個性『マイクラ』 作:巨匠
『さぁ起きろイレイザー! 15分のチーム決めと作戦タイムを経て、フィールドに12組の牙が並び立った!』
『……なかなか面白れぇ組みが揃ったな』
『さァ上げてけ鬨の声! 血で血を洗う雄英の合戦が今! 狼煙を上げる! 今回の注目は何と言っても、ヒーロー科を差し置いて予選で1位を取ったサポート科、舞倉スティーブのチームだぁ!』
司会のプレゼントマイクとイレイザーヘッドがそんなことを言う。
「さあ、自慢のベイビー達をじゃんじゃんアピールしていきましょう!」
「ああ!」
サポートアイテムで身を固めた俺はサムズアップをする。
そして作戦会議の結果、俺が騎手、前騎馬は緑谷が、後騎馬は発目と麗日となった。
正直、勝てるかどうかは分からないが、100%勝つ気でやるのが雄英生だ。
『準備は良いかなんて聞かねーぞ! それじゃあ行くぜ! 残虐バトルロイヤルカウントダウン!!』
プレゼントマイクの言葉が響き渡る。
『3!』
敵チームの殆どは俺達を見ている。
『2!』
手に力が入る。
『1……!』
そして覚悟を決めた。
『START!』
遂に騎馬戦が始まる。
「実質、1000万の争奪戦だ!」
「はっはっは! 緑谷くん頂くよー!」
まずは鉄哲と葉隠チームが襲い掛かる。
2対1、これは逃げるしかないな。
というわけでバックパックのスイッチを押して飛行する。
本来なら4人も浮かす程の出力は無いのだが、麗日の個性で騎馬の重量を軽くしていることでソレを解決した。
「耳郎ちゃん!」
「わってる」
耳郎のイヤホンジャックが俺達に襲い掛かる。
しかし、それは俺の木の剣で弾いた。
リーチが違うんだよね。
『おーっと、舞倉チーム、サポートアイテムを駆使して飛んだー!! やるじゃねえかサポート科!!』
『情報によるとアレは発目が開発したらしい』
「そうでしょう! そうでしょう!」
解説を聞いた発目は嬉しそうにはしゃぐ。
気持ちは分かるけどバトルに集中してくれ。
「着地!」
『さ~、まだ2分も経ってねぇが早くも混戦混戦! 各所でハチマキを奪い合う! 1000万をねらわず2~4位狙いってのも悪くねぇ!』
「アハハハ! 奪い合い? 違うぜ、これは……一方的な略奪よォ!」
すると障子が迫ってくる。
そして彼に騎乗している峰田はもぎもぎを投げまくる。
もちろん、そんなのに引っかかる俺達ではない。
「さあ、俊足のブーツで逃げますよ!」
騎馬の足には発目と共同開発したサポートアイテムを履いているので迅速に移動できる。
俺が助手になることで使えるアイテムの数は原作よりも増えているわけだ。
「調子に乗ってんじゃねぇぞクソが!」
すると爆豪が弾丸のように飛んで来た。
そりゃあ来ますよね。
「今こそあれの出番です!」
「おうよ!」
発目の助言を聞いた俺は爆豪に粉の入った袋を投げつけた。
その粉の正体はショックパウダー、触ると痺れる特性を持つサポートアイテムだ。
「な……んだぁっ!」
爆豪の身体は数秒だけ痺れて動けなくなってしまう。
このまま地面に落下して脱落して欲しい訳だが、そう簡単にはいかない。
なぜなら常闇の
どうやら彼は爆豪チームに行って、瀬呂は心操チームになったのか。
『常闇、落下する爆豪をギリギリで回収したー! つーか騎馬から離れたぞ! 良いのかアレ!?』
「テクニカルなのでオッケー! 地面に足がついてたらダメだったけど!」
そして爆豪の猛攻が失敗したことを受けてか堂々と鉢巻を取りに来るチームが途絶えた。
なので、その隙に全体の様子を観察する。
大体のチームが此方を見ていて、隙を窺っている。
そして爆豪は痺れた隙にB組の物間に鉢巻を取られた挙句に煽られた。
これにより爆豪は物間を倒すことに集中するだろう。
つまり残る脅威は1つだけだ。
『さァ、残り時間は半分を切ったぞ! 果たして1000万ポイントは誰に頭を垂れるのか!』
「そろそろ奪るぞ」
遂に轟チームがお出ましだ。
もちろん彼らに勝てる気はしないのでガン逃げ一択だ。
だが一筋縄ではいかないだろう。
「八百万、上鳴……頼んだ!」
轟がそんなことを言う。
つまり八百万が絶縁体を創造してガードして上鳴が無差別に放電を行う気だな。
もちろん、それは対策済みだ。
というわけで俺は避雷針を置いた。
それにより電撃は
ちなみに他チームはバッチリ被弾している。
