ユリシーズの落下から20年後。国連の難民対策に不安を感じる者たちがユージアと名乗り、ユーラシア大陸の大半の国がユージアに付き、国連に戦争を仕掛けた。
戦争初期こそはユージアに先手取られたことにより、国連軍は劣勢であったが、その後体制を整え、ユージアにが反撃を開始した。
そして、1年後。国連軍は戦力を整え、ユージアによって奪われた東ヨーロッパを解放するための大規模上陸作戦、バンカーショット作戦を決行したのであった。
この小説はエースコンバットインフィニティキャンペーンモードのミッション8の国連軍兵士&派遣飛行隊の視点の話です。また、この小説は自分のブログ、pixiv様にも投稿しています。
2014年12月13日 今更ながらあらすじをキチンと書きました
2020年 9月19日 0850 カリブ海 国連軍第二次上陸部隊B(ブラボー)隊 B401上陸艇
「いよいよか」
1人の男がそう言い。彼の名はジャック・クラフト。国連軍の兵士である。そのジャック今、仲間たちと共に大型上陸艇に乗船していた。その大型上陸艇の周辺にも多数の大型上陸艇や軍艦の姿もある。誰どう見ても今から大規模な上陸作戦があることがわかる。
「どうしたジャック?怖くなったか?」
ジャックの仲間の1人である兵士が話し掛ける。
「いや、いよいよユージアの連中に一泡ふかせることが出来ると思ってな」
「お前らしいな。まぁ、皆同じ気持ちだろうな」
そう、ジャックはやっとあいつら、ユージアの連中に一泡吹かせることができることに喜びを感じていた。
この戦争が開戦してから国連はユージアに防戦一方だった。だが、今日やっとユージアに対し、大規模反攻作戦が実施されるのである。
この日を待ち望んでいたジャック。いや、殆どの国連軍兵士は喜ぶのであった。これで、ユージアに一泡吹かせると。
そのため、国連軍の士気は高い。そして、そんな彼らをさらに士気を上げる存在があった。
「それに、今日の航空支援には死神と一本線だ。この作戦、うまく行くぞ」
「あぁ。彼らの下は安全地帯だ」
一本線と死神。彼らの士気の高さはこの二つの存在あるからだ。
一本線。正式名称はリッチバックス隊。国連軍のエリート部隊であり、機体に白い線が引かれているため、一本線と呼ばれている。
リッチバックス隊はこの戦争が始まる前から活躍しており、多大な戦果を挙げているため、国連軍を代表する飛行隊である。
一方、死神。正式名称はボーンアロー1である。
ボーンアロー1は国連軍ではなく、空賊と呼ばれる民間軍事企業パイロットであり、死神のエンブレムを付けているため、死神と呼ばれている。
彼はこの戦争が始まってから名を挙げたパイロットである。ユージアによって占拠された日本の解放作戦の一つである東京解放作戦で敵エースと重巡航管制機、P-1112 アイガイオンを撃墜した時から一気に名が広がる。その活躍を国連が認められ、ボーンアロー1と他数名のパイロットが国連軍に正式入隊。新制ボーンアロー隊、隊長となった。国連軍入隊した後もICBMの迎撃。アメリカ本土攻撃阻止のB7R空戦などで多大な戦果を挙げている。その結果、敵にも死神と恐れられる存在となっている。
また、一部の国連軍兵士は死神のことをリボン付き、空賊とも呼んでいる。
「あいつら居る限り、俺たちの負けはない」
ジャックがそう言いうと上空にジェットエンジン音が鳴り響く。ジャック達は空を見上げると、8機の戦闘機が4機ずつで編隊を組み先行していくのが見えた。片方の編隊はASF-X雷電Ⅱ4機編隊だったため、リッチバックス隊だろう。そうなるともう片方編隊はボーンアロー隊かもしれない。
《全部隊へ!バンカーショット作戦開始しろ!第1次上陸部隊前進開始!続いて、第2次上陸部隊も前進を開始しろ!》
「全員聞いたな!前進開始だ!行くぞ!」
ジャックが所属している隊長がそう叫ぶと同時に国連軍上陸部隊は前進を開始。戦いの火蓋はいよいよ切って落とされた。
2020年9月19日 0850 カリブ海 国連軍第2次上陸部隊上空
上陸部隊上空。そこには、上陸部隊を航空支援するため、多数の戦闘機が編隊を組み飛行していた。
