テラリア転生者が次はグラブルに転移した話RE   作:なかえもん

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あと1話でソーンの故郷系の話は終わらせます。

その後はアルケミストデザイアの話を上げて、またなにか考える予定です。
少なくともテラリア要素が濃い話にしようと思ってます。

それと私事ではありますが、ここ一週間で何とか天元ソロを達成いたしました。



故郷と仲直り

sideケイン

 

「………」

 

「………」

 

幼馴染のはずのソーンとソーンの幼馴染は黙って森を歩く。

おかしいな?幼馴染同士で話が盛り上がって俺が話の輪に入れないくらいは覚悟してたけど、蓋を開けてみれば寧ろ険悪すぎて俺が何とかしなきゃだぞ?

 

「あー、えっと、そういえば名前を聞いてなかったね。その、お名前は?」

 

「……エルアよ」

 

ソーンの幼馴染はエルアさんと言うらしい。

名前を簡潔に言ったあと、再び黙る。

 

ソーンの方からは話そうとする素振りすら見せない。

 

「えっと、2人は幼馴染なんだよね?」

 

「……そうよ」

 

「……昔はよく遊んだね」

 

「えーと、どんなことして遊んだんだ?」

 

純粋な興味もあったので聞いてみる。

この世界の人はどんなことをして遊ぶんだろう。

 

「えっと……狩りとか水遊びとか……この辺じゃ他にすること無かったし。」

 

「……」

 

ソーンが答えてくれたが、ソーンもエルアさんもお互いに会話をしようとしない。

 

あくまで俺の質問に答えるか、相槌を打つかだ。

 

「怪我して倒れてた人達も、みんな仲良かったんだよね。昔は、………昔はね」

 

「………」

 

あのソーンさん!?追い打ちをかけるように昔はって2回も強調しないでよ!?

 

やばい、本当に胃が痛んでいるような気がする。

 

ぐっ、こんな時グラン、ルリアちゃん、ビィのいつもの3人はなんて言う?

 

(いや、普通になんで気まずそうなのか聞けばいいんじゃねぇのか?)

 

脳内のビィが答えてくれるが、この状況で俺にそれを聞く度胸がないので最終手段で。

せめてもう少し明るい雰囲気になってからだな。

 

後は……ローアインは今のノリなどほんとに逆効果だろうから除外。

 

……俺の中でこういうコミュ力が強い奴で言えば残りは王女がいるな。

 

俺の脳内の王女、お前ならこの状況でなんて言う?

 

(あの、私は図鑑にも書いてあるけど結構恥ずかしがり屋で内気な性格ですよ?)

 

王女なのに困ってる民を見捨てるのか?こんなに忠実な臣民である俺が困ってるのに……

 

(忠実な臣民は9回も私のことを殺そうと致しません!!私が気にしてないだけで本来なら貴方は不敬罪と反逆罪で死刑ですわよ?しかも理由が杖が欲しかったから?本気で断頭台に送ろうかと思いましたわ)

 

ハハ、あの世界に俺を死刑に出来るやついないじゃん。仮にいてもどうせ復活するから意味ないし。

てかナースもどう間違えたのか知らないけど肩脱臼させたんだろ?ならそれも反逆罪じゃ……

 

(あれは故意じゃないからいいのです!ともかく!質問の答えですが私は相手を常にポジティブに見て、その人の趣味や特技に興味を持つようにしていますわ!あなたも真似してご覧なさい!)

