スパロボ30の世界を舞台に、チェンゲの號が料理をする話。以前書いた小説と設定を共有しているため號が女体化していますが、本作品では女体化要素には全く触れられません。前日譚はこちら→https://syosetu.org/novel/315741/

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第1話

 ドライクロイツの擁する戦闘母艦のひとつ、機動戦艦ラー・カイラム。その食堂の一卓に、大人と若者二つのゲッターチームの姿があった。ラー・カイラムは専らMS隊の運用を主眼とした艦なのだが、この日は対Lサイズ戦闘を想定した訓練があり、その手伝いにゲッターチームは訪れていたのだった。

 午前中の訓練を終えて食事にありついた面々。そのうち若い方の弁慶は、ブュッフェ形式の配膳トレーに山盛りの料理を載せて上機嫌に着席した。

「腹ごしらえ、腹ごしらえ、っと♪」

 若弁慶の上機嫌ぶりを横目に、呆れた様子で若竜馬は口を開く。

「朝メシあれだけ食っておいて、よくまたそんなに腹に入れられるな……」

「? 腹ごなしなら十分しただろ?」

 何を呆れられているのか理解していない若弁慶の向かいから、大人の弁慶が口を挟む。

「おう、その通り」

 やはり山と盛られた白飯の椀を一度置いて、得意げに弁慶は続ける。

「訓練で腹ごなし。その次は腹ごしらえ、それでその次は出撃でまた腹ごなし! 無限に動けるって寸法よ」

「ハァ……」

 常人離れした身体能力を持つゲッターチームは健啖家揃いであり、若竜馬もその一人ではあった。しかし、チームの中でも特に三号機乗りの面々は並外れた大食漢であり、フードファイトもかくやの食事風景を繰り広げることがままあった。流石にそこまで常識はずれの胃袋を持ち合わせていない竜馬にしてみれば、二人の弁慶の言い分には生返事を返すのが精一杯である。

 圧倒されている若竜馬とは異なり、大人の隼人と竜馬はすでに慣れたものだ。動じることなく食事を口に運びつつ、二人の弁慶にはしっかりと釘を刺す。

「無限とは大きくでたな。だが加減はしておけ。この艦の兵站はお前らのような大喰らいを想定していないだろう」

「糧食を食い尽くしでもしたら、ブライトにどやされるぜ」

「ウエッ……それは勘弁ッス……!」

 目に見えて食べるペースを落とした若弁慶に、どっと笑いが起こる。普段彼らが搭乗している旗艦のドライストレーガーであれば、こういった自粛は必要ないのだろうが。

 そういえば、旗艦に残っているもう一組のゲッターチームはどうしているだろうか。若竜馬は菓子パンをひとつ頬張りながら、とりとめもなく思いを馳せた。

 

++++++++++

 

「え? 料理?」

 万能戦闘母艦ドライストレーガーの格納庫に、真ライガーのパイロット・渓のよく通る声が響いた。その怪訝な視線は目の前の二人に注がれている。

 一人はエルガイムのメカニックを務めるキャオ。その連れはチームラビッツの狙撃兵、スルガだ。普段はどちらもお調子者で知られる組み合わせだが、この時はやけに深刻な表情で、渓に対して料理の覚えはあるかと尋ねてきたのだった。

