If I could turn back time 作:暇をなくした暇人の集
3/4番線という通り、不自然な道は3/4番目の柱まで続いていた。
しかし、問題はこれからである。私は柱と一体化する趣味は持ち合わせてないし、それはハリーも同じだろう。二人でヒントを探していると、いきなりハリーが視界から消えた。代わりにハリーが居た場所には恰幅の良い、燃えるような赤毛の女性が居るだけである。
どうやらハリーはこの女性に抱きしめられているらしい。
「え?」
驚いたハリーは抜け出そうとジタバタするものの、女性の膂力の前では無力なようだ。
「ちょっとモリー!!ハリーを絞め殺す気かい?」
圧死しかけの哀れなハリーは、またもや突然現れた男性により救出された。
「えーと、こんにちは。」
それでも丁寧に挨拶しようとするハリーの姿勢は、流石、というべきものだろう。
「ごめんなさいねハリー。10年ぶりに会ったら嬉しくなってしまって。ああ、やっぱりハリーはジェームズとリリーにそっくりね。」
どうやらこの女性・・・モリーはハリーの両親と知り合いだったようだ。
「僕のパパとママのこと知ってるんですか!?あの、もしよければどんな人だったか聞いても?僕、あんまり二人のこと知らなくて。」
「そうねえ。ジェームズは典型的なグリフィンドール生で、リリーはグリフィンドール的ではあるけどジェームズとは真反対だったわ。」
「グリフィンドール的?あの、・・・」
ハリーの声は汽笛に遮られ届かない。どうやらもう出発の時間のようだ。
「ごめんなさいねハリー、色々話したいけどもう汽車が出るわ。さあ、乗って乗って。先生に目をつけられるのは嫌でしょう?」
「それもそうですね。じゃあサクヤ、行こっか。」
「ああそうだ。一つお願いしても良いかしら。」
「どうかしましたか?」
「できればうちの息子のロナルドと一緒のコンパートメントに行ってやってくれないかしら。赤毛でのっぽ、すぐに分かると思うわ。」
「もちろん。」
汽笛の音とともに汽車が走り出す。非魔法界の姿を目に焼き付けておこうと窓から顔を出してみたが、あの大きなキングスクロス駅の姿はどこにもない。そのことに感動を覚えつつも、心の中は不安で一杯だ。諦めきれずその澄んだ、エメラルドのような瞳で"故郷"を探しているハリーもまた同じなのだろう。
数分後、ようやくハリーが口を開いた。
「それじゃあ、ロナルドさん?を探そうか。」
「ええ。それにコンパートメントも。そろそろ座りたくなってきたわ。」
老人みたい、と小声でつぶやいたハリーの足を入念に踏みつけて私は列車の探索を始めた。