前回前々回と投稿が深夜なのに投稿後割とすぐにUA増えたなと思っていたんですが、通知なるものがあったんですね。これ以降深夜に出さないよう気をつけます。
今回もストーリーを平和めにしたやつをあげました。★9話→☆10話、☆9話→★10話は繋がっていないのでそこは了承ください。
☆10話https://syosetu.org/novel/377125/14.html
では本編どうぞ。
目覚めると、見知らぬ天井が見える。…そうだ。昨日からここに住むことになったんだった。眠い目を擦りながら顔を洗い、そのまま簡単に朝ごはんを作る。本当に今日からうまくやっていけるのだろうか。というか、本当に人間は余を受け入れてくれるのだろうか。
朝ごはんの片付けを終わらせゆっくりしていると、玄関の戸をノックする音が聞こえる。玄関に向かい戸を開けるとフブキちゃんがいた。
『おはよう、フブキちゃん』
『おはようございます、あやめちゃん。どうですか?一人暮らし、やっていけそうですか?』
『家事はなんとかなりそうだけど…それより、人間とうまくやっていけるかが心配だよ…』
『大丈夫です!白上がフォローしますから、少しずつ慣れていきましょう!』
フブキちゃんと一緒に村に降り、村人と交流する日が何日か続いた。最初はみんな怖がっていたけど、フブキちゃんが説明してくれると普通に接してくれた。フブキちゃんがみんなからいかに信頼されているかを感じた。
大体の場所は周りきり、恐らくあと二日ぐらいでこの村の全ての人に会うことができるだろう。もしかしたら、この村の人間と獣人はみんな怖くないのかもしれない。
すると、玄関の戸を叩く音がした。フブキちゃんだろうかと思い、玄関に向かう。
『おはよ〜、フブ——』
戸を開けると、そこには刀を構えた男が立っていた。男はこちらの腹部を狙い、刀を突き出してきた。咄嗟に避けようとしたが、躱しきれずに脇腹を刺されてしまう。
『ゔゔっっっ…!』
命の危険を感じ、男に前蹴りを喰らわせる。男は刀ごと数メートル先に吹っ飛んでいった。
状況を把握しきれていないが、とにかく逃げなければ。刺された脇腹を抑え、痛みを必死に我慢して外へ逃げる。
外に出て数歩歩いたところで、足がもつれて転んでしまう。なんとか立ち上がるが、体が重く、うまく力が入らない。
「刀に毒を塗っておいたんだよ。人間なら即死するレベルのをな。いくらオニといえど、ここまで強い毒を流せば俺でも勝てるって訳だ」
男はまたこちらに向けて刀を振るった。すぐに背中から刀を抜き攻撃を受け止める。
どうする。恐らくこの状況だとあの男から逃げ切るのは無理だ。かといってこの状況では相手に致命傷にならないレベルに加減するのも難しい。
『どうして…こんなこと…』
「復讐だよ。俺の親はオニに殺された。俺はオニに全てを奪われたんだよ。だから復讐にこの世のオニを根絶やしにしてやるんだ」
『…訳が分からない。そんな理由でオニ全体を恨んでいるのか?』
「ああ、だからお前にはここでくたばってもらうぜ」
時間が経つにつれ呼吸が荒くなり、体もどんどん重くなっていく。恐らく毒だけで死ぬことはないだろうが、このままだと殺されるのも時間の問題だ。どうしようかと考えていたその時、後ろにあった石で足を滑らせ転んでしまい、その拍子に刀を二本とも後ろに放り投げてしまう。
