銀河英雄伝説 〜無能なる俗物が勘違いで英雄に祭り上げられ、気づけば貴族連合盟主としてラインハルトと雌雄を決する件について〜   作:斉宮 柴野

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自由惑星同盟の地下深くで、今日も何かがこじれていきます。
救国軍事会議の面々は「正義」を掲げつつ、現実に粉砕され、ロボス元帥は昼寝の邪魔をした者にのみ容赦なく、そしてトリューニヒトはスキャンダルですら栄養にして育つ怪物でした。

今回は、
・クーデター未満の絶望喜劇
・老獪すぎるボケ老人
・政治的怪物
・そしてそれらを俯瞰するヤン・ウェンリー
を中心にお届けします。

銀英伝の政治劇が好きな方には、特に楽しんでいただけると思います。


民主主義という怪物

ハイネセン 場末の地下会議室

 

 

 

 

煌びやかな繁華街から遠く離れた、古い雑居ビルの地下深く。カビと湿気、そして野望が充満する薄暗い一室に、この国の歴史を変えようとする男たちが集まっている。

 

 

「救国軍事会議」その大層な名前とは裏腹に、彼らの置かれた状況は悲壮感が漂っている。

 

アーサー・リンチ元少将。かつてエル・ファシルの戦いで民間人を見捨てて逃亡し、現在は帝国のラインハルト陣営から送り込まれた工作員である。

 

彼の任務は「同盟国内でクーデターを扇動し、内乱を引き起こすこと」だ。簡単な仕事のはずだった。不満を持つ軍人を焚き付け、腐敗した政府への怒りを爆発させればいいだけのはずだった。

 

しかし、現実は非情である。

 

リンチはハイネセンに潜入した時のことを思い出す。

 

街は活気に溢れ、市民は笑顔で買い物をし、レストランはどこも満席だった。

 

「トリューニヒト議長のおかげでボーナスが出た!」と喜ぶサラリーマン。

 

「ヤン元帥のグッズを買うために並んでいるの!」とはしゃぐ女子高生。

 

どこにも「革命の機運」などない。

 

(オーベルシュタインの野郎、とんでもない時に俺を送り込みやがったな。この国、今めちゃくちゃ景気いいぞ。クーデターなんて起こしたら、「せっかくの休日を邪魔するな!」と市民から石を投げられるのがオチだ)

 

工作員としての成功報酬(地位と名誉)が、遠のいていく音がする。

 

バン!!

 

「なぜだ!なぜこんなにも今を憂う者が少ないのだ!同盟の精神は死んだのか!?」

 

吠えているのは、この秘密結社の中心人物の一人、エベンス大佐だ。

彼は、絵に描いたような「真面目一徹」な軍人であり、それゆえに現状が許せない。

彼の目には、今のハイネセンの繁栄が「堕落」にしか見えていないのだ。

 

「トリューニヒトのような衆愚政治家が、金をばら撒いて人気を得ている……。これは民主主義の死だ!市民はなぜ気づかん!それが麻薬のようなものだと!」

 

今の市民にとってその麻薬は「めちゃくちゃ美味しくて副作用のない栄養ドリンク」だ。

 

「それだけトリューニヒトの毒……いや、『正直な悪徳』という甘い蜜に毒されているということだろう」

 

沈痛な面持ちで口を開くのは、ブロンズ中将だ。彼もまた、救国の志に燃える同志である。

 

「由々しき事態だ。……昨日、私は街で市民の声を聞いた。『政府が腐敗している?知ってるよ。でも、俺の給料が3割上がったからどうでもいい』とな。あまつさえ、『政治家が聖人君子である必要はない。俺たちを食わせてくれるなら、多少ポケットマネーを増やしても目をつぶる』とまで言っていた。……嘆かわしい!清廉潔白こそが公人の義務ではないか!」

 

彼らは致命的に「人間」という生き物を理解していない。人間は、霞を食っては生きられないし、正義だけで腹は膨れない。トリューニヒトはそこを突いているのだが、彼らにはそれが「悪魔の誘惑」にしか見えないのだ。

 

(……そりゃそうだろ。俺だって、今の政府なら支持するぞ。再就職支援金くれるし)

 

リンチは亡命生活で金に困っていた時期が長い。だからこそ、今の同盟市民の気持ちが痛いほど分かる。「正義のクーデター」よりも「明日の焼肉」の方が大事なのだ。

 

「それに、我々には重大な問題がある」

 

「人材不足だ。……同志を募ろうにも、『今は忙しい』『残業代が出るから抜けられない』と断られる。……革命に参加するより、休日出勤を選ぶ軍人が増えているのだ」

 

クリスチアン大佐が、深刻な顔で話題を変える。彼は神経質そうな顔立ちをしており、常に何かに苛立っている。

 

