これは『仮面ライダーカブト』と『デリシャスパーティ♡プリキュア』の、料理の絆の物語。

作者が、天道&ゆい「「おばあちゃん(が)言って(い)た(!)」」をやりたかっただけ。

仮面ライダーカブト20周年記念作品

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以前から書きたかったカブト×デパプリ!


サバ味噌とオムライス

 俺は天道総司。天の道を往き、全てを司る男だ。俺はワームとの戦いが終わった後、外国で料理の修行をしていたのだが、とある理由により急遽帰国した。

 

 それはともかく、だ。

 

「旨そうな飯の匂い……今日はこの飯屋にするか」

 

 俺の目の前には定食屋、『なごみ亭』があった。旨い店の多いおいしーなタウン店の遠くからでも、料理の良い匂いが漂ってきた店だ。よほど腕の良い料理人がいるのだろう。

 

ガチャ…

 

 そうに違いないと思いながら俺は扉を開ける。

 

「いらっしゃいませ〜!こちらの席へどうぞ〜!」

 

 元気よく挨拶してきた声の主は俺より小柄な女性だった。見た目からして中学生だろうか。

 

 客は、14時に差し掛かる時間のせいか、店にはいなかった。

 

「ご注文は?」

 

 そう言われて窓際の席に座った俺はメニュー表を見る。メニュー表には鰆の西京焼きやハンバーグなど並ぶが、一目見て俺はその料理を決めた。

 

「日替わりメニューの、サバ味噌定食をひとつ」

「分かりました〜!少々お待ちください!」

 

 厨房の奥へと彼女は元気よく歩いていった。そのうち、調理する音やサバ味噌の匂いが漂ってきた。やはり、腕前は相当なものだろう。

 

「お待ちどうさま〜!」

「ほう……とても、良い匂いだ」

「どうぞ!サバ味噌定食です!」

 

 サバ味噌定食…白米とサバ味噌、味噌汁、漬け物が机の上に運ばれてくる。

 

「いただきます」

 

 俺は手を合わせて箸を取り、サバ味噌を白米と共に口の中へと運ぶ。

 

「これは、旨いな……!このサバ味噌には料理人の愛情がこもっている」

 

 中学生にしては美味い、というか俺のいきつけの店と遜色ない美味しさだ。

 

「えへへ、おばあちゃん言ってた!『ご飯は笑顔』だって!だから、ご飯を作るときは笑顔で作るの!」

「なるほど、良いおばあちゃんだな。」

 

 彼女が魅せた笑顔を見れば分かる。その笑顔は料理に対して真剣な、本物の笑顔だということを。

 

「あっ!サバ味噌のレシピッピだ!」

「レシピッピ?」

 

 彼女が見ている虚空を見てみると、たしかにカブトゼクターの半分ほどの大きさの"もや"が見えた。

 

「あ、えーと……ごはんの妖精、みたいな?」

 

 ごはんの妖精……?たしかに、食べ物は神聖だ。妖精のひとつやふたつ、いてもおかしくはないだろう。

 

「あぁ、そういえば……俺のおばあちゃんも言っていた。『食事の時間には天使が降りてくる。そういう神聖な時間だ。』ってな。レシピッピか?そういう存在が……」

 

 その時だった。ぐぐぅ〜〜〜!!という大きな、空腹の音が店の中に響き渡ったのは。

 

「腹ペコった〜〜!う、動けな〜い!」

 

 どうやら彼女は腹が減っているらしい。

 

「ならば、俺が作ってやろう。旨いサバ味噌を食わせてくれたお礼だ。とびきりにうまいもん食わせてやる。厨房は借りるがな」

「え〜、いいの?!やった〜!」

 

 思わず口が先に動いてしまったが、彼女の承諾が得られたのでいいだろう。そうして俺は席を立ち上がり、厨房の冷蔵庫を開く。

 

「この材料なら……オムライスだな」

 