その中には日の丸を付けたF-15Jが3機、F-2が4機。そして、日本の最新ステルス戦闘機F-3烈風Ⅱの姿があった・
「クローバ1からクローバ各機へ。まもなく、上陸部隊が前進を開始する。状況に備えろ」
《《《了解》》》
そのF-3烈風Ⅱのパイロットであるクローバ1、杉田・源は僚機に指示を出しながら第2次上陸隊上空に待機していいた。彼らの機体には日の丸が付いているため、直ぐに日本機だと分かる。
しかし、日本には憲法9条と言う鎖があるのに、なぜこの場に日本機がいるのか。それは、この戦争のせいである。
元々、日本はユリシーズの落下の影響による紛争、超巨大テログループ。ヴァラヒアによる東京直接攻撃。そして、集団自衛権などを受け、憲法9条改革に動き出していたが、ある2国からによる強烈な批判と国内の反対デモで思う様に進まなかった。しかし、事態が一変する出来事があった。そう、この戦争である。
ユージアが蜂起してすぐ、日本はユージアの標的になり東京、大阪、名古屋などの主要都市がユージアによって占領される。これに対し日本政府は残存の自衛隊全戦力を投入。国連軍共同作戦でユージアと全面決戦を仕掛け、如何にかして日本全土をユージアから解放することに成功した。
しかし、中国、朝鮮半島がユージアの手に落ちているため、日本は未だにユージアの脅威があった。
日本政府は国の存亡を掛けて、9条改革さらに急がした。幸い、今回の一時的なユージアの占領のせいで、9条改革反対派一気に減少。また、批判していた2国がユージアに手を貸していたことが判明。国連から強制脱退されたお蔭で、スムーズに9条の改革に成功した。それの伴い、自衛隊を国防軍と名称を変更。ユージアに反撃を開始した。また、国連に一部飛行隊を派遣することを決定。杉田たちはその派遣飛行隊の一つである。
《アタッカー1からクローバ1へ。我隊は先行して第1次上陸部隊の支援に回る》
F-2編隊のアタッカー隊、隊長から無線が入る。彼らも杉田たちと一緒で日本国防軍派遣飛行隊である。
「了解した。死神や一本線がいるからって油断するなよ」
《わかっている。そっちも気を付けろよ》
F-2編隊は加速し、第1次上陸部隊の支援に向かう。それと同時に味方艦船が艦砲射撃を開始
した。バンガーショット作戦が決行されたのである。
「始まったか」
杉田はこの作戦が成功することを信じ、アタッカー隊の無事を祈るのであった。
2020年 9月19日 0900 カリブ海 国連軍第二次上陸部隊B隊 B318上陸艇
バンガーショット作戦は順調に進んでいた。懸念されていた海峡突破も航空支援のお蔭で成功。既に第1次上陸部隊は上陸1分前を切っていた。
「しかし、ここまでうまく行くとわな」
ジャックはそう言い周りを見渡すと、作戦開始前と変わらず、多数の上陸艇、軍艦の姿があった。そう作戦開始からここまで至るまで第2次上陸は無傷であるのだ。
「あぁ。第2次とは言え、無傷で突破できるとはな。本当に死神の下は安全地帯だ」
このバンガーショット作戦は地形の関係もあって国連軍上層部は第1次部隊35%。第2次上陸部隊は20%の損害を予想していた。しかし、実際は第1次上陸部隊15%、第2次上陸部隊は無傷という予測を大幅に下回った。
これほど、損害が少なかったのは予測以上に航空支援が強力だったせいである。
「死神と一本線か…彼らが居なければ楽にはいかなかったな」
ボーンアロー隊、リッチバックス隊のお蔭である。この2隊だけでルーダ島の砲撃陣地の7割破壊。また、海峡封鎖していたユージア艦隊はボーンアロー隊によって海の無屑にされた。さらに、ユージア攻撃機A-10、8機もリッチバックス隊によって全機撃墜されている。その光景まさに圧倒的だった。あの2隊が居なければこんなにも楽にはいかなかっただろう
《こちら本部。第1次上陸部隊は上陸に成功。続いて第2次上陸部隊は上陸を開始しろ》
無線機から第1次上陸部隊の上陸成功の一報が入り、ジャックが乗っている上陸艇は兵士たちの歓声に包まれる。しかし、彼らにとって今から本番である。その一報と共に第2次上陸部隊の上陸開始命令も来たからである。