『あっ!』
「ハッハッハ!これで終わりだ!」
避けられないと感じ、咄嗟に目を閉じ身を守る。
『やめなさい!!』
突然、男との間に巨大な氷の塊が飛んでくる。飛んできた先を見ると、フブキちゃんがいた。
「誰だ!邪魔をするな!」
『この村の者を傷つける輩は、何人たりとも許しません!』
フブキちゃんが素早く男に距離を詰める。男は乱雑に刀を振るが、フブキちゃんはそれを全て躱し、的確に打撃を入れて男を気絶させた。
『あやめちゃん、血が出ているじゃないですか⁉︎すぐに手当てしますね』
フブキちゃんが出血箇所に手を当てると出血が止まり、傷口もかなり浅くなった。
『大丈夫ですか?立てますか?』
『うん、ありがとう』
フブキちゃんが差し出してくれた手を取り立ち上がる。毒はすでに分解され始めたのか、もうかなり楽になっている。
『あの男は白上がしかるべきところで処罰を受けさせまので安心してください。それから、少しの間は村に行くのはお休みしましょう。まずはあやめちゃんの健康が第一ですから』
『うん…分かったよ』
フブキちゃんと別れ、家の中に戻る。
冷静になり、先ほどの恐怖が蘇ってくる。あともう少しフブキちゃんがくるのが遅ければ、あるいは最初に刺された位置がお腹の中心ならば余は今ここにいない。
オニがここにいるという情報は知られているのだろうか。もし知られているのならば、また今朝のような奴が襲ってくるかもしれない。もしかしたらフブキちゃんやミオちゃん、村の人たちにも危険がおよぶかもしれない。…それなら、もうここを出るしかない。
もはやどこか人が一切いないような場所で過ごすしかないのだろうか。とにかく、怪我が治ったらすぐにここを出ることにしよう。
数日後、怪我が完治し、フブキちゃんのいる神社へ向かう。戸をノックすると、フブキちゃんが出てくる。
『あやめちゃん、おはようございます。怪我はもう大丈夫なんですか?今日からまた村にいきますか?』
『……フブキちゃん、余、この村を出ていくことにしたんだ。短い間だったけど、本当にありがとう。じゃあね』
『えっ…なんでそんな急に!…何か、嫌なことでもありましたか!』
『そんなんじゃないよ』
『じゃあなんで…』
『それは…』
村のみんなのため、とはいえず、言葉に詰まる。
『…とにかく、余は出ていくから、もう気にしないで』
『待ってください!あやめちゃんは命を狙われてるんですよ!どうしてもここを出たいというのなら、せめて理由を話してください!』
『…うるさいな。フブキちゃんには関係ないじゃん!もうほっといてよ!』
『……分かりました』
そういうと、フブキちゃんは狐の精霊を手元に呼び、それを刀に変化させた。
『どうしてもというなら、白上を倒してからにしてください。あやめちゃんは白上が力づくで止めてみせます』
フブキちゃんからわずかに殺気を感じる。間違いなく本気だ。こちらも刀を構え、一旦バックステップで距離をとる。
フブキちゃんが出す大量の氷塊を躱しながら一気に近づく。刀ががぶつかり合い、幾度と火花が散る。
状況はこちらが優勢だ。どうやらフブキちゃんは遠距離で戦うタイプのようで、近づいてしまえば純粋なパワーの差で押しきれてしまう。これなら勝てる。
『なかなかやるじゃないですか。ここで勝負を終わらせましょう!
