本編では、このラストで一気にハーレム化です。一つ年下のハンネスが既に10人も結婚してるのにたいし、ライルは多分時代次第では愛人さえ持つのは遅いでしょう。
この時点では殆ど顔を合わせなかったけど第五皇子ルーカスとライルは犬猿の仲なんて物じゃありません。
R2編で絡ませます。
朝日が差し込んで、ライルは目が覚めた。横を見ると、有紗が一糸まとわぬ姿で眠っていた。
昨夜のは、やはり現実だった。ジュリアの事件以来、避けていたというのに一気にここまで行くとは。
安心しきった顔で眠る有紗の頬に手を添えて、
「…ライル、様?」
「起こしたか?」
「いえ……ぁ。」
自分の状態に気づいたが、ライルが抱き寄せた。
「え?ま、待って…また!?」
もう一度有紗の身体を堪能しようとしたときに、ノックがした。
「殿下、お目覚めでしょうか?」
少し不満は残るが、ライルはガウンを羽織った。
「……ああ、シャワーを済ませてから食堂へ行く。」
「かしこまりました。」
「……君は、もう少し寝ているといい。」
シーツで身体を隠した有紗の唇を奪い、ライルはシャワールームに入った。
シャワーを浴びながら、ライルは唇の感触と昨夜の光景を思い出した。カーテンの隙間から月明かりが差し込んでいたこともあってか、あの夜の有紗は恐ろしく妖艶で、美しかった。大きな胸を揺らして、ライルに揉まれて、拒んでいたようでもっと欲しがるあの姿が……
ジュリアと結ばれていれば、ああなっていたのか?
そして…もっと、あんな姿を見たい。レイやクリスタルも……
「って、なぜいきなりそうなるんだ?……まず、責任は取らないと。」
花を散らせたんだ。皇子として、男としてちゃんと責任を取らないといけない。それを放り投げたら、ルーカスと同じだ。
とにかく、シュナイゼルやゲイリーには話そう。
「あ………サラに、なんて言い訳をしよう?」
婚約が保留になったとはいえ、将来的に結婚最有力候補のサラを忘れてしまった。なんて最低なんだ。
有紗は先ほどのキスの感触と自分の下腹部の状態を思い出す。昨夜がまだ夢のようだった。オークションに連れてこられて、愛情も何もなく身体だけ貪られて、捨てられると思った。
だが、保護してくれたブリタニアの皇子が本気で自分を愛し、求めた。有紗もライルの細く、良く鍛えられたあの腕に抱かれるのがとても幸せで、赤ん坊みたいに自分の胸に吸い付いて、強く揉む姿が愛おしく、奥底まで注ぎ込まれたライルのあらんばかりの愛が、うれしかった。
朝食を終えて…ライルは有紗を呼んだ。
「有紗、その…昨夜のことだが、責任はちゃんととる。皇族としても、男としても。だから……その…表向きは、これまで通りメイドとして、だが……その…」
「大丈夫です……」
有紗が抱き着いて、眼を細くして今までにない妖艶な微笑みを浮かべた。思わず、よだれをたらしそうなほどの美しさだ。今の有紗の色気の前では、クリスタルだって勝てないのではないか?そう思ってしまった。
「私も…エクトル君がたとえ生きていても、ライル様にお仕えし続けるって決めていますから。私は……ライル様のものですから。」
「有紗…」
ライルは有紗を強く抱きしめた。もう、放したくない。この少女は…私の、僕のものだ。だが…
「それと、サラには悪いことをしてしまった。婚約は保留だったが…」
「あ…」
一般庶民の有紗には疎いが、やはり結婚相手となりうる女性がいるのに、それより先に他の相手、というのは貴族として外聞が悪いだろう。