 それに対する渓の不審げな様子に、スルガは一度周囲を見回して警戒するような仕草をみせると、それから小声で打ち明けた。

「実はよ……今日の夕飯はアトラが当番なんだが、突き指しちまってさ」

「えーっ、大変じゃない!」

「シーッッッ!!」

 思わず声をあげた渓を、横合いからキャオが諌める。その只ならぬ雰囲気に、ますます渓は首をかしげた。

「どうしたのさ、キャオ。さっきから二人ともおかしいよ」

「あのなあ、連中に見つかったらまずいっての!」

「連中?」

「アムとレッシィだよ。あいつら、なにかと理由をつけてはすーぐ勝負に持ち込みたがるだろ? 調理番が不在なんてバレたらまた料理対決が始まっちまうぜ」

 アムとレッシィは、エルガイムのパイロットであるダバを巡って恋敵の関係にある二人だ。

 渓は合点して冷や汗を垂らした。確かに彼女たちに知られるのは厄介なことになりそうだ。

 そこにスルガも乗り出してくる。

「ドサクサに紛れてうちのケイも参戦しかねねえ。そしたらアンジュがどんだけキレ散らかすかわかったもんじゃねえぞ」

 スルガのチームメイトであるケイは無類のスイーツ好きである。本人も何かと好んでスイーツを作りたがるのだが、問題はその甘さだ。ケイの作るケーキにはコックピットに何ヶ月放置しても腐らないレベルの砂糖がぶちこまれており、ドライストレーガーの乗員の大半はそれを『お守り』として一つは所持するハメになっているのだ。そしてもう一人のチームメイト・アンジュは、その手の料理への冒涜に対して人一倍怒りを露わにする人間だった。

 スルガやキャオと同じ惨状を脳裏によぎらせた渓は、ため息ひとつ吐いて口を開いた。

「……事情はよくわかったわ。でもあたしじゃ無理だね。おにぎりとか目玉焼きくらいしか作れないし……」

 その返答を聞いて、スルガががっくりと肩を落とす。

「頼みの綱がこれじゃあ、もう終わりかもわかんねえな……」

「えっとさ、ボスとかミユウ達とか、他のみんなはどうしたの?」

 渓のもっともな疑問に、キャオが肩をすくめて答える。

「非番の奴らは休暇か他の艦に出ちゃってるわけなのよ。渓は他に誰か、心当たりあったりしねえか?」

 尋ねられた渓は腕を組んでしばし黙考する。

「うーん、ごめん……ないかな。號だったら色々作れはするんだけど……」

 早乙女號――真ドラゴンのパイロット。突如飛び出してきた予想外の名前に、キャオとスルガは互いの顔を見合わせた。

「號だって?」

「完全に盲点だったな!! 行こうぜキャオ!!」

「おう、そうだな! つーこって、渓! ありがとな!」

 新情報に目を輝かせるとすぐさま駆け出していく二人。慌てて渓はその背に向かって叫ぶ。

「ちょ、ちょっと待ってよ!! 號は――」

 そう言いかけた渓の背に、まったく別の声が投げかけられた。

「渓さーん!! パーツの付け替え済んだので、動作確認してくれますかー!?」

「あっ、まずい――忘れてた……!」

 渓を呼んだのは真ライガーのメンテを担当していたメカニックだ。そして、渓がそちらに気を取られたほんの一瞬で、キャオとスルガの後ろ姿はみるみる小さくなっていく。

「ああ、もう、どうしよう!? 大丈夫かな……!」

 渓の心配をよそに、二人は格納庫を後にしたのだった。

 

++++++++++

 

 そうして少しあと。

 キャオたちは早速號を見つけ出して直談判に入っていた。

 夕飯当番の代打を頼まれた號はというと

「料理か……問題ない」

 静かに頷いてみせた。

 待ち望んだ返答に、キャオとスルガは歓声をあげる。

「やったぜキャオ!」

「救いはあったな、スルガ!」

「……」

 大袈裟にハンドシェイクを交わす二人組を前に、號は静かに佇んでいた。無事事態の解決が見えて安心したスルガとキャオは、浮かび上がった疑問を口にする。

「しかし、お前さんが料理とはねえ……」

「一体どこで覚えたんだよ」

 號は新人類と呼ばれる存在だ。ゲッター線を照射した細胞から生まれた人工生命体であり、普段は超然とした態度で他のメンバーに接している。故に、このような日常的な雑務に関与してくるのは艦内のほとんどの者にとって予想外であると言えた。

 しげしげと號を眺める二人。號はわずかに沈黙してから、簡潔に答えた。

「昔から、覚えている」

 事情を知らない者が聞けば、解釈に困る返答だろう。だが、幸いにもドライクロイツの多くのものは現在その事情を知っている。

 號のベースとなった細胞は渓の姉である早乙女ミチルであり、なんと號はその記憶を今も具えているらしい。料理の知識や技術もその一つなのだろう。この話を最初に聞いた時、スルガは妙な感慨を覚えたものだった。戦闘生命体として生まれた號に対して、後天的に戦闘生命体となったチームラビッツ。かたや號はこうして戦闘に関係のない他者の記憶を保持しており、一方でスルガは家族をはじめとした自分自身の記憶を任務のために失っている。だから何がある、というわけではないが。

