ova版DIOがギャスパーに取り憑いた話。

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ギャスパーに田中DIOが取り憑いてたら

その力に気づいた時から違和感が拭えなかった。

力が暴走する度に頭の中で声が響く。

己の力なのに何故手足のように操れないのだと。

それは己の一部なのだから受け入れろと。

そこからはその違和感を取り払うために力の使い方を学んでいった。

でも足りない。

何か、何か違うのだ。

そうして何年も費やした時、カチリと『時計』の歯車が合ったような感覚に目覚めた。

そこからはみるみるうちに力を制御していった。

まるで補助輪をつけてた子どもがコツを掴んであっという間に自転車を乗り回すように。

 

『そう、それこそが貴様の力なのだ……』

 

その時初めてその人を認識した。

怪しい色香を持ったその人、『DIO』さんに。

 

◇

 

気がついた時には不快だった。

思い出せる最後の記憶、それは自身の敗北の瞬間。

意思が暗転し再び目覚めたと思ったら自身の力すら制御出来ないガキに取り憑いていたのだ。

許せない。

この様な地獄に叩き落とされたことが。

許せない。

ガキの体一つ乗っ取れない己が。

 

『世界』の力すらまともに使えずに何が世界を支配する力だ。

 

「このDIOがよもやガキに寄生しなければならんとは……」

 

吸血鬼としての己の力はほとんど失われた。

ガキの異常なまでの再生力、恐らくそれが自分に残された吸血鬼としての力。

そしてもう1つ、おそらくこの世界にはジョースターに連なる者はいない。

ガキを通して世界を調べた。

しかしだ、そこにはスピードワゴンの名も無ければジョースター家が過去に存在したという記録もない。

完全なる異世界。

 

予想はできる。

己の死後に別のスタンド使いが世界に干渉する能力を発現させたのだろう。

『時間停止』という能力が自分に発現し、自分と相対した『空条承太郎』もまたその『時間停止』の世界に足を踏み入れたのだから不思議ではない。

 

「そうか……ジョナサンはいないか……」

 

宿敵。

己の運命に何度も立ち塞がった彼の血統。

スッキリした、それと同時に僅かばかりの後悔にも似た何かが湧き出る。

彼等の運命に終止符を打つのは自分でありたかったのだ。

あんな結末ではなく、自分自身の手でジョナサン・ジョースターという男を討ち取りたかった。

自分の中の人間であった頃の部分がそう訴えてるのだろう。

だが、これで。

 

「これで我が野望を止めるものはなくなった」

 

そうだとも。

配下はまた増やせばいい、異世界?上等だとも。

この世界には御伽噺に過ぎなかった生き物が存在する。

神話上の神すらも。

ならば、それ等を支配し正真正銘この世界の支配者になれるでは無いか。

 

「その為にもお前には成長してもらわねばな…なぁ?ギャスパー・ブラディ」

 

全盛期のジョナサンの肉体。

それに劣るとしても日光の下を歩けるこの吸血鬼を鍛え上げ自分の器とする。

その後は簡単な事なのだから。

 

☆

 

「それで?私に何用かな…リアス・グレモリー」

 

ギャスパーの肉体を一時的に得たDIO。

その目の前に立つ女。

 

「こうして貴方と話すのは何年ぶりかしら…『DIO』」

 

彼女はギャスパーの秘密を知る数少ない人物。

そして『DIO』の恐ろしさを知る人物でもあった。

 

「おいおい、質問の答えになってないぞ。そんな事ではこのDIOを下僕とすること等不可能ではないかね?」

 

くつくつと笑みを漏らすDIO。

 

「……そうね、その通りだわ。質問に答えましょう、貴方の力を借りに来たわ」

 

「ほぅ……少し前までは私と会話するだけでゲロを吐いてた小娘がこのDIOの力を?どういう風の吹き回しかな」

 

興味が湧いた、そう言いながらDIOは階段の前に立った。

 

「近々、1週間もすれば私の婚約者とのレーティングゲームが始まる……その試合に貴方も出て欲しい」

 

「ま、その試合に勝てば貴様の婚約は破棄、逆に負ければ即婚姻と言ったところか……くだらん。実にくだらん」

 

「そうね……でも相手は不死鳥の力を持った男よ……そいつと戦うことで貴方のその力もより増すのではなくて?」

 

未だ、全盛期に程遠い自身のスタンド。

肩慣らしには丁度いいかもしれない。

 

「ククク……よかろう。先程から内側で喧しく騒ぐギャスパーに免じ今回は力を貸してやるぞリアス・グレモリー」

 

「それは……ギャスパーに感謝しないといけないわね。」

 

☆

 

「『世界』!!!時は止まる」

 

瞬間、世界は音をなくし灰色になる。

 

「2秒経過……せいぜいがあと4秒ほどか」

 

あの決戦、ジョセフ・ジョースターの血を吸った時の半分。

 

「……っと、焦ることは無い……この世界に忌まわしい血族はいないことを忘れるとは」

 

「4秒経過……さて、このつまらんショーを終わらすとしよう。」

 

スタンドの腕がライザー・フェニックスの腹を突き破る。

 

「さようならと言うやつだ、ライザー・フェニックス……6秒…時は、動き出す」


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