 そうして、俺は調理を始めた。

 

 まず、俺はフライパンでバターを熱し、塩コショウした鶏肉を炒める。鶏肉の色が変わったら、タマネギ粗みじんを加え、透き通ってきたら、他の野菜も加えてさらに炒める。

 

 この間に卵を溶いておく。泡立てないように、菜箸でやさしく切るようにして混ぜ、牛乳を加えていく。

 

 ご飯を加えて炒め合わせてほぐれてきたら、塩、胡椒、ケチャップ、ウスターソースを加える。

 

「はぁ〜、いい匂い〜」

 

 芳醇な香りを漂わせながら出来上がったチキンライスを皿に移し、一度フライパンを拭く。

 

 再度フライパンにバター少量を熱し、キッチンペーパーでなでるようにして全体にバターを広げ、余分な油をとる。

 

 火を止め、さっき溶いた卵をフライパンの中央から円を描いて薄く広げて1分くらいしたら、卵が半熟のうちに、中央にチキンライスを静かに盛る。

 

 その後はフライパンをお皿の上に持ってきて、傾けて端に滑らせながら、卵の端を菜箸でつまんでライスにかぶせ、フライパンをひっくり返して皿に空ける。

 

 そして、形を整えてケチャップをかければ、できあがりだ。

 

「わあ〜!おいしそ〜!いっただきま〜す!」

 

 彼女は目を輝かせながら、熱々の卵とチキンライスを口に運ぶ。

 

「……どうだ?」

 

 あの、サバ味噌を作る腕前だ。何か言われるのかと身体が勝手に強張ってしまう。

 

「デリシャスマイル〜♡」

 

 その笑顔は太陽のように美しかった。それほど、俺のオムライスが美味かったのだろう。料理人として嬉しい限りだ。

 

「ブンブンドルドル!ブンドルー!」

「ピピーッ?!」

 

 彼女がオムライスを食べていると、男の声とレシピッピの悲鳴が耳に入る。

 

「あれ…?!オムライスが消えた……まさか!」

 

 皿にあったはずのオムライス、そして俺の席にあるはずのサバ味噌定食が消えていた。

 

「どういうことだ?」

「たぶんだけど……」

 

 困惑している俺に、彼女は説明する。レシピッピと呼ばれる料理の妖精が消えてしまえば、『その料理の存在ごとなかったこと』になってしまうということ。

 

 そして、それを止めるにはレシピッピを閉じ込めた犯人を見つけ出す必要があることを。

 

「こっち!」

 

 レシピッピが吸われたという方に、俺たちがなごみ亭から出ると黒い銃士服の男が向こうの家の屋根の上に立っていた。

 

「黒いブラぺ?!あなたがレシピッピを閉じ込めたの?!」

 

 その姿を見た彼女は驚いた様子で黒いブラぺに問い詰める。

 

「そうだ。俺がやった。しかし、何を驚いている?和実ゆい。胡椒は元来、黒いものだろ?」

 

 どうやら、和実の知っているプラぺとやらとは違うらしい。もしかしてコイツは擬態したワームか?いや、そんなことよりも——

 

「食べ物の妖精であるレシピッピを粗末に扱うような奴は、俺が許さん」

 

 食べ物の存在がこの世から消えてしまった。それだけでも腹立たしいが、よりにもよって俺の好物であるサバ味噌とオムライスだ。

 

「……お前は?」

 

「俺は天の道を往き、全てを司る男……天道総司だ」

 

 黒いブラぺは怒りを露わにした俺を見下す。

 

「ふん……面白い奴だな。しかし、ここでは場所が悪いな……デリシャス・フィールド!」

 

 そう言い放った黒いブラぺはデリシャスフィールドを猛烈な光と共に展開した。

 

「なんだ……ここは?」

 

 俺が目を開くと、目の前にはおいしーなタウンとは違う光景……荒野が広がっていた。まるで別世界に飛ばされたかのようだ。

 

