ウマ娘プリティーダービーに度々使用される保健室
先生居ないのかな?と思って作りました。

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トレセン保健室の先生(ドクター)の日常

 僕の名前は浅上修一(あさがみ しゅういち)

 

 優秀なウマ娘が集うここ、中央トレーニングセンター学園、通称トレセンにおいて保健室の先生をしている。

 

 不調になったウマ娘に対して処置を施したり、心身のケアが主な仕事になる。

 

 理事長の命により始まったこの仕事、最初は誰も利用してくれず、物置同然になっていた僕も今となってはそこそこ相談してくれる子も増えて、ドクターとも呼ばれて皆の役にたっているとやり甲斐を感じている。

 

 そろそろ昼休みになるので、保健室のドアを開ける。

保健室のドアは常に鍵がかかっていないが、昼休みにはドアを開けて誰でも入れるようにしているのだ。

 ・・・いや、いつ来て良いんだけどもね。

 

 自分の席に戻り、飲み物を飲んで机に置く。

すると、ドタドタと走ってくる音がした・・・何故だろうか、かなり嫌な予感がする!

 

 

「いょーし、ドクター!!タチウオ釣りにいこーぜ!」

「お前か、ゴールドシップゥゥゥ!!」

 

 

 のっけからバケモンが来たんだが、マジで勘弁してくれよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※しばらくお待ちください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼェ・・・ゼェ・・・・・・ゴホン、ゴールドシップさん。それで今日はどんな用ですか?」

「タメ口で行こうぜドクター」

「一応仕事だから丁寧語にさせてね・・・」

 

 

 ドアを閉めようとする僕と開けようとするゴールドシップ。

その格闘に敗北した僕は、保健室の侵入を許してしまった・・・

 

 現在、人の悩みを我関せずと言わんばかりに飄々と保健室の椅子にどっかりと着席している銀髪のウマ娘がゴールドシップである。

 実はトレセンに入った時、初めて出会ったウマ娘で、僕の「ドクター」呼びを広めたウマ娘なのだが、未だに考えてる事がよくわかってない。

 

 さて・・・今日彼女は何をしに来たのだろうか?

 

 

「さて・・・ゴールドシップさん、今日は何の様でここに来たんですか?」

 

 

 そう言ってゴールドシップに向き合うと彼女は目に涙を浮かべ出した。

 

 ・・・馬鹿な、今の発言は問題無いはずだ。

コンプライアンスに厳しいこのご時世でもこの程度の質問に抵触するハラスメントは無いはず、

 

「ドクター・・・・・・バスケがしたいです!」

 

 ・・・は?何を言ってるだこいつは??

中央トレセンに所属するウマ娘は短距離、マイル、中距離、長距離のいずれかを選び、そのレースを目指してトレーニングをする。

 

そんなウマ娘が・・・バスケをしたいって?

 

 

「なんでだよ・・・いや、というかゴルシ!君は明日レースだろうに!どうしてバスケがしたいんだよ!」

「おっ!素が出てきたなドクター!」

「うるせぇ!お前はトレセンのウマ娘!B.League(プロバスケ)選手じゃないだろうが!」

 

 

 バスケットボール選手がバスケをするのが仕事ならウマ娘は走ることが仕事じゃないか!!そう言いかけて口を噤む。

このウマ娘、ゴールドシップは無茶苦茶なウマ娘である。それは否定できない・・・というか否定しない。

 

 ・・・しかし、彼女は意外と思慮深いというか、頭がいい。

レース前日で無意味なことをするようなウマ娘では無い・・・

つまり何か考えがあるのでは無いだろうか?

何より、トレーナーではなく僕の所に来たのだ・・・きっと特別な意味があるんだろう・・・

 

 

「・・・いいよ、バスケしよう」

「そう来なくっちゃな!行くぜっバスケットコート!目指せ日本一のゴールキーパー!」

「今から?!ちょっと準備させてって!というかバスケじゃないのか?!」

 

〜※〜

 

 

 明日レースの筈のゴルシに引きずられ、トレセン外のバスケのコートに来た。

バスケットゴールの前にゴルシが立ち、僕の手の中にバスケットボールがある。・・・俗に言うマンツーである。

 

 

マンツーとは・・・

マンツーマンディフェンスの事

攻める人が守る人にボールをパスしてそのボールが返ってきた瞬間に始まる別名”タイマン”

守る人が攻める人からボールをとる&攻める人がゴールするの2つで攻守交代

という競技である。

 

 

 当たり前だけど、ウマ娘の身体能力は高い。

走りではまず勝てないし、パワーでも同じ事が言える。

1部の例外はあれどこれは基本的、というか世の摂理である。

 

だから真っ向勝負では絶対に勝てない

 

 だがしかし、初めから勝てないからと言って諦めるだろうか?

・・・否、そんな事はしない。

 というかこいつに負けるとすんげぇ顔で煽ってくる。そんなものはムカつくからお断りだ。

人間の意地を見せてやる。

 

「うっし!行くぞ!ドクター!!」

「・・・こい!」

 

 

 バスケットボールを地面に落としては叩き、落としては叩きとドリブルを続けるゴルシ。

 彼女のパスを受け取って返す。それと同時にボールに向かって手を伸ばす。先述の通り、人間はウマ娘に勝てない。

 

 だからこそ短期決戦でなければならない。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

バスケのボールを叩き落とすように振った手はゴルシのターンによって空を切る。

 

 次の瞬間、既にゴルシは僕を通り過ぎていた。

しかし、この事態は想定の範囲内、急いで回り込むように入り、死角から再び叩き落とすように手を振る。

その瞬間、「ポンッ」と硬いものを叩く音がした。

 

(取った!)