「お前ら!喜ぶのはまだ早いぞ!これより、我々も上陸し、敵防衛陣地を制圧する!ここからが本番だ!総員、上陸準備!」
ジャックが所属している分隊長がそう言いと、すぐさま部隊員たちは一斉に装備の最終確認を開始する。ジャックも装備の最終確認しようとした時。突然、空を切り裂くような轟音が鳴り響く。
「おい!何の音だ!?」
「上だ!上を見ろ!」
1人がそう叫び全員が空を見上げる。そこに目に入ったのは
「なっ…ユリシーズ…」
20年前と一緒の光景だった。
「うぉぉぉぉ!」
その直後に上陸艇に激しく揺れ、ジャックはバランスを崩し、頭を強打。意識を無くすのであった。
「いかん!全機高度を上げろ!」
一方、第2次上陸部隊上空に待機していた杉田たちも空の異変に気づき、急上昇を始めていた。そして、急上昇している杉田の横にある物と高速にすれ違い、機体が揺れる。杉田はすぐさま機体を安定させ、先程すれ違った物をみる。それはまっすぐと第2次上陸部隊に落下していく、隕石を。
やがて、隕石は第2次上陸部隊の中枢に落下。周りの艦船を海の中に乗り込み、超巨大な水柱を作り出す。
《機体損傷!機体損傷!》
《ジャベリン3イジェクト!》
さらに、隕石落下時の衝撃波で機体のバランスを崩して墜落する機体や、大量の海水がエアインテークに入り、エンジンが止まる機体が続出。次々と味方機が墜ちていく。
「くっ!クローバ隊各機いるな?」
《クローバ2、機体損傷なし》
《クローバ3、損傷なし》
《クローバ4、問題なし》
「よし、全機健在だな。しかし…」
僚機が全機健在のことに杉田は安心したが、下を見るとその安心もなくなる。
隕石は第2次上陸部隊の中枢に落下し、多くの上陸艇、軍艦が轟沈。また、隕石は未だに降り続いており、生き残った軍艦、上陸艇を次々と沈めていく。
「第2次上陸部隊は…全滅か」
杉田が空から見た限り第2次上陸部隊はほぼ全滅している。数隻、生き残った艦船もいるが、隕石が降り続く限り、いずれ沈むだろう。
《アタッカー1からクローバ隊へ!応答してくれ!》
「こちらクローバ1。アタッカー隊無事か?」
《無事だったか…こちらは全機健在。そちらは?》
「こちらも全機健在だ。だが、第2次上陸部隊は全滅だ…」
もう一つの日本国防軍から派遣されたアタッカー隊も全機健在だと聞いて、杉田はホッとした。
しかし、それと同時に今の国連軍にとって最悪な一報が入る。
《クソ!敵機だ!あいつらまだやる気だ!》
「くっ!こんな時にか!」
未だに状況が混乱している中の敵機襲来。どうやらユージアはここで一気に国連軍を叩く気らしい。
「各機、応戦しろ!ブレイク!」
《アタッカー隊各機へ!クローバ隊と協力し、敵機を叩く!ブレイク!》
敵機を迎撃するため、杉田は編隊を解く。また、アタッカー隊もクローバ隊を援護するため、散開する。
「やらせるか」
まず、杉田は味方機のF/A-18の後ろにいるMiG-29を狙いを付け、コックピット内にロックオンを知らせる電子音が鳴る。その瞬間、発射ボタンを押し、ミサイルを発射。MiG-29はミサイルに気付き、慌ててフレア、チャフを射出。回避機動に入るが、間に合わず、直撃。機体はバラバラになり、墜ちていく。
《そこの味方機。助かった!礼を言うぞ!》
「礼は後にしてくれ。今はこの場を乗り切るのが優先だ」
《そうだな…後ろ!敵機だ!》
「なっ!」
味方機の警告を聞き、確認する前にすぐさま、右へと急旋回。その直後にT-50が放ったバルカン砲の弾が元にいた場所に通り過ぎる。杉田はT-50が後ろにいることを確認し、機体を急減速させ、オーバシュートさせようとする。しかし、ステルス戦闘機であるT-50を任されただけあってパイロットはそんなにも甘くなかった。T-50も急減速を掛け、一瞬オーバー首シュートしてしまうが、急減速が間に合い、再度F-3烈風Ⅱの後ろを取り直し、今度はロックオンしようとする。
「やらせるか」