 

センキュ、俺なりに試してみる。

 

「えーと、2人とも狩りが得意なんだよね?俺はあんまりそこら辺詳しくなくてさ、良ければ教えてくれない?特に解体の仕方とか、獲物を一撃で仕留める方法とかさ。幸いまだ魔物が残ってるかもしれないし、そいつらを狩るついでにさ?」

 

「…ええ、わかったわ」

 

「…別にいいけど」

 

そうして2人に狩りの仕方を教えてもらうことになった。

今はとにかく、狼の噛みつきよりも爪で裂かれるよりも胃が痛い。

 

まず適当な枝や短い木を切ってワークベンチを作り、その後"木の弓"を作成する。

 

「いい、まずは気配を消して、獲物に勘づかれないようにして」

 

狙われにくくなる"ストーカーの矢筒"を装備する。

そして2人と同じように俺なりに気配を消す。

 

「そしたら、弓を引いて、呼吸を合わせて狙いを定めて」

 

ソーンの指示の元、落ち着いて弓を構えてゆっくりと矢を番える。

ギリっと音がなりそうなほど強く弦を引き絞り、丁度20M程先にいる獲物、はぐれた狼目掛けて直線に放つ。

これまでに無いほどの渾身の1射、その矢は獣を貫く──こともなく、真っ直ぐ飛んだのは最初だけで徐々に下降していき、獲物を貫く前に地面に突き刺さった。

 

「え……ご、ごめんなさい。もしかしたら私の教え方が悪かったのかも!」

 

1度ソーンは確認するようにさっきの同じように矢を番え、空気を裂くような音と共に放ち、俺の時よりも遥か彼方の魔物を撃ち抜く。

 

えっと、これで問題ないはず……ケイン!もう1回やるわよ!」

 

さっきと同じように、弓を限界まで引き絞って静止し、獲物に狙いを定める。

 

「どう?エルアさんから見て変なとこはある?」

 

「えっと、問題ないと思う」

 

「ソーンはどう?変なとこある?」

 

「無いわ。このまま集中して、呼吸を止めて狙いを定めて弓を射れば仕留められるはずよ」

 

呼吸を止め、狙いを定める。

 

そして、発射する。

 

発車した矢は最初は直線に飛んでいるように見えたが、だんだん重力に従うように下に下がっていき地面に突き刺さった。

 

「………」

 

「………」

 

「……ッ!!」

 

おいコラエルアさん?咄嗟に顔を逸らしてるけど体が震えてるから笑ってるの分かってるからな?

 

「お、おかしい……なんで?私の時はこれで上手くいったのに……」

 

俺って今まで速射しかしてこなかったから知らなかったけど、もしかして弓を扱うのが下手……というか射程距離が短いのか?

 

「少しいい?こうやって……」

 

そう言ってエルアさんは俺に体を密着させると実際に体を触って一つ一つ丁寧に指導し始める。

すごいよな、仮にも今日初めて会った人にこれが出来るんだぜ?

 

ちなみに普段ならエルーンの人の背中丸出しや太もも丸出しに慌てるところだが、ソーンと一緒にいるうちに慣れた。

よくよく見ればソーンも結構すごい格好してるんだよな……

 

「よし、構えは完璧、後は私と呼吸を合わせて」

 

よかった、この体がバカ正直に反応しなくて。

ダメダメ、こんな体を密着させてお互いの呼吸がわかり、女性特有の匂いがする状態で呼吸を合わせるなんて絶対反応してしまう。

 

「……今」

 

エルアさんの合図と共に、矢を放つ。

空気を裂く弦の音と共に、放たれた矢は今後こそ真っ直ぐと進み獲物の脳天を撃ち抜く……こともなく、やはり重力に従うように下りながら地面に刺さった。腹が立つのが同じ箇所に3本連続で刺さっている。

 

「………」

 

「………ッ!!」

 

「……弓以外でも狩りはできるから」

 

「ブフッ!?」

 

言い訳じみた俺の言葉で遂にエルアさんは吹き出した。

俺ってこんなに弓を撃つのが下手……というよりも、弓を撃つのにすらルールで縛られてるのかよ。

 

「あ……アンタ……あれだけ強いのに、弓は……フフ!!弓は下手なのね」

 

「貴方って空から矢を降らせたりしてたから気にしなかったけど、本来の弓の腕は……その……」

 

「下手って言っていいよソーン」

 

「ド下手くそね」

 

「そこまで言えとは言ってないですー!!」

 