「あれェッ!?」
「対策してないとでも?」
避雷針ブロックは半径128m圏内の雷撃を先端部に誘導する特性がある。
これを使えば意図的に帯電クリーパーを作ることが出来るんだよね。
まあ、この世界にクリーパーはいないけど。
「逃げまぁす!」
というわけで俺達はバックパックで上空へと逃亡する。
原作と違って電撃でショートするなんて展開にもならない。
「もぎもぎがある場所に逃げるぞ!」
「うん!」
近くには峰田のもぎもぎが大量に散乱してあるゾーンがある。
そこなら飯田の機動力も活かしずらいだろうという考えだ。
爆豪は物間に御執心だし、飯田のエンジンは地形の効果で、上鳴の放電は避雷針で無効化、峰田のもぎもぎと轟の氷結は俊足のブーツで躱せばよい。
「まだだっ!」
轟は地面を凍らせて此方へと向かってきた。
これにより峰田のもぎもぎは効果を失う。
つまり飯田の機動力が活かせるわけだな。
中々に厄介だけど、問題はない。
「燃えろ!」
火打石と打ち金で燃え盛る炎を配置しまくる。
こうやって地形に障害物を置けばレシプロバーストも活かしにくいだろう。
しかも炎は凍結することはない。
「……」
轟は凄い怖い顔で此方を見ている。
エンデヴァーでも思い出したのだろうか?
『そろそろ時間だ! カウントいくぜ! エビバディセイヘイ!』
轟達が俺達へと向かってくる。
『5……4……3!』
物間を倒した爆豪が凶悪な形相で此方へと襲い掛かる。
『2!』
1秒1秒が遅く感じる。
『1!』
これで終わりだ。
『TIME UP!』
なんとか1000万ポイントを死守できたな。
『早速、上位4チームを見てみよか! 1位、舞倉チーム! 2位、轟チーム! 3位、爆豪チーム! 4位鉄て……アレェ!? 心操チーム!? いつの間に逆転してんだよオイオイ!』
これで第1種目と第2種目で1位になれた。
今の所、順調だな。
後は最終種目で優勝するだけである。
『1時間程、昼休憩を挟んでから午後の部だぜ! じゃあな! イレイザーヘッド、メシ行こうぜ!』
『寝る』
『ヒュー!』
とりあえず今は昼休憩で英気を養うとしようか。
なので発目と一緒に中庭で昼食を取っていた。
イベント中の食堂は混雑してそうだしね。
ちなみに献立は事前にクラフトしてきたパンプキンパイである。
そして昼休憩は終了した。
『最終種目発表前に予選落ちの皆へ朗報だ! あくまで体育祭だから全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ! 本場アメリカからチアリーダーも読んで一層盛り上げ……どーしたA組!?』
『何やってんだあいつら……?』
プレゼントマイクのツッコミと相澤先生の疑問の声が会場内に響き渡る。
それもそのはず、現在ステージにはチアリーダーの恰好をしたA組の女子が立ち並んでいるのだ。
その華やかな衣装とは対照的に彼女達の目は死んでいる。
どうやら同じクラスの男子数名に騙されたらしい。
しかも担任の名前まで出して欺いたとのこと。
ヒーロー科としてそれはどうよ。
『まあ楽しそうなら何よりだぜ! そして、それが終われば最終種目、進出4チーム総勢16名からなると1対1のガチバトルトーナメントだ!』
トーナメントか。
出来れば轟と飯田とは戦いたくないな。
なぜなら勝てるビジョンが思い浮かばないから。
逆に常闇や爆豪相手なら勝てる可能性がある。
「それじゃあ組み合わせ決めのくじ引きをしちゃうわよ。組が決まったられクリエ―ションを挟んで開始になります! なお進出者16人は参加するもしないも個人の判断に任せるわ」
そして心操チームに所属していた尾白と瀬呂と庄田の3名が棄権することで、鉄哲と塩崎と骨抜がトーナメントに参加するなどのイベントも起きつつ、トーナメントの組み合わせは決まった。
・Aブロック
心操 VS 緑谷
芦戸 VS 轟
発目 VS 飯田
麗日 VS 爆豪
・Bブロック
舞倉 VS 骨抜
切島 VS 鉄哲
上鳴 VS 塩崎
常闇 VS 八百万
俺という異物の影響で組み合わせが所々、変わったようだな。
……これは優勝できるかもね。
厄介な飯田と轟を爆豪が倒してくれそうなのが最高だ。
「飯田ってあなたですか?」
「ム? いかにも俺は飯田だ!」
「ひょー! よかった、実はですね……」