杉田はフレア、チャフを射出。一時的にT-50のロックを封じ、その隙に機体を加速。T-50との距離がある程度開いたところで、クルピット機動をし、機体が180度回転した所でT-50を捉え、一瞬バルカン砲のトリガーを引き、数発発砲。そして、機体が360度回転した後、すぐさま、後ろを振り返ると、火を吹きながら墜落していくT-50の姿があった。
《クローバ3、今だ!やれ!》
《よし、クローバ3敵機撃破!》
《クローバ4.右にブレイクしろ。俺がやる》
《了解。アタッカー2》
「皆は良く頑張っている…しかし、この損害では」
僚機たちから次々と敵機撃墜の報告が入ってくる。また、他の国連軍機も奮闘しており、どうにか制空権を維持している。しかし、第2次上陸部隊は全滅。とてもじゃないが、今の戦力ではバンガーショット作戦継続は難しい。
誰もが作戦中止だと思った。
しかし、AWACS「スカイアイ」から信じられない通信が入る。
《各機へと告ぐ。作戦継続だ!我々の力で勝利を掴みと取るぞ》
それは、バンカーショット作戦継続の知らせだった。その知らせに杉田は信じられなかった。制空権は完全に敵の手に墜ちていないが、第1次上陸部隊だけでは、敵沿岸防衛ライン制圧は極めて困難であり、また第2次上陸部が全滅によって士気の低下しているはずだ。だが、この考えも第1次上陸部隊からの通信によって直ぐに崩れた。
《リボン付きが上にいる!我々はあいつに憑り付いた死神部隊だ!》
《怖いものは何もない!上空部隊と共にこのまま突っ切るぞ!》
《《《うぉぉぉぉぉぉ!》》》
その通信は航空部隊。いや、死神を信じて必死に戦う兵士たちの声だった。その声を聞いた杉田もあることを思い出した。
此処には東京を解放してくれた死神がいることを。そして、死神に憑りつかれた戦場は必ず負けが無いことを。
それを思い出した杉田はこの作戦は成功すると思い、僚機たちに指示を出す・
《クローバ1から全日本国防軍機に告ぐ!死神を全力でサポートしろ!今こそ日本を解放してくれた恩を返す時だ!》
《《《《《《《了解!》》》》》》
《全機、死神に続け!》
それを思ったパイロットは杉田だけではなかった。この場にいる全国連パイロットたちも死神を信じ、一気に反撃に出る。
一度は隕石によって大打撃を受け、士気が低下した国連軍であったが、死神というエースの力を信じ、再び士気が上昇。数では勝っているユージア軍を徐々に押し込んでいく。
「クローバ1敵機撃破!」
《死神が道を開いてくれた!今だ!行け!》
《アタッカー隊各機へ!敵の砲撃陣地を潰す!全力で行くぞ!》
《敵戦車が撃破された!一本線…リッチバックス隊だ!》
死神、一本線によってユージア軍のトーチカ、車両類、航空機が次々と撃破されて行く。それに負けじと国連軍もユージア軍に損害を与えていく。
しかし、ユージアにとっても、この重要防衛ラインを突破させる訳にはいかない。次々と増援部隊を投入する。
《くっ、押されているな》
《爆撃を急がずぞ。敵機は護衛機に任せればいい》
その増援部隊の中には爆撃機の姿もあった。
爆撃機は2機ずつ編隊を組み二手に別れて地上部隊へと向かう。
たいした対空火器を持っていない地上部隊が爆撃されたら間違いなく大損害を受ける。
それに一早く気付いた死神は敵護衛機を撃墜しながら片方の爆撃編隊へと向かう。しかし、もう片方の編隊は未だに地上部隊へと進行していた。リッチバックス隊は地上部隊の支援で手が離されない。他の国連機も地上部隊の支援や敵護衛機のせいで爆撃機に接近できずにいた。
「行かせるか」
そんな中、杉田だけが敵護衛機を突破。爆撃機へと向かう。
もちろん、敵がそれを見逃すほど甘くは無い。
《しまった!1機抜けた!》
《赤1から赤各機へ。奴w―――……》
杉田のF-3烈風Ⅱを追撃しようしたT-50、2機の内1機がバルカン砲をもろに喰らい爆散する。僚機がやられたことでもう1機のT-50は慌ててブレイクし、周りを見渡すと後方に2機のF-15タイプを見つける。
もちろん、そのF-15タイプはクローバ隊のF-15Jである。
《クローバ1援護する。隊長に近付く敵機は全て撃墜しろ!》
《了解!》
