『死柄木弔』という名の災害者   作:伽華 竜魅

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明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。




歯車を狂わせる

 

 

 

 

「――風鳴翼のライブだ?」

 

「ぜひともあなたの力をお借りしたいのであります」

 

あれから数日が経過して、半異形型のガキ……エルザってガキが俺の元に訪ねて来て最初に言ったのがそれだった。

 

「もう一人のノーブルレッド、ミラアルクが一人で乗り込み襲撃するつもりでしたが、是が非でもあなたの力が必要だと思い尋ねさせていただきました」

 

「尋ねさせてって、テメェはようやく俺が見つけたいい隠れ家にちょくちょく顔出してきてんだろ」

 

そう、こいつどういうわけか俺がいい隠れ家を見つけて、そこ住み込むようになってからというもの暇なのか?と思い込むほどに顔を出してくる。

そもそもどうやってここが分かったのかもわからねぇ…イライラする。

 

「あなたから預かった聖遺物は今も研究と兵器としての改造を進めています。これでも、私めらに協力しないと?」

 

「……」

 

なるほど。つまりこっちはお前の要望に応えてやってんだから、そっちもこっちの言うことをある程度聞く道理はあるはずだってことか。

するとエルザは「それと」と言いながら俺に積み物を渡してきた。

 

「これは私個人として渡しておくであります」

 

中身は…通信機か。

聞くとノーブルレッドは互いにテレパス的な感じで脳内での会話が可能だとか……便利な力もあるんだな……そういや、ドクターが改造手術と同時に俺の脳も賢くするとか言ってたっけ?

 

この案が思い浮かんだのは、それもあるのか?

 

「おい、お前らのそのテレパスは電波的なやり方か?」

 

「……? 具体的なやり方は私めもわかりませんが、大体はそのような感じかと……」

 

なら試してみるか。

エルザに近づいて頭部を掴む。

『崩壊』も先生の"個性"も発動せずに、別のを発動させる。

 

『電波』+『サーチ』+『思考操作』+『意思共有』。

一部は先生が感覚器官を失っているときに補い上回るために多く集めた"個性"。

それらをうまくやってみれば……。

 

『あー、聞こえるか?』

 

「ッ! て、テレパス…!?」

 

どうやら成功らしいな。

こいつらのテレパスが脳的周波数の電波なら『電波』で干渉する。

そしてどれだけ遠くだろうと補足し弱点も見ることが出来る『サーチ』で位置座標を特定。

 

『思考操作』と『意思共有』で俺の脳内の言葉を贈るのと、こいつらのを受け取るという何ともまぁめんどくさくて複雑すぎるやり方だ。

こんな考えを思いつくのはもしかしたら、亡き先生の思考だけが俺のと混じっちまってる可能性があるな……気持ち悪いな。

 

「これで通信機で変な盗聴は無視できんだろ」

 

「……何でもアリでありますね」

 

「そりゃあな。それが俺の力なんだ。んじゃ、決行日が決まったら呼べよ。それと、あくまで俺があんたらに頼みごとをしているからって理由だ。それが無けりゃ俺は協力してない」

 

「十分であります」

 

「ならいい。それと風鳴翼のライブを襲撃する理由は?」

 

「ある聖遺物の回収に失敗しましたが、そちらはヴァネッサが率先して向かっています。風鳴翼に関しては戦力を削るのもそうですが、風鳴訃堂の命令でもあります。こちら側に引き入れるためとか……」

 

へぇ、内側と外側からか。

それに俺が昔爆豪を引き入れるのと同じような感じってやつだな。

面白れぇ……あんな悲惨なことがあったのにライブする奴の心、へし折ってやるか。

 

 

——◆——

 

 

決起日。

時刻は日が沈み夜。

無駄にバカでかいライブ会場の上空に俺らは浮いていた。

 

おまけにバレないよう俺の用いる"個性"たちで潜伏済み。後は時が来たらだ。

 

「にしても驚いたぜ。エルザが接触したときは冷や冷やしたが、まさか本当にウチら以上の化け物なんてよ」

 

「あ? お前だって吸血系の化け物だろうが」

 