俺の言葉と共にソーンとエルアさんの2人は揃って笑う。

よかった。なんとかさっきのギスギスは無くなったな、代わりに俺の心が傷ついたが。

 

……後で練習してどうにかできないか試してみよっと。

 

「で、結局二人はなんでそんなに気まずそうなの?」

 

そしてこのタイミングで俺は切り出す。

あくまで俺の持論だが本当に嫌いな奴や嫌な状況で人と話す時って、苦笑いと愛想笑いしかできないと思うんだよね。

 

ソーンはエルアさんが取り残されてるのを知ってすぐに走っていく位には心配してたし、エルアさんの方もこう、ソーンを嫌っている雰囲気を感じない。

 

……なんとなく、すれ違いの雰囲気を感じる。

 

この少し楽しいタイミングで聞かれると思わなかったのだろう2人は、露骨に黙ってしまう。

 

「……さあね。所詮私はもう村の人にとって余所者なのでしょうね」

 

「え?私はてっきり、もう村の……田舎の人間と付き合うのが嫌になったのかと……」

 

「そ、そんな訳ないじゃない!!」

 

「え、でも結構そういう節あったよ?村の人たちもそれを察してこっちから手紙とか送らないようにしてたし……」

 

「う、嘘でしょ!?あ、でも言われてみれば……」

 

……これやっぱりソーンの勘違いっぽいな。

 

「まあ結局、お互い別に思うところはないんでしょ?なら良かったよ」

 

「うん……よかった」

 

そう嬉しそうに笑うソーンを見て俺もようやく肩の荷が降りる。

 

本当にこういう人間関係のトラブルは苦手なんだよ。

人間関係はテラリアの道具も役に立たないし。

オマケに今までずっと話してた人がだいぶ癖が強い上に、基本お互い復活するからって暴力ありな環境だったし。

 

「よし!ならこれ終わったらこの後ウチで一緒にご飯食べようよ!」

 

「うん!本当に久しぶり!やる気出てきた!さ、行こう!」

 

速く家に戻りたいソーンとエルアさんの2人は魔物を素早く倒そうと2人揃って走り出す。

その様子を見ると、子供の時にゲームを買った帰り道を思い出した。

待ちきれなくて、早く帰りたくて、その日に限ってお昼が外食になるともどかしくなったような。

 

そんな二人を見て、俺もすぐに帰れるように手伝おうと2人を追いかけた。

 

__________________________

 

「お邪魔しまーす」

 

「入って入ってー!」

 

軽く魔物達を退けた後、俺とソーンはエルアさんの家で食事することになった。

 

「そこの椅子に座ってて、私はお昼ご飯の用意するから!」

 

そうエルアさんに言われたので俺とソーンを木の椅子に座る。

 

そうして座った時に、ふと椅子に違和感を感じた。

 

「ん?これ………あー、この椅子ちょっと寿命が来てるね」

 

椅子に座った時の音と木材の様子、それと足の摩耗で少しガタつくな。

 

「あー、ごめんごめん。それ結構古いヤツでさ、この村には作れる人がいないから、多少古くても使い続けるしかなくて……」

 

なら作り直すか、木材からダメっぽいし。

そうと決めたらすぐにさっき弓を作る時に使っていたワークベンチを再度取り出して置くと、そのまま腐るほど余っている木材で椅子を作る。

寸法とかは全部元の椅子と同じにしとくか。

 

「ほい完成」

 

「はや!?え、本当に一瞬で作ったわね!?」

 

そりゃ椅子くらいなら一瞬よ。

これが武器とか防具になるとまたもう少しかかるが、木材で作りも簡単なものになると余裕である。

 

「……ついでに、ドアとかも直せたりする?」

 

「直せるよ、待っててね」

 

エルアさんの家のドアを見る。さっきはエルアさんが開けてたのもあって気づかなかったが、いわゆる閉めるのにコツがいるタイプの壊れ方をしている。

 

基本的治すのは面倒なので丸ごと取り替える。

パパっと目測と指で寸法を計算したら、木のドアを作り元々のドアを外して付け替える。

 

