【我が名はジョゼ・ポーラ】   作:ハルマキトカラ

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11話~幼き日の記憶~

11話~幼き日の記憶~

 

 

 

 

 

 

 幽鬼の支配者と妖精の尻尾の激しい抗争。

 ハートフィリア家が引き金となった、ギルド間抗争に名が残る戦い。

 

 幽鬼の支配者は、個々の力、そして絶対的な主導者ジョゼ・ポーラの圧倒的力。

 

 妖精の尻尾は、仲間を思う絆、そしてギルドの父としてのマカロフ・ドレアーの親心。

 

 2つの力は激突する。

 

 勝敗は、妖精の尻尾ギルドマスター、マカロフ・ドレアーの超魔法が決め手となり、妖精の尻尾の勝利に終わった。

 

 魂を浄化し悪の心を白く染める。

 超魔法。

 妖精三大魔法。

 

 【妖精の法律】

 

 光はジョゼを包み込み、闇を振り払う。

 

 そして、ジョゼの奥底に秘めた闇の記憶が解き放たれる。

 

 

 ジョゼの悲しい記憶。

 

 本当の家族。

 

 真の愛が欲しかった男の記憶。

 

 

 ジョゼ・ポーラの幼少期の思い出。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何度言えば分かる!?何度教えればできる!?貴様はポーラ家の跡取り!先祖代々に伝わる悲願を成し遂げるものだ!!」

 

 男の名前はジョリー・ポーラ。

 ジョゼの父親であり、ポーラ家の当主にして、幽鬼の支配者のギルドマスターであり、聖天大魔導師の1人である。

 

「ごめんなさい!ごめんなさい!次は上手くやります!ごめんなさい……だから、殴らないで」

 

 顔中と体が痣だらけで、拷問用の首輪を付けられた少年。

 

 少年の名はジョゼ・ポーラ。

 

「ジョゼ!貴様は我等が悲願を継承するもの!強くあれ!気高くあれ!誇り高くあれ!」

 

「はい!何でも言う通りにします!だから!…………っ!ぁぁぁぁぁ!!痛いぃぃ!」

 

 ジョリーの魔力に反応し、ジョゼの首輪に電流が流れる。

 

 体、全体に電気が流れ、想像を絶する痛みがジョゼを襲う。

 

「お止めください!ジョリー様!ジョゼはまだ子供です!どうか!どうか!」

 

 1人の女性が、ジョゼをかばうようにジョリーに懇願する。

 

 

 女性の名前はレイシア。

 ジョリーの妻であり、ジョゼの母親である。

 

 

「黙っていろ!レイシア!貴様がジョゼを甘やかすから!コイツはいまだに魔法を上手く使えないのだ!このままではジョゼは、ポーラ家の恥!ジョゼの父である私は無能の父親と呼ばれるのだ!」

 

 

 

「ですが!ジョゼは」

 

「黙れ!レイシア…………また、仕置きが必要のようだな」

 

「嫌……嫌……やめて!」

 

 ジョリーは、嫌がるレイシアの髪を掴み引っ張って違う部屋へと連れていこうとする。

 

「母さま!母さま!」

 

 幼き日のジョゼは、父に暴力をふるわれる母を助けようとするが

 

「ジョゼ!母さまは大丈夫だから……ね?」

 

 怯えながらも、息子のジョゼに心配はさせないように笑みを浮かべる。

 

 しばらくして、違う部屋で母、レイシアの悲痛の叫び声が聞こえる。

 

 ただ、部屋の隅っこに座り、耳を塞ぐことしかてきないジョゼ。

 

 現実逃避をするかのように、ただ、震えながら母の悲鳴を聞くしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジョゼには、2人の弟が居た。

 ジョリーは、次期当主のジョゼにしか興味がなく、弟2人には無関心だった。

 

「大丈夫ですか?兄さま?」

 

「お兄ちゃん?大丈夫?」

 

