あともう一話投稿して、作者のモチベが続いたら連載にするかも
後思考がプラスなので少しヒッキーぽくないので、原作のヒッキー最高!という方にはオススメできません…
比企谷八幡こと、俺の人生は自分で言うのもアレだがハードモードである。
例えば早朝に散歩をしていたとしよう。そうすれば必ず一回は交通事故に遭いかけ、そこで更に財布を落とし、挙げ句の果てにやっと見つけたと思いきや財布の中身が無くなっていた…なんてのはザラである。
他にも、学校で昼飯を買おうと購買に行けばかなりの確率でバターロール(一個50円の不人気商品)しか残っていなかったり自販機で飲み物を買おうとボタンを押せば50%くらいで別の物が出てくる。前なんかはMAXコーヒー買おうとしたら、いろはすが出てきたから泣きながら完飲したまででもある。
まあ、つまり端的に言えば不幸なのである。それも某幻想殺しのウニ頭さん並みに。そろそろベランダに教会の暴食シスターさんが引っかかってる可能性だって捨てきれない。…家計に響くからやっぱ捨てるか。
しかしそんな不幸にこよなく愛された比企谷八幡にも楽しみな日くらいは存在する。
それこそが今日、高校の入学式である。
何時もなら絶対に電池切れだったり電池が外れていたりして鳴らないはずの目覚まし時計は驚いた事にこの日に限ってけたたましく鳴り響き、俺は6時に起床した。珍しく幸運だな、と思ったのも束の間でリビングに入った瞬間Wiiのリモコンが俺の顔面へダイブしてきた。ぶつかった鼻の辺りを押さえながら前を見ると、焦った顔で小町がアハハ…と笑っていたので、俺も爽やかな八幡スマイルを返す。ついでにスマホを出して父にこの旨のメールを送る。
そうするとその10分後、小町はメールの音で起きた父にやんわりと朝からゲームをするなと注意されていた。おい、リモコン投げて俺にぶつけてきたのは良いのかよ…。
そんなナイーブな気持ちになりつつも、今日は入学式という、謂わば高校生活初めの登竜門を想像すると自然と心が躍るわけで、我慢出来ずに本来出る予定だった1時間前に俺は家を出た。
そうして自転車を漕ぎつつ今に至る。
「…つか俺、何で朝ごはん食べ忘れたんだ………」
早速そんな事に気づく。まあこれは不幸というより不注意と言うべきだが。何時もなら早寝早起き朝ごはんを心がけてるのに、今日は入学式に加えて朝っぱらの騒動でそれすら忘れていた。
「しかも財布も持ってねえし…」
これじゃあ朝飯をコンビニで買うことさえも出来ない。…いや、ちょっと待てよ?
…まさかとは思うが、これらの事を予知して今日俺は早く起きることが出来たという可能性も……
…ああ、あり得る。千葉の浦安にある有名なネズミの国を東京都と勘違いする旅行者の割合くらいは普通にある。なんと言って俺の不幸は家族全員から太鼓判を押されるほど筋金入りだからな。
つまり、そう仮定するとあの目覚まし時計可動事件は全てこれらの不幸の引き金だったというわけだ。どんだけ俺を不幸にしたいんだよ、ならせめて幻想を殺せる力をくれよまじで。
空腹に耐えつつ、これから通学路として見慣れていくだろうルートを自転車で漕いでいく。時間も時間な為、まだ通る車の台数も大した数ではなくとても快適だ。もしここがでかい国道だったらそうはいかなかっただろうが。
ルートを確認しつつ横を通り過ぎる車両を暇つぶしに確認する。その殆どはトラックだったりバスだったりだ。あまり一般車は見かけない。
そうして学校まで残り1km程となった時に道が直線になる。その時、遠くに黒い高級車が一台がこちらへ向かってくるのが見える。この時間帯のせいかとても目立つな、つかアレ何かカタギの車っぽくないんだけど。遠目から車内をうっすら見ると黒服の人が運転してるし。
…もしかしてヤクザとか乗ってたりするんじゃね?とか考えていると、俺の前の方を犬と共に走っていた歩行者の犬の方が、飼い主が握っていたリードを振り切って突然ほぼ俺の直線上ーーーつまり車線に出てきた。なぜかと考えてよく犬の方を見てみると、そこには犬用の玩具と思われる骨が落ちていた。…何でんなもん車線に落ちてんだよ。
そんな事を考えていると、向こう側にいたあの黒い高級車がこちら側へーーーってまさかあの車、今車線に出てる犬の存在気付いてないのか?
「サブレ!早くおいで!!」
今飼い主が車線に出ている愛犬に戻るよう呼びかけているが全く反応がない。寧ろ骨に夢中で気付いてないようだった。そこに迫る車。
…はぁ。
まさかこれが今日目覚まし時計がちゃんと働いた理由とか言わないよな?
俺が今から自転車を乗り捨ててあの犬を助けたら多分事故に遭うし、無視したら無視したで胸糞悪い。
「…やっぱこうなるわけか」
思わずそんな言葉が口から溢れる。
だが当然俺だって痛いのは嫌だ。
…だから、俺は自転車の速度を今からぶっ飛ばし犬だけを片手で抱き上げて車を避けつつ飼い主の元に戻す。俺は善人ではないが、エゴだったらたっぷり有る。成功したら飼い主にはそこに感謝してほしいものだ。…ってこれ死亡フラグっぽいな。やっぱこれなしで。
「…よし、やるとしますか」
比企谷八幡、いっきまーす
心の中ではそんなノリで俺は自転車を漕ぐペダルの回転数を急激に上げる。
中学は帰宅部、高校でも帰宅部志望の本気は意外と早いらしく間一髪で犬を片手で抱き上げることに成功。
【キィィィィィィ!】
…となれば良かったが、ギリギリ俺自身は間に合わない様子。最早車と後少し衝突する状態。
それを判断した俺は犬を守りつつ、自転車のペダルを思い切り踏み付けて背後に飛び、背中から思い切り着地。これぞダイナミック自転車乗り捨てである。犠牲にした背中はコンクリートに思い切りぶつかり、擦れた。超痛い。うん、慣れてるからある程度平気だけど。
だが今までの怪我の経験からして背中が血まみれの可能性は大だ。これで暫くはシャワー浴びれない。その前に背中の痛みで眠れるかどうかすら怪しいが。
まあ一ヶ月に一回は何かしらの事故に巻き込まれてきたからな俺、最近は本当に痛みに慣れてきた。全然嬉しくない、痛覚が死んでるわけじゃないから普通に痛いし。
だがそのおかげで犬は何とか死守に成功したから結果オーライってところだな。うん。ちょっと意識遠くなってきたけど。
…あ、これダメなヤツじゃん、気付いたら病院のベッドでしたーとかいう感じの。
…今回くらいは2日くらいで退院したいもんだ…。
そう思いつつ俺は遂に意識を失った。