「おー!!良かったぁ、不便だったけど修理できる人がいなくて困ってたのよね!」

 

「こう見えても騎空団で無人島に連れていきたい人ランキング一位を目指してるからね、これくらいなら朝飯前だよ」

 

俺にとってはめちゃくちゃ簡単なことだが、年上エルーンお姉さんに褒められて悪い気はしないので胸を張る。

ちなみにランキングの対抗馬はジークフリートさんやウェルダーさんだったりする。

 

「よし!出来たよ!」

 

そう言って美味しそうな数々の豪快な肉料理や、採れたての野菜で作ったサラダを机に運んでくれた。

 

「「「頂きます!」」」

 

そういえば、この世界にも頂きますって食事の感謝の言葉が浸透してるんだよな。

そんなことを考えながら3人でご飯を食べる。

 

「ねえねえ!2人の出会いのキッカケを教えてよ!どうやって仲良くなったの?」

 

エルアさんに聞かれた俺とソーンは目を合わせる。

さてどうしたもんか、出会いのきっかけはシェロカルテの依頼だが、仲良くなった方法がなぁ……

 

まあぶっちゃけソーンが言っていた通りじゃれあいみたいなもんだが、それでも戦って仲良くなりましただからね。

 

「その、依頼で初めて会ってから意気投合したのよ!」

 

どうやら誤魔化すことにしたらしい。

なら俺もそれっぽく話を合わせるか。

 

「そうそう、凄腕狩人のソーンに思わず俺が話しかけたんだよ」

 

「……嘘ね。ケインさんの方はともかく、ソーンの方は嘘ついた時の癖が出てるもん」

 

「え!?」

 

「仮にもアタシ幼馴染よ?それくらいわかるわよ」

 

幼馴染ってすごいな。

嘘とバレて観念したソーンは俺との出会いをそのまま語る。

 

「アンタねぇ……その、ケインさんはよく仲良くなろうと思ったよね?」

 

「それがなぁ……最近になって実はまず言葉で戦うねって伝えてくれるだけ親切だなって思ってきて……」

 

「親切?」

 

「うん、実はソーンの後に会った奴には快楽殺人鬼の男に急に心臓刺してきたエルーンの女性とかもいてさ、アイツら初めましてで急に殺しにくるから困ったもんだよ」

 

そうロベリアのアンチクショウとシェリーネを思い出す。

 

シェリーネはメフォラシュという街で偶然出会ったエルーンの女性である。

目的地に近道だからと路地裏を歩いている時に、曲がり角でぶつかったので心配して手を伸ばしたら、急に心臓目掛けて槍を刺してきやがった。

 

目的がわからなかったから死んだフリをしていると、倒れた俺を見て涙を流して謝り始めた。

刺す前は心臓を頂戴とか言ってたのにその後泣き始めたのを見てなにか事情がありそうだなと思った俺は起き上がって話を聞いてみた。

 

シェリーネはたしかに心臓を突いたのに……と驚いていたが、心臓を一突きしただけなら普通に再生出来る。

さすがにどこぞの「さよなら」と共に刺されたラブコメ主人公ほど滅多刺しにされたら俺でもライフが尽きて死ぬけどね。

 

その後シェリーネと色々あったのだが、まあ今は割愛しよう。

 

「と、都会怖い……アタシ絶対住むの無理だわ……」

 

「ご、誤解よエルア!ちょっとケインの話がおかしいだけで普段はいないわよそんな人達!」

 

演技とはいえ震えて怖いというえエルアさんを見て、つい俺もいたずら心が湧いてさらに続ける。

 

「そういえば、この前ソーンとお酒飲みにちょっとした酒場に行った時も、急に変なおじさん達に襲われたよねー?」

 

十天衆ソーンだな?と聞いてきたから多分どっかのチンピラ共の怒りでも買ったのかもしれないが、仮にもふたりで楽しみながらお酒飲んでるのに邪魔しないで欲しいな。

 

