亡霊、本因坊道策   作:へっぽこ棋士

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普通にランキングに載っててビビる、ビビらない?

やっぱ作品の力って大きいすねぇ。


第三局

 

 

 

「はい、じゃあこれ書類ね。入会金なんかも必要だから当日は保護者の人と来てね」

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

 親に院生に入ってみたいと相談し、想像以上にあっさりと承諾された数日後、俺は棋院に院生試験の申し込みに来ていた。

 

『ここが棋院ねぇ。強ぇ奴がここに集まってるってわけだ。いいねぇ』

 

———棋院自体は関西の方にもあるけどな。

 

 さて、申し込みは終わったけど今日棋院に来たのはそれだけが目的じゃない。あす姉に紹介してもらって院生の人と打つ予定がある。単純にあす姉の他の院生の人がどの程度なのかと言うのもあるけど、一番は試験に必要な三枚の棋譜作成の為だ。流石にネット碁の棋譜を提出する訳には行かないのであす姉で一枚としても後二人と打つ必要がある。

 

 今日は手合いの日らしいので終わるまで待つ事にする。一般に開放されている対局場で適当に定石集を読む。道策はその辺で人の対局を眺めているので放っておく。

 

 

 

 

 

「あ、いたわね優作。連れて来たわよー」

 

 大体一時間程度経ってあす姉がやってきた。後ろに二人、背の高い高校生くらいの人と俺と同じくらいの子を連れている。

 

「奈瀬、この子が?」

 

「そうそう!伊角君と打ってみてほしくてさ。もう一人は本田君とか和谷あたり連れて来たかったけど二人共用事あるらしいから仕方なくフクにしたわ。越智とか頼んでもどうせ来ないし」

 

「奈瀬ちゃんひどいんだぁ~。本田さんはとにかく和谷君には勝ち越してるもんねぇ~僕」

 

 背の高い人は伊角さんと言うらしい。噂の一位の人か。もう一人はフク?君と言うらしい。

 

「俺は伊角。奈瀬に勝ったんだって?すごいな。棋譜作り協力するよ」

 

「僕、福井~。みんなフクって呼ぶからフクでいいよ~」

 

「本堂です。今日はよろしくお願いします」

 

 伊角さんは高3、フクは一つ年下らしい。一位の伊角さんももちろん、小5で院生一組ってフクもすごいな。

 

「まずはフクと打ってみてよ。肩慣らしって事で」

 

『よぉし、じゃあやるかぁ』

 

 いつの間にか道策が戻って来ている。

 

「「お願いします」」

 

 あす姉と伊角さんが見守る中フクと対局を始めた。

 

 

 

 

 

 

『随分と早打ちだなぁ。雑な手もあるが、悪手らしい悪手もねぇ。この年、この速さでここまで打てんならぁ将来有望だなぁ』

 

 道策の言う通り一手一手が早い。打ち筋も少し変則的というかクセがある。人によってはこの早さとクセのある打ち筋にペースを乱されるかもしれない。

 

 フクの速度に合わせて道策も早打ちで対応している。形勢はこっちの有利だ。まぁ早打ちは読みが浅くなる分、勘と経験に比重の寄った打ち方だ。実質数百年の経験を持ってる道策の方が明らかに上だろうな。

 

「フクは相変わらずだが、本堂も随分と早打ちだな……でも、一手一手は鋭い。早打ちによる雑さをまったく感じない」

 

「私と打ってる時は別に早打ちって訳じゃないからフクに合わせてるのよ。優作、早打ちもいけるのね」

 

「まぁ、ネットだと持ち時間は基本短いからね。フク程じゃないけど基本みんな早いよ」

 

「早打ちの人ってあんまいないんだよね~、本堂君はテンポ良く打てるから打ちやすいよ~」

 

 話しながらも打つ手は止まらない。既にヨセに入ろうかと言う盤面だ。手を止めて考え込むフク。

 

「う~ん。……だめだぁ~!ぜーんぜん足りないや!負けました」

 

「ありがとうございました」

 

「此処はもう少し考えた方が良かったんじゃないか?元々押され気味だったけど此処で形勢が明らかに悪くなった」

 