「でも……そんなことって、物理的に無理なんじゃないでしょうか?それこそ……私がいなくて、サラと結婚する前でも…ということもあり得たんじゃ。その…結婚してないけど、愛人だけはたくさんいる人とかも。」
「意外と、ずるいことを言うんだね。」
「…好きな人のことくらい、ずるくなりたいです。」
随分とストレートに言ってくるものだが、そういうことにしておこう。
それから、ライルは有紗と共に農場の作業を手伝ったり、観光客用の乗馬体験場に自分の財布で代金を払って有紗や現地の子供達を馬に乗せてあげるなどをした。宮廷の謀略を離れた農場での時間を過ごし、夜はもはや必ず有紗を抱いて、愛し合っていた。
レイは疲れ切っていた。あの後、叔母が知り合いの名門貴族の跡取りを次々と紹介していた。親衛隊に配属されたコローレもアプローチをしてくるが、そちらは何とかあしらっていた。だが、叔母たちの方はそうはいかない。
今もまた、候補者のリストを見ている。
「伯爵家に侯爵家……大公家の親戚筋。どうやって取り付けたのよ、もう!」
大体、現在駐留する基地にまで持ちかけてくるなど……ご丁寧に全員が軍属だ。しかも、階級や社会的地位も今のレイと同格。そうでなくとも、コーネリアの親衛隊や『グリンダ騎士団』の若手達といい勝負。『ユーロ・ブリタニア』までいる。
「ギルフォード卿なら考えたんだけど、流石に高望みしすぎよね?」
母はレイが少なくとも二十歳になるまでは結婚させる気はないのだが、叔母や祖父たちはそれを聞こうとせずにあちこちに声をかけているが、どいつもこいつもスレイター家が目当てなのが分かり切っている。
本音を言えば、会いたくない。あったら、その場で結婚式の日取りまで決められそうな気がする。ふと、そこへライルの顔が浮かんだ。
そして、あの時不意打ちし損ねた後悔が……
うそ、やっぱり…私…
自覚してしまった。やっぱり、そうだ。多分、出自に興味があると言ったあの時に、もう芽生えていたのかも。
そう考えると、もう会いたかった。彼の元へ逃げたい、と。
クリスタルは父からはそろそろ結婚したらどうだ、と言われた。とはいえ、現状相手がいない。
「お父様、私は…」
「私だって、お前の意志はできるだけ尊重したい。だが、ウィスティリア家の後継ぎに相応しい家格とお前の気持ち、両立できるような相手などそうおるまい。いないのであれば、私が相手の紹介をするしかなくなる。分からないお前ではあるまい?」
その言葉で、父なりに葛藤があるのは見て取れる。クリスタルにどうしても相手がいない場合には、貴族の当主であることを選ぼうとしている。
その気になれば、ウィスティリア伯爵家と釣り合いの取れる貴族はいくらでも見繕える。だが、中には行き詰った貴族か、ただ箔をつけたいだけのボンクラ息子もいる。しかも、後者に至っては実戦経験などゼロに等しい。前者は前者で、ウィスティリア家の婿養子に相応しいというアピールばかりだ。親や兄弟の所属を自慢する奴などは論外だ。
「家のために、っていうのは分かるけど……ただのお家自慢をする人じゃダメなのはお父様も困るでしょう?」
それを言えば、父も首を縦には降らない。だが、
「なら、ライル殿下はどうだ?今のところ、お前が執着しているのはあの方だろう?」
流石に、放任主義の父でも気づいていたようだ。
「全てを認めるわけではないが、殿下のお考えも一理ある。お前もそれに好意的な意見で、殿下に心を寄せているのならば…」
家を考える父の意向も、娘の気持ちも取れる。と言いたいわけだ。
「…私が殿下と結婚することができたにしても、私の同僚達にはちょっかいを出さないでくださいよ?ナンバーズの子達も含めて。」
