人理を照らす、開闢の星・破章〜almighty,grail,war〜 作:札切 龍哦
『ゼッツドライバー!!』
セクメト【フシャアァアァアッ!!!!】
ユメ『やらせない!!』
【カァアァアァァァ!!】
ユメ『アダム先生!防御は任せてくださいっ!』
アダム「ありがとう…!ユメ!!」
[フル・ライズ!!]
[メッツァメロォ!メッツァメロォ!!メッツァメローォ!!メッツァメロォーッ!!]
アダム「────『さぁ、やろうか』。変身!!」
[アブソリュート!ライダー!!ゼッツ!ゼッツ!!ゼッツ!!ゼーーーッツ!!]
【────────】
[エクスドリーム!!]
【行ってくる、ユメ】
『お願いします!アダム先生!』
【フシャアァアァアッ!!】
【今行くぞ───セリカ】
[フル・ライズ!!]
アダムは…
ゼッツ・エクスドリームは。
セリカ・テラーの、深淵に潜る。
夢を潜り、悪夢の底の底…。セリカの、セクメトの深層心理に、ゼッツ・エクスドリームへと変身したアダムは降り立つ。
【ここが…セリカの深層心理だと…?】
果てしなく暗い暗雲が広がり、その果てには黒く不気味な日蝕の太陽。何処までも広がる血染めの赤い砂漠。
【セリカ!】
そしてそこには白い祭壇があり、鎖で繋がれしセリカの姿。アダムはすぐさま、セリカに駆け寄る。
『ぁ…う…ぁ…』
【セリカ…!】
セリカは顔を上げ、アダムを見る。何も映さない、その瞳で。
『アダム、先生…?どうして…?』
【君を助けに来た。悪夢から出よう。ここから…】
その時だった。
【ぐおっ────!!】
突如、横殴りの衝撃。セリカから、猛烈に弾き飛ばされるアダム。
【フシャアァアァアッ…!!】
そこには、反転した【神秘】そのもの。セクメトという剥き出しの神格が待っていた。
そしてそれは、セリカの悪夢と絶望により歪み、狂い果ててしまっている。
【…!】
【ナァアァァァァァァァァァァァァァァァァァァオオッ!!!】
咆哮を上げ、四肢を振るいアダムへと飛びかかるセクメト。
【ぐああっ!!】
アダムは、反応できなかった。普段なら、まともに受けようもない一撃を。
仮面ライダーへの変身。それは本来人間に、遥かな力を与えるもの。
しかし、アダムという規格外の存在が変身を行なってもそれは拘束具、パワーダウンにしかならない。それほどまでにアダムは、規格外の力を繊細極まるコントロールで制御している。
エクスドリームの力が無ければ、ここには来れなかった。しかし、仮面ライダーの力は彼には足枷でしかない。
『あぁ、あ…!』
セリカには解った。先生が、自分を助けに来てくれたこと。
そして、それは遥かな無茶をして…自身を顧みない不条理を課してきたのだと。
【フシャアァアァアッ!!】
【がふっ─────!!】
そして。
セクメトの致命的な一撃が、アダムを深々と貫いた。
『────────!!!!!』
感覚がないセリカが、頬についた血の温かさに喉を引き裂き声なき絶叫をあげる。
しかし。
[フル・ライズ!!]
〜
【おおおおおおおおおおおおおおおッ!!】
【フシャアァアァアッ!!!】
『えっ、え…!?』
夢は、書き換えられた。
セクメトという絶望的な神格に、自身を縛り付けた人間のアダムが懸命に挑む。
【ぐはっ──────!!】
頸動脈が、断ち切られた。
[フル・ライズ!!]
〜
【おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!】
【フシャアァアァアッ!!】
夢は、書き換えられた。
神に、人が、懸命に挑む。
【ぐぁっ──────!!】
腕が、ブチブチとズタズタに引き裂かれた。
[フル・ライズ!!]
〜
足が、吹き飛ばされた。
[フル・ライズ!!]
〜
肺が、潰された。
[フル・ライズ!!]
〜
目が、抉り出された。
[フル・ライズ!!]
〜
心臓を握り潰された。
[フル・ライズ!!]
〜
内臓を掻き出された。
[フル・ライズ!!]
〜
背中を、引き裂かれた。
[フル・ライズ!!]
〜
肩を、砕かれた。
[フル・ライズ!!]
〜
それでも。
[フル・ライズ!!!]
〜
【おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!】
【フシャアァアァアッ!!】
何度、致命傷を受けても。生命に届いても。
アダムは、仮面ライダーゼッツは決してセクメトから逃げなかった。
『どうして…?』
見えなくても、心で解る。
アダム先生は戦っている。本気で戦えば、負けるはずがない相手に全力で。
『どうして、私なんかのために…?』
自分にはもう、何も残っていない。
自分自身も、やりたいことも、成し遂げたいことも、全部全部失ってしまった。
だから、だからせめて。自分じゃない幸せだけは護りたくて。
[フル・ライズ!!]
〜
『もういいの、先生…もういいの…!』
[フル・ライズ!!]
〜
『私のことなんてもういいの!私はもう、何もない!』
[フル・ライズ!!]
〜
『失ったの…!全部、全部失くしちゃったの!私が弱いから、私が馬鹿だったから、私が、私が…!』
[フル・ライズ!!]