 伊角さんがフクに助言している。

 

『兄ちゃんの言う通りだなぁ。早打ちは重要な局面でその分考えられるのが強みだ。その辺を見極めて考えられるようになったらもっと伸びると思うぜぇ』

 

———今回は持ち時間も何もないけどな。でも、もうちょい考えた方がいいのは間違いないな。

 

「流石優作!まぁフクには勝ってもらわないと困るんだけどね。本番はこっからよー?一組一位の伊角君が相手なんだから!」

 

「ひどいな~。奈瀬ちゃんも僕と変わらないくらいなのにね~」

 

「今の一局を見せられた後じゃ、あんまりハードルを上げられると打ちづらいなぁ」

 

 フクに代わって伊角さんが座る。院生一位か……、どんな碁を打つのか楽しみだな。

 

『奈瀬の嬢ちゃんも今の子も抑えて一位の子か。楽しみだぜぇ』

 

 

「「お願いします」」

 

 

 

 フクとは違い、序盤から時間をかけながら手を進める伊角さん。

 

『さっきの子とは違って時間をかけるタイプだなぁ。布石をしっかり固める打ち手……そんでもって基本に忠実な打ち筋だぜ』

 

———でも実際は持ち時間があるよな?後半時間がないとそれはそれで苦しいんじゃないの?

 

『そらぁそうだが、布石の出来次第で中盤からの打ちやすさは段違いだからなぁ。囲碁ってのぁ後半、盤面が埋まる程分岐は少なくなる。長短はあるが、一つの時間の使い方としてはアリだぜ?』

 

 まぁ、確かに。でも分岐が多すぎて相手次第でどれだけ考えても腐る可能性も高いし……道策の言う通り、一長一短って感じだな。

 

 

 

 そろそろ中盤に差し掛かる頃だ。まだ形勢はどちらとも言えないな。

 

 

 

 

 

〇●

 

 

 

 

 

 俺も本堂も、序盤は消極的に進めていた。いや、俺に合わせているだけか……。奈瀬が言ってた通り、さっきはフクに合わせてただけみたいだ。

 

 

 

 ……右下の俺の白地、その要の石にツケて来た。そろそろ開戦するとは思っていたけど向こうから来たか。受けるか、攻め合うか……。さっきのフクとの一局を見るに、かなり受けるのが上手いように見えた。攻め合いに出ようとすれば上手く受けられて、そのまま流れを持っていかれる可能性が高い。

 

 受けだ。本堂の攻めを誘いつつ受けて、隙をついて地を固めていく。攻めは未知数だが、さっきの一局を見るにあの受けを崩すのは容易じゃない。攻めさせた方がまだやりやすい筈。

 

 俺が受けた事で本堂の手が一瞬止まるが、またすぐに打って来た。そのまま右下を攻めてくる事にしたか。

 

 

 

 

 くそ、良い所に打ってくる……。受けるのに手いっぱいで地を固める余裕がない。このまま受けきれるか?いや、ここからじゃ攻め合いに出ても不利だ。

 

 

 

 本堂の一手。思わず手が止まった。

 

 この手は……、そうか。そのまま上辺に繋げるつもりか……!まずい、そのまま受けてはそれこそ繋げられて上辺が死ぬ。でも上辺を守ろうとすればそのまま右下が押し込まれる。くそ、この手は読めてなかった……!

 

 だめだ、受けきれない。攻め合いに移行するしか……。

 

 

 

 

 

〇●

 

 

 

 

 

 お、攻め合いに来た。って事は道策の狙いに気づいたのか……でもどうなんだ?流石に今からじゃ間に合わないんじゃ……。

 

『ちょいと気づくのが遅かったなぁ。上辺に気づいて意識しながら受けてりゃあまだ受けは成立したろうが……躱すにも攻め合うにも流石に間に合わねぇなぁ』

 

 あぁ、やっぱり。そのまま何手か進めたけど、しばらく考えた後に伊角さんが頭を下げた。

 

「……ありません。くそ、此処の手には気づかなかった。上辺に繋げるのは最初から狙ってたのか?」

 

「ありがとうございました。そうですね。伊角さんが受けなかったらそのまま右下で攻め合うつもりでしたけど、攻めてくる気配もなかったんで、正面から崩しに行くよりも上辺に繋げて崩した方が楽だと思いました」

 

———合ってるよな?