「そのエナジー妖精を渡せ!和実ゆい!」

 

「コメコメは渡さない!コメコメ行くよ!天道さんは下がってて!」

「分かったコメ!」

「変身!」

 

 俺の前に出て何やらポーズを取る和実ゆい。すると、彼女の周囲が明るく照らされる。

 

「あつあつご飯でみなぎるパワー!キュアプレシャス!」

 

「……!」

 

 俺は目の前の光景が信じられなかった。樹花よりも年下である和実ゆいが、ライダーとはずいぶん違うが、キュアプレシャスに"変身"したのだ。

 

「交渉決裂か……ならば行け!ウバウゾー!」

「はぁーっ!」

 

 黒いブラぺに言われて、フライパンのウバウゾーが俺たちに向かって歩き始め、キュアプレシャスも迎撃に向かう。

 

『ウバウゾー!』

 

 ワームやネイティブとは全く違う、巨大な未知の敵。しかし、恐れることはない。なぜなら、俺は天の道を往くのだから。

 

「……」

 

 覚悟を決めた俺は右手を天に掲げると、飛翔してきたカブトゼクターが俺の手のひらに止まる。

 

「え?え?……なにそれ?」

「料理というものはな、ひとりでやるよりも、ふたりの方がうまいもんが作れるんだ」

 

 キュアプレシャスは飛んできたカブトゼクターに興味と困惑の入り混じった表情でこちらを見つめていた。

 

「変身」

 

 カブトへの変身は久しぶりだな……そう思いながら、俺はライダーベルトにカブトゼクターを装着した。

 

《HEN-SHIN》

 

 ライダーベルトの機械音に合わせ、マスクドアーマーが生成される。

 

「え〜?!天道さんも変身できるの?!」

 

 プレシャスが驚いているが、彼女への説明より今はコイツだ。俺は瞬く間に間合いを詰めてウバウゾーに向かってパンチを繰り出す。

 

「ハァッ!」

『ウバッ?!』

 

 ウバウゾーはカブトに変身した俺に対して驚きの表情を見せているが、カブトクナイガンを取り出した俺は更に攻撃を加えていく。

 

『ウバァァァ?!』

「おい!ウバウゾー、ちゃんとやれ!」

 

 ウバウゾーが俺に苦戦しているのを見て、黒いブラぺは叱咤する。だが、何も変わらない。

 

「強いコメ!」

「天道さん……すごい!わたしも!」

 

 俺がウバウゾーを吹き飛ばしたのを見てプレシャスも即座に加勢する。

 

「はぁっー!」

「ウバッ?!」

 

「ふん……キャストオフ」

《CAST-OFF》

 

 プレシャスの攻撃に対応できていないウバウゾーに更なる攻撃を畳みかけるため、マスクドアーマーを弾き飛ばす。

 

「2000キロカロリーパン……」

 

 必殺技で加速し始めたプレシャスを見て、俺はカブトゼクターに手をかける。

 

「加速したか……クロックアップ!」

《Clock Up》

 

 クロックアップしたライダーフォームは、人間を遥かに超えるスピードで活動することができる。停止した時の中で、俺はプレシャスの拳の残光を眺めながらウバウゾーの元まで一気に駆け抜ける。

 

《One, Two, Three.》

 

「……ンチ!」

「ライダー……キック」

『ウバァァァァ?!』

 

 2000キロカロリーパンチがウバウゾーに衝突すると同時に俺は回し蹴りを入れた。

 

『オナカイッパイ……』

「「『ごちそうさまでした』」」

 

 二人の料理人の心のこもった一撃、ウバウゾーが浄化されるのは当然だ。

 

「ピピ〜ッ!」

「おかえり!レシピッピ!」

「おかえりコメ!」

「……おかえり」

 

 かくして、俺のサバ味噌定食とゆいのオムライスは守られたのだった。





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