「……なるほどな。まあ引き受けてくれるなら何でも構わないぜ!」

 スルガが心からそう言うと、號はそれに力強く頷いて返すのだった。

 

 ++++++++++

 

 かくしてアトラの代打は秘密裏に用意され、数時間のち、ドライストレーガーは夕食の時間帯を迎えた。食堂には、アトラの料理を楽しみに出撃から帰投した鉄華団メンバーをはじめ、この日艦内で活動していたクルー達が集まり始めている。

 しかしその明るい表情はほどなくして、小さな落胆の色を浮かべることになった。

「そんじゃ、今日はアトラのメシじゃねえのか」

 アトラは申し訳なさそうに、鉄華団団長オルガの前へと、包帯の巻かれた指を掲げて見せた。

「うん、洗濯の時に怪我しちゃって……ごめんね。でも代わりの人をスルガたちが見つけてくれたから」

 アトラが號について説明していると、すでに席についていたアムがこれに口を挟んだ。

「あたしに声かけてくれれば腕によりをかけたのにな〜、ダバのために磨いた腕に、さらに磨きをかけちゃうんだから」

「何言ってんのよアム、あんたの薄い味付けじゃ、出撃後の男たちが満足できるわけないでしょ。他の人にして正解だわ」

「なにを!?」

「なによ!!」

 瞬間的にエキサイトした二人を、そばで見ていたアンジュが冷静に宥める。

「あの、言い争いは控えて……手伝いがしたいなら、給仕を手伝ってきたらどうですか? もうほとんどできてるみたいですよ」

「う……まあ、アンジュの言う通りね。ちょっくら行ってきますか」

「一時休戦ね、私も行くわ」

 慌ただしく厨房へと向かう二人を眺めながら、静かに座っていたケイがぽつりと呟く。

「スイーツは出るのかしら……」

 思い思いに待ちぼうける面々の前に、とうとう夕食のラインナップが姿を現した。バラエティ豊かな皿々が並べられ、食欲をそそる湯気を発している。

「ほう、こいつは……」

「號さん、説明してあげてくれますか?」

 アトラに促され、號が姿を現した。

 いつものボディスーツの上からエプロンを纏っただけの簡素な出で立ちだが、エプロンの胸部分には大きなハートのアップリケが縫い付けられており主張の強いワンポイントとなっている。その場にいた多くは號のキャラとのミスマッチにツッコミを入れたい衝動に駆られたが、あまりにも堂々とした號の態度を前に、実際に口に出すことは憚られた。

 そんな一同の心境を知らずか、號はいつも通りといった様子で口を開く。

「……今日のメニューは、出撃メンバーに合わせて組み立ててある」

「俺たち――鉄華団に?」

「ああ、まずはオルガ・イツカ、お前からだ」

 オルガの前に差し出されたのは揚げ炒めにした豚肉と野菜の甘酢あんかけに雑穀米を添えたプレートだった。豚肉の香ばしい香りと、あんの照りが食欲を刺激する。

「頭脳労働にはブドウ糖が必要だ。甘酢あんに含まれる糖類がお前の思考を助けるだろう。また、糖のエネルギー変換と神経伝達物質の合成を補助するビタミンB群も同時に摂れるようメインは豚肉を選び、主食には玄米を加えてある」

「お、おう…」

「次はノルバ・シノ」

「俺?」

 シノの方には、深めのボウル皿に具沢山のトマトスープが注がれている。トマトの赤に彩りのよい野菜がゴロゴロと映える中、形に面白みのあるショートパスタもまざっている。

「お前は野菜が足りていない。主食や肉と一緒に口にするスタイルなら抵抗なく食べることができるだろう。パスタに30品目の具材を組み合わせたミネストローネだ」

「へえ〜? よく考えてんだなあ」

「……ということは俺のも……だがこいつは――」

 昭弘・アルトランドの眼前にはスキレットと呼ばれる小ぶりなフライパンが置かれていた。そこには、蒸し焼きにされた葉物野菜の上に魚の切り身が存在感を発揮している。昭弘は魚に苦手意識があったため抵抗を覚えたが、妙に香ばしい独特の匂いが鼻腔をくすぐるのに抗えない。