「分かっている……あの方の方針に照らし合わせれば、そのようなことをすれば、例え縁戚を得ても無事では済むまい。とにかく、お前が本気であの方の心を射止めてくれれば、皇籍を得られるし、私も余計なことをせずに済む。」
休暇後半の一週間が始まるころに、レイとクリスタルがやってきた。
「どうして、ここに?」
が、クリスタルは悪びれもしていない。
「酷い。一度行ってみたかったんですから。」
「そうではなくて、何故私がここにいると?」
そこをレイが補完した。
「お優しい母君のおかげ、でしょうね。どうもクリスタルだけは向こうの心象がいいみたいですから。」
なるほど……クリスタルで有紗の牽制をさせようという魂胆だったか。だが、出遅れている。
「でも、その様子だと先を越されちゃったみたいですね。」
「え!?」
「あら、図星。」
クリスタルに指摘され、有紗が顔を赤くしてうつむき、ライルも二人と目を合わせにくくなる。が、クリスタルがいきなりライルに抱き着くどころか唇を奪った。
唐突な事態にライルは思考が停止し、その間にもクリスタルは舌を絡め、濃厚なキスを楽しむ。
「っ…!いきなり、何を考えてるんだ!」
「好きな人には大胆にならないと、ライバルにどんどん差をつけられるんですよ?」
「差の縮め方を少し考えろ!」
「恋愛も戦争と同じです。」
ああ言えば、こう言う!レイに何か言ってくれと助力を求めるが……
「わ、私も…その…い、いやなのと結婚させられるならこのままライル様の騎士と愛人を兼任します!!」
何!?今、なんと言った!?
そう言っている間に、レイもしがみついてきた。
「やれやれ、たった一週間で三人も。殿下も手が早いですな。」
執事が茶々を入れてきて、ライルはそれを睨みつけた。
「余計なことですが、女との付き合い方も戦争と同じで経験は大事ですよ?」
「それで身を滅ぼしかけた人間が言わないでください!」
結局、二人が追加の来客になったことは諦めて農場を案内した。
「良いところですね…日本より土地が広い分、農場も広々として落ち着く。」
「ほんと、隠居したらこういうところで静かに暮らしたいわ。」
レイとクリスタルが思い思いの感想を述べ、ふもとの農場に繰り出した。今日は少し散歩をするのだが、
「あ、別のお姉さん連れてきてる。」
「こらこら、失礼なこと言うんじゃありません。」
「ねえ、そのお姉さんたちも恋人?」
「どっちと結婚するのー?」
子供達はこちらのことなどお構いなしに質問攻めをしてくる。
「もう、そういうこと言ってるとかっこいいお兄さんや綺麗なお姉さんが近づかないわよ?みんなせっかくかわいいんだから。」
クリスタルがかがんで、子供達の相手をすると……
「ねえ、今日は何して遊ぶ?」
「かくれんぼー。」
「おにごっこがしたい!」
「お馬さんにのりたーい。」
子供達が遊ぶのをせがむが、ライルは
「ごめんね、今日はこのお姉さんたちと一緒に散歩をしたいんだ。その代わり、今日の晩御飯はあのお屋敷に食べにおいで。」
「いいの?」
「良いよ。お兄さんが入れてあげるから。ただし、ちゃんと家にいるお父さんとお母さんにもそのことを話しておくこと。」
「はーい。」
その夜…農家の子供達が遊びに来て、人数が多かったために有紗やレイも厨房を手伝い、ライルも食器の整理などを手伝っていた。
「ライル様、そういうことできるんですね。」
「士官学校時代にヴェルドとコローレのマンションに遊びに行ったことがあったんだ。」