 2人の弟は兄の心配をしながら手当てをする。

 

「ありがとう……ジョア、ジョシュ。兄さまは大丈夫」

 

 ジョゼは弟達に心配させないように、笑顔を見せる。

 

 決して弟達には、自分と同じ苦しみをさせない。

 幸いにも、父は2人に興味がない。

 自分が我慢すれば……。

 

 

「兄さま、ジョアは兄さまの味方です!」

 

「ジョシュもお兄ちゃんの味方!」

 

 2人の弟と母であるレイシアだけが、ジョゼの味方であり、心の拠り所であった。

 

 

 ジョゼの心の奥にある。

 幼き日の記憶。

 

 これはまだ、絶望の序章に過ぎなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジョゼ?ジョゼ!ジョゼ!?」

 

 聞き覚えのある、女性の声が聞こえる。

 ハッと目を覚ますジョゼ。

 

 目の前には心配そうにこちらを見ている、アイリーンの姿。

 

「……アイリーン?」

 

「大丈夫ですか?顔色が悪いですよ?」

 

 ジョゼは、自身の体が冷や汗で濡れて。

 体が震えていることに気づく。

 

 また、あの夢を見たのかと。

 

 ジョゼは理解する。

 

「…………何でもない……平気ですよ」

 

 アイリーンに差し出された、タオルで汗を拭き立ち上がろうとするが。

 

 うなされていたのだろうか?

 傍に居た、アイリーンの手が優しくジョゼの手を繋いでいたことに気づく。

 

「ごめんなさい、辛そうだったので勝手にごめんなさい」

 

「いや、大丈夫…………ありがとう、アイリーン」

 

「あ!は、はい!!」

 

 アイリーンは、ジョゼの手を優しく撫でる。

 心地よくなつかしい記憶。

 

 ジョゼは、母レイシアを思い出す。

 辛い時、母はいつも笑顔で、優しく手を撫でてくれた。

 

「もう少し寝るとよいですよ、わたしがずっと傍に居ます」

 

 アイリーンは、正座をして、ペシペシと膝を叩く。

 

 つまりは、膝枕してやるからもう1回寝ろと言うことだ。

 

「…………いや、私はジェントルマン!破廉恥な行いはできません」

 

 ジョゼはジェントルマン。

 結婚もまだ、というかお付き合いしていない女性にそんなことはできない。

 

 むぅっと、頬を膨らませる、アイリーン。

 明らかに拗ねては居るが、ジョゼもジェントルマンとして譲れない。

 

 

 

 そんな時であった。

 

「そのジェントルマン精神とやらは、やめよ。気色悪いぞジョゼ」

 

 いつの間にか、アイリーンの隣に座っていたセレーネ。

 

 セレーネもアイリーンと同じように正座していてペシペシと膝を叩いていた。

 

「セレーネ?いつのまに?……私はしないぞ、ジェントルマンだから」

 

 ジョゼの言葉にイラッとしたのか

 

「興が冷める……早くしろ!」

 

 ペシッとジョゼの頭を叩く。

 セレーネは、人間の姿だが本来は竜。

 

 軽くペシッと、されただけで強制的に意識を刈り取られる。

 

 意識を失なった、ジョゼはセレーネの頭に頭を乗せる。

 

 納得できないのが1人居る。

 

「……セレーネ様?わたしが最初ですが?」

 

「早い者勝ちだ」

 

 バチバチとする、2人だが

 

「今回は譲りましょう」

 

 アイリーンは、両手でジョゼの手を握る。

 恩人に少しでも恩を返せればと

 

「たまには、人間の真似事をするのも面白い…………見てみろ、ジョゼの鼻毛が1本なびいている」

 

 ジョゼの顔にイタズラをしながら楽しそうなセレーネだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジョゼは、再び夢を見る。

 

 幼き日の悲しい記憶。

 

 

 




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