ヤムチャしやがってとは言わせない! 作:ヤムチャしやがって……
|ω・`)コソコソ
キョロo(・ω・ = ・ω・)oキョロ
| ・ω・)ノ ⌒ ヒョイ(最新話)
|彡サッ!
あれからしばらくして、ヤムチャ一行は目的地であるフライパン山が見える位置までやってきた。
道中ヤムチャは天国と地獄を同時に味わっていたため、彼にしては珍しく目に見えて消耗しているが問題にはならないだろう。
得意の呼吸法を駆使することで、何とか平静を装いながらフライパン山を指し示す。
「見えてきたな。あれがフライパン山だ」
「ひええええっ!事前に説明は受けてたけど、何よあれっ!?」
ヤムチャにぴったりと引っ付いたままブルマが体を震わせる。
ムニッと腕を包む柔らかいナニカが形を変えるが、内心は絶叫しながら努めてクールに振る舞う。
なお、顔は僅かに強張っているが、幸いにして誰も気付いていない(プーアルを除く)のでセーフである。
「な、なあっ、もう行くのやめようぜ!このままじゃ殺されちまう!」
タイミングを見計らっていたのか、キャンピングカーの運転席から身を乗り出したウーロンが必死な様子で叫んだ。
助手席に座る悟空はフライパン山を見て「すげえ!」と目を輝かせているのは余談。
ウーロンの余りの必死さに、ブルマも不安気に表情に影を落とした。
そして、ちらりと様子を窺うようにヤムチャを見る。
「ね、ねえ、ヤムチャ。貴方なら牛魔王にも勝てるって本当よね?」
「ああ、大丈夫だ。いざという時は任せてくれ」
武闘家ではないブルマには、ヤムチャの本当の実力なんてものを推し量る術はない。
悟空を軽く一蹴してみせたことから強いことは分かるが、それだけだ。
というか、見ただけで相手の実力を推し量れるのは一部の限られた達人だけなので、現状では悟空だってそんな真似は出来ない。
言葉で大丈夫だと言われただけでは、ブルマの不安は取り除けないだろう。
とはいえ、無意味に力をひけらかすのはヤムチャの趣味ではない。
どうしたものかと頭を悩ませたところで、大きな生物に追い掛けられている気を感知した。
何故か逃げている側の方が大きな気の持ち主だが、どういう状況だろうか。
何にせよ人助けを兼ねているなら、やる気も出るというものだ。
「恐らく恐竜か何かに追われている人がいる!飛ばすぞっ、しっかり掴まっておいてくれ!」
「えっ、急に何を……って、きゃっ!?」
「お、おい!いきなり置いて行くなよ!待ってくれってばー!?」
ヤムチャとプーアルとブルマを乗せた車が急発進して、その後をウーロンと悟空を乗せたキャンピングカーが慌てて追い掛ける。
フライパン山から少し脇に逸れて車を走らせて行くと、ヤムチャの言う通り恐竜に追い掛けられる少女の姿がブルマ達にも遠目に確認出来た。
「た、大変っ!ヤムチャ、助けてあげて!」
「勿論だ!そのために来たんだからな!プーアル、運転代われるか!?」
「お任せください、ヤムチャ様!」
手放したハンドルにプーアルが組み付き、ヤムチャが車から飛び出した瞬間にヤムチャの姿に変化する。
プーアルは人間に変化すると微妙な再現度になるが、ヤムチャだけは例外である。
本人と並んで立てば瓜二つと言えるほど精巧に変化して、即座にブレーキを踏み込みながら急ハンドルで車をその場に停止させる。
強烈なGにブルマが悲鳴を上げるが気にも留めない。ヤムチャ以外には塩対応が基本なのだ。
「い、痛たっ……そ、そうだ!あの子は大丈夫なの!?」
「当たり前です!ほら、アレを見てください!」
そして、ブルマ達が目を向けた先で見た光景は、ヤムチャが恐竜を天高くまで蹴り飛ばしている姿だった。
その現実離れした光景にプーアルと悟空以外、助けられた少女も含めて目が点になった。
◆◇◆
「どうも助がっただ!」
「ええ、無事で良かったわ!どこも怪我はないかしら?」
ペコリと頭を下げた少女にブルマが心配そうに対応する。
それを見てプーアルが「何でお前が礼を受け取ってるんだ?」と言わんばかりの視線を向けているが、オレはそんなことよりも気になることがあった。
露骨すぎないように気を付けながら、少女の姿を下から上まで確認する。
最近は原作の記憶が曖昧になり始めているが、流石にこれほど特徴的な姿を見れば思い出せる。
恐らくこの少女は後々悟空の嫁になるチチだろう。
牛魔王の娘だったことはちゃんと覚えていたので、きっとどこかで会えるとは思っていた。
名前を聞ければ確信を持てるが、どうにか自然な形で名乗ってもらおう。
「話してるところ悪いな。聞きたいことがあるんだが……」
「お、おらにか?わがった、おらでよげれば」
「ああ、その前に自己紹介をしよう。オレはヤムチャ。よろしくな」
「あっ、すまねえ。おらはチチだ」
「私はブルマよ。よろしくね、チチちゃん!」
やはりというか、少女の正体はチチだった。
そりゃそうだ。この年齢でビキニアーマーにマントの組み合わせ、かつウルト◯マンみたいなヘルメットを装備している女の子なんてチチくらいのものだろう。
可愛い娘にこんな痴女のような格好をさせるなんて、牛魔王は何を考えているのやら。
将来美人になることは知っていても、まだ幼すぎて何とも思わないけどな。
しかし、原作ではチチとはどんな出会い方をしたのか覚えていないのが問題だ。
嫁を食べ物だと勘違いした悟空がくれるって言うならもらう、みたいなことを言ったんだっけ?