「えぇ…あの二人に何かいかがわしいもの見せられたんじゃないんですか?」
「……所謂グラビア雑誌を勧められたね。」
そんな思い出話を聞いた有紗が…
「あの人たち、言動と性格がそのまま一致してますね。」
レイが相槌を打つ。
「女好きの遊び人を地で行くのね。それとも、下品男の家系?」
付き合いの短いこの二人さえ、的確に言い当てている。それほどまでに、あの兄弟は分かりやすい。だが、ライルは二人のそうしたさっぱりしたとも言える部分は好ましく思っている。
「あの二人が親衛隊に来たのは兄様の嫌がらせもあるけど、多分『アルガトロ混成騎士団』の連中が追い出したかったんじゃないのかな?」
ライルのあずかり知らぬところで、それは的中していた。だが、あの二人が強いのは事実だ。既に訓練ではあるが、親衛隊の古株達を負かしている。親衛隊ならばレイとクリスタル、デビー…『フォーリン・ナイツ』では長野、秀作、雛は勝っているが、既に親衛隊でトップレベルの実力になっている。
そうして考えている間に料理が完成した。
「今日は、外国人のお姉さんが作ってくれた料理もあるからね。」
有紗が持ってきたのは、おにぎり。米を使ったシンプルな料理で、今回は塩、およびカレー粉で作ったものだ。
「日本ではお弁当に入れるのよ。他にも、中にいろんな具があるの。今日はオリーブオイルで焼いた鶏肉を混ぜてるわ。」
子供達は夢中でおにぎりを食べている。珍しい外国の料理、というのが効いたのだろう。
「イレヴンはみんなこういうのを食べるの?」
「みんなじゃないけどね…ブリタニア人にとってのサンドイッチかしら?」
有紗の例えを、ライルは内心でうまいと思った。確か、サンドイッチはトランプ好きの貴族がトランプゲームをしながら、食べられる食事としていたのがルーツと聞いたことがある。日本にも、確か生の魚と米で作る日本独自の料理…寿司にそういうのがあると、クレアから聞いた。
「こらこら。ちゃんと野菜も食べなきゃだめよ。」
レイが作ったのはトマトのスープパスタ。子供達が好みそうなメニューが多めだが…
「このスープパスタは私の母が作ってくれたの。」
「お姉ちゃんのお母さん?」
レイはサラダとサンドイッチも用意した。ここまで食卓が豪華でにぎやかなのはいつ以来だろうか?
少し、いたずら心が芽生えて…
「ああ、お兄ちゃんずるい!それ、僕がとろうとしてたのに!」
「早い者勝ちだよ。」
「じゃあ、これもらう!」
今度はサンドイッチを取られた。
「もう、そんなにお行儀悪いとグラタンはあげないわよ?」
クリスタルが焼いたグラタンを持ってきて、釣ると子供達は素直に従う。
子供達と他愛のない、大人げないやり取りをするライルの楽しそうな様子を見てクリスタルは少し懐かしかった。そう、あの軍学校で……休日にジュリアが料理を作って、クリスタルが張り合った。他にも、ヴェルドとコローレの住むマンションに遊びに行ったライルも、わずかだが料理を手伝ったという。そんな他愛のない話をする時間がクリスタルは楽しかった。
パーティーの席では絶対にできない、離宮では絶対にできないことをしていた。
戦場にいる時のライルは確かに生き生きとしていると言えば生き生きとしている。だが、こちらも生き生きとしているが、戦場にいる時とはどこか違った。
有紗とレイより付き合いの長いクリスタルだからこそ、そこに気づいていた。
楽しい時間が終わり、子供達は家へ帰ることになった。ライルが送ろうとしたが、使用人が代わりに送ると言い出したので、結局ライルは屋敷に残った。