クローバ2は急降下し、クローバ2、3が追撃しているT-50を真上からバルカン砲の雨を浴びさせ、一瞬で蜂の巣にし、撃墜する。そして、クローバ隊はクローバ1に近付く敵機を優先的に襲う。
「ありがとう」
杉田は自分のために援護してくれる僚機に感謝の言葉を言い、敵爆撃機編隊とヘッドオン状態に入り、すれ違いざまにバルカン砲を撃ち込み、機体をインメルターンで反転する。先程、すれ違いざまにバルカン砲を当てたB-1はどうやらコックピット命中したらしく、たいした損害が無いのに徐々に高度が落ちていた。それを確認した杉田はもう1機のB-1爆撃機の後ろに付く。
《ボマー2、応答しろ!応答しろ!》
《機長!後方に敵機!》
《護衛機は何をしているんだ!》
B-1は必死に逃げようとするが、足が遅い爆撃機で戦闘機から逃げられるはずがない。杉田はB-1のエンジンに狙いを定め、バルカン砲のトリガーを引き、エンジンを破壊する。
《エンジンに被弾!出力低下中!…駄目です!エンジン停止!》
《再起動を掛けろ!》
《駄目だ!墜ちる!》
いくら固い爆撃機とは言え、エンジンさえ破壊すれば一瞬で無力化できる。エンジンが破壊されたB-1は徐々に高度を落としていき、敵砲撃陣地へと墜落。そして、燃料と大量に収納されていた爆弾が引火、爆発。さらに、砲撃陣地の砲弾まで誘爆し、大爆発を起こし、文字通り砲撃陣地は吹き飛んだ。
一方、もう片方の爆撃機編隊は既に死神によって全機撃墜されており、制空権も徐々にこちらの物になって来ている。
地上部隊も敵沿岸防衛ラインを次々と突破。最終防衛ラインに到達している。
しかし、敵も必死に抵抗しており、未だに激しい戦闘が繰り広がれていた。
「あと少し戦車と歩兵部隊がいれば、突破できしょうだが…」
上空からその光景を見た、杉田はそう思った。ユージアも必死に戦っているが、奴らの戦力も既に限界ギリギリである。支援砲撃陣地も壊滅。頼りの爆撃機編隊と攻撃機編隊は既にこの空にはいない。
しかし、それは国連軍も一緒である。第2次上陸部隊が全滅してもここまで奮闘出来たのは航空支援のお蔭である。それでも、地上部隊の損害を受けており、疲労も溜まっているせいか進軍スピードもかなり落ちてきている。お互いまさに限界ギリギリで戦闘しているのだ。
だが、ここで国連軍がもう1部隊が加われば、戦局は一気に国連軍に傾くだろう。
もちろん、それは杉田が思ったこと。こちらは今いる戦力がこの作戦の全戦力である。そうにかして、この戦力で敵の最終防衛ラインを突破しなければならない。
「やるしかないか。今この場にいる戦力で…あれは…まさか!」
杉田はもう少し奮闘しようと、次の目標探そうとした時だった。ある信じられない物見つけた。
それは、この戦局を一気に変えるものであり、杉田が望んだ物であった。
急いで友軍に伝えるため、杉田は通信で叫んだ。
「全機へ!第2次上陸部隊と思われる大型上陸艇の1隻が陸へ向かっている!全力であれを護れ!」
「ジャ…おい!…ク…覚ま…ジャック!」
誰かに自分を呼んでいる声が聞こえ、目を開けたジャックの視界に最初に入ったのは、作戦開始前に会話していた仲間であった。
「俺は…一体…そうだ!」
目を覚ましたジャックであったが、頭が痛く、手で頭を押さえながら立ち上がる。そして、自分が何故気絶した
理由を思い出し、急いで同僚に何が起きたのかを聞く。
「何があったんだ!あの隕石群は一体なんだ!事前情報になかったはずだろ!」
「わからん…だが、20年前の再来がきたのが確かだ…そのお蔭で、他の部隊が…」
同僚がそこまで言うとジャックは急いで周りを見渡すと信じられない光景が広がっていた。
「そんな…こんなことが…」
それは、気絶する前は多数の上陸艇、軍艦がいたが、今ではそれら全てが燃えているか、海へと沈んでいく光景だった。
ジャックはこの光景を信じたくなかった。いや、今この場にいる全員が信じたくない光景だろう。
さらに、ジャックに悪い知らせが続く。
「それとジャック。今、乗っている上陸艇だが…エンジンがやられて、航行不能だ。それに、通信機もやられた」
「なんだと!?」