「ふざけんな。ウチらは人間に戻るためにこういうことしてんだ」

 

人間に戻りたいねェ……その力に頼っている以上、元の暮らしに戻っても後悔が来るかもしれないってのに。

まぁ俺も『崩壊』は埋められたものだが…先生の力とかは全部欲した結果だしな。

にしてもよくあんな涼しい顔で歌ってられるな。

 

「確認する。風鳴翼以外は殺していいんだな?」

 

「おう。んでその風鳴翼はウチが狙う。隙をついて刻印を刻み込んだら任務完了だ!」

 

「へぇ…心を縛り付け操るってか。まさに(ヴィラン)だな」

 

するとようやく歌が止まり、ミラアルクはそれに合わせてアルカ・ノイズを大量に召喚していった。

俺も"個性"の発動準備にかかる。

 

「行くゼ!!」

 

「わぁーってるよ」

 

アルカ・ノイズが飛び出し、それに合わせて俺も飛び出す。まずは電波妨害。

 

「『電波』+『押し出す』+『重荷』+『倍加』!!!」

 

巨大な電波が空気と共に会場全体を包み込んで電波を妨害した。

その間にも地面に着地したアルカ・ノイズ共が一般人どもを殺していく。

骨も残らない完全消失……いい気味だ。

 

あぁそれでも逃げ切ろうとする奴らがいるなァ……そうだな。

先生の言う通り、死体という手土産は必要かもな。

ヒーロー共と違って一般人共はその術がないからなァ…!!!

 

だったら『鋲突』+『拡散』で貫いてから…『雷撃』と『貫通』を『鋲突』を通して発動して確実に殺していく。

 

 

――Imyuteus amenohabakiri tron

――Seilien coffin airget-lamh tron

 

 

来たか。

シンフォギア…風鳴翼と、アイツらに聞いた限りだともう片方は外人の…マリアってやつだったか?

まぁそんな二人が同時にシンフォギアを纏ってアルカ・ノイズを蹴散らしていく。

 

けどそれよりもより多く、早く、俺らは殺していくけどな。

っと、ようやくあいつ自身も動いたか。

 

「――恐れよ怖じよ! ウチが来たゼ!!!」

 

大げさにスクリーンまで使いやがって。

電波妨害の意味があまりねぇだろうが。

 

「ここからが始まり! 首尾よくやって見せるゼ!!」

 

ミラアルクはそのまま風鳴翼を相手しに行ったか……んじゃあ俺は――

 

「――蹂躙だなァ!!」

 

――"個性"をふんだんに使いまだ生き残ってる奴らを殺していった。

すると白銀の輝きが飛来してきて、俺はそれを『空気押し出す』で防いだ。

 

「はっ! やっぱ気付くよなァ……」

 

「――なんでお前が錬金術と手を組んでいる!! ヒューマノイズ!!!」

 

奥を見れば、白銀のシンフォギア……を纏うマリアって女が立っていた。

それにヒューマノイズ…?俺のことか??

 

「随分とざっくりしとした呼び名だな」

 

「こっちの質問に答えろ!!」

 

「答える気は――ねぇよ!!!」

 

『鋲突』+『増加』+『拡散』で前方範囲全体攻撃の『鋲突』を繰り出す。

マリアはそれを辛うじて防ぎながら接近してくる。

 

「おいおい、俺のこと知ってんなら接近したら余計死ぬだけだろ? 学習能力ねぇのかよ??」

 

「お前を止める!!」

 

『筋肉増強』+『膂力増強』+『筋骨』で腕を強化し、短剣を防いだ。

 

「なっ!? 生身の皮膚で刃を防――」

 

もう片方の手で触れようとしたがすぐに離された。

 

「ッ! 翼!! 深く追いすぎないで!!」

 

へぇ、お仲間の心配をしている暇があるのか。

 

「その余裕はいつまで保んだろうな?」

 

手を伸ばし翳す。

 

「何を――」

 

「『空気生成』+『突風』+『指向操作』+『斬撃』+『猛毒』」

 