ブラック企業化した軍隊なら反乱も起きるが、ホワイト化(給料アップ)した軍隊では反乱は起きない。ヤン・ウェンリー効果である。

 

「そうだな……。だが、最大の問題はそこではない。旗頭がいないことだ。……我々のような実務派だけでは、国民を、そして軍を動かす爆発力に欠ける。……いくら正論を吐いても、知名度がなければ誰もついてこん」

 

「先頭に立って主導できる『顔』が必要だ。……誰か心当たりはないか?」

 

「できれば、グリーンヒル総参謀長が適任だと考えたのだが……」

 

「彼は今、イゼルローン方面軍の総参謀長だ。……ヤン・ウェンリー元帥の元で、実質的なナンバー2として重用されている」

 

ルグランジュ中将が、控えめに提案する。ドワイト・グリーンヒル大将。人格、識見、経歴ともに申し分ない。彼が立てば、多くの軍人が呼応するだろう。だが、ブロンズ中将が首を振る。

 

「うむ。……ヤン元帥は彼を父親のように慕っていると聞く。……親子のような関係だ」

 

「そんな彼を、こちら側に引き込めるか?実質的な『ヤン軍閥』のナンバー2を招くのは、我々の純潔性を疑われかねん。……『ヤンが裏で糸を引いているのでは?』と勘繰られる」

 

「それに……あそこ(イゼルローン)は給料が良いからな。……トリューニヒトの特別予算で、将官の手当は本国の倍だそうだ。……引き抜くのは無理だ」

 

金だ。結局は金だ。グリーンヒル大将は、高潔な人物だが、娘(フレデリカ)の幸せを考えれば、安定した高収入と、娘の婿候補(ヤン)の側にいることを選ぶだろう。

 

お義父さんをクーデターに誘うなど、ヤンが全力で阻止するに決まっている。

 

「……詰んだな」

 

その時である。部屋の隅、照明が届かない暗闇の奥から、不気味な笑い声が聞こえてくる。

 

「ふふふふ……」

 

「皆、何を言っています。……嘆く必要などありませんよ」

 

闇の中から、一人の男が姿を現す。神経質そうな細身の体躯。異常に眼光の鋭い、しかしどこか焦点の合っていない瞳。そして、自信と自己愛で塗り固められた歪んだ笑み。

 

「適任者は……すぐ近くにいるではありませんか」

 

「誰だ??」

 

「この私……アンドリュー・フォーク准将です!!」

 

かつての帝国領侵攻作戦の立案者であり、アムリッツァの大敗北の引き金を引いた張本人。「高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に」という、中身のない作戦案で同盟軍を地獄に落としていた男だ。

 

「私ならば!士官学校を首席で卒業したこの頭脳と!類稀なるカリスマ性で!救国軍事会議を勝利に導くことができます!」

 

目がイッている。彼は本気だ。自分こそが救世主だと信じて疑っていない。

 

「却下。」

 

0.1秒の迷いもない。満場一致の拒絶である。

 

「なぜですか!?」

 

「実力!実績!そして圧倒的な人望のある私を!!なぜ拒絶するのですか!貴官らの目は節穴ですか!!」

 

「どこからその単語が出てくる。……実力?実績?人望?」

 

「お前は……帝国領侵攻で、悪い意味での『ネームバリュー』は宇宙一だがな。……同盟軍の恥さらしとして」

 

「なっ……!」

 

「お前を旗頭にした瞬間に、これはクーデターではない。……お笑い番組だと思われるわ。市民は『あのアホがまた何かやってるぞ』と指差して笑うだろうよ」

 

フォークをリーダーに据えれば、その時点で「救国軍事会議」は「フォークの愉快な仲間たち」に成り下がる。大義名分どころか、正気すら疑われる。

 

「そ、そんな……!あれは……あれは私のせいではない!現場の指揮官が無能だったからだ!私の作戦は完璧だった!ヤン・ウェンリーやビュコックが私の足を引っ張ったのだ!」

 

彼は、自分の失敗を認めることができない。認めれば、彼の自我は崩壊するからだ。

 

「……誰か、つまみ出せ」

 

屈強な衛兵(クーデター参加者)が二人、フォークの両脇を抱える。

 

「離せ!私は選ばれし者だ!私は英雄になる男だ!貴様ら、後悔するぞ!私の才能を理解できない愚か者どもめえええ!」

 

「……人材不足にも程がある」

 

ルグランジュが、頭を抱える。まともな人間は来ない。来るのは、あんな「勘違い野郎」ばかりだ。これが、今の彼らの実力なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

統合作戦本部 正面玄関

 

 

 

