100万のウルサス軍に対抗してみた。by.マンネルヘイム   作:チト 熟練見張員

8 / 8
だぶちちゃんかわいいね。

それはそうと、アイリーニ目当てでガチャ引いたら、ええべんほるつぅ?なる訳の分からんリターニア野郎が来たのですが??どこのドイツフランスだか知らねぇが、頼むから石返してくれメンス。


第七話 生存氷路(上)

1081年12月

15:00

ウルサス北原

天候:雪

 

 

 

 

雪は、音を奪うように静かに降り続いている。

白い森の奥から、人影が一列となって現れる。厚着の防寒具に身を包み、ヨレたウシャンカ帽(飛行棒)や鹿皮の帽子を深くかぶった村人たちは、肩に積もる雪を払う余裕さえなく、ただ前へと足を運んでいた。列の中には、大きな木箱を積む不格好な見た目のソリも何台か混じっている。

 

そんな列の中に、一際目立つ人物がいた。

 

見慣れないグレーの軍服にギャリソンキャップを被る、サルカズの妙齢の女。

彼女は、腰には大きく湾曲したコサック・サーベル(シェシェカ)を吊るし、足に装着した自作のスノーシューで雪を押し固めていく。後に続く者たちは、彼女の押し固めた道を辿って進んでいた。

 

 

「おい、あとどれくらいで次の村が見える?」

 

「この分ですと……あと2時間はかかるかと……」

 

 

後ろを歩いていた男の声を聞いたサルカズの女は、大きく後ろを振り返って列を見渡す。

木々が生い茂る森林であるのに加え雪が降っている為か、1kmと先は見えない。列は森の奥の方までずっと続いて、最後尾が見える気配はなかった。

 

 

「後ろはちゃんと着いてきているかね?」

 

「猟師たちの悲鳴が聞こえませんから、着いてきている筈です」

 

 

猟師の男は息を白く吐き、進路の外側を指す。そこには、列から離れた場所で先へと滑っていく、スキー板を履いた猟師がいた。

列を形成する大荷物の人々とは違い、軽装に弓矢とスキー板の猟師たちはその慣れたスキーの腕を買われて、列の警護と共に最後尾と先頭集団との連絡役も兼ねていた。

 

 

「風が出てきた……なんとか日が落ちる前に、村の近場まで進んでしまいたい。」

 

「本当に村があればですが」

 

「安心しろ、なにせあのトランスポーター?とか言う輩に金を積んで得た情報だ。」

 

「……もし無かったら?」

 

「その時は来た道を引き返して、あの糞リーベリ(トランスポーター)の羽を毟り取る」

 

「そうする前に俺たち凍死しちまいますよ。」

 

「はっはっはっ」

 

 

“村長”と呼ばれたサルカズは、腰に手を当てて笑った。

男は、もし今夜中に村が見つからなかった場合の未来を思い浮かべ、苦笑いで雪の向こうに消える列を見やった。

 

 

 

**********

 

 

 

マンネルヘイム達は、当初の計画に沿って一路北へと向かっていた。

 

切り立つ崖

絶望的な冷寒地

未踏域

 

それらの懸念事項を押し除けて北を選んだのは、ソリがもっとも活きるのが雪原だったからだ。荷車では到底運べない量の生活物資を、雪の上なら引ける。その他にも__西南東に向かうには余りにリスクが大き過ぎるという点や追跡の手の意表をつける点に加え、極点に近ければ天災の発生確率が下がるというレガソフの助言なども住人らの決断を後押しした。

 

とは言ったものの村にはそれほど多くの数のソリは無く、急遽ソリを作ることとなった。

そこで村人達は、もう村にもでってこないと割り切り、家々の壁や柱を引っこ抜いてソリに作り替えたのだった。

 

 

その結果、村の引越し作業は致命的に遅延した。

当初は1週間で村を出る予定だったが、家を解体してからのソリ作りは困難を極め、結果的に村の出立は二週間と遅れをとっていた。時間が経てば経つほど行動範囲が狭まり、監視隊に追い付かれる可能性は高くなる。

 

マンネルヘイムは表には出さずとも、内心焦りを感じていた。

歴戦の猟師らに数少ないスキーを配備し警戒にあたらさせているのは、いち早く監視隊の接近を察知するための偵察という側面もあった。

 

 

 

 

**********

 

 

 

「すまないが、この村には君たちに分け与えるだけの食糧はない。」

 

「冬が迫り、万が一に備えて食糧を余分に温存しておきたい気持ちは痛いほど分かります。ほんの少しでいいのです。どうか、少しの恵みを……」

 

「無理だと言っているだろサルカズ!!」

 

「………」

 

「ッ………すまない、だが本当に私たちも余裕がないんだ…君たちには誠に同情を禁じ得ないが、諦めてくれ」

 