「それはそうだけど……って違う!?違うからエルア!勘違いしないで!」

 

「都会怖い……」

 

そうして楽しく3人で会話しながら食べていると、ふとドアからノックの音が聞こえた。

 

開けるとそこにはさっきまで怪我していた狩人のおじさんを先頭に、何人もの村の人がいた。

 

「ソーン!せっかく帰ってきたんだ!みんなで飲もうぜ!」

 

そうして3人の食事会は大勢の人が来たことで騒がしい祝勝会になった。

 

村の人たちに囲まれて、思い出話に花を咲かせながら笑っているソーンを見て少しだけ良いなぁと思ってしまう。

久しぶりにあっちに戻ろうかな、何気に半年以上戻ってないし。

 

「ねえねえ、結局アンタはソーンと付き合ってるの?」

 

いつの間にか、酒で顔を少し赤くしたエルアさんが真横にいた。

 

「そういう関係じゃないよ、普通にたまに遊んだり、一緒に仕事する仲って感じ」

 

「ふーーん?へー?ならさ、アンタは誰かと付き合ったりしてるの?」

 

「してないなぁ……、ちょっと体に問題を抱えててさ、それをどうにかするまでは誰かと付き合おうと思えないし」

 

このままテラリアンとして生きるなら今の体で問題ないが、もし誰かと付き合ったり、それこそ結婚するってなったら今の不老不死の体を何とかしなきゃな。

 

一応この世界に来てから俺の体に変化が無いか試してみたが、相変わらず髪は一切伸びないし髭も生える気配がなく、身長と体重は一切変わらない。

 

まあそれこそ、好きな人が同じ不老不死とかだったら気にする必要ないんだろうが、そんな偶然が起きるはずもないし。

 

「そっか、この村だとなかなか恋バナとか出来ないから、少しはしたかったのに……」

 

そう残念そうに言うエレアさんに俺はどう返したものか悩む。

そういうことなら、アイツらの話でもしてやるか。

 

「なら、俺が住んでたとこの話でもしよっかな、あるメカニック……技術者とゴブリンの恋の話でも」

 

「え?亜人との?なにそれ気になるんだけど!」

 

まあそうだろうな、この世界の亜人は基本人間と不干渉を貫くようにしてるし。

この世界にも俺が元いた世界と同じようにゴブリンがいる。

この世界のゴブリンも人間に対して敵対的だが、人間に敵対したら報復に来ることを知っているのであまり関わらないように生きている。

 

だからこそ、ゴブリンと人間の恋愛話をすればかなり気になるだろうと思って話を振ってみたが、俺の予想通りエルアさんは興味津々に聞き返してきたので計画通りである。

 

「んじゃ、まずは───」

 

__________________________

 

「でだ、せっかく家を真隣にしてやったのに、アイツら全然関係が発展しねぇんだよ。なのに、毎回買い物しに家に行くたびに、彼は私のことなにか言ってた?とか、彼女は僕のこと何か言ってた?って一々聞きに来るんだよ」

 

「もう付き合っちゃいなさいよ!!」

 

お酒を入れていたジョッキを強く机に置きながらそう吐き捨てるエルアさん。

最初は楽しそうに聞いていたが、途中からあまりにももどかしくてずっとグチグチとメカニックとゴブリンの文句を言い始めた。

 

まあその、メカニックは今までそういうことに興味なかったらしいし、ゴブリンの方もあの世界のゴブリンも基本人間に敵対的だからあんまりいいイメージがないのもあり、お互い奥手なのは分かるんだがイチイチ聞いてくるのがうっとおしいんだよな。

 

「ねぇ〜、何話してるのぉ?」

 

と、隅っこでエルアさんと2人きりで話してる時間が長かったのか、途中からニッコニコのソーンが俺とエルアさんの真ん中に椅子を持って座ってきた。

 

かなり無理やり真ん中に座っているので、俺とエルアさんの2人に体と体が触れ合うほど近い距離である。

普段ならこんなに距離を詰めてくることもないのに、と思ったがもう匂いだけでわかる。

 