『空気生成』で空気を生み出し『突風』で放出。

『指向操作』でその軌道を俺の意思で操り、マリアの後方にいる生き残りの一般人共に、空気に混じった『猛毒』入りの『斬撃』に変化させながら斬りつけた。

するとそいつらの身体は傷口から毒が巡って変色し、苦しみながら死んでいく。

 

「あっ…な、何を……何をしたァ!!!!」

 

「おいおい、戦う前から犠牲者出まくってんのに、真後ろの奴らが死んだから激怒っておかしいだろ?? そもそも、何でこの間俺との戦いで大規模な被害が出たにもかかわらず、お前らは救助活動すらしなかったんだ? 挙句の果てにはこんなライブをして、頭お花畑なのか??」

 

「――~~~ッ! 黙れェ!!!」

 

怒り任せの突進か。

『危機感知』でずっと察知してるから対応はできる。それ以前にこいつらはそれがなくても殺せるがな。

 

左腕を突き出してくる。

『崩壊』は発動せずに掴み、そのまま俺自身を『筋肉増強』+『膂力増強』+『筋骨』+『増加』+『筋力バネ化』で大幅に肉体強化をする。

ンでそのまま持ち上げて――

 

「人に刃向けるってことは人を殺すってことでよ……逆に自分がそいつに――」

 

 

「――殺されるってことだよなァ!!!」

 

 

思いっきりで地面に叩きつけた。

女であろうと、ガキであろうと容赦はしない。

それが戦い、戦争、殺し合いだ。

 

「かはっ――!!」

 

地面に亀裂が入って、マリアは血反吐を吐く。

すると向こうの方で風鳴翼の叫びが聞こえた。

見ればミラアルクが目の前で一般人の胸を貫通して殺している。

 

しかも飛び散った血がこびり付いて……いい感じにトラウマとして植え付けてんな。

 

「ッ! 翼…!! くぅ!!」

 

「おっと!」

 

『危機感知』で察知して攻撃を避ける。

もうこいつに用はねぇ、俺ももうひと手間余計にしてやろうか。

 

「貴様ァーー!!!」

 

瞬時に風鳴翼の背後に回って、『崩壊』を発動せずに首を掴み持ち上げる。

 

「あ、あぁ…! き、様……!!」

 

苦しみながら、怒り一色の染まった目でこっちを見てくる。

おうおう、ヒーローが憎しみに飲まれるたぁ……はっ、傑作だな。

 

「何一人目の前で殺されたぐらいで怒ってんだよ。お前らが駆け付ける前からとっくに犠牲は出てる。それに、お前らの戦いに巻き込まれて命を落とした奴らだっているんだぜ?? 俺たちは自分の意志でやってるけどよぉ……お前らは無自覚でやってるから余計たちが悪いよなァ!!」

 

「ッ…!!」

 

強く握りしめながら言う。

別にこいつらのことなんてどうでもいいが、まぁここら辺も先生の影響なのかもしれない。

全く、我がないってのに、先生の言っていた臓器とかなんとかの影響みたいなものなのかもしれないな。

 

「仲間も守るべき市民も守れず、お前は何を守る? 何と戦う? 俺から見たらお前はただの偽善を振る舞う弱者だ」

 

「! ……ち、ちが…わた、しは……!!!」

 

「――おい! そろそろ尻尾を巻くぞ!!」

 

ここまでか。

まぁいい。殺す機会はいつでもある。

それに聖遺物の加工をしてもらってるんだ。仕事はしなくちゃな。

 

風鳴翼を放り投げ、会場の頂上へと移動する。

 

「そこに居たら死ぬぜ?」

 

『崩壊』の勢い、伝播速度を少し抑えつつ地に触れれば『崩壊』が発動して一気に地面が崩れていく。

アルカ・ノイズもそれに合わせてあちこちに体当たりして壊してる。

 

「行くぞ!!」

 

「おう」

 

俺達はそのまま暗い空へと飛び、"個性"を駆使して完全に姿をくらまして撤退した。

 

 

 

 





当作品は結構テンポが速いと思われますので悪しからず。
敵サイドだとどう進行すれば分からないのが本音ですもん。
なので一気に本編へ入ってライブに行きました。
どうかお許しを。


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