〜
『先生は自分達の生徒がいる!だからいいの!私は、私達の事はもういいの!』
[フル・ライズ!!]
〜
『私達は────!!』
苦しいことばかりだった。
借金、終わらない労働。ずっとずっと、希望の見えない日々。
死にたい、死にたいとずっと叫んだ実験の日々。
こんなに辛いなら。
こんな酷い青春なら。
いっそ、何もなければ良かったのに。
【フシャアァアァアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!】
セリカの消えた光の瞳が、涙を浮かべ声を上げる。
『生まれてきたくなんて、なかったの──────!!』
セリカの慟哭と、セクメトの慟哭が重なる。
その爪が、セリカを引き裂いた。
『うっ、ううっ…』
────しかし。
【───何も、失われてなどいないさ】
しかし。セリカは傷一つ受けていない。
【君の夢は、君の希望は…ただ理不尽に『奪われた』だけだ…!】
『ぁ…』
仮面ライダーが。
ゼッツ・エクスドリームが。とうとうセクメトの一撃を受け止めていたのだ。
【ならば私が、取り戻す…!!奪われた夢と、青春の全てを!!】
それは、命を懸けた仮面ライダーへの適応。
何度も何度も夢を書き換え、何度も何度も困難に挑んだ。
かつて、神を殺した時のように。
【フシュッ、グルルァァァ!?】
【君の夢を、私は知っているよ。セリカ】
『!』
〜
──私の夢!?そんなの、恥ずかしくて言えないわよ!
──な、内緒。先輩や皆には本当に内緒だからね!?
──いつか、柴大将の下で修行して。一人前のラーメンを作れるようになって。
──
──ほ、ほら!早く食べて!伸びちゃうでしょ!?何笑ってるのよぉ!?
〜
『─────!!』
ぶわり、とセリカの瞳から大粒の涙が溢れる。
いつか語り合った、『先生』と夢みた自身の夢。
【私は生徒達の…!後に続く全ての人々の夢を信じる!!】
【ガァ、アギッ…!!?】
【そして、生徒達に授けてみせる!!】
受け止めていたセクメトの力を押し返し、アダムの反撃が始まる。
セリカを蝕んでいた色彩、反転した神格を。
【夢を叶えるための力を!!】
渾身の一撃が、拳に宿る。
【夢を見据えるための叡智を!!】
渾身の願いが、脚へと宿る。
【夢に踏み出すための勇気を!!】
渾身の叫びが、魂へと宿る。
それは、かつて自身が学園都市にて夢見た自身の夢そのもの。
【フギャアァアァアァアァアッッッ!!!!】
吹き飛ばされ、色彩の日蝕へと飛来していくセクメト。
一人一人の数だけ、夢がある。
希望がある。無限に広がる世界がある。
【夢は、悪夢を…世界の停滞を越える!!!】
力の限りゼッツドライバーのボタンを叩き、エクスドリームカプセムを最大回転させ、力の限り跳躍する。
そして放つ、渾身の力を込めたライダーキック。
【
『ライズ!!グレェエェエト!バニーーーーーーッシュ!!!』
拳は殺し、切り拓く為に。
【フシャアァアァアァァァァァァァァァァァァァァァァァァオオーーーーーーーッ!!!】
ならば脚は──────
【うおぉおぉぉおおおおおぉおぉぉおおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!】
誰かを救い───
【カッ────────!!!】
未来に踏み出す、為にある─────!!
『ゼッツ!!ゼッツ!!ゼエェエーーーーーーーーツ!!』
色彩の日蝕ごと、エクスドリームのキックが悪夢を貫く。
【フギャアァアァアァアァアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!????】
同時に、生徒を蝕んでいた絶望の化身が悪夢と共に霧散する。
悪夢と共に、悍ましい景色は吹き飛び。
辺りには、アダムが…
【───────】
否。
アビドスが夢見た、オアシスの様な景色が広がる。
そっとセリカに歩み寄り、アダムはそっとカプセムを回す。
[フル・ライズ!!]
そっと手を翳すと、セリカに奇跡が起こる。
『あ…ぁ…!』
身体に力が戻る。
耳が聞こえる。匂いが解る。目が見える。
【私の知るセリカの感覚と、君を同期させた】
『!!』
【私がセリカを護る限り、もう君の何もかもを…失わせない】
『アダム、せん、せい…!』
そして、口に入った…
錆のような、アダムの血の味が解る。
【悪夢は終わりだ】
そっと、セリカの束縛を断ち切り。
【おはよう、セリカ】
『─────おはよう…おはよう!アダム、先生…!!』
自己改造の果て、捨て去った自身の感情。
───それら全てを解き放ち。
『うわぁあ〜~ん!!アダム先生ぇ〜~〜~!!』
【─────────】
大人へと、再び甘える様を見届けたのだった。
セリカ・テラー【カッ───────】
ユメ『!?』
【カ、ア─────アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!】
ユメ『きゃああぁっ!?』
(な、何が…!?)
『───あっ!?』
アダム「───────」
セリカ「ん、ぅ…」
『──────っっっ!!』
アダム「ただいま。ユメ」
ユメ『──────ああっ…お帰りなさい!』
『お帰りなさい!セリカちゃん!アダム先生…!!』
全てを救え。
その為に、まずは目の前の生徒を救え。
アダム「─────Mission complete」
仮面ライダーゼッツは。
再び、誰かの夢を鮮やかに救った。