【インドラ親子現パロ】「息子がちっとも甘えてくれない」 作:駒由李
原作:Fate/GrandOrder
タグ:二次創作 Fate/GrandOrder FGO インドラ(Fate) アルジュナ(Fate) 現代パラレル 雷親子 インド親子 年齢操作
▼インドラとアルジュナのコンビ名が知りたい 雷親子? インド親子? わからないのでとりあえず両方タグつけときますね タイトルはわかりやすさ優先で
▼自分は小学校の頃、帰宅して鍵がかかっていたら、鍵を持っているか持っていないかに関わらずインターホン鳴らして「開けて~」と言う子でした アルジュナはしないだろうなぁって…… 次女(妹)属性を活かして甘え倒して生きてきた人生の自分と自分を律してきたアルジュナとは生き方が全然違うな~と思ってできた話です
pixivより転載
インドラとアルジュナは実の父子である。母はいない。アルジュナが物心ついたときから、彼の側には父しかいなかった。
その父もあまり側にいる方ではなく、仕事で忙しい人物だった。何せ名前を聞けば誰もが知っている大企業のCEOである。酒癖も女癖も悪い人物としても知られているが相手を孕ませなかったことがほとんどの中で、唯一孕ませた女性がいた。その彼女は彼の元を去ったらしい──子どもを置いて。
息子のアルジュナは、奔放な父を反面教師にするように非常に優等生だった。小学生にして「風紀委員」と言われるほど真面目だった。尤も、その呼び名には多少の「口うるさい」と言う皮肉も入っていたが。
そして、その生真面目さゆえに、人に甘えると言うことを知らない。彼は何でもできる子どもだった。
勿論、「仕事で忙しい」父に甘えることも知らないのだ。
それゆえ、些細なことでも彼はなんでも自力でやる。
たとえば、父が不在か在宅かわからない状態でタワーマンションの自宅に鍵がかかっていたとき。
甘えたな子どもであれば、まずインターフォンを鳴らし家人に扉を開けてもらうよう催促するだろう。
アルジュナの場合、まったく甘えたではない。そういうアクションを起こさず、最初から持たされている鍵を開ける。そして父の帰宅を待つのである。
──しかし、この日は事情が違った。
アルジュナは、この日も父の留守に気付き、鍵を開けようとした。
(……あれ?)
アルジュナはポケットを探った。ランドセルの中も探った。そして、鍵の紛失あるいは忘れたことに気付いたのだった。忘れものであればいい、と思いながら、アルジュナはこういうときはどうすべきか悩んだ。
そして、隣の部屋を訪ねた。インターフォンを鳴らす。
『はいはい、どちらさま?』
「すいません、アルジュナです。鍵をなくしてしまって」
『あーはいはい、鍵は開いてるから入っておいで』
『その声はアルジュナか』
アルジュナは、躊躇いなくその扉を開けた。
インドラの古くからの友人のスーリヤとその息子、カルナの自宅である。
インドラはタワマンの最上階を買い取ってフロアをぶち抜く……と言いたいところだが、端っこの角部屋一戸は残していたのだ。そこにスーリヤ父子は住んでいる。その理由がどういうことか、アルジュナはわからなかったし疑問にも思っていなかった。この当時は。ただ、父には「困ったときは隣の家を頼れ」と言いつけられていたので、スーリヤには素直に頼っていた。
「今ジュースとおやつを出すからな。カルナと遊んでろ」
そう言われたアルジュナが、「アルジュナ、遊ぶぞ。たたかいごっこだ」とカルナに言われ応戦している中、スーリヤはその場を離れ、台所でスマートフォンを取り出した。
着信履歴に1番上に載っている男の番号をタップする。
すぐさま電話に出た相手に、スーリヤは言った。
「インドラだな。アルジュナがウチに来た。鍵をなくしたそうだ」
『わかった』
電話は切れた。
スーリヤはやれやれと呟きながら、おやつとジュースを用意した。
数時間後、スーリヤ宅を訪ねる男がいた。
「はいはい、お帰り」
「……っ、はーっ、はーっ……」
「どれだけ急いだんだよ」
アルジュナの父、インドラである。
彼はこの日、スーリヤから連絡を受けて大急ぎで仕事を片付けた。それはもう大回転、しゃかりきに。それから自ら車を運転し、法定速度スレスレで疾走し、自宅のあるタワマンに帰って来たのだった。彼の仕事の多忙さを考えると、これは最速と言っていいだろう。汗すら流している。鬱陶しそうに前髪を掻き上げたインドラは、乱れた息を整えたあとで性急に尋ねる。
