犯罪都市、同僚はスパンコールドレス着用没落令嬢巨乳ロリ   作:胡椒こしょこしょ

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Tips:コレクション
誰かにとっては強い想い入れがあったり、何円積んでも良いような喉から手が出る物だが、別の誰かからすれば価値のないがらくたにしか見えない物品のこと。
実際に何か特別な性質を持っている場合がある。



あの子の住んでた路地裏へ

「……出ない」

 

ぱるるさんと別れた後。

浅草から逃げるようにシンジュクへと移動した僕らは、エリカちゃんと初めて出会った公園近くの通りを歩いていた。

ぱるるさんは浅草の家に帰るらしい。

あんな攘夷師団が居るような場所で生活してるのだから、豪胆というか怖い物知らずというか……。

 

『エリカっちだけ連絡つかないのもマジめんどーだし、連携取りやすくない? エリカっちも雨風凌げるし、アンゴっちはこんな可愛い子とひとつ屋根の下だし、Win-Winってやつ! うん、そーしよー!』

 

『な、なにアンタが勝手に決めてんのよ! アンゴの部屋に泊まるんだから決めるのはアンゴでしょ!』

 

『そ、それでその……アタシ的にも暫く家に置いてもらえると助かるっていうか、も、もちろんアタシも家事? のこととかやるつもりだし! ……あまり、やったことないけど……あのっ、出来ればで良いから……』

 

寿司屋で3人で話してた結果、成り行きで暫くエリカちゃんには僕の家に居てもらうことになったんだ。

ぱるるさんの言うことも最もだし、あんな風に頼まれたんじゃ断れない…まぁ、元より僕もそのつもりだったわけだが。

 

雑居ビルが立ち並ぶ通り、先を歩くエリカちゃん。

今はエリカちゃんが僕の家に移り住むことになるに辺り、彼女が普段寝泊まりしている路地裏の袋小路から必要な物品を持っていこうという話になってるわけである。

 

エリカちゃんが先導してくれてる間、僕は僕でぱるるさんとの情報交換で得た情報をジンさんにも伝えようと電話を掛けていた。

そう、さっきからずっと掛けてはいるんだよなぁ……。

 

「アイツ、まだ出ないわけ? もうやめたら? 別に伝えなくても良いじゃない。依頼受けてる我楽多の癖に昼間チームメイトの電話に出ないんでしょ? 分かんなくても自業自得よ」

 

「いや〜、そういうわけにもいかないから……」

 

エリカちゃんはしらーっとした表情で、冷たく切り捨てる。

まぁ、エリカちゃん的にはウマが合わない分、業腹なのだろう。

 

とはいえ、チーム内で動きやすくするためにも情報の共有は必須事項だろう。

やらないわけにはいかない。

ただ5回かけて一度も出ないんだよなぁ。

エリカちゃんの言う通り、電話を使うのは得策ではないかもしれない。

 

まぁ、チャットで送れば空いた時間で見るだろう。

 

えーと、読んでてわかりやすいように簡潔に……あとぱるるさんが被疑者の親族らしき人物への調査に当たっていることも書いて……と。

 

「着いたわ! この奥よ!」

 

チャットを打っていると、エリカちゃんが足を止める。

彼女が指を指す先へと視線をむける。

 

そこには言われなくては意識することもないだろう細く薄暗い小道。

ビルとビルの隙間と形容するのが相応しい有様……そんな狭い裏路地が奥の方まで続いていた。

 

 

 

「ここを右に曲がって……次は左ね。右に行っちゃうとなんかヌルヌルしたものが流れ出てる配管があるから危険よ。何が出てるか分かったものじゃないわ」

 

「結構、入り組んでるんだね」

 

エリカちゃんの後に続く。

裏路地は曲がり道が多く、時には二手に分かれる道や三叉路にぶつかるくらいの入り組みようだ。

 

なんだか迷路みたいだ。

エリカちゃんはこっち!と僕を先導しながらも違う道の先にあるものやそこで見たものについて話してくれる。

 

ここから毎回表通りにまで出てきてるとしたら大したものだ。

それに、こんな入り組んだ場所の先なら夜に寝込みを狙われるようなことはないのかもしれない。

 

「ここよ……あんまり、じっくり見ないでもらえると助かるわ」

 

そうして暫く歩くと、遂に道の終わり……袋小路に辿り着く。

袋小路には拾ってきたのか服やタオルなどの布が敷かれており、その場には段ボールやら綿やら本やらが散乱してる。

多分地面に敷かれた布地は少しボロボロで破れてそうなので、寝る時に地面に直接触れないようにするための物なのだろう。

 

暖房も何もないからこそ、拾った布製品やら段ボールで暖を取っていたんだろうな。

壁にはパンツやらブラがフックのようなもので引っ掛けられてる。

ブラのほうが少ないのは……まぁ、サイズが合うものがないからだろうな。

ん、あそこに積み重なった雑誌……ちょっと表表紙の一部が見えるな。

 

なになに……『永遠の』……?