統合作戦本部の正面玄関は平和だ。あまりにも平和すぎて、警備兵が立ったまま寝ているのではないかと疑いたくなるほどの静けさである。アムリッツァの激戦も、遠い宇宙の出来事のようだ。

 

その平和な玄関の自動ドアが、重々しい音を立てて開く。現れたのは、一人の巨漢、ラザール・ロボス元帥。かつての宇宙艦隊司令長官であり、現在は軍のトップである統合作戦本部長の地位にある男だ。

 

(今日はいい天気だ。……絶好の昼寝日和だな。執務室に戻るのが面倒だ。このまま公園のベンチで寝てしまいたい)

 

その時、植え込みの影から一人の男が飛び出してくる。

 

「ロボス元帥閣下!私です!閣下ぁー!」

 

男は叫びながら、警備兵の制止を振り切って駆け寄る。その顔色は悪い。目の下にはクマがあり、髪はボサボサで、軍服は少しサイズが合っていない。かつての「秀才」の面影はない。

 

「………んん?君は……誰だ??」

 

「フォーク准将です!アンドリュー・フォークです!作戦参謀の!」

 

自分の名前こそが、通行手形になると信じているのだ。かつて、帝国領侵攻作戦を立案し、その華麗なる(机上の)理論で軍首脳部を唸らせた天才。それが自分だ。忘れるはずがない。

 

「……………何だって?……ボーク?」

 

「は?」

 

「ボークか。……そうか、君は野球選手だったのか。いかんなあ、ピッチャーならルール通りに投げ給え。セットポジションで静止しなかったのか?退場処分になるぞ」

 

「野球の話ではありません!フォークです!アンドリュー・フォーク准将です!閣下の部下の中で、最も最優秀と謳われた天才参謀です!」

 

「最優秀」という単語を強調する。思い出せ。私の才能を。私の輝かしい経歴を。

 

「んんんん???儂の部下で優秀なのは……シトレだった気がするが……」

 

「あれ?あいつは退役して養蜂家になったんだったか?……甘い蜜を吸う生活、羨ましいのう……。儂もハチミツを舐めながら寝ていたい……」

 

「シトレ元帥の話ではありません!私、フォークです!現役の!」

 

「………で、なんの用かね?……トーク君」

 

「トーク!?」

 

「フォークです!!今日は、現役復帰のお願いに参りました!私のような天才を遊ばせておくのは国家の損失です!病気は完治しました!今すぐにでも作戦立案が可能です!」

 

「何?……ポーク?ポークか。……儂はビーフの方が好きだがね……。豚肉も悪くない。生姜焼きか?それともトンカツか?」

 

「閣下!!」

 

「あ、今日の夕飯はステーキにしよう。……ミディアムレアで。赤ワインソースをたっぷりかけてな。……付け合わせはマッシュポテトだ。……たまらんのう」

 

「……ところで、貴官の名前は何だったかな?」

 

ここまでの会話が、全てリセットされた。この老人は、ボケているのか?それとも、私を馬鹿にしているのか?

 

「フォークです!!!食器のフォークと同じ発音です!!」

 

「なに?……ウォークをした?散歩か?」

 

「違います!!」

 

「いかんなあ。……軍人が散歩ばかりしていては。訓練をしなさい、訓練を。足腰が弱るぞ」

 

「散歩ではありません!名・前・です!私の名前です!」

 

通りがかりの士官たちが、遠巻きに見てクスクス笑っている。「あのアホ、またやってるよ」という目だ。恥ずかしい。死ぬほど恥ずかしい。

 

「…………で、現役復帰?……ならば、まずは所属チームを決めて、トライアウト……いや、セレクションを受け給え。最近の若者は基本がなっとらんからな。……いきなりメジャーリーグに行こうとする。まずは2軍でバントの練習から始めたまえ」

 

「私は野球選手ではありません!!作戦参謀です!!」

 

「そうかそうか。……で、貴官の名前は??」

 

悪意はない。純粋な疑問だ。彼の中では、この男の名前はまだ確定していないのだ。

 

「すまんなあ。……最近、歳のせいで物忘れがひどくてな。朝ごはんに何を食べたかも忘れてしまうよ。……美味かったことだけは覚えているんだが」

 

「…………フォークです」

 

「ああ……フォークか。最近はスプーンしか使えなくてな……。手が震えてねえ。……カレーを食べる時もスプーンだ。フォークは刺さるから危ない。口の中を怪我してしまう。君も気をつけたまえ。……尖ったものは、自分を傷つけるぞ?」

 

ロボスは、自分の手を見つめる。彼は、ニコニコして言う。一瞬、ドキリとするようなセリフだ。だが、ロボスの顔は、ただの好々爺のそれ。

 

「で、貴官の名前は?……なんの用かね??」

 