 

 勝ちを確信し、ボールを両手で持って確認する。

・・・が、それはスイカだった。

 

 なぜだ?!・・・そう驚いている間にゴルシは華麗なステップのまま飛び上がり、ゴールポストにボールを添えるようにしてレイアップシュートを決めた。

 ・・・あぁ、目を見開いて舌を出して変顔をするな!煽ってんじゃねぇちくしょう!

 

「くそっ・・・流石ウマ娘、どっからスイカ出てきたのかは分からないが運動神経すげぇな」

「おう!次はドクターの番だぜ!」

「・・・わかったよ」

 

 ゴルシからボールを受け取り、ふぅっ・・・と息を吐いてゴルシに向かってボールを投げ渡す。

 ゴルシがこちらに僕と同じ動作でボールをパスした。

ボールを受け取り、それと同時にジャンプしてゴールに向かってボールを飛ばした。ゴルシは驚いた顔のままボールの軌道を見つめ、ボールはゴールポストに吸い込まれた。

 

 先程言った通り、真っ向勝負では絶対に勝てない。

・・・つまり勝負しなければいい。

攻守の勝負が始まる前にシュートを決めて勝負を終わらせる。

・・・何とか上手くいったわ。

 

 

「・・・こういうのってディフェンスとオフェンスがぶつかるから面白いんじゃねーの?」

「人間がウマ娘に勝てるわけないんだからこれくらいハンデでしょ」

 

 

 ・・・作戦の成功を心の中で自慢し、勝ちを噛み締めているとゴルシが転がっているボールを拾った。

「次、アタシだよな?」口角を上げ、そう言ったゴルシの目の奥には炎が見えた。

 

 どうやら・・・僕の意地は彼女の中の火を着けたらしい。

ここまで来たら・・・ゴルシが満足するまでするしかないな。

 

「もちろん・・・さぁ、続けよう!」

 

 

数時間後

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・楽しかったぜドクター!!」

「ゲッホ!ゲッホ!オエッ・・・そうか・・・・・・それは良かった・・・オエッ!」

 

 

 あれからカンパチが飛び、鼻にニラが刺さるなど様々なトラブルが起こりながらも夕方までバスケのマンツーマンディフェンスをした。

 

 ウマ娘の体力に人間がついて行くのは至難の技だが何とかやりきった。

バスケットコートにゴルシと倒れつつ、息を整えているとゴルシが話しかけて来た。

 

 

「いやぁ〜・・・最近はトレーニングばっかで面白くなかったんだよ!」

「なるほど・・・気分転換がしたかったのか・・・」

「巻き込んでごめんな?」

「そう思う良心があるなら僕を誘うのはやめて欲しかったね!」

 

 

 ・・・なんだ、つまり今日の彼女の行動は、トレーニングばかりでそれに飽きていたのだ。彼女のトレーナーは割と彼女の言う事に沿うように行動する。

 

 が、流石の彼も前日にはそれを許さなかったのだ。だからこそ僕の所に来たのだ。

・・・なんだよ、怒るに怒れないじゃないか。

 

 

「まぁ・・・こういう事は気にしてないさ、今に始まった訳でもないし・・・何よりたまにはこういうのも嫌いでは無いからね」

 

 

そういうとゴルシは起き上がり、こちらを見てニヤリと笑った。

・・・どうやら彼女の中でリフレッシュは完了したらしい。

 

 

「ドクター!明日のレース見てろよ!最っ高に面白くしてやるぜ!」

「そうか・・・期待してる!頑張ってくれよ!」

 

 

 そう言った後、彼女はトレセンに戻り、僕は遅れてトレセンに戻る。

 

 やる気になったゴールドシップ・・・これは明日のレースは荒れるだろうな・・・そんな事を考えながら僕は明日を楽しみにトレセンに戻った・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、僕はテレビの前で絶望していた。

確かに彼女はレースで圧倒的な追い上げを見せ、ぶっちぎりの1位を取った・・・()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「いえ〜いドクター見てるか〜?これがゴルシちゃんの力だぜ〜!面白いか〜?!」

 

 

 僕はキリキリとする胃を抑えながらテレビを見つめる・・・

ゴールドシップ・・・いや、ここではゴルシと呼ぼう。

 

 ゴルシ・・・あぁ、テレビの向こうからそんなことを言わないでくれゴルシ・・・

 

 僕が期待したのは君の走りである。決して君のトンデモ行動に期待をしていた訳じゃないんだ・・・

 

 というかドクターと言ったらまるで俺が共犯みたいじゃないかっ・・・誰も言っとらんだろう!そんなことっ!

 

 テレビの液晶の向こうで着せられた濡れ衣に絶望し、机に手を付く。白衣をハンカチの代わりにして涙を拭ってみようか?きっとびしょびしょになるぞ、今の僕なら。

 

 

「修一さん?お話よろしいですか?」

「あ゜・・・・・・たづなさん・・・・・・誤解です!これはゴルシによって引き起こされた卑劣な罠です!」

「お話は理事長室で。」

 

 

 いつの間にか現れたたづなさんに引きずられ僕は思った。

「これ僕悪くないよね?」と・・・しかしその思いは誰に届く訳でも無く、トレセンの空に消えていくのであった・・・




理事長「減給っ!」

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