 

「待って!!!」

 

「!!? な、なに? どうかした、エリカちゃん」

 

「い、いや、その……その本の束には触れないでもらえると助かるわ、そ、そんなにおもしろいものでもないし……」

 

「う、うん……わかった」

 

び、びっくりしたぁ……。

壁の端に積み重なった雑誌が気になって手を伸ばそうとすると、エリカちゃんに止められる。

すごく慌てた様子だ。

 

なんかすごく物々しいタイトルが見えた気がするけどなんだったんだ……?

まぁ嫌がっているわけだし、敢えて触れる必要もないのでその雑誌へと伸ばしていた手を戻す。

 

まぁ、正直雑誌一つなんかよりも気になることはあるしね。

 

「それにしても、物が多いね。これ全部持ってくの? なら袋とか色々持ってこないとだけど」

 

「いいえ、持っていくのは一つだけよ。それも紙っぺらだから嵩張らないし。ちょっと待ってて」

 

そういって、膝をついて積み重なった布地を一枚一枚めくって何かを探すエリカちゃん。

膝をついて必死に探しているので、一瞬スカートの中が見えそうになる。

 

「……」

 

咄嗟に目をそらす。

スカートの中といえば、寿司屋で不意に見てしまったぱるるさんのパンツ。

……紐だったな。

あれを履いて往来を歩いていたなんて、やっぱぶっ飛んでるな、あの人。

 

不意の風でスカートを巻き上げられた時のことなんて考えないんだろうか?

ただでさえ、スカート短いのに……。

 

「あったわ!」

 

エリカちゃんが声を上げたので、目を向ける。

目を向ければ地図くらいの大きさの古ぼけた紙を大事そうに抱えている。

 

「それ……? 他は持ってかなくて良いの?」

 

「ええ、衣服は……まぁ業腹だけど、あの女がくれた……デザインはさておき綺麗な服があるし。他は大して重要な物でもないから」

 

一瞬苦虫を嚙み潰したような表情をするも、笑みを見せてくれるエリカちゃん。

 

「そっか……それ、なに?」

 

「これ? これは……家系図よ。今のアタシが有澤財閥の血統、パパとママの娘だって証明できる唯一の書類よ。トウキョウに逃げる前に、使用人が持たせてくれたの」

 

ギュッと家系図を大事そうに抱えているエリカちゃんの腕に力が籠る。

確かに、没落して昨日までその日暮らしをしていたんだ。

それに加えてトウキョウに逃げこんだエリカちゃんには、自分のルーツを証明する術がない。

 

いわば、彼女にとってのアイデンティティを証明する為の一つ。

家族のことを思い出せる、そういう大事な一品。

それに逃がしてくれた使用人が持たせてくれたんだ、そういう思い出の品なんだろうな。

 

「そうなんだ。それなら、大事に保管しておかないとね」

 

「……! ええ、そうね!」

 

にこやかに笑うエリカちゃん。

額縁に入れる……は大げさか?

いや、でも何かしらちゃんと長期で保管できるようなケースとかないかな……。

 

それにしても、エリカちゃんも気にかけているとはいえ、実質野ざらしだったのに割と綺麗に保存できるもんなんだな……。

 

「それじゃ一旦部屋の方に戻ろうか……って、あの道を戻るんだよね」

 

「……? そうだけど? ほら、帰るわよ」

 

当たり前でしょ?と言わんばかりにそう言うと、エリカちゃんは先を行く。

慣れはすごいな……。

僕だったら行き帰りの道があんなに入り組んでいたら迷う自信しかない。

 

それこそ、エリカちゃんからはぐれたら、確実に迷子になるな……うん。

そんな自覚があったので、今回も僕はエリカちゃんの後について袋小路から去るのだった。

 

 

 

◇

 

 

 

 

「~♪」

 

薄暗い部屋。

長いテーブルの上に所せましと並べられた食材と調理器具。

その前で、鼻歌交じりに調理を続ける一人の男。

 

 

金色の髪に、色白の肌。

怜悧な印象を受ける容貌とは別に、どこか表情自体はご機嫌であった。

 

彼は複数のハーブを混ぜたものをすり鉢で粉末状にすると、ミンチ肉に混ぜる。

そして、腸詰機に入れ込むとレバーをゆっくりと回した。

 

グチャ、ニチャッとミンチが腸詰機によって押し出されて腸に詰められる粘ついた音が部屋の中を響く。

 