フォークの目から、光が消える。彼は悟った。無理だ。この人とは、一生会話が成立しない。

 

「……失礼いたしました。お大事になさって下さい、閣下……。美味しいステーキを……」

 

フォークは、ゾンビのようにゲートを出て行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フォークの姿が、完全に視界から消え、曲がり角の向こう側に消え去った瞬間である。

 

正面玄関の空気が、一変する。気温が5度下がったかのような錯覚。

 

ロボスの表情から、「ボケた老人」の影が、嘘のように消え失せる。だらりと下がっていた口角が引き締まり、細められていた目がカッと見開かれる。

 

「(吐き捨てるように)……チッ。……バカの相手はしないに限るな」

 

「時間を無駄にした。……昼寝の時間が10分も減ってしまったではないか」

 

「おい。……トリューニヒト議長に連絡を」

 

彼は、護衛の一人に命じる。護衛もまた、先ほどまでの眠そうな顔を捨て、鋭い表情で周囲を警戒している。これが、ロボスの親衛隊の正体だ。主人の「演技」に合わせて、彼らもまた「無能な護衛」を演じていたのだ。

 

「……不穏な気配を感じる。あのフォークとかいう男……。ただの狂人かと思ったが、後ろに何かがいる臭いがする」

 

フォーク単体では無害なゴミだが、ゴミが風に乗って飛んでくるということは、どこかで風が吹いているということだ。

 

「ヤンの言っていた……『帝国からの工作員によるクーデター一派』の動きかもしれん」

 

『帝国が捕虜に紛れて工作員を送り込んだ可能性がある。警戒されたし』

フォークのような「不満分子」が、急に活発に動き出した。それは、彼らを焚きつける「着火剤」が近くにある証拠だ。

 

「……閣下、今のがですか?」

 

「(鼻で笑う)ああ。……フォークを使いに寄越すようでは、相手の知能レベルも知れているがな」

 

「だが、油断はできん。……バカほど予測不能な動きをするからな。念のため、イゼルローンのヤンにも伝えておけ。……『ゴミ箱の蓋が浮いているぞ』とな」

 

「それと、議長には『害虫駆除の予算を用意しておけ』と伝えておけ。……掃除には金がかかる」

 

そして、再び「だらしない老人」の仮面を被る。背中を丸め、目を細め、口元を緩める。

 

「……さて、私は昼寝の続きだ。……起こすなよ。次はステーキの夢を見るんだからな」

 

 

彼は知っているのだ。賢いフリをするよりも、バカなフリをする方が、人は本音を喋るし、敵は油断して尻尾を出すということを。「昼寝をしているライオン」ほど、危険なものはない。

 

 

 

 

 

 

ハイネセン 場末の地下会議室

 

 

 

「だめだ!!全く、全くダメだ!!組織だっての行動が全く取れない!!連絡網が機能していない!同志からの返信が『既読スルー』ばかりだ!どうなっているんだ!」

 

クリスチアン大佐は、充血した目でモニターを睨みつけ、キーボードを破壊する勢いで叩いている。クーデター計画は、実行フェーズに移る前から崩壊の危機に瀕していた。原因は、敵の妨害工作ではない。もっと根源的な、「やる気の欠如」である。

 

「軍の末端から士官学校まで……誰も彼も、次のボーナスと軍備再建の予算案に夢中だ!『今度のボーナスで車を買うんだ』とか、『ヤン元帥のグッズをコンプリートするんだ』とか……!国家の危機だというのに!!奴らの脳内はお花畑か!!」

 

本来なら、憂国の志士たちが集い、熱い議論を交わすべき時だ。

 

だが、現実は残酷である。勧誘の電話をかけても、「あ、すいません、今から家族と焼肉なんで」と切られる始末だ。焼肉に負けるクーデター。それが彼らの現在地だった。

 

「落ち着け、クリスチアン!……血管が切れるぞ。冷静になるんだ……。怒りは判断力を鈍らせる。……そうだ、素数を数えて落ち着くんだ……。昔の偉い人が言っていたぞ。……2、3、5、7、11……」

 

声をかけたのは、ブロンズ中将。彼もまた、連日の激務(主に愚痴を聞く係)で疲弊している。素数は孤独な数字。それは今の彼らの境遇に似ている。

 

「13!!」

 

「ギャアアアアア!!」

 

クリスチアンが発狂した。素数が逆効果だった。「13」という数字が、彼のトラウマスイッチを全力で押してしまったのだ。

 

「13!!第13艦隊!!ヤン・ウェンリーの第13艦隊の予算が多すぎるんだよ!!あそこだけ別格じゃないか!なんで紅茶代が経費で落ちるんだ!俺たちは自腹で缶コーヒーを買っているというのに!!どうなっているんだ、この国は!……金だ!結局は金なのか!正義は金で買われてしまったのか!」