 

『おぅ。あってるぜぇ』

 

 対局中も道策が考えてる事はある程度流れ込んでくる。道策がどんな意図でその手を打っているのか、碁が打てるようになればなる程、深く理解出来るようになって来た。

 

「伊角君より強いとは思ってたけど、ほんとに勝っちゃったわ……」

 

「すごいなぁ~。ここの手、僕もぜんぜん気づかなかったよ~」

 

 フクと伊角さんとの棋譜を書き込んでいく。暗記は得意だからな、えーとこう打って、こう来て……こうで……。

 

「囲碁を始めてから半年も経ってないって聞いたけど、どうやって勉強してるんだ?」

 

「棋譜や定石を漁るのも、実戦も、全部ネットですね」

 

「へぇ……あぁ、敬語はいいよ。院生に入るならこれからは仲間だ」

 

「僕パソコンはまったく分かんないや!」

 

 会話しながら棋譜を埋める。正直その辺はあまり突いて欲しくないんだよなぁ。半分くらいただの方便だし……。

 

「書き終わったわね。じゃあ次は私と打つわよ!」

 

「え?あす姉の棋譜はもう書いてるじゃん」

 

「それは前のでしょー?新しい棋譜の方がいいんだから、ほら!早く早く」

 

 いや、まぁいいけど。

 

「俺も後でもう一局いいか?」

 

「僕も~」

 

『いいねいいねぇ。楽しくなってきたぜぇ』

 

 はいはい、じゃあ打ちますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇●

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 試験当日、俺は母の同伴で棋院に来ていた。試験室前の通路、対局場を覗くとあす姉が打っているのが見える。

 

『ここにいる子らぁ全員がプロを目指してる訳だなぁ』

 

「じゃあ私、下にいるからね」

 

「うん、試験終わったら呼ぶよ」

 

 下に時間を潰しに行った母を見送り対局場を眺める。そこへ、同じく試験を受けに来たんだろう子がやってきた。俺と同じくらいの、前髪を金髪に染めた少年だ。

 

 攻めた髪色してんなぁと思うのと同時に、何か他とは違う雰囲気を感じ取る。なんだろう、なにか……。

 

『……』

 

 道策もその現れた子を見て黙っている。

 

———なぁ道策。あの子、何か感じないか?

 

『ん?あぁ……そうだな。他とは違う何かを感じさせやがる……。よく分からねぇが、一つ言える事はああいうやつぁ伸びるぜ』

 

 

 

「ここからだ……ここから打倒塔矢アキラが始まるんだ!」

 

 

 

 その少年の言葉が耳に入る。打倒塔矢アキラかぁ、言うねぇ。まー目標が高いのはいい事だな。

 

 

 そんな事を思っていると、その少年と目があった。向こうも何かを感じたのか交差した視線が絡み合う。

 

「……なぁ、お前も試験受けにきたの?」

 

 そうしていると向こうから話しかけて来た。

 

「そうだよ。そっちもそうでしょ?」

 

「あぁ、オレ進藤ヒカル!よろしく」

 

「本堂優作です。よろしくね」

 

 見た感じ、活発そうな感じで囲碁と言うよりも外で遊んでるようなタイプに見える。人なんて外見じゃ分からないのは当然だけど。

 

 俺よりも一つ上らしいけど敬語なんていいと言われたのでそのまま進藤と話していると試験部屋から女の子が出て来た。泣いている所を見ると落ちたらしい。

 

「君達が残りの受験者の子達だね?じゃあそこの君から……」

 

「あ、先生。そっちの子……本堂君の方が先に来ていたので……」

 

「えぇー!オレ最後かよぉ」

 

 顔を顰める進藤。見るからに待つのとか苦手そうだもんな、その辺りは見た目通りだわ。

 

「俺最後でいいですよ。進藤、先に受けて来なよ」

 

「マジ!?サンキュー!」

 

 俺の言葉に手を振りながら試験部屋に駆けこむ進藤に慌てる先生。

 

