『ヴェルドラの異世界体験記〜神と迷宮と精霊女王〜』 作:るにゃは
原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
タグ:R-15 残酷な描写 アンチ・ヘイト クロスオーバー 転生したらスライムだった件 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 転スラ ダンまち
テンペストに平穏が訪れていたある日――
暴風竜ヴェルドラは、いつものように「退屈だ!」と騒ぎ出す。
「師匠がヒマなのはアタシのせいじゃないよね!?」
「ラミリス様、実験装置のボタンを押されたのは事実です」
「黙れベレッタ! アタシの味方してぇぇ!」
ひょんなことから転移装置が暴走し、
ヴェルドラ、精霊女王ラミリス、そして忠実な従者ベレッタの三柱は――
まさかの“異世界オラリオ”に降り立ってしまう。
そこは神々が地上に降り立ち、迷宮都市が栄える世界。
規格外の三人の存在は、神々や冒険者たちの常識を軽く吹き飛ばしていく。
「神? ダンジョン? 面白い! 全部まとめて相手になろうぞ!」
「師匠、それ絶対やりすぎるやつじゃーん!!」
「ワレは平穏を望みますが……ラミリス様が暴れない限りは」
神と迷宮が交差する街で、転スラトリオが巻き起こすのは混沌か、それとも……?
これは、異世界を渡り歩く暴風竜と仲間たちによる、“神々とのファンタジック珍道中”の記録である。
続きはどうしようか悩んでます。
澄み渡る青空の下、突如として空間が裂けた。
光の柱が天に向かって伸び、眩い閃光とともに――ドォン!! という大音響が辺りに響き渡る。
そして、そこから三つの影が勢いよく放り出され、オラリオ郊外の草原へと叩きつけられた。
――それは、まさに災厄の前触れであった。
◇ ◇ ◇
「……ふむ。ラミリス、やはりお主が原因だな?」
地面に転がりながら、金髪の青年――暴風竜ヴェルドラ=テンペストは、草を払いながら隣の空間を睨んだ。
「えっ!? ちょ、ちょっと待って師匠!? アタシ何もしてないよ!? ちょっとだけ、“異界観測装置・試作型”ってボタンを押しただけだし!」
「それを“やった”というのだ、貴様……!」
ヴェルドラの眼がキラリと光る。
「ということはつまり! 新たなる異世界へと転移したわけだな!? これは素晴らしい! 我の退屈を打ち破るにふさわしい大事件ではないか!」
「やっぱりノリノリなんじゃん!! アタシばっかり悪者にするのやめてよねっ!」
その横で、黒衣の執事服を身に纏ったベレッタが、静かに立ち上がった。
「ヴェルドラ様、ラミリス様。お怪我はございませんか?」
「我は無傷だ、ベレッタ」
「アタシも平気ー……って、あたしの翅がちょっとぐちゃっとしてる!? 直して直して!」
「……かしこまりました、ラミリス様」
器用な手つきでラミリスの翅を整えつつ、ベレッタは空間の気配を静かに観察する。
「魔素の濃度、空気の流れ、地脈……。ワレの解析によれば、ここはテンペスト領外、つまり別世界と断定してよろしいかと」
「ほう、やはりそうか! ふむふむ、この世界……なんとなく“ダンジョン”の匂いがするぞ。あの建造物を見よ、あれは塔か? それとも……」
「あっ、ほんとだ! 師匠、あれなんかすごく“迷宮”っぽくない?」
「うむ、まさしく! お主のテキトー操作も、たまには役に立つのだな、ラミリス!」
「だからアタシは悪くないってばぁー!!」
「ベレッタ、お主の評価はどうだ?」
「ヴェルドラ様。あの構造物は明らかに“自然構築”ではありません。人工的に築かれた巨大建造物であり、地下へのアクセス経路が存在する可能性が高いと判断します」
「フム……つまり――」
「ダンジョンだな!!」
ヴェルドラがマントを翻し、堂々と空に向かって指を差した。
「これは運命の導き……いや、世界の求めに応じて我が現れたのだ! 異界のダンジョンよ、我に挑むがよい!!」
「いや、挑まれるのはそっちでしょ!? しかもアタシたちまだ情報ゼロなんだけど!? ベレッタ、ちょっと師匠止めてよー!」
「……申し訳ありません、ラミリス様。ヴェルドラ様が本気で高揚しておられる時、ワレの制止は無意味でございます」
「なっ……そんな真顔で諦めないでぇぇぇ!!」
そんなやり取りを続けながら、三人は笑いながら歩き出す。
だが、彼らの存在が“世界の常識”から大きく逸脱していることに、オラリオの住人たちはまだ気づいていなかった。
――その夜、ロキ・ファミリア、ガネーシャ・ファミリア、ギルド、そして神会に非常召集がかかる。
“迷宮外縁にて、正体不明の災厄級魔力反応を三体検知”
それが、全ての始まりだった。
なお、当のヴェルドラはそのころ草原の真ん中で腕を組み、
「ふむ、次は“神”なる者とやらを見てみたいものだな」
などと上機嫌に呟いていた。