 

「まあ、資本主義とはそういうものだが……」

 

ブロンズは小声で突っ込むが、クリスチアンの耳には届かない。

 

「トリューニヒトだ……!諸悪の根源はあの男だ!あいつが金をばら撒いて、国民を骨抜きにしているんだ!……くそっ、弱みはないのか!?奴を社会的に抹殺できるような、どぎついスキャンダルはないのか!!金銭授受、裏献金、マフィアとの癒着……何でもいい!奴の『正直な善人』面を引き剥がせるようなネタはないのか!」

 

だが、出てくるのは「トリューニヒト議長、孤児院に寄付」「議長、捨て猫を保護」「議長、道に落ちていたゴミを拾う」といった、好感度アップのニュースばかりだ。清廉潔白すぎて、逆に胡散臭い。

 

「……あるぞ」

 

「おお!それならあるぞ、クリスチアン!……灯台下暗しとはこのことだ!」

 

「なんだ!?早く言え!」

 

「調査の結果……議長は、自身の女性秘書であるオフェーリア女史と、かなり深い仲にあるようだ」

 

「オフェーリア……?あの、いつも議長の後ろでスケジュール管理をしている、眼鏡の美人秘書か?」

 

「そうだ。……どうやら、公務の合間を縫って、密会を重ねているらしい。……証拠写真もある」

 

ブロンズは、一枚の写真を取り出す。そこには、高級レストランの個室で、トリューニヒトとオフェーリアが仲睦まじくワイングラスを傾けている姿が写っていた。手も繋いでいる。完全にクロだ。

 

「それだ!!不倫だ!不貞行為だ!『正直な善人』を気取っている奴の化けの皮を剥いでやる!!家庭を大事にする良きパパというイメージが崩壊すれば、主婦層の支持は一気に離れる!支持率は急降下だ!」

 

彼は、その写真をひったくるように奪い取り、天井の裸電球にかざす。彼は確信した。これこそが、トリューニヒト政権を倒すための最終兵器であると。

政治的な腐敗が見つからないなら、下半身の腐敗を攻めればいい。それは古来より、権力者が最も足を掬われやすい落とし穴なのだから。

 

「すぐにリークしろ!マスコミにばら撒け!……『独占スクープ!議長の裏の顔』だ!これで奴は終わりだ!わはははは!」

 

彼はまだ知らない。トリューニヒトという男が、通常のスキャンダル程度では傷一つつかない、鋼鉄のメンタルとゴムのような倫理観を持った怪物であることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

 

 

 

 

『独占!トリューニヒト議長、禁断の不倫愛!』『秘書と過ごした密室の3時間!国会よりも熱い夜!?』『清廉潔白なリーダーの裏切り!愛妻家は仮面だったのか!?』

 

スタジオでは、司会者とコメンテーターたちが、鬼の首を取ったような顔で騒ぎ立てている。

 

「いやー、これは驚きましたね!あのトリューニヒト議長に、まさかこんな裏があったとは!」

 

「信じていたのに!国民に対する背信行為ですよ!」

 

「秘書のオフェーリアさん、お綺麗な方ですが……これは許されませんねぇ」

 

レポーターが、議長公邸の前から中継を入れる。「現在、公邸前には数百人の報道陣が詰めかけています!議長からの説明はまだありません!沈黙を守っています!」

 

その様子を、アジトの薄汚れたテレビで見ながら、クリスチアン大佐はニヤリと笑った。彼は、コンビニの安い発泡酒を片手に、祝杯を上げている。

 

「ふふふ……。見たか、トリューニヒト。これが大衆の怒りだ。これで終わりだ。……市民どもも、聖人君子の化けの皮が剥がれれば、目を覚ますはずだ。『あいつは嘘つきだ』となれば、今までの政策も全て疑わしくなる。……クーデターの機運は熟した!」

 

スキャンダルで失脚した政治家は数知れない。トリューニヒトもまた、そのリストに名を連ねることになるだろう。そう、普通の政治家ならば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハイネセン議長公邸 記者会見場

 

 

 

同日午後。議長公邸の大会見場は、同盟中のメディア、ゴシップ誌、そして野次馬根性丸出しのフリージャーナリストたちが、カメラの砲列を敷いて待ち構えている。

 

「議長はまだか!」

 

「逃げたのか!?」

 

「説明責任を果たせ!」

 

怒号が飛び交う中、ついにその時は訪れた。重厚な扉が開き、SPたちに囲まれて、ヨブ・トリューニヒトが姿を現す。彼は、いつもの高級スーツに身を包んでいるが、ネクタイは少し地味な色を選んでいる。

 

表情は、相変わらずの完璧な「営業スマイル」だが、どこか神妙さを装っているようにも見える。

 

バシャバシャバシャバシャ!!

