私の書くドラジュナ初健全! 健全だよね? ぐだ(性別未定)がいる
pixivより転載

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【ドラジュナ(インジュナ)】「その、丁度いい位置にあったからだ」

 さて。インドラがカルデアに来てしばらく経つ。

 インドラは、特異点のときのように、相変わらずアルジュナに素直にお喋りできていない。

 眼もうまく合わせられないレベルで、アルジュナなど「父には嫌われているのでは?」と言いはじめていたので、両方の事情を把握していた立香は困ったものだった。

 立香は考えた。インドラは今で精いっぱいなのでこれ以上は動けないだろう。なら、多少余裕のありそうなアルジュナに動いてもらうしかない。

 ならばどう動いてもらうか。立香は日本サーヴァントから教わった将棋の駒を動かすように考えた。実質、王将と王将の戦いだったが。

 結論。

「アルジュナ、インドラ神に『パパ大好き♡』って言ってみて」

「イヤですが?」

 アルジュナは困惑の瞳で拒絶した。

 しかしこの程度の抵抗で諦める立香ではない。多くの王様系戦国大名系貴族系サーヴァントを従えて来た身である。立香は尋ねた。

「なんでイヤなの?」

「普通に恥ずかしいからですが……この年でそのような、幼子のようなこと言えませんよ……」

「大丈夫! インドラ神喜ぶ! 絶対喜ぶ! たとえフリーズしたり怒ったみたいな顔してても絶対喜んでるから!」

「その言い草だと益々信用なりません」

「本当だって! もう少し言い方を変えてもいいから言ってみて!」

「……まぁ、それなら」

 アルジュナは顔を背けた。プイっという擬音を立てて。

 これでいけるか──そう考えた立香に、アルジュナは言った。

「ただ、あなたの前で言うのは恥ずかしいので、インドラ神と2人きりのときに」

「まぁそうなるよね。良いよ! 関係さえ改善されれば!」

 立香は親指を立てた。

 

「インドラ神、失礼します」

「うむ」

 インドラは、アルジュナが彼の部屋を訪ねたとき、内心は大層動揺していた。

 今までアルジュナがひとりで父の部屋を訪ねてくることなどなかった。大抵インド系サーヴァントか立香が一緒だった。

 それが、今である。特に書類もタブレットも持ち込んだ様子のないアルジュナに、さらに動揺する。

(まさか……まさか[[rb:神 > オレ]]と遊びに来たのか……!?)

 とんだ勘違いだった。しかし思い込んだインドラは止まらない。やや手を震わせながら、飲みサーからもらった(献上された、とインドラは認識している)缶ビールを手に取る。

「酒を飲むか?」

「いえ。用件はそういうことではないので」

「そうか……」

 アルジュナにはわかりづらいがしょぼくれるインドラ。彼はずっとソファに座っている。カルデアに無理矢理作らせた今現在最高の品のソファである。

 アルジュナは、「失礼します」と言った。そう言って、ゆっくりインドラに歩み寄って来ると……ソファに手をかけた。片腕を、インドラの長過ぎる脚にかける。

 それから、アルジュナは顔を赤らめながら言った。

「父様、お慕いしています」

 ──立香は予想していなかった。「パパ大好き♡」よりある意味火力の高い台詞を吐かれるとは。そんなことは知らない立香は、このとき力自慢サーヴァントたちの相撲大会を観てバイブスを上げていた。

 インドラはと言えば──硬直していた。叩けば固い音がしそうなほどに。

 表情まで硬直していたので、アルジュナはまた困惑した。

(本当に喜んでいるのか……?)

 立香は太鼓判を押していたが、この反応だと心配になる。

 しかし、やがてその様子は解凍された。インドラは困惑した顔になった。その顔が父子そっくりであることは本人たちは気付いていない。

「……今のはどういうことだ?」

「日頃から抱いている気持ちをお伝えしようかと」

 嘘ではない。アルジュナはインドラを心から慕っている。無類の酒好きの女好きではあるが、それでもアルジュナにとっては大事で大切な父だ。……少々厄介な感情も抱いている。それの名を恋愛感情と言う。顔を赤らめたのは、そういう気持ちも込めて言ったからだ。

 インドラは、「そうか、そうか」と言ってから、口元を抑えた。

 しばしの沈黙。

 インドラは、何とも形容しがたい顔をしたのち──

「動くなよ」

 そう言って、アルジュナの肩を掴んだ。

 そして、──アルジュナの頭に触れる、柔らかい感触。

 呆けるアルジュナに、インドラは目線を反らしながら肩から手を放した。

「……神の答えだ」

 それがどういう意味かわからないうちに、ドアが開いた。

「お~いインドラ! 今日の酒飲み会場はここじゃな!」

「ヒック……おい、なんでアルジュナがいるんだ……?」

 飲みサーの登場である。

 アルジュナは反射的にインドラの身体から飛びのくと、「それでは失礼します」とそそくさと部屋を出て行った。インドラは何か言いたそうだったが、それに飲みサーたちが絡みに行き、結局アルジュナを追えなかった。

 

(あービーマ対オリオンの大一番すごかった!)

 サーヴァント相撲大会より帰って来た立香は、ほくほく笑顔でマイルームに戻ろうとする。

 その角で、ふらついてきた人影にぶつかった。

「わっ、ごめん、誰?」

 立香が謝りながら誰何すると、その人物はアルジュナだった。

 立香は慌てた。

「どうしたの? 顔めっちゃ赤いけど」

 アルジュナは何も言えなかった。「あなたのせいですよ」とすら言えなかった。

 アルジュナは、インドラに髪にキスされた事実でいっぱいいっぱいだったのだ。

「申し訳ありませんマスター。今はひとりにしてください……」

 そう言って、アルジュナは自室へと向かうのだった。

 立香としては、「……あっ、もしかして『パパ大好き♡』作戦でなんかあった?」と勘付いたが、それ以上はインドラの行動の推察が難しかったので考えるのをやめた。

 

 その後、髪から額、鼻、頬、それから口へとキスの位置が変わって来るのだが、そうなることをアルジュナは知らない。

 

 

 

 

 

End.


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