「昭弘・アルトランド。バルクアップを目指すのに肉だけでは片手落ちだ。タンパク質だけではなくビタミンやミネラルにも気を配れ。それらをバランス良く摂取できるよう、鮭と野菜を味噌バター風味の蒸し焼き――ちゃんちゃん焼きにした」

「ム…!」

「最後はミカのだよ」

 アトラが三日月の前に持ってきたのは、小さな土鍋だった。目の前で蓋を開けるとふんわり湯気がたちのぼり、その奥から淡い黄色の雑炊――緑の小ネギと赤い梅干しの、目にも優しい彩が添えられている――が姿を表す。

「三日月・オーガスは連日出撃が続いているな」

「そうだけど」

「疲労回復には卵のトリプトファンと梅のクエン酸だ。胃腸の負担も抑えるため、消化に良い雑炊仕立てにした。よく食べて、よく寝ろ」

「レシピを教えてもらったから、こんど私も作ってみるね。具は色々変えられるんだって」

「へえ」

 アトラが三日月の食事の介助につくと、奥からアムとレッシィが全員の分をカートに乗せてきて振る舞い始めた。各人が箸やスプーンを口に運びだすとほどなくして、歓喜の声が上がり始める。

「こりゃいけるな、スルスル入るというか」

「こっちも洒落た見た目の割に食いごたえあるぜ」

「……味噌とバターがこんなに合うとはな」

「アトラも同じのにしたんだ?」

「あ、うん。スプーンだとこの指でも食べやすいから」

 鉄華団が和気藹々と食事に勤しむ一方で、アンジュはしばしの間、ひと口ひと口を確かめるようにじっくりと味わっていた。

「……うん、とても美味しいです! 味付け、盛り付け、栄養バランス、どれもよく気を配られていますね」

 舌鼓を打つアンジュを、横合いから複雑な顔で眺めるのはアムとレッシィの二人だ。

「むむ……悔しいけどこれは」

「白旗をあげざるを得ないわね」

 アンジュを認めさせる腕ならば、自分たちも見習わなければ。愛しのダバのために――號の料理はひっそりとここに一つの争いを解決に導いていた。一方、スルガを恐れさせていたもう一人の人材であるケイは

「スイーツはないのかしら……」

 味には満足している様子であるものの、甘味を求めて厨房の方へ視線を巡らせている。その様子を認めたスルガは慌てて號に詰め寄った。

「な、なあ! 甘いものは用意できてるか!?」

「ああ、デザートに杏仁豆腐を用意してある」

「流石だぜ! 戦闘だけじゃなくこっちも頼れる奴だな!」

 賞賛の声をあげたスルガに続いて、キャオも横から身を乗り出して来る。

「本当によ。不毛な争いも回避できたし、みんなすっかりご機嫌になっちまって。お前さんのおかげだぜ?」

 そう言って食堂を見渡すキャオ。つられて、號もぐるりと視線を巡らせる。

「……」

 何か言葉を発することはなかったが、一同の反応を目にした號の表情は静かな満足感を湛えていた。

「また今度料理番やってくれよ」

「ああ」

「期待してるぜ? あ、そういやお代わりはある?」

 ついでにお代わりを所望するキャオに、號は小さく微笑んで答えた。

「用意はある」

「やったね!」

「だが皆食べ盛りだろう、足りるだろうか……食材が心許なかったからな」

「心許ない? そんなことあるかよお? ドライストレーガーの食堂は店がいくつも入る規模なんだぜ?」

「いつもならぼすらーめんだって営業してるしな。まあ作った分が足りなければ、手の空いてる奴が追加でなんか用意すりゃいいんじゃねえの」

 そういってスルガの手が號の肩を叩こうとしたが

「? 食材は使い切ったが?」

 その一声に、ビタリと空中で静止した。

「は?」

「え?」

 スルガとキャオは互いに目を見合わせ、無言で頷いたあと、速やかに厨房へと駆け出していった。

 程なくして。

「うわああああああああ!!!??」

「冷蔵庫に、な、何も入ってねえ〜〜〜〜〜!?!?!? ドライストレーガーの一週間分の食糧が〜〜〜〜ッッッ!!!」

 スルガとキャオの絶叫が食堂にこだまするのだった。

 