 

「議長!!報道の内容は事実なんですか!!??」

 

「週刊誌に掲載された写真!あれは貴方ですね!?秘書の方と男女の関係にあるというのは、事実なんですか!!」

 

通常なら、「記憶にございません」とか「誤解を招く行動だった」とか、お茶を濁すのが政治家の常套手段だ。

 

「……うむ。……私がオフェーリア女史と親しい関係にあったことは……事実だ」

 

ドヨォォォォン……!

 

どよめきが走る。認めた。あっさりと認めた。否定も、言い訳もしない。「事実だ」と言い切った。

 

「えっ……認めるんですか?」

 

「事実を事実と認めて何が悪い?……私は嘘が嫌いだからね」

 

「国民に申し訳ないとは思わないんですか!!??貴方は国家のリーダーですよ!?最高評議会議長という立場にありながら、不倫などという不道徳な行いをするなんて……!リーダーとしての自覚が欠如しているのではないですか!」

 

「ふむ……。なぜかね?君は?なぜ、私が国民に申し訳ないと思わねばならないのかね?……私は公務を休んでデートをしていたわけではないぞ?公務は完璧にこなし、その後のプライベートな時間を使っていただけだが?」

 

彼は、逆に記者に問いかける。

 

「え?そ、それはそうかもしれませんが……!道義的な責任が……!」

 

「道義的責任?」

 

「プラネット・パパラッチのアントンです!議長!これは民主共和制の腐敗ではありませんか!!??権力者が、その立場を利用して秘書に手を出した!これはパワーハラスメントであり、民主主義の根幹を揺るがす大スキャンダルです!即刻辞任すべきだ!」

 

不倫=政治の腐敗。この図式で攻めるつもりだ。会場の空気が、トリューニヒトへの非難一色に染まる。「そうだ!」「辞めろ!」というコールが起きる。

 

「いいかね、アントン君。……君は大きな勘違いをしている。これは……政治の腐敗ではない」

 

「なっ……!?」

 

トリューニヒトは、人差し指を立て、教壇に立つ教授のように語り始める。

 

「いいか、よく聞きたまえ。……本当の『政治の腐敗』とは、政治家が賄賂を受けたり、不祥事を起こしたりしても……メディアがそれを批判できず、警察が動かず、国民がそれを知らされない……そんな制度そのものを指すのだ」

 

「権力が暴走し、言論が封殺され、黒いものが白いと言いくるめられる。……それが『腐敗』だ。……だが、見てくれたまえ。今、君たちはこうして公衆の面前で、堂々と国家の最高権力者である私を批判し、糾弾し、カメラを向けている。……私のプライベートを暴き、吊るし上げている。……これが、民主共和制の輝かしい成果でなくて何だね?」

 

 

論点のすり替えだ。「私が叩かれていることこそが、民主主義が健全に機能している証拠だ」と言っているのだ。

 

 

「私が不倫をし、君たちがそれを叩く。……このプロセスこそが、自由惑星同盟の自由の証明なのだよ!君たちは今、民主主義の勝利を噛み締めているのだ!」

 

「し、しかし……!それは詭弁だ!!論理の飛躍だ!不倫をした事実そのものが消えるわけではないでしょう!」

 

「その通りだ。消えないよ。だが、それは私個人の『生活の腐敗』に過ぎない。政治家としての能力とは無関係だ。……そして。私が今回、心から謝らねばならない相手は……国民ではない」

 

「え?」

 

「私の妻だ。これは家庭の問題だ。……私が契約(結婚)を破った相手は、有権者ではなく妻なのだからな」

 

 

確かにそうだ。法的にはそうだ。だが、それを公の場で堂々と言う政治家はいなかった。

 

「ま、まあ……。昨夜のうちに、たっぷり時間をかけて土下座して……いや、誠心誠意謝ってきたのだがね。……膝が擦りむけるかと思ったよ。とりあえず……今夜の夕飯は作ってもらえそうだよ。……メニューは『冷たいスープ』かもしれないがね」

 

プッ。会場のどこかから、吹き出す音が聞こえる。数人の女性記者が、思わずクスリと笑ってしまったのだ。張り詰めた空気が、一瞬で緩む。

 

「あ、相手の女性にはどう責任を取るんですか!彼女は被害者だ!権力に屈したんだ!」

 

「違うな。オフェーリア女史は、すべてを承知の上だ。……彼女もまた、聡明な女性だからね。……我々の家族の問題だよ。刑事事件にすらなるまい。もちろん、彼女が不当な不利益を被らぬよう、仕事の保証はする。……生活の面倒も見る。彼女の未来を閉ざすようなことは、私がさせない。責任は取る。……二人の女性を愛してしまった以上、二人の人生を背負う。……それが、男の甲斐性だろう?」

