりに気を取られててもダメだけどな。どこの誰が実力を隠してるか分かったもんじゃねえし、俺の元ボスも死ぬほど厄介だからな。Aクラスに来たっていうのになんで全然楽になった気がしないんですかね?」

 

 

「この学校の責任者が悪いのではないですか?例年だとDクラスはDクラスのままらしいですし。今年に限って、ちゃんとした評価が出来なかったのではないでしょうか。」

 

 

「一理あるな。まあ、それでもAクラスは十二分に優秀なんだが。」

 

 

CクラスやDクラスの情報を集めに来ていた山村って子とかな。誰も気付かない諜報要員とかどのクラスも喉から手が出るほど欲しいだろう。多分有栖にとっても重要な伏せ札だろうと思い、山村に情報を取らせない代わりに龍園に話さなかったのは俺の裏切りの一つである。

 

 

「運動が得意な人は少ないので期待してますよ。百人力だと思ってますので百人分働いてください。」

 

 

「鬼かお前は。やらなきゃならん時もあるかもしれんが、普段からやりたくねえわ。」

 

 

話が一段落つく頃合いを見計らっていたのか、後ろから2回手を叩く音が聞こえる。

 

 

「森下さん。楽しんでる所悪いですが、そろそろ八幡くんとカフェに行きたいですからそれくらいにしておいてください。」

 

 

「…しょうがないですね、分かりました。それではこれで、しーゆーあげいん。」

 

 

そう言って森下は帰った。ちなみにこれ以降、森下は結構な頻度で絡んでくるようになった。絡まれる度に4人から抱き締められるようになったのはまあ、愛嬌だと思っておく。

 

 

 

 

 

有栖と一緒にカフェに行き、頼んだコーヒーを一口飲んで一息ついた。雑談がてらエキセントリック少女についての話をする事にした。

 

 

「Aクラスにも強烈な奴が居るもんだな。頼もしさすら感じる図太さだわ。」

 

 

「ええ、そうですね。ですが、今まで奇抜な行動を取るものの前に出てくるような方ではなかったのですが。」

 

 

「自分で言うのもなんだが異分子だからな、俺は。どういう奴なのか確認しておきたかったんだろう。独自に綾小路を調べていた事もポイント高い。」

 

 

「八幡くんの、森下さんに対する評価は高いようですね。」

 

 

「掴み所のない頭脳担当っぽいからな。敵からすれば嫌だろうよ。」

 

 

対戦相手と対面するような試験の場合、相手の困惑が浮かぶのが想像出来る。

 

 

「八幡くんが言うと説得力がありますね。八幡くんも飄々としてますし。」

 

 

「俺は元々上辺だけだったんだがな。誰かさんたちの隣に居たいなら、それくらいはやれないとダメだっただけだ。」

 

 

「ふふっ、そうですか。」

 

 

俺が舐められるだけなら別に良いが、彼女たちが舐められるような事になるのは我慢ならなかった。それだけの話である。

 

 

「しかしまあ、Aクラスも粒揃いで頼りになる奴も多いというのに全然安泰じゃないのは何でだろうな?」

 

 

「いいじゃないですか、全力で挑んで勝つか負けるか分からない方が面白いですし。」

 

 

有栖のその言葉に驚いた。自信に溢れてる姿ばかり見て来たし、常に自身の勝利を疑っていないと思っていたので。

 

 

「…自分が絶対勝つとは言わんのな。」

 

 

「先ほど八幡くんが言ったように、高円寺くんの気紛れで生かされたようなものですからね。それも含めて山内くんの絶望していく顔は見物だったと言ったつもりでしたよ。」

 

 

結果を見れば、味方のせいで負けたと言えるような敗北だからな。だがまあ…。

 

 

「…少しばかり哀れに思う気持ちと、準備しとけよって気持ちがあるわ。『クラスメイトだから協力するのは当たり前』って考えていいような奴じゃねえだろう、高円寺は。」

 

 

「そうですね。例えばですが、八幡くんならどう動きますか?」

 

 

「ポケットマネーで100万くらい高円寺に支払って勝ってきてくれるように頼むかな。100万ポイントで有栖の退学か2000万ポイントを削らせられるかもしれないなら安いもんだろ。」

 

 

100万で動いてくれるかは分からないが実際安いとは思う。だが、今の堀北には浮かばない発想だろう。人の心に理解を示そうとしないタイプっぽいし。

 

 

「おやおや、私相手でも容赦が無いですね。」

 

 

「相手を舐める事が出来るほどの実力も無いからな。それに、手加減したら怒るだろ?」

 

 

「ええ、八幡くんが相手でも間違いなく激怒するでしょう。3日くらいは口を聞かないでしょうね。」

 

 

「4日目になったら聞くんかい。」

 

 

「………だって、3日も口を聞いてなかったら物凄く寂しくなるじゃないですか。」

 

 

こっちから目を逸らしてちょっと拗ねたような表情で言ってきた。たまに破壊力高めの可愛い反応するな、こやつ。

 

 

「…まあ、そうなる事はもう無いけどな。最後まで同じ方向を向いて、一緒に卒業するだけだろうし。…でも、Dクラスに敗れてたらどうしてたんだ?ポイントは足りていたのか?」

 

 

「いえ、八幡くんたちが移籍すれば私が居なくても十分戦えるクラスになっていますからね。ポイントを温存するために退学するつもりでしたよ。」

 

 

「………えぇ、マジで?」

 

 

「はい。その後はお父様に頼んで八幡くんの部屋に転がり込めるようにするつもりでした。まともに動くのも困難な体ですからね、八幡くんの居ない学校へ通うよりは一緒に暮らしながら働こうって決めてました。」

 

 

細身の体に逞し過ぎる精神力が宿っておられる。許されるのかって思ったけど……坂柳理事長、有栖にスッゲェ甘そうなんだよなぁ…。

 

 

「俺が思ってた以上に強くなってんなぁ…。何時になったらお前さんに追い付けるんかね。」

 

 

「八幡くんが成長する以上、私も成長しなくてはならないでしょう。それに、私と八幡くんは対等であると言ったでしょう?八幡くんが実感していないだけで、すでに横に並んでいますよ。むしろ、私が置いて行かれないかちょっぴり心配ですよ。」

 

 

「心配せんでも大丈夫だろう。負ぶさってでも一緒に来てもらうわ。」

 

 

そう言うと有栖は嬉しそうな笑顔を浮かべた。まあ、こやつの事だしそういった心配は本当に無用だろう。

 

 

 

 

 

先の話になるが、修学旅行で有言実行とばかりに有栖を負ぶさって名所巡りする事になった。昔を思い出して懐かしみながらの楽しい旅行になったとだけは伝えておく。ついでに何とも言えない表情を周りにさせた事も。




チャレンジしてみたものの、森下さんのトンチキ再現度は低いと思われます。
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