「あ!ちょっと君!……まったく。じゃあ君はもう少しここで待っててもらえるかい?気になるなら今、院生の子達が対局してるから見学しててもいいよ」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 

 

 先生の言葉に甘えて見学させてもらう。奥の方にあす姉や伊角さん、フクがいるから向こうが一組かな。俺の存在に気づいたみたいだけど対局中だから俺の方から手を振るだけに留めた。道策は上の方でふわふわと浮かびながら全体を見渡している。

 

 

 大体は中盤に差し掛かる頃合いだ。フクは……やっぱ展開が早いな、形勢は互角って所か。

 

 

 しばらく眺めていると俺の名前が呼ばれたので向かう。部屋から出て来た進藤は笑顔で親指を立てているのを見るに合格したらしい。

 

「進藤君はお母さんを呼んできてくれるかな?係りの人が説明をするからね」

 

「分かっ、りました!本堂も頑張れよ!」

 

「あぁ」

 

 進藤を見送って、先生と部屋に入る。

 

「じゃあ本堂君はそっちに座って、保護者の方は?」

 

「下にいます。これ書類と棋譜です」

 

「ありがとう……。へぇ、奈瀬さんに伊角君に福井君か。奈瀬さんと知り合いとは聞いてたけど二人とも知り合いだったのかい?」

 

「いえ、棋譜作りの為に紹介してもらって」

 

 質問に答えながら先生が書類と棋譜を見るのを眺める。

 

「伊角君にまで勝ってるのか……!囲碁歴は……五カ月!?君、この志願書に書いてるのは本当かね?」

 

「は、はい。一応」

 

 食い入るように棋譜を見る先生。そりゃ突っ込みたくなるだろうけど、嘘つくの気まずいからこのやり取り嫌なんだよなぁ。いや嘘じゃないけど嘘と言うかなんと言うか……。

 

「五カ月でこれ程の。倉田君……いや、それ以上の才能だ……」

 

「あの、打たなくていいんですか?」

 

「……そうだね。棋譜を見る限り十分実力があるのは分かったけど一応打とうか。三子……、いや二子置こうか」

 

———置石はあるけど、れっきとしたプロの人と打てるぜ。道策。

 

『あぁ、石置くのはちぃと残念だがぁ楽しませてもらうかぁ』

 

 

 

 

 

 手を進めていく。いくらプロとは言え道策相手に二子は致命的なハンデだ。あまりに大差で勝っても問題があるから石を置いた分のリードをがっちり守るように対局を進めていく道策。

 

『流石はプロって所だなぁ。こっちが守りに入ってるのをみて全体を通して荒しに来やがった』

 

 そう言いながらも道策は先生の荒し手を的確に処理していく。流石だなぁ。受け損ねたらそこから崩されるだろうけど道策に限ってミスをする事はないだろうな。

 

 

 

「うん、この程度でいいかな。棋士としてはまだ打ってみたい所だけどこれは試験対局だから……。二子分の有利をしっかり固めて打ててるね。私の荒らしも冷静に対応されてしまったし、正直君に二子を置いての対局は無理があったかもしれないね」

 

「ありがとうございました」

 

『残念だがぁ先生の言う通りだなぁ。次は互先で打ってみたいもんだぜ』

 

「じゃあ保護者の方を呼んで来て貰えるかな?試験は君で最後だから私の方から説明するよ。もちろん試験は合格だよ」

 

「ありがとうございます。じゃあ母を呼んできますね」

 

 

 

 

 

 

「冷静な子だなぁ。普通はもっと喜ぶものだけど……」

 

 

 先生の呟きを背に俺は部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 母を呼んで上に戻って来た俺とすれ違う様にして進藤が母親と歩いて来た。

 

「あ、本堂!受かった?」

 

「あぁ、受かったよ」

 

「良かったなぁ!明日からよろしくな!……じゃ、じゃあオレ帰るから!」

 

 少し慌てた様子で足早に去って行く進藤。

 

 何慌ててんだ?あいつ。謎に慌ただしく帰って行った進藤を余所に進藤の母は俺達に軽く礼をしてその後を追って行った。

 

