12話~壊れた心~
「あぁぁぁ!……母さま……母さま……ごめんなさい……あぁぁぁ!!!」
幼き日のジョゼの慟哭。
母の返り血を浴び立ち尽くすジョゼ。
ジョゼの姿を見ながら、笑みを浮かべる父、ジョリー。
絶望は突然だった。
母や弟達を父のジョリーから、守るため幼き日のジョゼは必死に魔法の修練に励んだ。
そんな、ある日、突然異形の化け物が現れる。
「ガガガ……グルシイ……ダズゲ……テ」
人に似た異形の化け物。
ジョゼと弟達の前に現れる。
「なんだ、あの化け物!」
「兄さま!逃げよう!ねぇ早く!」
異形の化け物を前にして、幼き日のジョゼは、弟達の前に立ち。
「だ……大丈夫!兄さまが守るから!」
震えた声で、怯えながらも弟達を助けようと震える足で必死に立ち塞がる。
そんな時だった。
ジョゼ達の前に父親ジョリーが、現れる。
「…………ジョゼ」
「!?父様!突然、化け物が私達の前に!助けてください!」
ジョゼは、父親のジョリーに助けを求めるが。
「お前がやるのだジョゼ」
「…………え?」
「だから、お前がやるのだ、ジョゼ?弟達を守りたいだろ?戦え……魔法を使え……化け物を殺せ」
「む、無理です!私には……」
「やらねば、弟達が死ぬぞ?」
ジョリーは息子を助けない。
狂ったような笑みでジョゼを見ているだけ。
ジョゼは、自身の後ろで震え泣いている弟達を見て……自分がやるしかない。
父は助けてはくれないのだと理解する。
「っ!…………幽霊(シェイド)!!」
ジョゼは、父に教わった魔法を使う。
幽霊(シェイド)、無限に現れる兵士達。
幼いジョゼが扱える中で1番強い魔法。
幽霊(シェイド)達は、化け物に向かっていく。
「ガガガ……アアアアア……ジョ…………ゼ…………」
異形の化け物は、何もしない。
まるで、誰かに操られているかのように、ただ目の前に立っているだけ。
だが、1つだけ。
違和感があった。
聞き取りづらいが、聞き覚えのある声。
優しい母の声。
ジョゼは理解した。
目の前に居る異形の化け物は
母、レイシアだと。
だが、魔法は発動された。
弟達を守るため、目の前の化け物を排除するため。
ジョゼは全力で魔法を使った。
幽霊(シェイド)達は止まらない。
いや、もう遅かった。
ジョゼの幽霊(シェイド)の兵士達は目の前の化け物を排除しようと、化け物の肉を削ぎ、斬りつける。
「イダイ……イダイィィ!アアアア!ヤメテ……ヤメテ……」
ジョゼは、幽霊(シェイド)を止めようとするが止まらない、消そうとしても消えない。
まるで、操り人形のように誰かに操作されている。
ジョリー不敵に笑う。
「止まれ!止まれよ!なんで、消えないんだ!!」
ジョゼは、叫ぶ。
叫びは虚しく絶望へと変わる。
ジョゼの幽霊(シェイド)達は、口を大きく開いて、異形の化け物に喰らいつく。
魔法が異形の化け物…………母、レイシアを引きちぎり喰らう。
ビチャッと、母、レイシアの血がジョゼの頬に飛び散る。
そして、全身に母であるレイシアの血が纏わりつくのであった。
断末魔の悲鳴をあげる、異形の化け物になった母、レイシア。
そんな時、父親のジョリーが告げる。
「ジョゼ?……貴様が弱いから、レイシアは化け物となった……覚悟が足りぬから大切なものを失う。全部、貴様のせいだ」
ジョリーは、ジョゼを庇い続けた妻であるレイシアを魔法で異形の化け物に変えて、ジョゼを襲わせた。
そして、ジョゼ自身に母を殺めさせる。
全ては、幼いジョゼにポーラ家の悲願を継承させるため、どんな苦難にも立ち向かう覚悟を持たせるため。
全ては、ポーラ家の悲願のため。
先祖達が叶えられなかった夢を叶えるため。
ジョリーは、狂っていた。
ポーラ家の血の呪縛によって。
「あぁぁぁ!嫌だ……嫌だ!……!?ジョア、ジョシュ!見ちゃダメだ!逃げろ!」
止まらない幽霊(シェイド)が母を喰う姿を見せてはいけないとジョゼは、弟達を逃げさせようとするが
「…………え?」
ジョゼの目に映る弟達の姿は
「ジョア?ジョシュ?」
弟達2人の体は薄くなっていた。
そして、幻が消えるかのようにスッと姿を消した。
「ジョゼ?……貴様に弟達など居ない、貴様はもとから一人息子。弟だと思っていた者は私の魔法で作った幻影だ」
「………………嘘だ」
「嘘ではない。……貴様は居るはずない弟達を守ろうと母をその手で殺したのだ」
ジョリーの言葉にジョゼは、愕然となる。
なぜ?
母は死んだ?
自分が弱いから?
自分が覚悟がないから?
守るべき者であった弟達は?
弟達は幻?
「アァァァァァァァァ!!」
ジョゼの慟哭。
ジョゼは意識を失う。
そして、心は闇に染まる。
父、ジョリーの思惑通り。
ただ、ポーラ家の悲願を継承する後継者。
操り人形となる。
「さぁ?覚悟はできたであろう?」
「……はい、……父様」
「ならば、お前が成すことは?」
「ポーラ家の悲願……先祖達の魂を浄化するため…………憎き妖精を完膚なきまでに潰すことです」
幼き日のジョゼの記憶。
ジョゼは、ただ父と母に愛された平凡な人生を生きたかっただけなのに。
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