 

 

1081年12月

15:00

ウルサス北方雪原

天候:曇り

 

 

数度の休憩を挟み、マンネルヘイムら一行はトランスポーターの言っていた村へと到着した。だが、そこは噂に聞いていたほど豊な村ではなく、あわよくばその村で冬を越そうと考えていたマンネルヘイム達にとっては、期待外れの結果となった。

 

元村長のお爺さんは、せめて子供達だけでも2ヶ月ほど村で預かっていてくれないかと頭を下げたが、村の村長は首を縦に振らなかった。

 

 

 

 

「とんだ期待はずれだな村長。」

 

「そうかっかするな。冬を前に彼らも厳しいのだ。」

 

「でもよ?アイツらーーー」

 

「幸い、村の横の平原で一日泊まることは許してもらえた。それだけでも、よしとしよう。」

 

「…………ああ。」

 

 

 

『アイツら、村長の頭の角を見たとたんに顔色を変えやがった。』

その言葉はマンネルヘイム自身の声によって遮られた。

 

村に最初に挨拶行った際、村人達は妙な視線を感じた。

感染者のレガソフは、無用の衝突を避けるために村には行かなかった。

 

応対した相手村の村長とのやり取りで、マンネルヘイムはなんとなく自分らが歓迎されていない事に気づいていた。だがその理由までは察っすることができず、この村はよそ者に冷たい雰囲気なんだなぁ……くらいにしか思っていなかった。

 

だが、同行した村長達にはその理由にピンと来ていた。

最初に村長が握手しようと一歩出た時、相手村の村長はその視線を一瞬マンネルヘイムの頭の上へと向けた。その一瞬の動作だけで、村人達は理解した。

 

 

 

 

“あっ、不味い。ウチの村長(グスタフ)サルカズだったわ”*1

 

 

 

 

 

村人達からすれば、マンネルヘイムがサルカズなのは今更である。が、他所のウルサス村からすれば、たまったもんじゃない。

 

『サルカズは魔族』

 

という、チェルノボーグのガキでも知ってる一般教養が、この村人らには欠けていた。

さらにウチの村長(マンネルヘイム)は、自分が忌み嫌われるサルカズであるという意識が低い。というか、村でサルカズはマンネルヘイムだけなので、村人達もわざわざ本人に言う必要もないかぁ、と呑気に構えていたのだった。

その結果が、今回の惨事である。

 

 

「………まぁ、村長が気にしてないならいいけどよ。」

 

 

数年ほど前、村長が観光ブックを引っ張り出してきて「いつかラテラーノ旅行に行きたい」と本気で言い始め、その場にいた村人たちが冷や汗を流した日を思い出す。野営の設営に向かうマンネルヘイムの背中を眺めながら、村人はそう独りごちた。

 

 

 

**********

 

 

 

村人達はテントを設営し終え、それぞれ焚き火の前に固まっている。

すでに日は落ち、辺りは暗くなっていた。

 

村人達は焚き火で暖をとりつつ、鍋で具材を煮込んだりしていた。

 

雪が降りつけるウルサス極寒の夜は、温かい食べ物を食べて身を温めなければ、朝を無事に迎えられない。必然的に、村人達の夕食は鍋が中心だった。新鮮野菜などを全て保存食料に変えてしまったため、鍋にでも入れておかないと食えたもんじゃない、というのもあった。肉と一緒に煮込んで鍋にしてしまえば、たいていの物は食べれるようになる。幸いにも、猟師総出で森の中を進む彼らは、獲物に困ることはなかった。

 

 

「「「宴だ!!」」」

 

 

数人の村人たちが広場の真ん中に陣取り、アコーディオンやチェロで演奏を始める。

村人達はその陽気な音楽に耳を傾けつつ、宴というには少しばかり豪華さの足りない鍋を囲んだ。要は気持ちの問題だ。毎日数十キロの雪原を進む彼らにとって、夕食の宴は数少ない娯楽となって村人達の心の支えの一つになっていた。

 

 

「……………」

 

 

そんな侘しくとも明るい村人達の宴を、村の外から眺める小さな影があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、可笑しな事を言っていいか?」

 

 

広場から少し離れた場所。

宴の騒音から離れたここでは、数人の猟師たちが静かに酒を酌み交わしている。マンネルヘイムは、道中負担をかけている猟師たちへの労いを込めて、自らの秘蔵の酒を振る舞っていた。

 

 

「なんです村長、改まって」

 

「私は天使が見えるようになったらしい…」

 

「……は?」

 

 

メンネルヘイムは神妙そうにそう言って、わなわなと遠くの方を指さす。

それに釣られて、同じ火を囲っていた数人が目線を向ける。

 

 

「あの丘の木陰に、光輪を浮かべる少女の身姿の天使が見える…」

 