どういう流れでそんな会話が起きたのか全く覚えてない。
もし悟空とチチが結婚しなかったら絶望の未来よりも更に酷いことになるんじゃないか?
……考えても仕方ない。チャンスがあればリカバリーしてみよう。
「ところで、チチはなんでこんなところに一人で居たんだ?」
「んだ!おっ父から頼まれでだんだ!」
「お父さんから?近くには居ないの?こんな小さな子を一人で危ないところに行かせるなんて何考えてるのかしら!信じられないわ!」
「おっ父は離れられねんだ。泥棒が来ねえように見でいねえどいげねえがら」
「……ん?泥棒が来ないように見張ってる?なんかどこかで聞いたことあるような話だな。なんだっけか……?」
チチの言葉を聞いたウーロンが腕を組んで首を傾げる。
それには構わずオレやブルマ、偶に悟空がチチと会話していると、突然ウーロンが叫んだ。
「あっ!!?」
「ひっ!?」
急な大声に、チチがビクッと肩を跳ねさせる。
それを見てブルマとプーアルが眦を吊り上げてウーロンを睨む。
例の事件以来、ウーロンの評価は地の底のままだった。
「今度は何よウーロン!急に叫ばないで、チチちゃんが驚いてるじゃない!」
「そ、それはすまねえ……じゃねえ!それより、なあチチ!お前の父親の名前を教えてくれ!」
「はあ?あんたがそんなこと知ってどうするのよ?」
「いいから!大事なことなんだよ!」
普段はブルマに凄まれるとすぐに引くウーロンが一歩も引かない。
目の前で言い争う二人に対してチチが怯えているのを見て、オレは助け舟を出した。
「ブルマもウーロンも一旦落ち着けって。大きな声出したから驚いてるぞ?」
「「あっ!?」」
途中からチチが側にいることを忘れていたのか、気不味そうに彼女を見て二人は頭を下げた。
突然謝られたら、それはそれで慌てるのがチチである。
天下一武道会で悟空に公開告白したことは覚えているため、サバサバしたタイプかと思えばそうでもないらしい。
悟空の嫁になるという意味ではキーマン的な存在だが、主要人物というほどのキャラではなかったのであんまり記憶にないんだよな。
どうしたものかと思っていると、徐に動き出した悟空が真剣な面持ちでチチに近づいていく。
何をするのかと見守る構えでいたら、ハッと表情を変えたブルマが悟空を止めるため声を上げようとしたが、それは一足遅かった。
ぱんぱん、と。
至極真剣な表情で、悟空はチチの股を叩いた。
「!!」
「「「!?」」」
「やっぱりチ◯チンないな!お前女だろ!」
待て、何が起きた???
あまりに突然のことすぎて理解が追いつかない。
あの悟空がとんでもないセクハラをしなかったか?いやいや、見間違いか?
オレが(プーアルとウーロンも)困惑している隙に、ブルマが未だかつてなく素早く動いて悟空の脳天に拳骨を見舞った。
「だから、ぱんぱんすなっての!!」
「いっっっづ!?な、なにすんだよ!そんな怒ることやってないだろー」
「やってるわよ!パンパンで確認するのを止めろって何回言ったら分かるのよ!ごめんね、チチちゃ……!」
ブルマかそう言い掛けたところで、今まで呆然としていたチチが絶叫した。
そして、ヘルメットの額部分にある玉から悟空目掛けてビームを発射した。
「ぎええええ〜〜!!!!おめえなにするだ──!!!!」
「わっ!?」
「ひっ!?ビ、ビーム!?」
咄嗟にジャンプして躱した悟空と、ビームに驚くブルマ。
自分が標的ではないからか、したり顔で悟空を見て何度も頷くウーロンと、その背後から恐ろしく冷たい眼差しで悟空とウーロンを睨むプーアル。
そして、ビームを連射しながら「こっちさ、こねえでけろ──!!」と叫ぶチチと、敢えて何もせずに見守るオレ。
「(……そういえば初期の悟空は
それから何分か、何十分かは分からないが、命懸けの追いかけっこはチチのスタミナ切れで決着がついた。
お久しぶりです。
たくさんの感想を頂き、舞い戻ってきました。
しばらく仕事が忙しく(普段が忙しくないとは言ってない)、更新が滞ってしまったことを謝罪します。楽しみにして下さっていた方には申し訳ありませんでした。
今後もこのように一定期間更新がない時期がありますし、あくまで趣味でしかないのでエタる可能性もないとは言えません。
それでも構わないという方は、どうぞお好きに呼んでいってください。