「ソーンめちゃくちゃ飲んでるな。それ何杯目?」

 

「えーとぉ……わかんなぁい!」

 

「そっか、わかんないかぁ……」

 

普段ならある程度セーブをかけるのに、余程楽しいんだろうな、故郷でこうやって飲むのが。

 

「ねえねえ聞いて!!新しいダジャレを思いついたの!司会の鹿の話はしっかりと聞きましょうとかどう!?面白いでしょ!!」

 

「うわ、つまん──」

 

「面白いよソーン!すごい面白い!」

 

「えへへ、そうよね!!」

 

エルアさんが言い切る前に面白いと言って褒める。

俺も初めてダジャレを言われた時はフリーズしてしまったが、今では体が反射的に褒めるようになっている。

ちなみに褒めなかったらガチ凹みするか笑うまでダジャレを言い続けるので注意。

 

「んーー、エルアー!!!」

 

「うわ、どしたのソーン」

 

酔ったソーンはエルアさんに抱きつく。

今の酔って抱きついているソーンと抱きつかれて照れながらも仕方ないなぁと許しているエルアさんを見て、この世界に写真を撮る道具がないのを強く恨む。

 

「…!!ソーン、ケインが寂しそうだよ」

 

「えぇ?ほんとぉ?」

 

「え、あ、ちょっと待て俺に来るのはさすがにまずいだろ!?」

 

「ケインー!!」

 

回避は……ダメだ、ここで避けたら今のフラフラなソーンだと転ぶ。

 

もしソーンが酔った後の記憶が残ってないタイプなら別にここで抱きつかれても一切問題ないが、記憶が残ってる場合が厄介だ。

変に気まずくなるのが嫌だし。

 

しょうがない、今来ている服の左肩に手をかける。

 

「え!?ちょ、まさかここでおっぱじめる気!?」

 

左肩を引っ張るようにして服を一瞬で脱ぎ、中に着ていたビートル装備、つまり鎧姿になる。

 

「は!?なんで!?」

 

「んー、かたぁい……」

 

鎧越しなのでだいぶ意識しないで済む、とりあえず酔いが回りすぎているソーンに水を飲ませる。

 

「え?どうやって鎧を……あー、もしかしてそういう魔法?」

 

「いや、服の下に鎧を着込んでる」

 

「普通逆でしょ!?もし仮に鎧を服の下に着けることがあるとしてもアンタが着けてるのフルプレートアーマーじゃん!?服の下に着るのは無理だよ!?」

 

無理と言われても出来るのは事実ですし……

なんて思いながら、さっき脱いだ服を手に取り、また着る。

 

「……あーもう知らない。アタシは酔ってるんだきっと、服を着た途端鎧が影も形も無くなったのなんて見てないから」

 

現実逃避するようにエルアさんはまたお酒を飲み始めた。

そして飲んだ時にいいことを思いついたのか、ニヤリと笑って俺に介抱されているソーンを見て言った。

 

「……あーそうそう、あっちの小屋は客人用の空き家だから、ケインさんはあっちで寝ることになるだろうけど……周りに誰もいないから、そこのアタシの幼馴染をお持ち帰りしてもいいんだよ?」

 

「そこは幼馴染として止めろよ、あとする気ないから」

 

「えー、つまんないの」

 

俺もジョッキに入ったお酒を一気に飲み、空になったジョッキにまたお酒を注ぎ足す。

 

「いい飲みっぷり!アンタ結構飲めるクチなのね」

 

「まあね、おかげでお酒が原因のトラブルからは程遠いよ」

 

「それだけ強かったらお持ち帰りし放題じゃない、そこんとこどうなのよ?都会の人ってお酒関係のトラブル多いって聞いたわよ?」

 

「エロ本の読みすぎだよ、そんなことがポンポンあってたまるか」

 

うつらうつらと頭を振っているソーンの体を支えながらエルアさんの質問に答える。

あーでもどうだろ、この前潜入系の依頼で女性になった時は言ってもないのにドンドンお酒を注がれたような……

 