 

公衆の面前で「二股宣言」と「甲斐性自慢」をしたのだ。普通なら炎上案件だ。だが、トリューニヒトが言うと、なぜか「頼りがいのある男」に見えてしまうバグが発生する。

 

「隠してコソコソするよりはマシだ。……私は、自分の欲望にも、自分の責任にも正直でありたい。……それが『正直な悪徳政治家』である私のポリシーだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

ワイドショーを見ていた主婦たちが、画面の中のトリューニヒトを見て会話している。

 

「あら、意外と潔いわねぇ。普通の政治家なら、『記憶にない』とか『誤解だ』とか言って逃げるじゃない?それに比べて、あっさり認めて『妻に謝った』って言うのは、なんだか人間臭いわよね」

 

「そうそう!隠してコソコソされるよりは、男らしいんじゃない?それに『責任は取る』って言い切った顔、ちょっとカッコよかったわよ。……うちの旦那なんて、浮気したら絶対シラを切るわよ。それに、不倫しても仕事はできるんでしょ?給付金くれたし、景気もいいし。……まあ、奥さんは大変だろうけど、私たちが文句言うことでもないかもね」

 

「そうね。……次の選挙も、やっぱりトリューニヒトかしらね」

 

「まあ、他にイケメンもいないしねぇ」

 

世論は、動かなかった。

 

いや、むしろ「トリューニヒトの人間味が増した」という謎の評価アップに繋がってしまった。「スキャンダル」という弾丸は、トリューニヒトの「正直さ」という分厚い装甲に弾かれ、あさっての方向へと飛んでいったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『速報です!トリューニヒト議長、不倫会見を受けて支持率が変動!なんと……会見前より5%の微増!驚異の90%台に突入です!内訳を見ますと、特に30代から50代の女性層からの支持が厚く、「潔い」「正直で可愛い」「むしろ人間らしくて信用できる」との声が殺到しております!』

 

画面には、街頭インタビューの映像が流れる。買い物袋を提げた主婦が、カメラに向かって満面の笑みで答えている。

 

「だってぇ、隠すよりいいじゃないですかぁ。ちゃんと奥さんに土下座したんでしょ?うちの旦那なんて逆ギレするわよ。それに比べて議長は『男の甲斐性』って言い切ったところが、なんかこう、頼りがいがあるっていうかぁ~」

 

「なぜだぁぁぁぁ!!!!」

 

「おかしいだろうが!!不倫だぞ!?背信行為だぞ!?なぜ支持率が上がるんだ!この国の道徳の教科書は焚き付けにでもされたのか!!」

 

クリスチアンは髪をかきむしる。彼の常識が、ガラガラと音を立てて崩れ去っていく。スキャンダルは政治家の命取り。それが古来よりの鉄則のはずだ。しかし、トリューニヒトという怪物は、スキャンダルさえも燃料にして、さらに高く飛び上がってしまった。重力を無視するUFOのようだ。

 

「『男の甲斐性』だと!?……ふざけるな!なぜそんな無茶苦茶な論理が通用するんだ!!」

 

エベンス大佐も、頭を抱えてテーブルに突っ伏している。彼は真面目な男だ。浮気など一度もしたことがないし、妻の誕生日は欠かさず祝う愛妻家だ。だからこそ、許せない。不誠実な男が評価され、誠実な自分が地下室でカップラーメンを啜っているこの現実が、どうしても納得できないのだ。

 

「公衆の面前で『二号さんも養う』と宣言したんだぞ!?普通なら『税金の無駄遣いだ』と叩かれるところだろう!なぜ『頼りがいがある』になるんだ!ハイネセンの水には幻覚剤でも混ざっているのか!」

 

「……落ち着け、二人とも。今の同盟市民は……もはや『正しさ』など求めていないのだよ」

 

ブロンズは、諦めにも似た口調で語る。

 

「彼らは、ヤン・ウェンリー元帥やウィレム・ホーランド元帥の『無敗の英雄伝説』に酔いしれ、空前の好景気という名のドラッグに浮かれている。……毎日が祭りなのだ。祭りの中では、堅苦しい説教よりも、面白い見世物の方が好まれる。トリューニヒトの小さな汚れなど……今の彼らにとっては、完璧すぎる英雄像に親しみやすさを加える『スパイス』でしかない。むしろ『人間味』として消費されているんだ。……『あの議長も、家では奥さんに頭が上がらないのね』という、共感のネタにされているのだよ」

 

聖水でアンデッドを攻撃しようとしたら、相手が聖水を飲んで「美味い!」と言い出したようなものだ。

 

