でも、これで最後です。続きは書きません。
「なぁ知ってるか?靴買いボンプのこと」
「⋯なんすかそれ?」
新エリー都のとある靴屋にて二人の若者が雑談をとっていた
「最近話題になってる新種のボンプだよ」
「なんでも靴屋に現れては靴を爆買いしていくらしいんだ」
「?それのどこがおかしいんだ。ただ見た目を変えたボンプが靴を購入しに来るだけだろ。まぁ靴屋をハシゴする理由は知らんが」
「それがよ⋯そのボンプ、ディニー使わず金の延べ棒で会計するらしいんだよ」
「は!?」
「冗談みたいだろ。けど、掲示板で延べ棒出すボンプの写真が載っててよ、結構信憑性あるんだよ」
「⋯俺、掲示板の情報あんま信用してねぇんだよな」
「⋯ま、普通そうだろうな。俺も面白半分で見てるだけだし信用はしてねぇ⋯ ガラッ ⋯おっいらっしゃいま⋯⋯」
雑談をしていた男の一人が入り口の方を向き、店に入ってきたお客さんに営業挨拶をかけようと声を出した直後、入店者の存在を視認した男は挨拶の途中だというのにもかかわらず固まってしまう
男の視線の先には、見たこともないピンク色のボンプ─キレネンコが佇んでおり、キレネンコは店の周りをぐるりと見渡しスニーカーの並ぶ棚を見つけると、スタスタと歩き棚に並ぶ展示用のスニーカーを一つ一つ手に持ち、あらゆる角度からスニーカーを注視する。その行為は品定めのようであり、芸術品を鑑賞しているように見える
そんなキレネンコを尻目に、スタッフである2人は顔を近づけヒソヒソ声で何かを話していた
「おいおい!!ピンク色の体色に耳に安全ピン刺さってるボンプってまんま掲示板に載ってたボンプの特徴と一致してんぞ!?」
「その掲示板情報マジだったんですか!?じゃあアレが⋯」
「あぁ⋯アレが金の延べ棒出してくるイカれボンプだ」
チラリとキレネンコの方を向く2人。視線の先にいるキレネンコは、展示用のシューズを頭の上に乗せながら、販売用の靴の入ったボックスを一つ一つ丁寧に積み重ねていた
その光景に、親と来た子供は興味津々な目でキレネンコのことを見つめ、高校生ぐらいの女性は面白半分でキレネンコのことを写真に撮り、大人はひとしきりキレネンコを見ると自分の用事に戻っていく
「めちゃ買うじゃん。あんな要らないよな、普通1,2足程度だよな」
「俺も分からんが、ほら観賞用と普及用とか同じ物いっぱい買うみたいな⋯」
「たかが靴だぞ!?靴屋に行けば手に入るただの靴なんだぞ!?」
尚、男の言うようにスニーカー好きのキレネンコも、普段からスニーカーを見境なく爆買いする訳では無い
キレネンコがいた世界に存在したスニーカーと、この世界に存在するスニーカーでは、デザイン、手触り、材質、大きさ*1、匂いに至るまで全てが違う、種類も多数ときた
この世界の住人にはただのスニーカーでも、キレネンコにしてみれば自身の知らない、所有していない未知のスニーカー。スニーカー好きのキレネンコにとって、この世界はまさに宝の宝庫と言える
「⋯延べ棒っていくらすんだ?」
「スマホ ポチポチ⋯⋯100gで⋯大体300万ぐらいかな」*2
「300万⋯⋯って何円だ」
「知らね」
途方もない金額を突きつけられ、この後やってくる展開(会計)に2人(一般従業員)は思考を放棄し、スニーカーを眺めるキレネンコをただ黙って眺めた
「(-_⦿)」(靴眺め)
(どんだけ靴眺めてんだ。そんな見るとこないだろ、さっさと買えよ)
(靴買って何に使うんだろ。寝袋?)
そんなしょうもないことを考えていた2人。そこへ─
ドン!!
「強盗だ!!全員手を挙げろ!!」
『!!』
店内に予期せぬ来客が押し寄せた
「全員、手を挙げて隅っこの方に寄れ、早く!!」
「治安局に連絡しようとすんじゃねぇぞ!?俺はビビりだからよ、うっかり引き金を引いちまうかもしれねぇぞ〜?」
突然の強盗団に店にいた全員は取り乱すが、強盗団の一人が床に銃を発砲したため、店内に居た全員は恐怖に怯え言われるがまま店内の入っこの方へと歩いていった。1人を除いて─
「ボス、この箱並べてるボンプはどうしやす」
「通報機能があっても面倒だ。壊せ」
「了解」
強盗団の一人は、未だ靴の入った箱を並べるキレネンコに近づき、手に持つ鉈を掲げ、キレネンコの頭上目掛け振り下ろした
ズンッ!!