「あの子達と遊んでいるライル様…とても楽しそうでしたね。私にはあの子達よりライル様の方が楽しんでいるように見えました。」
レイの指摘に、ライルはあまりピンとこなかった。
「そうなのか?」
「ええ…」
そういわれれば………
「そう、だね。ユフィやマリーと遊んでいたころに戻った気分になっていたかも。」
レイはライルの泣きそうな、寂しそうな顔に胸が高鳴った。こんな顔を見たのは初めてだ。そして、確信を強めた。
「ライル様!」
「何か」
レイは夢中でライルの唇を奪っていた。数秒して、ライルが引き離した。
「いきなり何考えているんだ!?」
「わ、分かってるけど…もう、自分で抑えられないんです!多分…私の出自に興味があるって言ったあの時に、もう。」
今まで、誰もがレイの半分をネタに迫害した。日本では都合のいい時だけ、自分を日本人だと受け入れてブリタニア人はイレヴン、かと思えばスレイター家のブランドを持ち上げる。だが、最初に会った時の彼は、レイのハーフという出自それ自体への関心を正直に言った。
自分でも気づかず、あの時にはこの人に心を奪われていた。
父と母以外で、初めて自分を受け入れてくれた人。あとからハーフも取り立てる政治的アピールが着いたが、もうそんなことはどうでもよかった。
「ライル様以外、もう考えられません!愛人でもなんでも、ライル様が良いです!」
ライルは圧倒されていた。そこへ、クリスタルがライルの腕にしがみついてきた。
「私も殿下だけです!ジュリアの分まで全身全霊で殿下を愛して、殿下に全部あげます!」
いつになく、クリスタルも真剣だ。
「い、いったいどうしたんだ二人とも!?」
クリスタルなど、いつもと違い顔が真剣そのものだ。
「父にそろそろ結婚相手を見つけろって言われたんです。」
「それなら別に私でなくてもいいだろうが!?」
だが、クリスタルは譲らない。
「殿下ならお判りでしょう!?縁戚目当てでろくでもない男ばかり寄ってくるのは!」
それは、確かに…何しろこの美貌だ。ウィスティリア家の財産と彼女なら、お釣りも来るだろう。
「父も、有紗達にちょっかいを出さないって約束してくれていますし、序列なんて何番でもいいから!」
「それは…」
「最初、可愛い後輩だと思ったけど…もう殿下がジュリアのことを好きになった時には私も殿下のことを本気で好きになっていたんです!」
薄々、そうではないか?と思っていたことだが僅かに疑ってもいた。だが、もはやクリスタルは打算も本音も全てぶつけてきている。
「あ、ぁ…」
もう、何を言えばいいのかライルは分からなかった。有紗に告白して、受け入れられたことでやや舞い上がっていた。そこにレイとクリスタルまで来て……
有紗に助け舟を入れてもらおうと思ったら……
「やっぱり…あの……独り占め、できないんですよね?」
「な!?」
有紗はそれでいいのか!?
聞こうとしたが、
「皇帝陛下の子供が殿下込みで100人超えてるのよ?無理よ。」
「…分かり、ました。私も…ライル様のこと本気で好きですし、それなら愛人でも。」
「私だって、皇妃になりたいけど現状クリスタルとサラが一番無理ないし、慣れても末席でも皇妃は皇妃よ!!」
レイまでが、何か……
「殿下、ここまで来たら覚悟を決めなさい。」
いつの間にか、執事長とメイド長がいた。
「聞いていたんですか?」
「ええ……ここまで、真摯に殿下を想ってくださる人が三人も。しかもこれほどの美人とは。ここで逃げたら、殿下は男としても皇族としても最低ですよ?」
本当なのか?執事長はただ、面白がっているだけではないか?
