ダンジョンに魔軍司令が居るのは間違っているだろうか 作:ナナシの権蔵
思いついて別の転生者の閑話書いてたら行き詰まり、ある程度書いてから本編より先の部分と気づいたりで暫くお蔵入り決定。しかもまだ途中で本編との擦り合せもまだなんですよね……どうしよう?
そんなこんなで間に合わせですがどうぞm(_ _)m
厄介なモノは去ったが残された課題が大き過ぎて晴れやかな気分にはなれんな。原作の崩壊具合が分からないのは冗談抜きで怖い。兎にも角にもオラリオの情報が必要だ。だがベルたちの護りをどうすれば…
「あぁ、丁度良いのが居たな」
ベルを護るためなら鬼でも夜叉でも阿修羅でも倒し、神殺しにでもなるだろう最強派閥の生き残り。散々予定外が続いて延びに延びてしまったがそろそろ1度会うべきだろう、【暴喰】と【静寂】の2人に……
さて、悪霊?も成仏したことだ、ベルたちにアスフィを紹介するか。さっきのがトラウマになってなければ良いのだがな。時刻は昼食にはまだ早い。取り置きのクッキーと2人が好きなココアで機嫌を取るか。
「ベル、シルファ。もう大丈夫だぞ」
2人は家に戻ってきたアスフィに警戒気味だった。あんな暴走を目の前で見て自分たちに向かって来たのだからこの反応は仕方がない。叫ばないだけマシだろう。
少し逃げ腰な2人にオヤツにすると伝えて席に座らせ、アスフィにクッキーを持たせる。現代のようなココアの元は無いのでカカオの種を乾かし、小さく砕いて焙煎する。後はコーヒーと同じ要領でココア風に仕上げた飲料に砂糖を入れて完成させる。
ベルは甘い物が苦手なので俺と同じ砂糖少な目、シルファは逆に多目に入れる。アスフィも疲れているだろうから多目にしておく。
準備が整ったので全員の前に置き、まずは自分で一口。うむ、イケる。しかし単品としては上出来だがクッキーに合わせるには甘かったな。次は濃い目に淹れてミルクだけで飲んでみよう。
「一息吐いたから紹介しよう。彼女はアスフィ・アル・アンドロメダ。ここからはかなり遠い海国と言う国の第一王女、つまりお姫様だ」
お姫様の単語に3人がピクリと反応する。ほのかな憧れと羞恥に別れて追う視線と逸らされる視線。
「アスフィ嬢、こちらの人間種がベル。こっちの娘は狼人族のシルファだ」
「ベル・クラネルです」
「シルファ・ローガと申します」
「ハドラーさんに紹介されましたが改めて、アスフィ・アル・アンドロメダです。先程はすいませんでした」
2人に対してしっかりと頭を下げるアスフィ。大丈夫そうだがフォローはしておくか。
「さっきのアスフィ嬢の行動は呪術の影響だ。王女となれば妬む者も多い。贈られた装飾品の中に呪いの掛かった物があったそうだ。外しても影響が残り、時々さっきみたいになってしまうらしい。決して2人に危害を与えようとしたわけでは無いんだ」
咄嗟に出たとは言え、ベルたち相手に嘘を吐くのはやはり心が痛い。2人のアスフィを見る目に悲痛なモノが混じっている。純真なのは良いことだ。だが人を疑う事も覚えて欲しいと思うのは俺の我儘だろうか…
「お姫さま、大丈夫?」
「ナデナデしたら治る?」
「うっ…」
ふむ、やはり幼気な2人の優しさにヤラレたな。あの悪霊は〝萌え〟の過剰摂取でイカれていたが用法用量を守れば癒しであり未来への活力となる。アスフィが気苦労が尽きぬ宿命から抜け出せるまで依存ではなく支え程度になってくれれば上出来だな。
さて、2人の相手はアスフィに任せて俺は昼食の用意に移るか。
「俺は今から昼食の準備をする。メインは魚だが食べたいものはあるか?」
「前に食べたドンブリってのが食べたい」
「私はバターの香りがする焼いた切り身が良いです。確かむにえる、でしたか?」
「なら両方を少な目に作るか。アスフィ嬢は生の魚や米は大丈夫か?」
「は、はい、どちらも食べたことはあります」
「了解した。ではすまんがしばらく2人の相手を頼む」
まずはボウルに入れた米をさっと洗い笊に取る。竈に火を入れて薪をの量を調整し、米と水を入れた釜をセットして蓋をする。
次に小振りのサーモンを3枚におろし、ムニエル用以外を氷結呪文で瞬間冷凍する。ニョルズが手間暇掛けているので可能性は低いのだが、やはり絶対では無い以上は生食で寄生虫対策を取るのは当然だ。同じ処置をマグロの身やタコ、イカにも施しておく。
