シン・南斗の拳 俺達の戦いはこれからだ!   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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最終話 俺達の戦いはこれからだ!

 世紀末救世主伝説は終わった。

 ケンシロウは北斗神拳を使えなくなり、今は不慣れな子育ての日々を送っている。

 もう俺は世紀末クリーパーを恐れる必要はない。

 ここからは一気に領土拡大に出る事が出来るのだ。

 拳王、聖帝、救世主、魔王、天帝、慈母星……邪魔者は全て消えた。

 ついでにリハクは文官が絶望的に不足しているらしい修羅の国に送りつけておいた。

 他の者達は時代に翻弄されながらもこの俺を信じ切っている。

 この状態からなら世紀末を支配するのも時間の問題。

 俺は新世界の(シン)となる!

 ……などと、負けフラグになりそうな考えはともかく、実際脅威と呼べるものはもうないだろう。

 無論油断はしない。何せここは暴力の荒野、世紀末。

 もしかしたらゲームオリジナルの変な敵だとか、裏南斗だとか真元斗だとか天帝の秘拳だとか東西南北中央不敗マスター神拳だとか、そういう俺の知らない変な敵が生えてくるかもしれない。

 だが何か出てこようと、構うものか。俺の欲望を阻むものは全て踏み潰すだけだ。

 

 元日本だった場所は完全に俺の支配域となり、よりよい環境を求めて周辺の小国も進んで俺の傘下へと加わっていく。

 この分ならば世界征服も時間の問題だろう。

 領土拡大と並行して続けていた海復活計画も順調に進んでいる。

 発掘した数多の重機に列車砲などの兵器を用いた爆撃。

 デビルリバースやフドウはその巨体を活かして活躍し、その他多くの拳士の手によって開拓は確実に進んでいる。

 ビジャマの闘気増幅装置も量産体制に入り、他にも次々と昔の兵器を発掘・修復して蓋の破壊に取り組んでいた。

 ……お前、本当にこの世界の救世主になれるかもな。

 それと、時々空にユリアがドアップで出現して雷を落として蓋を破壊したり、ビジャマの闘気増幅装置に充電したりしているらしい。怖いからそれやめろ。

 

 順調とは言っても、何せ面積が面積だ。残念ながら俺の代だけで完全に終わらせる事は出来ないだろう。

 だが問題はない、その為の後進の育成だ。

 俺の拳も、俺の計画も、全てダンネに叩き込んでいる。

 まだ俺には届かんが、いずれ俺の代役くらいにはなれるだろう。

 そしてそのダンネがまた、次の世代へと俺の目的を受け継がせていく。

 俺が生きているうちに地球の完全な再生は叶わんだろうが、世代を超えて俺の欲望は受け継がれ、俺の執念は生き続けるのだ。

 

「見るがいい、サラ……この街灯に照らされた国の姿を。俺の支配域は最早、暴力の荒野ではない。秩序なき獣の地獄ではない。再び文明の灯が蘇った人間の世界だ」

 

 俺は城のバルコニーから国を見下ろし、サラに俺の偉業を語る。

 まだ完璧ではないし、そもそも完璧な統治などない。

 どうしたって貧富の差は生まれるし、全てを平等にする事は不可能だ。

 それでも、馬鹿な悪党共が我が物顔で蔓延る地獄は脱した。

 結果から言えば、俺というより巨大な悪党が頂点に居座って俺以外の悪党を踏み躙っただけなのだが、それでも全体的に見れば大きくマシになっているだろう。

 

「ええ、そうね……貴方は凄いわ、シン……本当に……このゴールに辿り着いてみせるなんて」

「違うな」

 

 サラの中ではこれでゴールテープを切った判定になっているようだが、それは間違えている。

 ここまでの戦いは……全て『前座』だ。

 本当の敵に比べればまるで大した事のない、比較対象にすらならない小競り合いだ。

 

「俺が切ったのはゴールテープではないぞ、サラ……スタートラインだ」

「……え?」

「これまでの戦いは所詮、地球に住む小さな生物同士の小競り合いだった。だがこれから先、俺が挑む相手は自然の復活という途方もない巨大な敵……この地球そのものなのだ」

 

 ここまでは所詮、全てが前座だ。

 どこまでいっても、人同士の小競り合いでしかなかった。だがこの先は違う。

 見るがいい、都合よく海が覆い隠されたこの地球を。

 まるで人類に愛想を尽かして引きこもっている、この星からの返答のようではないか。

 星に意思があるかどうか俺には分からない。というか多分ない。

 だがもしも意思があれば……人類など見捨てて当然ではないか?

 俺には今のこの地球の状態が、地球からの人類への絶縁状のように思える。

 ……勿論こじ付けだ。前回の亡霊の時と違い、少なくとも『何か』の意思は感じない。

 だがこじ付けでいいだろう。敵がいた方が、やる気が出るというものだ。

 そんな俺の次なる仮想敵……それこそ。

 

 ――亡霊などではない真の天……即ち、地球。

 

「強敵だぞ……これまでの戦いなど茶番にしか思えんほど苦しい戦いになる」

 

 俺はそんな地球を相手に、頭を掴んで無理矢理栄養剤を飲み込ませて、いいから黙って俺達人間様が豊かに暮らせる環境を提供しろと強要しなければいけないのだ。

 考えるだけで気の遠くなる戦いではないか。

 所詮は個人の暴力でゴリ押しできたこれまでの戦いとは次元が違いすぎる。

 これから先は暴力ではどうにもならない、技術と根気の戦いとなるのだ。

 だが――それでも俺は成し遂げてみせよう。

 人類の未来の為ではない。民の平和や幸せも俺にはどうでもいい。

 全ては俺達二人の為。俺は常に、俺自身とたった一人の愛した女の為に戦っている……これまでも、そしてこれからも!