発目が悪い事しているよ。
まあ俺は被害に遭わないから無視しとこ。
『よーし、それじゃあトーナメントはひとまず置いといてイッツ束の間! 楽しく遊ぶぞれクリエ―ション!』
俺はレクリエーションに参加する気はない。
資源が無駄に消耗してしまうからな。
ちなみに発目はベイビーを活躍する為に参加するらしい。
そして時間はあっという間に過ぎていく。
「オッケー、これで完成」
『サンキュー、セメントス! ヘイガイズアァユゥレディ!? 色々やってきましたが結局これだぜガチンコ勝負! 頼れるのは己のみ! 心技体を総動員して駆けあがれ!』
観客の声が一層大きくなり、ステージ中央に視線が集中する。
トーナメントのルールは簡単、相手を場外に落とすか、行動不能にするか、降伏させるば勝ちだ。
もちろん怪我をしてもリカバリーガールが治してくれるので道徳倫理の心配は無い。
『第1試合! 成績の割になんだその顔、ヒーロー科の緑谷出久VSごめんまだ目立つ活躍ナシ! 普通科の心操人使!』
こうして戦いが始まる。
結果は原作通り緑谷の勝利だ。
もちろん第2試合も原作通り轟が芦戸をガチガチに凍らせての勝利である。
まあ彼女も酸を出して対抗したけど物量が違い過ぎたよね。
そして第3試合が始まる。
『ザ・中堅って感じ!? ヒーロー科の飯田天哉VSサポートアイテムフル装備! サポート科の発目明! ……って、あれ?』
アナウンスと共に2人はバトルフィールドに上がるが、飯田の様子が変だ。
なぜならヒーロー科にも関わらずサポートアイテムを全身に装着していたからである。
それも発目が開発したアイテムだ。
「ヒーロー科の人間はそういうの禁止よ?」
「申し訳ありません! しかし彼女のスポーツマンシップに心を打たれたのです!」
飯田はワケを説明する。
曰く、発目が『ここまで来た以上は対等だと思うし対等に戦いたい』と言ってアイテムを渡してきたらしい。
それを無碍に扱うのはヒーローの卵として出来ないとか。
「許す!」
『いいんかい……』
『まぁ双方合意の上なら許容範囲内でいいのか?』
こうして教師陣はソレに許可を出した。
『んー……まあOKも出たって事で始めようか! それじゃあ第4試合、スタートしてくれぇー!!』
開始の合図を聞いて飯田が真っ直ぐ飛び出す。
サポートアイテムで強化されているのか、騎馬戦の時よりも動きが軽やかに見える。
そんな彼を前に小型マイクを身に着けた発目の笑みが一気に深くなる。
『素晴らしい加速じゃないですか、飯田くん!!』
スピーカーも内蔵されているようで、発目の声が会場全体に響き渡る。
『普段よりも足が軽く上がりませんか!? それもそのはず! そのレッグパーツが着用者の動きをフォローしているのです! そして私は油圧式アタッチメントバーで回避もラクラク!』
「どういうつもりだ……」
『飯田くんのあざやかな方向転換! 私のオートバランサーあってこその動きです!』
テレビショッピングのようなノリで自身のベイビー達の解説を始める発目の様子に、誰もがサポートアイテムを渡した意図を察した。
『なにこれ?』
『売り込み根性たくましいな』
こうしてアイテム解説付きの鬼ごっこは10分も繰り広げられた。
というか飯田相手に10分も逃げられるとか本当に優秀なサポートアイテムだな。
「ふー……全てあますことなく見て頂けました。もう思い残すことはありません!!」
「発目さん場外! 飯田くんの勝利!」
「騙したなあああ!!」
「すみません、あなたを利用させてもらいました」
「嫌いだぁあキミ―!」
ドンマイ。
『第4試合! 中学からちょっとした有名人! 堅気の顔じゃねぇ! ヒーロー科の爆豪勝己VS俺、こっちを応援したい! ヒーロー科の麗日お茶子!』
そして戦いが始まった。
ステージでは個性の使用限界を迎えて倒れ込んだ麗日を、爆豪が突っ立ったまま呆然と見下ろしている。
知っていたとはいえ中々に壮絶だったな。
「麗日さん、行動不能! よって爆豪くんの勝利!」
さてと、次の試合は
まあ負ける気はしないね。
「頑張ってくださいね」
「もちろん!」
発目のエールに俺はサムズアップで返した。
※サポートアイテム。
俊足のブーツとショックパウダー、元ネタはマインクラフトダンジョンズのアーティファクトですね。
ブーツは映画にも出てましたね。