「……なんか良いね。アタシさ、同年代の男の子が今までいなくてさ、こうやって気軽に話せる男がいるのって、ちょっと新鮮な気分」

 

エレアさんはゴロンと机に突っ伏して、俺を見ながらそう呟く。

 

「ねー、誰かいい男知り合いにいないの?アタシこのままだと独身で終わりそうでさ」

 

「俺に聞いてどうすんのさ、それこそ街に行って捕まえてくれば?」

 

「アタシみたいな田舎女なんて相手にされないかもしれないし……」

 

「そんな事ないんじゃない?」

 

俺の目から見ても普通に美人なんだけどなぁ……

 

「んー、2人とも飲んでるぅ?」

 

「お、ソーンが復活した、飲んでるよ」

 

「アンタさすがに飲み過ぎじゃない?もう寝たら?」

 

「そんな飲んでないもん……」

 

そう言っているが目はほぼ閉じかけて振り子のように体を揺らして今にも寝そうだ。

 

「ほら、もう寝なソーン」

 

「まだ寝ない……」

 

「もう限界じゃないの、てかほぼ寝てるようなもんじゃん」

 

「寝てない……」

 

そう言いつつも、やはり限界だったのだろう。

揺らしてた体がついに限界を迎え、ふらっと俺の方に倒れるように寄りかかってきた。

 

「おっと……完全に寝たなこりゃ……」

 

「アンタは眠くないの?」

 

「余裕。エルアさんは?」

 

「アタシも余裕。なら……もう少し付き合ってくれない?せっかくだし、アンタともう少し話したいし」

 

そうして俺はエルアさんが酔いつぶれるまで付き合うことになった。

 

……寄りかかって来てるソーンはどうしよう。

 





王女殺害未遂
事件発生時刻はAM11:00、被害者は王女シャーロット。
自称テラリアンを名乗る推定無職の被疑者ケインにパクチーの匂いがする剣で切りつけられた事件です。

被疑者は取調べに対し、「王女が持っている杖が欲しかったから切りつけた。このゲームのCEROがZなら殺しきれたのに」と述べています。

ケイン氏のよく知る者からは

G氏からは……
「いつか王女にも手をかけると思ってました。アイツは人のことを閉じ込めたり、溶岩に落としてくるような異常者でした。」

海の近くに住む釣り人の子供からは……
「アイツ子供の俺にも容赦ねぇんだ!!報酬が気に入らないからってオイラが泣いて逃げ出すまで何度も叩いてくるし!変なキラキラした液体掛けられてから肌が緑色になっちまったんだ!いい加減戻してくれよ!!」

姫様と少し離れた所に住む匿名希望のキノコ氏からは……
「極刑を望みます。アイツはスープの具材が足りないなんて些細な理由で僕の体をちぎり取るような奴です。豚と同じくらい嫌いなので是非とも王女様の権力で死刑にしてください。」

など様々な意見が寄せられました。
なお被疑者からは杖は落ちなかったから出るまで繰り返すとの事でした。
現場からは以上です。

"木の弓"
木材で作れる弓
某Mのゲームと違い、テラリアは弓も矢も作るのが簡単なので、開幕これを作ってスライムやゾンビを追い払うのもいいかもしれない。
ただし、洞窟探索したら投げナイフや手裏剣、手榴弾ともっと威力の高い間接武器も手に入るのでそっちを狙うのもあり。

"ストーカーの矢筒"
矢のスピードと威力増加と20%の確率で矢の消費をしない効果、そして相手から狙われにくくなるソロだと完全に意味の無い効果を持つ。
矢を使うビルドなら使うのかな?正直間接武器の火力をまるまる上げてくれる狩人の紋章でいいような……ただでさえテラリアのアクセサリー枠はカツカツだし。


エルア

この作品のオリジナル設定
実際はソーンの幼馴染として出てこない。
名前の由来はハワイ語の2から
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