「「あー……」」

 

 

 

そこには、光輪を浮かべた少女が、確かに村の広場の方を覗いていた。頭の上に天使の輪っかがついている奴なんて、サンクタ以外あり得ない。

良識ある猟師たちは、果たしてこの世離れした村長(サルカズ人)に、サンクタ(敵対種族)についてどう説明するべきかと頭を捻った

 

 

「グスタフの旦那、もしかしてサンクタは初めて見ますか?」

 

「サルカズなのに??」

 

「おいバカよせ」

 

 

慎重に言葉を選んで説明を試みようとするも、別の猟師が寄った勢いで配慮をぶった斬る。脇にいた猟師が、慌てて度数の高い酒瓶をその猟師の口にねじ込んみ黙らせた。

 

 

「サンクタってぇのは、ああいう風に光輪がついてる種族のことでさぁ……」

 

「よかった、天のお迎えでは無いのだな。」

 

「なんでもサンクタは全員“銃”を使うのが上手いんですわ……」

 

「ふむ?“エルフに弓”“ドワーフに斧”みたいな感じか」

 

「ドワ…なんて?」

 

「なぜそこでエルフが出てくるんですかね…」

 

 

はてなマークを浮かべる猟師たちをよそに、マンネルヘイムは新しいお椀に鍋をよそって、席を立つ。

 

 

「……?どこへ行くので?」

 

「こんな寒い夜に突っ立っているのはさぞ寒かろうから、少し鍋のお裾分けを持っていく。」

 

「「「え」」」

 

「君たちはここで続けたまえ、残りの酒はくれてやる。あまり大人数で行っても、萎縮させてしまうからな。」

 

「ま、待ちなよ村長……!」

 

 

しかし村長はもう歩き出していた。

サルカズ(敵対種族)のあんたが一番萎縮させるだろ…』

猟師たちは、サンクタの少女に同情した。

 

 

 

**********

 

 

 

「………。」

 

 

サンクタの少女が、木陰に身を隠しながら立っている。

この氷点下を軽く下回るウルサスの冬夜に出歩くには些か心許ない服を着る彼女は、遠くの広場で楽しそうに宴をする来訪者たちを、目を細めて眺めていた。

 

 

「いいなぁ……」

 

 

そうボソッと呟く彼女の手は、寒さにかじかみ震えていた。

 

 

 

 

 

「君も混ざるかい?」

 

「ッ?!」

 

 

不意に背後からかけられた声に、少女は悲鳴を漏らした。

振り返るとそこには、灰色の軍服を着込み頭に2本の角が生えた妙齢のサルカズの女が、笑みを浮かべながら立っていた。

少女の顔から血の気が引く。

 

「ひっ……あっ……ッ……」

 

 

サンクタは言葉が出ず、後ずさる。

その様子に、サルカズははてなマークを浮かべて距離を詰める。

 

 

「?どうした、君も混ざりたいんじゃないかね?」

 

「ご…ごめっ……わた……ヒッ…」

 

「実は鍋をお裾分けにと持って来たのだが、もしよければ君も」

 

 

サルカズが何か言っているが、それどころじゃないサンクタの少女にはサルカズの言葉は聞こえない。かろうじて頭に入ってきた言葉が、『鍋』と『君』それから『混ざる』だった。これだけ聞いたら、狂気である。

 

背中が木にあたり、これ以上逃げ場がない事を悟る。

その事実に、サンクタの少女の視界は溢れだした涙で歪み始める。

がそれに気付かないサルカズは、笑みを浮かべながらこちらに手を伸ばす。

 

 

「たッ………」

 

「た?」

 

 

サンクタの少女は力が抜け、その場でへたり込む。

目をギュッと瞑り、叫び声を上げた。

 

 

「食“へ“な“い“て“く“た“さ“い“ッッッ!!!」

 

「………は?」

 

 

サンクタの少女は、大声をあげて泣き出した。

その様子に、なんで泣かれたのか分からない村長がポカンと口を開ける。

 

 

 

「あーあ…」

「言わんこっちゃない」

「賭けは俺の勝ちだな」

 

 

その様子を遠くから眺めていた目のいい猟師たちは、その結果に一喜一憂していた。

*1
致命的に遅すぎる気付き




次回、ついに原作キャラ登場予定!!!!!!!!!!!
みんな誰が登場するか、コメ欄で予想してみてね!!(露骨なコメ稼ぎ)

え、マンネルヘイムのガワが既に原作キャラだって??
………勘のいいフェリーンは嫌いだよ。

小説の読者層を調査したいのですが…

  • プリースティスに脅されて…
  • 一般通過ミリヲタor歴史ヲタ
  • ドクターだし歴史も好き
  • チャリで来た(未プレイ、未履修)
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