すると突然、フブキちゃんが何人にも増える。気配まで全く同じだ。
『さぁ、いきますよ!』
全員が同時にこちらに向かって走ってくる。だが、その時に一人だけ一瞬動き出しが遅かった。こちらは他を完全に無視して、本物に向かって走る。
至近距離まで近づく。見破られると思っていなかったのか、反応が明らかに遅れている。フブキちゃんもこちらに刀を振ろうとしているが、今なら首を狙える。
だが、首に刀が当たったところで手が止まる。このまま余のためにフブキちゃんを殺していいのだろうか。片や村の人気者、片や誰からも必要とされない存在。どちらが生きるべきかなんて分かりきっている。
フブキちゃんの刀がこちらの首を斬ろうとした瞬間、フブキちゃんがもやとなって消えた。
『なっ…⁉︎』
『やっぱり、あやめちゃんは優しいですね』
代わりに背後から声がし、それと同時に後頭部に強い衝撃を受け倒れる。そのまま首と腕を抑えられ、身動きが取れなくなる。
『あやめちゃんは優しいから、誰も傷つけたくないから突然ここを出ていくなんて言い出したんですよね?大丈夫です。白上たちがあやめちゃんも全員守りますから。だから、何があったのか教えてくれますか』
涙を流しながら、事情を話す。
『……あの男に襲われて、人間が信じられなくなって…また襲われるんじゃないか、村の人たちも余のせいで傷つけられちゃうんじゃないか、もしかしたら余が村の人を傷つけちゃうんじゃないかって、どんどん怖くなって、それで…』
『そうでしたか。まあ、大体そんなところだと思っていましたが』
フブキちゃんは抑えていた手を離し、自由に動けるようにしてくれた。
『…もう、人間とは関わりたくないですか?』
『…あの笠を被ればいけると思う。でも、オニの状態では関わりたくないかな』
『分かりました。村に行くときは笠をかぶっていってください。村の人には、あやめちゃんの元に近づかないようにうわさをながしておきます』
——そうして余は、ずっとここでひっそりと暮らしてたんだよ』
「そんな過去があったのか…ん?じゃあどうして人間の風真が一緒にいるんだ?」
『ああ、それはだな——』
会話を遮るように、ぐ〜といった大きな音が鳴る。音のした方向を見ると、顔を真っ赤にしたフブキがいた。
『だって仕方ないじゃないですか〜!今日はお昼ご飯食べてないんですよ!』
時計を見るともう5時だ。ここにいる全員昼ご飯を食べていないし、かなりお腹も空いているはずだ。今から作ると時間もかかるということで、少し早いが夕食を食べに行くことになった。
村に着き、数日前に行った定食屋さんに入る。もちろん百鬼は笠を被って。やはり早い時間だったようで、中にはノゾミさん以外誰もいなかった。
『こんにちは〜』
『いらっしゃいませ〜。あれ、フブ姉ぇ、後ろのお二方は…あ!今朝の方じゃないですか!大丈夫でしたか?』
『へ⁉︎は、はい、大丈夫でござる!』
風真はかなり緊張しているようだ。村までほとんど降りてきたことがないのだろうか。
『こちら、風真いろはさんと百鬼あやめさんです』
『よ、よろしくでござる!』
『……よろしく』
『私はノゾミといいます。よろしくお願いします。…あれ?百鬼…どこかで聞いたことあるような…』
『あ、気、気のせいじゃないですか!そんなことより、いつものきつねうどんお願いします!』
『はいはい。好きな場所に座って待っててください。皆さんも注文決まったら呼んでください』
席について、各々料理を注文する。ノゾミさんが料理を作っている間に、小声でフブキに話しかける。
「なんでノゾミさんが百鬼の名前を知ってるんだ?」
『30年くらい前に村のほぼ全員に会っていたので、そのときに名前も話しているんですよね。まあ30年前といえばノゾミちゃんも子供ですし明確に覚えてはいないでしょう』
と、そのとき、誰かが入ってきた。
『いらっしゃいませ〜』
『あ、ミオ!』
『こんにちは〜。あれ⁉︎フブキとコウ君とさっきの子と、それから…?』
『笠を被ってるから分からないんですね。こちらはあやめちゃんです』
『ああ、あやめ!ってあやめがなんでここにいるの?』
『まあまあ、あとで話しますから一旦ミオもこっちに座ってください』
ミオも席に座り注文する。すると、風真が口を開く。
『あの…ごめんなさいでござる!風真を助けたせいで、手が…』
『ん?ああ、大丈夫だよ!もう怪我もほとんど治ってるから!それより、まだ名前を言ってなかったね。ウチは大神ミオだよ。よろしくね』
『…風真いろは、でござる。よろしくでござる』
少しして、全員分の料理が運ばれてくる。過去の悲しい出来事は一旦忘れて、俺たちは話に花を咲かせて楽しいひとときを過ごした。
お気に感評願(定期)
普段から自分が書きたいものを書くと言っていますが、実は今回に限っては尺を考えて削ったパートが多分3000字分くらいあります。まあ回想で3話はいらないと思うので。故に考察しがいのある話だったりします。書いてない部分は色々想像しながら読んでください。
11話→ https://syosetu.org/novel/377125/15.html