店内に重い音が響く、店内に居る誰もが鉈によってボンプ(キレネンコ)が破壊されたと悟った
パリパリパリ⋯
「⋯⋯」メ パチパチ
「は⋯?」
鉈を振り下ろした男の口から間抜けな声が漏れた
キレネンコは頭上から振り下ろされた鉈に気づき、意識を箱から外す瞬間、キレネンコの視界に両断されたスニーカーが映り、キレネンコは両断されたスニーカーを手に持ち立ち上がる
その間、店内にいた全員(強盗団含む)はあまりの非常事態に眼を見開きキレネンコのことを凝視していた
頭上に乗せていたスニーカーは足の甲から綺麗に切断しており、キレネンコは真っ二つになっているスニーカーを両手で持ち見つめ続ける
自身の頭上に乗っている先程まで鉈だった破片を無視して⋯
大事なスニーカーを両断されたキレネンコは近くにいる強盗団の男を見て
(ʘ言ʘ) ブチーン!!
切れた
「ガゥン⋯⋯!!?」
眉間に皺が寄り表情を険しくしたキレネンコは、スニーカーを真っ二つにした張本人である強盗団の一人の顎にアッパーカットを叩き込み、男は反応することも認識することもできず、上半身から先を天井に陥没させ意識を失った
「う、撃て!!」
キレネンコの一撃に驚いたリーダーらしき男は、部下たち全員に発砲指示を飛ばし、自身も銃をキレネンコに向け構え一斉射撃を開始した
強盗団たちの一斉射撃に対し、キレネンコは一直線に強盗団の元へ走り出した
キレネンコに向かい銃を乱射する強盗団だったが、人を軽々殴り飛ばせる高い身体能力に加え、人の膝程度の大きさしかないキレネンコを捉えるのは至難の業
「喰らえぇ!!⋯ヘブっ!!?」
「小さすぎて当たらねぇ⋯バハっ!!?」
「こっちに来るなぁー!!⋯ゴバッ!!?」
強盗団は一発もキレネンコに弾丸を当てることなくキレネンコの接近を許してしまい、一人、また一人とキレネンコの一撃により床、又は壁や天井の生け花となり、数分も掛からず残るは地面にへたり込む男だけとなった
「ひぃ~!!」
キレネンコの暴れっぷりに腰を抜かし怯える顔面真っ青の強盗団の一人に、キレネンコは近づき彼の顔面に拳を叩き込もうとした瞬間、キレネンコはあることに気づく
「!」ピンッ
キレネンコが暴れた衝撃で落ちた1枚のチラシが強盗団の男の頭に乗っていること、そしてそのチラシに載っていたあるスニーカーに気づき、殴られると身構える男を無視し男の頭に乗っていたチラシを拾い見る
テレレレレ〜♪*3
チラシには、和風模様やドラゴンの装飾が施されたスニーカーなど、多彩なスニーカーが載っており、チラシには期間限定、数量限定と書かれ、あとはスニーカーにしてはやたら高い値段が書かれていたり、そのスニーカーが売っている場所の住所が書かれていた
「⋯⋯」
「⋯⋯チラッ あの~」
「⋯⋯」ズイ(チラシを強盗の男の眼の前に持っていく)
「ヒィ!!」
「⋯⋯」
「えっと⋯」
─
──
───
ウゥーー ウゥーー
ピーポーピーポー
「道を開けて、重傷者が通ります」
靴屋にて強盗事件が起きたとの通報を受け駆けつけた警察官たちは、事件現場となった靴屋の中で天井や壁などに突き刺さる強盗犯たちの救助のため、忙しなく動き回っていた
「事情聴取、有難うございました」
壁に突き刺さっていた重傷の強盗犯を担架で運ぶ警察官を尻目に、事件現場にやって来ていた都市秩序部捜査課班長の
「朱鳶班長、今し方強盗団の救助及び捕縛、完了いたしました」
「ご苦労さまです。強盗犯たちの容体は」
「はい。全員命に別条はありませんが、壁などに突き刺さるほどの衝撃を受けたからか、未だ意識の回復は見込めていません」
「そうですか⋯」
「班長は民間の方々に聞き込みを受けていらっしゃったそうですが、この靴屋内で何が行われていたか分かりましたか?」
「⋯はい。民間の方々の話によると、店に押し入った強盗団を倒したのは靴を買いに来たピンク色のボンプらしいのです」
「ボンプ⋯が、ですか?アレを⋯」チラリ
強盗団を壊滅させた相手がボンプだとしされた女警は、強盗犯が突き刺さっていた穴をちらりと見つめ、その目には信じられないと言う思いがありありと感じ取れた
「貴方の疑惑の気持ちも分かりますが、事実です。店に設置されていた監視カメラの映像を確認した所、見たことも無い新種のボンプの姿が確認されています。強盗団との一部始終も⋯」
「人を壁に突き刺せるほどのボンプですか⋯そのボンプは今何処に?」
「それが⋯⋯⋯強盗団の1人を引きずって行方を眩ませたらしいです」
「⋯⋯は?」
続きは絶対に書かないんだからね///