【我が名はジョゼ・ポーラ】   作:ハルマキトカラ

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6話~アイリーン・ベルセリオン~

6話~アイリーン・ベルセリオン~

 

 

 

 

「私以外の竜に出会った?しかも、一瞬人間の姿にと…………ふむ。確かに私以外の竜は存在する……しかし、そのような竜は知らぬな?」

 

 あれから、青年ジョゼは月神竜セレーネのもとへ向かい相談しに来ていた。

 

「間違いない……あれは、竜の姿をしていたが……人間だ!……助けてと言っていた」

 

「……ふむ。まぁ、竜の中には暇潰しに私のように人間の姿に変身している者も居る。だが、話を聞く限り……おそらくは……滅竜魔導師の成れの果てであろうな?」

 

「滅竜魔導師の成れの果て?」

 

 青年ジョゼは戸惑う。

 滅竜魔導師の成れの果て。

 

 ならば、あの竜は元人間ということだ。

 

「どういうことなんだ?セレーネ?」

 

「滅竜魔導師の成れの果て……滅竜魔法は、竜をも滅ぼす強力の魔法だが……代償も大きい。滅竜魔法を使い極めれば極めるほど、人間から竜へと変わる」

 

 滅竜魔法は、極めて強力の魔法だが、使えば使うほど滅竜魔導師の体を蝕んでいく。

 果ては体だけではなく心も変化する。

 

「滅竜魔法にそんな、デメリットが……(この女……そんなことになるならば、早く言え!)」

 

 青年ジョゼも太陽の竜のラクリマを体内に宿し、竜のラクリマはだいぶジョゼに慣れていた。

 

「……竜から人間へは戻れないのか?」

 

「……無理だな。悪いが私は聞いたことはない…………だが、姿だけならば私の月の魔力でなんとかできなくもない」

 

 月神竜セレーネの力があれば、姿だけは人間に戻すことができる。

 

「……ならば」

 

「ジョゼ、お前もお人好しだな。いいだろう、その竜を私の元へと連れてこい、なんとかしてやろう」

 

「わかった」

 

「ふん……なんだジョゼ?その竜の人間の姿は美しかったのか?一目惚れというものか?」

 

「ち、違う!私はジェントルマン!紳士たるもの、困っている女性を放っておけないだけだ!」

 

 ジョゼは、どんな時もジェントルマン。

 困っている者を助けるのは、紳士の嗜み。

 

 そんな、ジョゼにセレーネは詰め寄る。

 そして、耳元で

 

「お前は私の物だ?それは忘れるのではないぞ?」

 

 お前は私の所有物とセレーネは、ジョゼに耳打ちして、ついでに耳を甘噛みする。

 

「っ!?や、やめろ!…………私は行く!」

 

 青年ジョゼは、顔を赤くしてセレーネから離れそそくさと空間のアークを使う。

 

「上手くいくとよいな?童貞君?」

 

 セレーネは、去り際のジョゼをからかうように妖艶の笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 セレーネと別れた青年ジョゼは、再びあの森へと足を運んでいた。

 

 

 

「…………あの、女は調子が狂う。まぁいい……あの竜を探すとしよう」

 

 ジョゼは、人間の姿に一瞬なった竜を捜索し始めるのだった。

 

 

 それから、間もなく竜を見つける。

 

 今度は堂々と竜へと近づく。

 一歩一歩、着実に巨大な竜へと近づく。

 

 竜もジョゼの存在に気づき、威嚇するかのように咆哮をする。

 

 ジョゼは圧倒的な存在の前にゆっくりと近づく。

 

「安心しろ。お前を助けに来た」

 

 ジョゼは、そう言うと竜の前に立つ。

 正直、恐怖はあるが、助けてやりたい気持ちが強い。

 

「…………わたしを…………助ける?人間ごときが?」

 

 初めて竜は話をする。

 その声は美しい女性の声。

 

「お前が助けてと言ったのであろう?だから、助けに来た?」

 

「…………戯れ言を……」

 

 竜は嘲笑うかのように笑う。

 

「人間ごときと言ったな?お前も人間だろう?」

 

「……!?……分かるのか?この姿を見て……わたしが人間だったことが?」

 

「あぁ、一瞬だが助けを求める、お前の姿が見えた」

 

「お前は……いったい何者だ?」

 

 竜は驚いたようにジョゼへと質問する。

 

「我が名はジョゼ・ポーラ。お前の救世主だ」

 

「ふん……戯れ言ばかりを……どうやってわたしを助ける?」

 

 竜は鼻で笑い、ジョゼに問う。

 ジョゼ自身にはその術はないが、月神竜セレーネが居る。

 

「私は何もできんが……お前の姿を人間に戻してくれる、協力者が居る。私に着いてこい」

 

 正直にジョゼは告げる。

 そして

 

「完全な人間には戻せないが……人間の姿には戻せる…………共に来い、助けを求める竜よ」

 

 ジョゼの言葉に、竜は考えて

 

「姿だけでも……いい……人間に……人間の姿に……戻れるならば…………戻せぬ時は覚悟はいいな?貴様を喰らってやる」

 

 竜も追い込まれていたのだろう。

 藁にもすがる思いで、自身の前に現れた人物の言葉を信じて、共に行くことを決意する。

 

「お前の名はなんという?」

 

「わたしは……」

 

 竜は、自身の名を告げる。

 

「アイリーン・ベルセリオン」

 

 

 今、第2の人生のジョゼの物語にあるはずのなかった出逢いが。

 

 ジョゼ・ポーラとアイリーン・ベルセリオン。

 歴史は今、変わる。

 

 

 

 

 

 




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