短小編集(小ネタあれこれ)   作:高島智明

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悪来奮迅(原作:真・恋姫†無双 )

「正史」『三国志』曰く、

「乱世の姦雄」曹操ですら「旧」董卓軍の残党を指導していた軍師、賈駆の罠に掛かって殺されかけた。

この時、曹操を逃がす為に「親衛隊長」悪来こと典韋が敵軍の前に立ち塞がり、無数の矢を浴びて玉砕。

その最後は、後の日本に伝わって「弁慶の立ち往生」の元ネタに成ったとも言う。

 

更には、曹操本人の長男までが戦死。

後日談ながら”この”事が原因で、当時の第1夫人とは離婚。

後に後継者と成る曹丕は”この”結果、第2夫人から昇格した新しい第1夫人との子だったりする。

 

曹操の妻子の事だけなら、酷な事を言えば私人の問題だったろう。

だがしかし「魏」の君主としても、典韋程の部下を失った事は後悔し続けた。

後半生の曹操は戦場だった場所を通り過ぎる度、典韋を祀(まつ)った祠(ほこら)に詣でた、と伝えられる。

 

ここからが「乱世の姦雄」のスゴ味なのだが「これ」程の目に会わされながら、いや「これ」程までの智謀と思い知ったから、と言うべきか、後に曹操は賈駆を自らの軍師に迎えた。

いや、重用すらした。

「王佐の才」とまで呼んだ軍師を死なせてからは、例えば、曹丕を後継者に決定する場合に賈駆の助言を求めていたりする。

予言通りに「天の御遣い」が落ちて来た。

彼を迎えた曹操(真名華琳)は、他の陣営に「天の御遣い」の風評を利用されない様、自陣営に引き込んだが、覇王の心持ちを持つ華琳は「天のお告げ」に頼ること無く、その覇道を進もうとした。

 

だがしかし、只飼い殺しにするのも無駄と思い、拠点の治安を預ける警備隊長として楽進(真名凪)李典(真名真桜)于禁(真名沙和)の「3人娘」を部下として預けた………。

 

……。

 

…反董卓連合軍は、董卓軍を帝都から追い払った。

何とか、帝都を焼かれるとか、帝都の民衆を連れ去られること等無しに。

だがしかし、董卓軍との戦いは、これで終わりで無かった………。

 

……。

 

…遂に、曹操軍は「旧」董卓軍を最後に残った拠点に追い詰め、降伏勧告を行っていた。

そして、降伏した「董卓」本人と遂に対面したのだが……

 

ここで、華琳の悪い癖が出た。

美少女を愛でる性癖。

”魔王”の筈の董卓の実体は、見た誰もが「お人形の様」と思う様な儚げな少女(真名月(ゆえ))だった。

その月を、自分の物にしたいという欲望を抱いてしまった。

 

北郷一刀は、そんな華琳の姿に1人危機感を持った

「正史」『三国志』曰く、

『乱世の姦雄』曹操ですら「旧」董卓軍の残党を指導していた軍師、賈駆の罠に掛かって殺されかけた。

その原因は「旧」董卓軍が庇護していた女性を、美女好きの曹操が自分の者にしようとし「旧」董卓軍の怒りを買ってしまった為だった。

「止(や)めておけ。彼女には手を出すな」

と言わんばかりの一刀を、この時の華琳は邪魔に思ってしまった。

 

とうとう、華琳は一刀たちを逃げ散った「旧」董卓軍の残党の捜索に送り出していた………。

 

……。

 

…送り出された一刀は、取り敢えずは与えられた任務を果たしていたが、遂に部隊を反転させる独断を下した。

直属の部下である「3人娘」ですら驚いた。

まして、同格である他の武将たちは文句を付けた。

だがしかし、

「流琉(るる)を祀った祠の前でも、同じことが言えるか!」

と断言して、遂に一刀は全軍を反転させた。

その夜も、華琳は月を侍(はべ)らせて、詩人でもある彼女らしい恋歌を歌っていた。

その時……

突如として、部屋の外が騒がしく成った。

 

「何なのよ。いったい」

華琳が不機嫌そうに問い質そうとする間にも、華琳の「親衛隊」である典韋(真名流琉)が駆け込んで来た。

「大変です!謀反です。華琳様、お逃げ下さい」

 

訝し気にしながらも、引き出されてきた愛馬「絶影」に乗せられ、流琉に守られながら脱出を始めた。

全力で引き返しつつも、一刀は不吉な未来を思い浮かべていた。

 

祠の前で涙を流す華琳。

「御免なさい、流琉。私が愚(おろ)かだったわ」

 

そんな未来が在ってたまるか!

それが「歴史」だというなら「天の御遣い」が変えてやる。

群がって来る兵士どもを、流琉が怪力と「デンジヨーヨー」を振るって追い散らす。

 

遂に、街の城門まで辿り着いた。

華琳を乗せた絶影が門を駆け抜けると、その背後で門が閉じられ、その“内側”に流琉が立ち塞がった。

「流琉?!」

「華琳様には生き延びる責任が御在りです!」

城門越しに聞いた流琉の声に、華琳は未練を振り切る様に絶影を走らせた………。

 

……。

 

…その華琳の前方に現れた軍。

「ここで倒れる訳にはいかないわ。流琉の為にも」

だがしかし、その軍は一刀たちだった。

 

「華琳、無事か?!流琉は?!」

流琉の「ヨーヨー」は既に、叩き落し損ねた矢で海栗(うに)の様に成っていた。

それでも振りかぶろうとしたストリングが、とうとう疲れ切った手元を外れた。

それでも流琉は、残る怪力を振るって取り囲む兵士どもの中に討ち入った。

その時……

 

「流琉、流琉ーっ!」

城門が外側から、引き返してた曹操軍に破られた………。

 

……。

 

…敵軍を追い散らさせた城門内で、力尽きた流琉を抱き上げる華琳。

「流琉、生きているの」

一刀も傍に寄った。

「未だ息がある。誰か医者を、そうだ華佗とかを呼べ。あの先生なら助けられるかも知れん」

誰かが、その言葉にしたがった………。

 

……。

 

…包帯で「天の国」での言い方なら「ミイラ」の様に成った流琉。

だがしかし……

「もう大丈夫だ。この娘は助かる」

華佗の診断に安堵する華琳や一刀たちだった。

 

「有り難う、流琉。そして、生きて私に仕え続けるのよ」

それから一刀たちを振り返る。

「一刀、それから華佗。貴方たちにも礼を言わないといけないわね。流琉を助けてくれて」

「患者が居れば、医者は助ける」

「俺は知っていることを、言っただけだよ」

 

そこへ、戦闘の事後報告を上げに来た。

「董卓と賈駆は見付からなかったのね」

華琳が念を押した通り、董卓(真名月)と賈駆(真名詠)は行方知れずだった。

名を捨て過去を捨てて、劉備軍に保護されていた、とは後日に知ることである。

 

「惜しいわね」

「惜しい?」

思わず一刀は華琳に聞き返していた。

「この「乱世の奸雄」を此処までの目に合わせてくれた程の軍師。

その智謀を此の曹孟徳の為に活かしてくれれば、どれだけ重用してあげたかも知れないのに」

(この「人材コレクター」なのが、やっぱり曹操だな)

一刀は「正史」『三国志』での曹操と賈駆の後日談を思い浮かべた。

 




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