ある程度、ミンチの詰まった腸をウインナーとして括り上げる。

そしてトレイに載せると、部屋の壁の方へと歩み寄る。

 

赤茶けた汚れのこびりついた薄汚れた壁。

点々と一定のスペースで拘束具の付いた壁、その拘束具の一つに一人の女性が縛り付けられている。

 

黒髪は汚れでくすんでおり、綺麗な琥珀色の瞳は恐怖で揺れる。

口元は布が嚙まされており、服はクラブでホステスとして勤めた帰りのままだろうかナイトドレスを身に着けている。

そして肩辺りには包帯が巻かれており、哀れなことに包帯は赤い血が滲んでいた。

 

「見てください、スズさん。美しいでしょう? 今朝、貴女の隣で間引いて血抜きした少女の腸を使っているのですよ。肉の方は……二日前に捌いたあの少女の内蔵です」

 

「貴女と同じように美しい女性だった。ああ、これは本日の晩餐会でご来賓の方に振舞う食材の一つです。『美食』や『美味しい』というように、『美』と『食』は切り離せぬもの。舌も楽しませて、初めて『美』が完成するのです。貴女たちの『美しさ』は私の役に立ってくれている」

 

「んぅ……んん……」

 

「ふふっ、そんな顔しないでください。もうすぐですよ……貴女も彼女たちのようになれます。ふふっ……嗚呼、本当に食べてしまいたくなる肌だ……ちょっと抉って、また味見してしまいそうだ……」

 

「……っ!! ぅぅぅ~~~~!!!!」

 

薄く口元に笑みを浮かべながら、少女の頬に手を這わせる男。

口元は緩み、少女の目を見つめる。

 

対して少女は力ない瞳をしていたのが一変、瞳を揺らして唸りながら、嫌だと首を横に振る。

 

「オイ……レク゛ター……」

 

「はぁ、なんですか……今は彼女とのアバンチュールを楽しんでいる所です。見てわかるでしょう?」

 

すると、男の背後……部屋の扉の隙間からヌッと滑り込むように『ナニカ』が入って来る。

『人』……ではある。

しかし全身が黒く、黒い外套で身体のラインがつかめない。

裾から垂れさがる黒い腕、手から伸びる長い指は細く骨ばっていている。

そして顔に当たるところには、民族的な模様が刻まれた仮面で本人の顔を伺うことが出来ない。

 

まるで死神のような不吉さ、異質さを感じさせる『影』としか形容出来ない『ナニカ』。

全身が黒い分、薄暗い部屋の中では白い仮面だけが宙に浮いているようなそんな不気味な出で立ちである。

ソレから発せられるしゃがれた声に、男は溜息交じりに答える。

 

「オ゛マエ、嗅ぎまわられて゛る……ゾ……。どうす゛る……? コロスか……??」

 

「どういう人が嗅ぎまわっているのですか?」

 

「ガラクタ゛……ダ」

 

「警察などでない限り、相手取る必要はないでしょうねぇ……適当に誰か脅して差し向けてましょう。貴方には食料調達を要請していますから、そちらに注力してください。たかだか我楽多では、僕に辿り着けません……それに最悪お金で何とかできますから」

 

「フンッ……ワカッタ゛」

 

男は後ろの黒い人影を見ることなく、適当に今後のことを言いつける。

黒い人影は鼻を鳴らすと、その場から掻き消えるように去った。

 

「はぁ……そんなことわざわざ言わなくてもわかるでしょうに、これだから夢島のクズは。……邪魔が入りましたねスズさん。ねっ、使えないのを雇うと、気疲れしますよ。……ふふっ」

 

男は彼女に視線を戻すとまるで縋るような目線を向ける。

怯えるスズ。

そんなスズの顔を見て、サディスティックな欲求が湧いたのか微笑みながら頬肉を包丁の良く研がれた刃で撫でた。

 

 

 

薄暗い部屋の中、くぐもった少女の叫びは閉じた扉に遮られる。

扉の外、内側で何が起きているか……知る人間はまだ居ない。




Tips:『永遠の』
エリカの元々住んでいた袋小路にて、アンゴが見た雑誌の表表紙の文言の一部。
雑誌名は『月間AN-an 8月号』。
表紙にはリードをつけられた金髪女性と、その隣で女性のリードを握った男の足が写っており、その横には大きく『永遠の隷属を誓います……』という見出しが躍っている。

ようはそういう雑誌である。
小学生がゴミ捨て場で拾ってくる雑誌と言えば……まぁそうだよねって感じ。


※ヒロインが拾った時の様子を近々ちょろっと書きたいですわね。
まぁ内容的に、一部年齢向けになりそうだけど……。
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