「……くそっ!やはり、我々だけでは限界か……。我々には……華がない。泥臭い実務家ばかりだ。……市民を熱狂させる『顔』がない。旗頭がいないのが、これほど痛いとは……」

 

これでは、選挙はおろか、クーデターの声明文すら読んでもらえない。

 

「……いや。策がある。……まだ、手はあるぞ」

 

「策だと?」

 

「この人の力を使えば……救国軍事会議は本物になれる。……いや、トリューニヒトの『偽りのアイドル性』を粉砕することができる」

 

「誰だ、それは?」

 

エベンスが身を乗り出す。今の同盟に、トリューニヒトに対抗できるカリスマなど残っているのか?

 

「今はまだ言えん。……だが、その御方が動けば、軍の半分は我々に靡く。……市民も、その高潔な人格の前にはひれ伏すだろう。だが現状を、憂いていないはずがない」

 

「準備を急ごう。……トリューニヒトがスキャンダルで浮かれている今こそ、足元をすくうチャンスだ。……『真の正義』が何であるかを、この国に思い出させるのだ」

 

 

 

 

 

 

イゼルローン要塞 司令官室

 

 

 

 

ヤンは、デスクに置かれたテレビのスイッチを切る。プツン、という音と共に、トリューニヒトのドヤ顔が消え、深いため息をつく。その吐息には、ブランデーの香りが混じっている。勤務中だが、これを見せられた後では、酒でも飲まないとやってられない。

 

「……やれやれ。あの議長にスキャンダルをぶつけるなんて……火薬庫にマッチを投げ入れるようなものだ。……爆発して吹き飛ぶかと思えば、その爆風でさらに高く舞い上がってしまったよ。火力が上がってしまった」

 

普通、火薬庫に火をつけたら爆発する。だが、トリューニヒトという火薬庫は、爆発エネルギーを全て「推進力」に変えてしまう謎の構造をしているらしい。

 

「支持率が上がるなんて……信じられませんわ。でも……閣下。あの議長の言い草……。『批判されることこそが自由の証明だ』というあの論理……。どこかで聞いたことがあるような気がします」

 

フレデリカは、カップをヤンの前に置きながら、首を傾げる。彼女の記憶力は抜群だ。彼女の脳裏にあるのは、かつてヤンが語っていた民主主義論だ。

 

『専制政治の罪は、国民が政治を批判できないことにある。民主主義の美点は、政治家を罵倒できる権利があることだ』そんなことを、ヤンはよく言っていた。

 

「ああ。……その通りだ、大尉。私がいつも言っている『民主主義の定義』を……奴は知っているのだよ。そして、それを最悪の方向に捻じ曲げて引用しているね。『俺を批判できるんだから、俺は独裁者じゃない。だから俺は好きなようにやる』……。究極の屁理屈だが、論理的には破綻していないのが腹立たしいところだ」

 

ブランデー入りの紅茶を一口飲み、渋い顔で頷く。ヤンの理論は、「だからこそ、権力者は謙虚であるべきだ」という結論に向かう。だが、トリューニヒトの理論は、「だからこそ、俺は何をしても許される」という結論に向かう。入り口は同じなのに、出口が正反対だ。悪魔的な翻訳能力である。

 

「性格が悪いにも程がある。……私の言葉をパクるなら、著作権料を払ってほしいくらいだよ。そうすれば、もう少しマシな茶葉が買えるのに」

 

「でも、閣下。クーデター派の人たちは……これで諦めるでしょうか?スキャンダル作戦が失敗して、意気消沈しているのでは?」

 

「いや……逆だね。……追い詰められたネズミは、猫を噛む。あるいは、猫よりも恐ろしい『猛獣』を檻から出そうとするかもしれない」

 

「猛獣……ですか?」

 

「ああ。……彼らには今、失うものがない。そして、自分たちの正義を証明するためには、トリューニヒト以上の『正義の象徴』が必要になる。……この国に、そんな人物がまだ残っているか?」

 




ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

この章では、救国軍事会議の悲壮感と、トリューニヒトの異常な耐久力、そしてロボスの演技の裏側を描きました。
書いている本人が驚くほど、全員が勝手に動き回る回で、気づけばこの長さになっていました。

読者のみなさんに伺いたいのは――
・どのシーンが一番銀英伝らしいと感じたか
・トリューニヒトの会見の詭弁はどう映ったか
・ロボスの二層構造はアリか、やりすぎか

ぜひ、率直な感想をお聞かせください。
皆さまの反応が、次回の狂気と政治劇の燃料になります。

次回、救国軍事会議がとんでもない切り札に手を伸ばします。どうぞご期待ください。

宇宙を統一するのは誰だと思いますか?

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