 

「サラ! お前に世界をプレゼントしよう! 国だけではない……いずれは地球全てをだ! この星の全てがお前の前で平伏す!」

 

 サラが望むならば、俺は何でも手に入れてみせよう。

 未来も、栄光も、平和も……世界さえも。

 きっと俺は底抜けの愚者なのだろう。

 だが構うものか……それが俺という人間なのだから。

 

「……ふふっ……」

 

 俺の渾身の宣言を聞き、サラが口元を抑えた。

 

「シン……本当に……貴方って人は……」

「……サラ……お前……笑って……?」

「……え?」

 

 サラは、自分が笑っている事に気付いていなかったのだろう。

 驚いたように自らの頬に触れ……そして安堵したように深く息を吐いた。

 俺はサラの肩を抱き、不安と期待で急く心を抑えながら尋ねる。

 

「もう……あの日の出来事は心に蘇らないのか?」

「……いいえ。今でもやっぱり、あの日の事を思い出す。私は笑うのが怖い」

 

 サラが笑えない理由。それは恐怖が原因だ。

 ただの偶然でしかないがあの日、サラが笑ったその瞬間に世界は悪夢へと変わった。

 それを自分のせいだ、などと思ったわけではないだろう。

 しかし頭ではそう思っていても、心は笑う事と悪夢がイコールで結びついてしまった。

 笑うとどうしてもあの日の事を思い出し、上手く笑えない。

 

「私は、ずっと怖かった。貴方が私の為に遮二無二走れば走るほど……私が笑えば、貴方まで失ってしまうんじゃないかって。

そんな事ないっていくら思っても、私の心はずっとあの日の恐怖に縛られたままだった」

「サラ……」

「けど貴方は、約束を守って帰ってきてくれた。不幸の引き金なんかじゃないって……そう言って、笑い飛ばしてくれる。

なら、私だけがいつまでも怖がってるわけには……いかないわよね……お母さんになるんだし」

 

 そう言ってサラは、自分の腹を愛おしそうに撫でる。

 それは、俺が世界などよりも余程欲しいものだった。

 あの日からずっと消えていたサラの笑顔。

 それが今、俺の目の前にある……。

 

「この子が心から笑える世界に私もしたいから……どこまでも、貴方の夢についていくわ」

「フッ……当然だ。ならば」

 

 俺はサラの腰を抱き寄せ、その顔を見る。

 笑顔を取り戻したならば、その笑みで言って欲しい言葉が俺にはある。

 その一言があれば、俺はたとえ地球が敵だとしても、負ける気がしない。

 

「サラ……俺を愛していると言ってみろ!!」

「ええ……愛します! 一生、どこへでもついていきます!」

 

 今の俺はまさに無敵! 俺には勝利の女神がついている。そしてサラだけではない。

 俺が玉座の間に行けば、そこにはケンシロウ、ダンネ、ジュガイ、ハート、レイ、シュウ、ガルダ、カレン、コウリュウ……他にも俺がこれまでに味方に引き込んできた精鋭達が立っている。

 おいジェネリックトキ、座るな。立て。

 俺一人では勝ち目のない戦いでも、これだけの味方がいれば少しは勝機も生まれるだろう。

 

 覚悟しろよ、地球。

 お前は人類を見捨てたかもしれんが、そんな事は俺が許さん。

 もう一度、無理矢理でも振り向かせてやる。

 人間も捨てたものではないと……そう思わせてやる。

 

「行くぞ、貴様等。これから俺達が挑むのは人間などというちっぽけな生物ではない……この惑星そのもの。どれだけ時間がかかっても、再びこの星を水と緑で溢れた美しい世界に戻すのだ」

 

 俺の宣言にダンネ達全員が緊張感をもった顔で頷く。

 長い前哨戦は終わった。

 俺がこれより求めるのは世紀末救世主伝説などではなく、救世主が必要ない世界。

 物語の舞台として成り立たない、栄光の未来だ。

 しかしこれからの戦いは絵的には凄まじく地味で、面白味のないものとなる。

 だからひとまず、物語はここらで幕を引くとしよう。

 後は勝手に、カーテンコールの裏で俺の好きなようにやるさ。

 故に――俺はあえてこう言おう。

 

 

 

 

 

「俺達の戦いはこれからだ!」

 

 

 

 

 

 

ご愛読ありがとうございました! マジカル☆さくやちゃんスターの次回作にご期待下さい!

 

✪ というわけで「シン・南斗の拳 俺達の戦いはこれからだ!」完結となります。

原作でも「これからも俺は戦い続ける!」エンドだったし、まあ北斗らしい終わり方という事で一つね……?

過去作二つが女の子主人公だったので今回は新しい試みとして一部AAを入れてみたり、野郎主人公にしたりしてみましたが、なかなか難しい。

個人的にはやっぱ、野郎を主役にすると途端に絵面が汗臭くなるなあと思ってます。

華が……華がない……ッ!

AAには可能性を感じるので完全なAA作品もやってみたい気もするけど、多分ハーメルンでは需要がないので後書きとかで一部使うくらいが丁度いいかも。

 

これからもシンは地球再生の為にえっほえっほと頑張り続けますが、絵面的には部下に命じて地面掘らせ続けたり、植林したり、ヒャッハーを刻んで大地に撒いたりするだけで地味なので物語的には盛り上がりません。

なので物語としてはここで完結となります。

後は舞台裏でシンが勝手に頑張って何とかするでしょう。

 

それではまた、次回作があればどこかでお会いしましょう。

サラダバー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【オマケ その後のリハク】

内政や組織運営に優れたリハクの活躍もあり、修羅の国も少しずつまともな国になっているようだ。サンキューリハク!

読めなかった……まさかこれほど文官がいないとは……!

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