イワシも同じように3枚にするが、片面は骨に多目に身を残して骨煎餅用にする。イワシの身をミンチにしてボウルに取り、少量のネギとショウガの微塵切りを加えて練り一口大の団子を作る。サーモンとイワシの頭と尻尾は1度火を通し、湯を沸かした鍋に入れて煮る。
フライパンに熱を入れてバターを溶かし、程良く温まったら塩胡椒と小麦粉を振ったサーモンの切り身を焼く。温度が高過ぎたり焼き過ぎると固くなるので注意。
焼けたサーモンを皿に避け、バターの残ったフライパンにバターを追加し、潰したニンニクを入れて弱火でじっくり炒める。しっかり熱が通ったらヘラでバターと混ぜ合わせ、薄くスライスしたパンに吸わせながらカリカリになるまで焼く。
笊に折り畳んだ布を被せ鍋の中身を濾す。骨や崩れた身を取り除いて櫛切りの玉葱と人参、大根とつみれを入れて更に煮込む。くつくつと煮立ったら弱火にして灰汁を取る。少量の味噌を溶かして火から離す。
米が炊けたので釜を油を入れた深めのフライパンと入れ替え蓋を取る。底からひっくり返すように混ぜてもう一度蓋をする。
半解凍状態のサーモンとマグロ、タコとイカを刺身の半分の大きさに切る。マグロの半分を小さめの器に詰め切り身が隠れるくらい醤油で満たす。
油が良い温度なったのでイワシの骨を焦げ茶色になるまでしっかり揚げる。数枚だけわざと揚げ過ぎにしてから油切り用の布を敷いた笊に乗せ全体に軽く塩を振る。
これで大体の準備は整ったな。
「ベル、シルファ、出来てる分を運んでくれるか?」
「はーい」
「今行きます」
2人が料理を運んでる間に丼へ白米を敷き刺身を乗せる。真ん中に窪みが出来るように刺身を重ね、最後にイクラを窪みから溢れるように乗せる。タレと山葵は各自が自分で好きなように使えるように別皿に用意した。最後に汁物の椀を持って行けば昼食の準備は終わりだ。
〔本日の昼食〕
レイナの平パンとカリカリガーリックバターパン
小盛り海鮮丼(マグロ、サーモン、イカ、タコ、イクラ)
サーモンのムニエル
魚介出汁のつみれ汁
白ワイン風葡萄ジュース
骨煎餅(半分はゼウス晩酌用)
パンは乗せた皿を机の中心に置き、各自が好きなように取る形式だ。料理のお代わりも食材が残っている物なら可能だ。余れば俺やゼウスの夜食か晩酌のアテとなる。
「アスフィ嬢、一応食べられると聞いたから全員同じメニューにしてあるが苦手な味ならば無理に食べる事は無い」
「…あの、こう言っては何ですが辺境で食料を無駄にするのはよろしく無いのでは?」
「辺境で楽しみが少ないからこそ食事は可能な範囲で贅沢にしている。無論好き嫌いが無いのに越した事は無いし栄養が偏らんようにはしているがな」
アレルギーがあるのにソレを無理に食べさせるなんて殺人に等しいからな。味や匂いは好みの問題で、苦手なら理由を聞いて解消すれば良い。それでも無理なら諦める。俺だってピーマンは嫌いだ。人間最悪豆食ってれば死にはしない。
「はむっ……ん~!はむはむはむっ…」
「モグモグ……あぁ、魚がバターと合わさって……モグモグ…」
「スゥ…魚の骨と調味料だけでこれほど繊細な味が出せるなんて……味は王宮の料理とほぼ同格、素材も同様、ですが調理の腕や焼き加減の見極めはこちらが上ですね。ハドラーさん、事が終わったら海国に来ませんか?」
「まだやる事があるから断る。今は暇が出来たら顔を出すくらいで我慢しろ。終の檀家の候補程度には考えておく」
俺の料理はアスフィの舌にも適ったらしい。王族特有の社交辞令かと思いきや目が本気だ。
取り敢えず彼女には本番の夜まで休んでもらおう。ゼウスの事は知識としては知っているだろうが百聞は一見にしかず、本物は噂以上のスケベ爺だ。特に若い女なら体調を整えて何時でも反撃出来る状態でなければ尻を触られるだけでは済まんからな。
構造はあったけど既に修正不可ですw
今の所ハドラーやベルがダンジョン潜る理由皆無だから冗談抜きでタイトル詐欺になりそう。
シルファについては次話で説明予定です。しなくても読者の皆さん予測してそうですけどw