ジャックはその知らせを受け、絶望する。上空では未だに空戦が行われておりもし、狙われたら動かない上陸艇など数秒で海の藻屑になる。また、救援も呼ぼうとしても、通信機がやられている以上呼ぶことができない。まさに、絶望的な状況であった。
「落ち着け。この二つは幸いにも復旧可能だ。今、全力で復旧作業をしている。問題はその次だ。これはお前にも関係する問題だ」
「俺にも?…まさか!」
エンジンと通信が復旧可能だと聞いて安心したジャックであったが、まだ問題あることを聞く。さらに、それは自分に関係することらしい。この時、ジャックの頭の中にすでにその問題が何なのかわかっていた。
その問題であって欲しくなかった。だが、その仲間の兵士はその問題を言うのであった。
「そのまさかだ。隊長と副隊長が隕石落下時の衝撃で転倒。隊長は頭を強打して意識不明。副隊長は海へと落下しMIA。そして、この部隊で隊長と副隊長の次に階級高いのはお前だ。ここまで言えばもう分かるよな」
「つまり、俺が代理隊長をやれと?」
「あぁ…」
ジャックが所属する隊長の階級は中尉。副隊長は少尉である。
しかし、この2人が指揮することが不可能になった場合、次に階級が高い人が臨時に指揮を執ることになる。そして、この部隊で次に階級が高いのはジャックの軍曹であり、指揮を取らなければならない。
「俺には無理だ。皆の命を預かるのは…」
ジャックは万が一の事態に備えて一回りの戦術は頭の中に入れていたが、いざ、指揮を執る局面になったら不安になってしまう。
そもそも、部隊を指揮することはその部隊の全員の命を預かることになる。自分の命令ミス1つのために部隊が全滅することもある。
ジャックはそれを恐れていた。
それに気付いた仲間の兵士はジャックに向かって叫ぶ。
「しっかりしろ!ジャック!お前がこうゆう事態に備えて。戦術を学んでいただろうが!それを今使わないでどうするだ!このまま、誰も指揮を取らなければ全滅する!そうなる前にお前が指揮を取って、部隊を生き残らせるんだ!」
仲間が言った通り、このまま誰も指揮を取らなければ全滅するだろう。だが、ここでジャックが指揮を執れば、生き残る可能性は一気に高くなる。
それに、ジャックはこうゆう事態に備えて戦術を学んできていた。
それを今使わず、いつ使うのか?
ジャックはそう思い覚悟を決める。
「決心はついたか?」
「あぁ。ありがとう」
仲間に感謝の言葉を言い、ジャックは全兵士に聞こえるように叫ぶ。
「全員聞け!隊長と副隊長に変わり、私が隊の士気を執る!まずは通信機と上陸艇のエンジンの復旧を最優先!その次に負傷者の手当てだ!手が空いているメカニックは戦車の点検に回れ!」
「「「了解!」」」
ジャックの号令を聞いた、兵士たちはすぐさま行動に出る。それを確認したジャックは通信機を復旧作業をしている兵士の元に行く。
「通信機の復旧はあとどのくらい掛かる?」
「あと少しです!もう少しお待ちを!」
「出来る限り早くしてくれ!作戦がどうなっているのかを知りたい」
ジャックが一番気になっているのは作戦が継続されているか、中止なのかだ。
継続されていた場合、すぐにも第1次上陸部隊と合流し、戦闘に参加しないといけない。
しかし、中止になっていた場合はすぐさま撤退しないといかない。
おそらく、第2次上陸部隊が全滅した今、作戦は高確率で中止になっているだろう。
さが、僅かでも可能性があるなら、確認をしないといけない。
「…来た。通信機復旧!」
「よし!すぐさま味方に連絡をとれ!」
「了解!」
通信機の復旧が終わり、すぐさま味方と通信を
「これは…」
「いえ。まだです。しかし、味方の通信は拾うことはできました」
「それでいい。貸してくれ」
兵士からインカムを借り、通信を聞く。そして、ジャックは味方の通信を聞き驚く。
《GO!GO!GO!》
《死神が道を開いてくれた!今だ!行け!》
《アルトマン!手榴弾を使え!》
それは味方が必死に戦っている声だった。つまり、作戦は継続されていることになる。
それに、第2次上陸部隊が全滅したのにも関わらず、士気が異常に高い。
一体何故?