と、思いたいが…三人とも本気なのはわかる。
「あ…わ、分かったよ!責任を取るよ!!」
その夜、いきなり三人を一度に抱く羽目になった。しかも、レイとクリスタルは処女だった。
順番はレイが最初で、次がクリスタル、最後に有紗だった。その後はとにかく、ライルは三人を徹底的に攻めた。それどころか、正面から抱き合っているのに対抗して二人が自分の胸を押しつけるように張り合い、唇を奪い合った。とにかく三人はひたすらに交わった。
翌朝…左腕に有紗、右腕にクリスタル、上にレイが乗る形で眼が覚めると…三人ともまだ微睡んでいるような状態で、三人の顔に軽く手を添える。
「レイはともかく、クリスタルまで初めてだったとはね…」
「酷いです、殿下…これでも、身持ちは堅かったんですから。」
「そうよね…普段散々ライル様に甘えてたのに、昨夜ときたら…」
レイがからかうと、クリスタルが不機嫌になった。
「と、年下のくせに…あなた達が凄いのよ。」
「私だって年下だぞ…」
そこへ、有紗が唇を重ねて舌を絡める。
「私なんて、一番年下ですよ?」
「それだけ、殿下が素敵ってことね…私も。」
「あん、私も朝のキス。」
クリスタルが続いて、レイも張り合う。
僅か二週間足らずで三人も、身内とはいえ……自分が本当は見境のない女好きなのではと思ってしまう。
「サラが余計に怒りそうだな…」
「婚約してるわけじゃないんですよ?それに、今の世の中結婚した時の予行練習になりますから…」
クリスタルが随分と達観したことを言う…が、レイも
「昨日も言ったけど…家目当ての男の夫よりライル様の愛人の方が私は幸せです。」
「…素直に受け取っておくよ。」
それから、レイとクリスタルも加わって賑やかになった日々を過ごしながら、今度はヴェルド達も誘ってみるのも良いとライルは考えるようになっていた。
翌日の明け方に帰ることとなった夜は、農家の人達も呼んで細やかなガーデンパーティーを開いた。有紗達も手料理をふるまい、日本料理も出て好評を得た。
「エリアの料理なんて、食べる機会がないが悪くないな。」
「使う調味料などが違うだけで、調理法の理屈は似ている部分もあるのかもしれないわね。」
ナンバーズ出身の有紗とレイにやや慎重な様子もあったが、ここ二週間でだいぶ角が取れたようだ。有紗に至っては、屋敷の料理人達から料理を習っていたという。
「侵略なんかしなくたって、良いんじゃないかな?」
目の前の光景を見て、子供じみた疑問だが、そう思ってしまった。
翌早朝にライルは三人と共に復帰した。その後も情勢はめまぐるしく動き、E.U.はスペインが降伏、エリア24となり『グリンダ騎士団』を指揮するマリーベルが総督に就任。残った国は未だに抵抗をつづけ、中華連邦は『紅巾党の乱』を皮切りに親ブリタニアの方向へとかじ取りを進める。一方、エリア11ではカラレスが強硬政策をとり、苛烈な弾圧になりつつあった。
山本らが何とか穏便にするように働きかけるが、NACの摘発に後手に回った責任などを問われて、あまり強く出られない。今ここで、カラレスの不興を買えば正に水に踵が浸かっている状況から一気に沈んでしまうからだ。
その後、本国では小規模ながら反体制テロが起きるが、既に『グリンダ騎士団』が出る必要もなく国内にとどまったライル軍を始めとした正規軍で鎮圧をつづけた。その鎮圧の功績もあり、もはやライル軍の名誉出身者を疑う声はほぼなくなり、まだ叫ぶのはライルが最も嫌う家柄や人種を笠に着る手合いだけだ。
そして、それを認められてライル自身も出立を認められる。
『狂戦士』と恐れられる皇子は皇帝たる父への疑念を抱えたまま……再び戦場へと舞い戻る。
有紗とゴールしたけど、婚約が保留になったサラに負い目を抱いてしまったライル。ある意味、紳士であるが故の不覚でしょう。でも、婚約前にそうなっているし…話だけで正式に婚約したわけでもなければギリギリ不義にはならないと思います。
そして、レイとクリスタル…同じ貴族でも親としてせめて二十歳までは待とうという母親と息子が最悪だから不本意ながら姪を結婚させて箔をつけたがる叔母に振り回されるレイ。
放任主義…に近いけど、貴族の当主と親の情の板挟みになっているクリスタルの父。同じ貴族でも自分勝手なライルの母とは大違いです。
ちょっと強引になりましたが、ここで前半は終わりです。ただ、敢えて言えば終わり方はアキトよりでしょうね。ちなみにE.U.にいる浅見、池田、海棠は前半では顔を合わせるまたは少しやり合っただけですが、どんどんライルと絡めます。
前書きにあるようにパソコンの問題で暫く休憩です。