「本堂君のお母さんですか。では院生について軽く説明を行うのでこちらに……本堂君はどうする?」

 

「あす姉……奈瀬さん達に受かった事を伝えてきます」

 

「そうかい。じゃあ行っておいで」

 

「はい。じゃー母さん。終わったら呼びに来て」

 

「分かったわ。明日美ちゃんによろしくね」

 

 

 母と先生と別れて対局場に足を運ぶと、もうほとんどの対局は終わって検討や片付けに入っている。

 

「優作!受かった?……って聞くまでもないわよね」

 

「おかげさまで受かったよ……あす姉は今日の対局どうだった?」

 

「勝ったわよ!」

 

 それは良かった。

 

「僕負けちゃった~。やっほ~本堂君」

 

「久し振り、フク。俺が覗いた時は互角だった思うけど……」

 

「あの後打ち損じちゃった~。そのまま形勢を返せなくて中押し負け」

 

 まぁ、早打ちの悪い所が出たって感じだな。奥の方から伊角さんが少し歳上っぽい少年を連れてやって来た。

 

「よぉ本堂。試験……は当然受かったよな」

 

「うん、おかげさまでね」

 

「伊角さん、こいつって前に言ってた?」

 

「あぁ、前に俺とフクが打った……本堂、こいつは和谷、一組でも上位なんだぜ」

 

「本堂です。よろしくお願いします」

 

 和谷……。あぁ、あす姉がこの前連れてこようとしてた人か。

 

「堅苦しい敬語なんていいぜ。俺は和谷、よろしくな」

 

「そういえばさ、さっき伊角君たちのとこ騒がしかったけどなんかあったの?」

 

 あす姉が伊角さんに聞いた。道策が余所の検討を覗き見てるのを眺めながら俺は二人の会話を聞く。

 

「それがさ、本堂の前に合格したやつがあの塔矢アキラのライバルらしいんだよ。塔矢がそいつと打つためだけに囲碁部に入って大会に出たって」

 

 伊角さんの代わりに和谷が答える。俺の前って……。

 

「それって進藤の事?」

 

「そういえば名前聞いてなかったな……ほら、前髪が金髪の……」

 

 やっぱり進藤のことらしい。ほーん、ただの目標とかじゃなくて本当にライバルなのかぁ。

 

「なにそれ?なんでそんなやつが院生に入る訳?」

 

「さぁ?それにそんな事言ったら本堂も同じようなもんだろ?」

 

「僕も奈瀬ちゃんも伊角さんも、本堂君に一回も勝てなかったもんねぇ~」

 

 フクのその一言に対局場に残ってた人達が騒めく。フクお前、余計な事を……。いや遅かれ早かれバレる事だけどさ。

 

 

 そこへ説明が終わったらしい母がやって来た。

 

「優作。帰りましょ……明日からこの子がお世話になるので、よろしくお願いしますね」

 

 母の言葉にみんなが頭を下げる。

 

「じゃあみんな、また明日」

 

「そうだ。明日美ちゃんも乗って帰る?ついでに送っていくわよ」

 

「おばさんほんと?やった!じゃー私も帰るわ、じゃあね!」

 

 みんなに手を振って母とあす姉と対局場を後にする。

 

 

———道策、帰るぞ。明日からは院生で対局だからな、負けるなよー

 

『あったりめぇよ。こんだけのプロを目指す子らと打てんだぁ、楽しみでしょうがねぇぜ』

 

 

 

 

 

 

 

〇●

 

 

 

 

 

 

 

「塔矢アキラのライバルに、伊角さんでも勝てない本堂か……。これは荒れるかもな」

 

 和谷の言葉に、その場にいた者達は息を呑むのだった。

 

 

 

 

 

 

 




展開早いけどこのまま突っ走る。院生編突入や。
亡霊は互いに見えてないです。もちろんヒカルも優作も見えてません。桑原のじいさんみたいにこいつなんかあるな……くらいのを感じる程度です。


キャラの年齢関係とかもしかしたら間違ってるかもしれないけど流してもらって……。
対局描写もそれっぽい事頑張って書いてるだけなんで各自脳内補完してください。いけるいける。

超好評そうなら続く。
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