ジャックはそう思った、上空でT-50を撃墜して、通り過ぎる1機の戦闘機がいた。そして、その戦闘機のエンブレムを見た瞬間、ジャックはこの戦場に戦局を変える存在を思い出す。
「(そうだ。我々には死神がいる)」
死神。我々の国連軍の守護神の存在を思い出したジャックはすぐさま、叫ぶ。
「全員聞け!バンガーショット作戦は継続されている!先に上陸した第1次上陸部隊は現在、敵沿岸防衛ラインで交戦中だ!我々を残し、第2次上陸部隊は全滅した今、戦局はかなり厳しいだろ。それでも、彼らは必死に戦っている!それに、我々には死神がいる!あいつがいる限り我々は常に安全地帯にいることになる!我隊はエンジンが復旧次第上陸を再開!第1次上陸部隊と合流する!彼らとともに戦い、勝利を掴み取るぞ!!」
「「「おぉぉぉぉ!」」」
ジャックのがそう言い、右手を空に挙げると、他の兵士たちも右手を挙げ、雄叫びをあげる。
それと同時にエンジンの復旧作業をしていた兵士がジャックに近付く。
「隊長!エンジンの復旧作業完了しました!いつでも行けます!」
「よし。エンジンを起動させろ!全速力で上陸する!」
「了解!」
上陸艇のエンジンは再び動きだし、徐々に加速。陸へと向かう。
ジャックたちは海風を感じながら装備の最終確認する。
「(このまま無事に上陸できるか?)」
ジャックは装備を確認しながらそう思う。今の所、敵は第1次上陸部隊と味方航空機に気を取られ、こちらには気付いていない。
このまま上陸できればスムーズに展開できるだろう。
しかし、敵はそんなにも甘くない。
《敵の上陸艇を発見!》
《なっ!あの隕石の中を生き残ったのか!これ以上上陸させるな!やるぞ!》
「敵機接近!」
「くっ!簡単には行かせてくれないか!…スティンガー用意!」
ジャック達の上陸艇に気付いた2機のSu-27が降下を開始する。それに気付いたジャックはすぐさま、スティンガーを用意する指示を出し、
兵士3名がスティンガーを構え、発射。
2機はそれぞれ、ブレイクしフレア、チャフを射出。ミサイル1発はフレア、チャフに騙されるが残り2発はそのまま目標へと突き進み、1発ずつ命中。
2機のSu-27はバラバラになり、墜落する。
しかし、ジャックは安心していなかった。敵に見つかった以上、この上陸艇を沈めようと必死になることはわかっている。
「まだ、気を抜くな!次のスティンガー用意!」
「敵機直上!」
兵士たちは次のスティンガーを取り出そうとするが、その前にMiG-29が急降下を仕掛けてくる。
やられる。
ジャックはそう思った。だが、MiG-29はこちらに攻撃を仕掛ける前にバルカン砲を受け、爆散する。
そして、1機の戦闘機が真上を通過した。その直後に、その戦闘機から通信が入る。
《そこの上陸艇聞こえるか?こちらは日本国防空軍第108飛行隊、クローバ隊だ!空はこちらで抑える!早く上陸を!》
「こちらB(ブラボー)隊の401だ!貴機の援護に感謝する!全員聞いたな!空はあいつらが護ってくれる!我々は前だけ見るぞ!」
そう言い、ジャックは再び空を見上げる。そこにはこちらに近付こうとする敵機を次々と撃墜して行く日の丸を8機の戦闘機の姿があった。彼らに改めて感謝の敬礼をする。
「上陸まで後30秒!」
「上陸と同時に戦車を出すぞ!」
そして、その時がきた。上陸艇は砂浜を乗り上げ、上陸する。
上陸艇のハッチはゆっくりと開き、ジャック達の目の前に砂浜が写る。
「うぉ!」
「どわぁ!」
《クソッタレ!これでも喰らえ!》