 ++++++++++

 

「加減ってモンを知らねェのか、このゲッターボケトマトはッ!!! 頭リコピンかよッッッ!!!」

 厨房に、完全にスイッチの入ってしまったアンジュの怒声が響き渡る。

「すまない……」

 號は目に見えてしょんぼりと落ち込んでおり、キレ散らかすアンジュの説教を一身に受けとめていた。その様子を遠巻きに眺めながら、アムがレッシィとケイに問いかける。

「……なんでトマト?」

「ナスじゃ物足りなかったんじゃない」

「カラーリングの問題だと思うけど……」

 女性陣とはまた離れたところで、キャオとスルガは後から馳せ参じた渓に事情を聞いていた。

「こんな落とし穴があったとはよ……」

「あん時、もっと話を聞いとけばよかったわな……」

「はは……昔からこうなんだよね。料理作らせると、変なスイッチ入っちゃうみたいでさ」

 號の内にある早乙女ミチルの記憶のせいか、しばしば號はミチルのパーソナリティに影響されたような行動をとることがある。今回の奇行の原因は、ミチルがチームメイトにして健啖家・巴武蔵を相手に、幾度となく料理の練習をしていた経験からではないかと言うことだった。

「補給の方は明日寄港するから問題ないらしいけどよ、このメシの山はどうするか……」

「そこは、強い助っ人を呼んでおいたから安心して?」

 渓に顎で指し示されて、キャオとスルガは食堂の方を覗き込んだ。

 

「ウマいッッッ!! この酢豚定食みたいのもう三人前ッ!!!」

「弁慶、少しは加減して食えよ。いくらなんでも後で保たなくなるぞ?」

「クソッ、何で俺まで……」

「まあそう言うな。大方時間を無駄にしたくないんだろうが、エナジーバーだけでは消化能力が落ちる。そう言うのがわからんお前ではないだろう?」

「竜馬も隼人も、若い方はずいぶん少食だからな。多少食わせてやらねえと」

「放っておけよ。生っ白いガキのままで俺たちに勝てると思ってるんなら、好きにさせてやりゃあいい」

「何だと!?」

「まあまあ、メシに集中しましょうよ。渓も號も頭抱えてるんだから、手伝ってやらねえと」

 

 そこには、ラー・カイラムから帰還したばかりの二つのゲッターチームと、渓に誘われた真ポセイドンのパイロット・凱の姿があった。地球圏トップクラスの頑丈な胃袋たちを前に、モリモリと料理の山が消費されていく。渓たちがその様子を前に胸を撫で下ろしていると、

「……」

「號! お説教は済んだの?」

 背後から號が姿を現した。アンジュからこってりと絞られたのが流石に応えたようで、沈痛な面持ちをしている。

「キャオ、スルガ、助力するつもりがこんなことになってすまない……」

 酷く深刻な謝罪だったが、それを受けてのスルガの反応は呑気なものだった。

「おう、次からは気をつけろよなー」

「……次を、任せるつもりなのか?」

 不思議そうな號に、キャオは呆れ顔で言い返す。

「何だよ、直す気がないってんじゃないだろうな? お前さんもドライクロイツなんだから、できることを精一杯やってもらわないと困るってわけよ」

「そうそう、またいつメシ番が足りなくなるかわからないからな。アトラももっとレシピを教えて欲しいって言ってたぜ?」

「二人とも……」

 驚いた様子を見せる號の背を、渓が軽く叩く。

「號、安心しなよ。次はあたしがしっかり見張るからね!」

「渓……――ああ。努力しよう」

 微笑み合う四人の耳に、食堂からさらなるお代わりを催促する声が届いた。四人は力強く頷きあって、料理の載ったカートを仲良く運んでいくのだった。


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