「それで、アルジュナはどうした」
「寝てる。ウチのカルナと遊びすぎて草臥れたみたいだな。あ、夕食にカレーを食わせておいたから」
「……すまん。恩に着る」
「いつものことだろ。前にアルジュナが熱出して帰って来たときよりはマシだ」
「……」
「なんだよ、事実だろ。とにかくアルジュナはお前のことずっと待ってたんだからな。早く連れ帰ってやれ。あ、これランドセル」
そう言ってスーリヤが気軽に言うので、インドラはスーリヤ宅に入る。
そして、ソファで眠っている、毛布をかけられたアルジュナを見つけた。カルナもその横で寝ていた。カルナをそっとずらし、アルジュナから毛布を取り去ると、軽々と抱え上げる。人並み外れた長躯ゆえに、小学生の我が子を抱えるのは猫の子を摘まみ上げるのと同義だった。
インドラは、彼には小さすぎるランドセルを肩に担ぎながら、我が子をそっと、芯から大事そうに大切そうに抱えた。
「世話になった。今度礼を贈る」
「気にすんなって」
そう言って、インドラはアルジュナを抱えたままスーリヤ宅から去った。
その直後、小さな足音がスーリヤの元に近寄って来る。
「……我が父よ、インドラが来たのか?」
「あぁ。今アルジュナを連れて帰ったよ」
カルナだ。毛布を引き摺り目を擦りながら舌足らずに言う。
ふと、カルナは尋ねる。
「父よ、以前から訊きたかったことなのだが」
「なんだ」
「なぜ、我が家はアルジュナの家のある階の唯一のおとなりさんなんだ」
「あぁ──」
スーリヤとしては当然のことだったので、今更息子に問われて驚いた。しかしすぐに答える。スーリヤはカルナの前に屈んだ。
『すまん。お前しか心当たりがない』
──贅を凝らした広壮な邸宅。それを売ると決めたときは驚いた。
その屋敷だと広すぎて息子を見守ることができない。マンションでは警備が行き届いているから比較的安心して暮らせる。だから引っ越すのだと。
それに、協力して欲しいと彼は言った。
ひとり息子を育てて守る手助けをして欲しい。そのための報酬ならなんでも支払う、と。
だから、スーリヤは言ったのだ。
『じゃあお前んちのお隣さんにさせてくれ』
「……友人のお願い事を叶えた結果かな」
そう言って、まだ頭に疑問符を浮かべている彼の頭を撫でた。
「ん……」
──真っ暗な室内。そこが自室だと気付いたアルジュナは、側にいる人物に驚いて目を瞠る。
「父様……?」
「なんだ、アルジュナ」
そう言いながら、アルジュナを抱えていたインドラは、息子をそっとベッドに下ろした。その声はとても優しい。困惑するアルジュナの体に布団をかけると、インドラはぽんぽんと布団の上から息子の胸を軽く叩いた。
「今夜はもう寝ろ。……鍵ならリビングのテーブルの上に置いてたぞ」
「あ、ごめんなさい父様……」
「お前が息災ならばそれで良い。鍵などいくらでも付け替えられる」
「はい……」
父の声に安堵して、段々瞼が重くなってくる。そのまま眠ろうとするアルジュナの意識があるか途絶えるかの境目で、インドラは言った。
「……お前は、もう少しオレに甘えてくれ」
アルジュナが返事をする前に、彼の意識が途切れた。
翌朝。アルジュナが健やかに6時に目を覚ますと、父の姿は既になかった。
(昨夜のは夢だったのだろうか……あまりに私に都合が良すぎる)
そんなことを思いながら起き上がると、アルジュナは自分の服に気付いた。
ちゃんとパジャマだ。
(……昨夜、着替えたか?)
アルジュナは不思議に思いながらも、今日も学校に行くためにまずは身支度をすることにする。パジャマのまま部屋を出て、洗面所に向かいながらやはり父が既に仕事に行ったことを知った。それを少し寂しく思いながらも、やはり昨夜は良い夢を見たものだと思った。
父に甘やかされる夢。
着替えて来たアルジュナは、折り目正しく朝食を用意して、それからテレビを点ける。ニュースは中途半端なところだった。
『……ドラ氏の元邸宅は精緻で繊細な細工が施されており、売却に出された際自治体が買い取り観光館とした結果、観光収入が倍になり──』
(きれいな家だな)
アルジュナは、こんなところで実父との嗜好が一致したのだった。
End.