ハッチが開いた瞬間に目の前にあった、トーチから激しい攻撃に会い、戦車より前にいた兵士がやられるが、すぐさま、戦車が主砲で反撃。敵トーチカを黙らせる。
《敵トーチカダウン!今だ!行け!》
「GO!GO!GO!」
「戦車前進!」
トーチカがダウンし、ジャック達は戦車を先頭に一気に前進を開始する。
「足を止めるな!一気に第1次上陸部隊と合流する!」
ジャック達の上陸に気付いた他のトーチカも攻撃を開始。激し攻撃を受けるが、ジャックは達は足を止めずに、銃弾の雨を駆け抜け、どうにかして第1次上陸部隊と合流する。
「お前たちは?」
ジャック達の合流に気付いた、第1次上陸部隊の1人の兵士がジャックに近付きながら話してきた。
「第2次上陸部隊のB401代理隊長のジャックです!」
「あの隕石の中を生き残ったのか!」
ジャック達が第2次上陸部隊の生き残りだと聞き、その兵士は驚く。
無理もない。あの隕石群だと誰がどう見ても、全滅しただと思うだろう。
どうじき、ジャックもよくあの隕石群を生き残ったな思っている。
「とにかく無事でよかった。自分はW(ウィスキ)隊のコリンズ軍曹だ。いきなりすまないがそちらの戦力は?」
「戦車1両。歩兵120名です」
「戦車があるのか。ちょうどよかった。戦車が足りなかっただ。1両とはい言え、ありがたい。これで、勝負に出られる。これより、我隊は一気に突撃を仕掛ける。そちらも、続いてほしい」
「了解ですB401全員聞け!これより、我隊はW隊と共に突撃を仕掛ける!W隊に遅れをとるなよな!」
「「「了解!」」」
「よし!W隊突撃開始!GO!GO!GO!」
「W隊に続け!B401突撃!」
ジャック達が上陸、第1次上陸部隊合流した後は、戦局は一気に国連軍の流れになった。
死神、一本線によってユージア航空部隊は壊滅。
また、この2隊とアタッカー隊と中止とした国連軍航空戦力による強力な航空支援によって、ユージア砲撃陣地は全滅。沿岸防衛ラインにも多大なダメージを与えた。それと同時に国連軍地上部隊が突撃を開始。この突撃を受けたユージア最終防衛ラインは一気に崩壊。そして…
「敵の攻撃が止まった?」
ジャック達が突撃を仕掛けてから20分が経った所で敵の攻撃が止まったことに気付く。ジャックとコリンズは敵の罠かと思い、警戒を高めるがその心配は直ぐに無くなった。
「白旗…ユージアから白旗が上がったぞ!」
「ということは俺たちは…」
「あぁ、勝利したんだ!」
「やった…やったぞ!」
「コリンズ軍曹!E隊から制圧完了の通信が来ました!」
「それって…つまり」
「バンカーショット作戦成功だ」
「よっしゃー!」
バンカーショット作戦が成功したことに知り、各部隊から勝利の雄叫びがあがる。もちろん、その中にはジャックのいたのであった。
《やったぞ!イヤッホー!》
《最高の勝利だ!》
《この勝利は歴史に残るぞ!》
一方、空のほうも制空権確報と地上部隊の制圧完了という一方が入り、ドンチャン騒ぎになっていた。ある者はバレルロールしたり、またある者は変態を組み、地上部隊上空を飛行するなどをしていた。
無理もない。あの絶望的な状況下による大勝利である。そんな、ドンチャン騒ぎの中ただ冷静に編隊を組み飛行している飛行隊があった。その飛行隊は杉田たちの日本国防空軍であった。
《どうにか勝利で終わりましたね、体長》
「あぁ、だが。大きすぎる損害が出たがな」
《えぇ…》
杉田たちは忘れていなかった。この戦いで多くの戦士たちが亡くなったことを。
「全機へ。この戦いで散っていた戦士たちに敬礼!」
クローバ隊はトライアングル編隊を組み、地上部隊上空でクローバ3はブレイクし、編隊から離れるのであった。