銀河英雄伝説 〜無能なる俗物が勘違いで英雄に祭り上げられ、気づけば貴族連合盟主としてラインハルトと雌雄を決する件について〜   作:斉宮 柴野

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内戦は、武力だけで決着がつくものではない。

一つの大義が消え、
一つの商業国家が崩れ、
そして銀河の勢力図そのものが塗り替えられる。

ヴェスターラント、フェザーン、そして兄弟。

誰が覇者となるのか。
それ以前に、この宇宙はどこへ向かうのか。

今回は、その均衡が崩れる瞬間です。


兄より、弟へ

「何だと!?我が領地ヴェスターラントで反乱だと!?」

 

「はい、閣下。残念ながら事実でございます。領民たちが武装蜂起し、領主の館を包囲したとのことです」

 

「暴動の規模はどれくらいだ!なぜ事前に防げなかったのだ!」

 

「はっ。日頃の重税に対する不満が爆発したものと思われます。武装は農具や旧式の猟銃程度ですが、数が多く、すでに数万規模に膨れ上がっている模様です。そして……誠に申し上げにくいのですが」

 

「もったいぶるな!言え!」

 

「……暴徒の一部が館に乱入し、領主である閣下の甥御様が、その混乱の中で命を落とされたとのことです」

 

「なんだとぉぉぉっ!!我が愛する甥を殺しただと!?許せん!!下民どもが、恩知らずな暴挙に出おって!自分が誰の庇護の下で生かされているのかも忘れた、汚らわしい豚どもめ!」

 

「閣下、お気持ちは察しますが、ここは冷静に。直ちに鎮圧部隊を送りますか?正規軍の一個大隊もあれば、半日で制圧は完了するかと存じます」

 

「生ぬるい!ただの鎮圧部隊など送ってどうする!それでは腹の虫が収まらん!我が一族の尊い血を流したのだぞ!全宇宙の平民どもに、門閥貴族に逆らうとどうなるか、徹底的な見せしめが必要だ!熱核兵……」

 

かつてのリップシュタット連合軍であれば、このような大貴族のヒステリーに誰もが同調し、こぞって民衆への弾圧を支持する声が上がっていたはずである。

 

しかし現在のガイエスブルク要塞は、異常なまでの鉄の結束と規律を保っている。派閥争いや足の引っ張り合いは完全に消滅し、ラインハルト側から仕掛けられる巧妙な謀略や寝返りの誘いも、貴族たちは一瞥しただけで「アルブレヒト閣下の承認がないのでお断りします」と、まるでマニュアルを読み上げるかのように一蹴している。

 

恐怖による統制か、あるいは絶対的な庇護者に対する依存か。

甥を殺された怒りで我を忘れ、顔を真っ赤にして口から泡を飛ばす公爵は、ついに禁断の大量破壊兵器の名前を口にしかける。だが、その言葉が完全に紡がれる前に、異変が起きる。

 

「ヒュオオオオオ……」

 

室内の温度が、物理的にマイナス十度ほど急降下したかのような錯覚が司令室全体を包み込む。ブラウンシュヴァイク公は、背筋に強烈な氷の刃を突き立てられたような悪寒を感じて、言葉をピタリと止める。

 

彼の視界の端、司令室の最も見晴らしの良い場所に設置された特注の高級ソファに、この要塞の絶対的な支配者であるアルブレヒト・フォン・ファルケンハイン元帥が気だるげに横たわっているのが入る。

 

アルブレヒトは何も言わない。ただ、手にしたマイセンのティーカップを優雅に傾けながら、満面の、これ以上ないほど爽やかで輝くような笑顔をブラウンシュヴァイク公に向けている。だが、その瞳の奥だけは一ミリも笑っていない。漆黒の宇宙の深淵よりも冷たく、そして明確な殺意を孕んだ瞳が、言葉よりも雄弁に公爵の心臓を鷲掴みにする。公爵の脳裏に、アルブレヒトの心の声が直接響いてくるような幻聴が走る。

 

(義父上?まさか今、核なんて野蛮で面倒くさいこと、言おうとしませんでしたよね?俺が徹夜して作り上げたホワイトでクリーンな軍隊のイメージ戦略と法治国家の改革、台無しにするつもりじゃないですよね?もしそんな命令を出したら、甥っ子じゃなくて貴方が消滅することになりますよ?ね?)

 

「熱核へ……へ……!」

 

「閣下?熱核兵器の使用をご命令ですか?」

 

「ば、馬鹿者!誰がそんな恐ろしい兵器を使えと言った!熱核兵……兵を!新たに訓練された最新鋭の兵を現地に派遣し!」

 

「……兵を派遣し、徹底的に弾圧するのですね?」

 

「ち、違う!弾圧などという野蛮な真似をするわけがないだろう!首謀者を突き止め!速やかに逮捕して、公正なる裁判にかけろ!」

 

「裁判、でございますか?武装蜂起した暴徒を?」

 

「そうだ!我々は文化的な門閥貴族であるぞ!帝国の法にのっとって、弁護士をつけ、公正かつ厳格に、透明性のある手続きで処分せよ!一般市民には絶対に手を出すなよ!暴徒の制圧時にも過剰防衛にならないよう、非致死性兵器の使用を徹底させろ!」

 

「……は、はあ。承知いたしました。直ちに法務局と連携し、裁判団をヴェスターラントへ派遣いたします」

 

ブラウンシュヴァイク公の額から、滝のような冷や汗が噴き出している。アンスバッハ准将は、主君の突然の「人権派」への方針転換に戸惑いながらも、素早く敬礼して指示を復唱する。

 

アルブレヒトは、そのやり取りを最後まで黙って見守った後、ティーカップをソーサーにコトリと置き、ゆっくりと立ち上がる。そして、顔面を蒼白にしてガタガタと震えているブラウンシュヴァイク公の元へと歩み寄り、パチパチと大げさな拍手を送る。

 

「よし。……流石は義父上。まさに名君の鑑ですな」

 

「は、はい……!」

 

「身内を殺された深い悲しみと怒りの中にあっても、決して感情に流されず、帝国の法と秩序を重んじるその高潔な精神。このアルブレヒト、心より感服いたしました。ヴェスターラントの民も、義父上のその慈悲深いご決断を知れば、自らの愚行を恥じ入り、必ずや悔い改めることでしょう」

 

「あ、ああ!その通りだ!私とて、領民を愛する親のようなものだからな!間違った子を法という正しい道で導いてやるのが、領主の務めというものだ!アハハハハ!」

 

「素晴らしいお言葉です。後で広報局に命じて、義父上のこの寛大なご処置を全宇宙に向けて大々的にプロパガンダ放送させましょう。『慈悲深きブラウンシュヴァイク公、暴徒を法で救う』と。これで我が貴族連合軍の支持率はさらにうなぎ登りです」

 

「そ、そうか!それは良い!ぜひ大々的にやってくれ!頼んだぞ、アルブレヒト君!」

 

「ええ、お任せを。……もし万が一、現地で核の炎が上がるような手違いがあれば、私が直接、義父上の責任を問わねばならなくなるところでしたから。本当に良かったです」

 

「ヒィッ……!も、もちろんだ!私の目の黒いうちは、絶対にそのような悲劇は起こさせん!」

 

こうして、本来の歴史において銀河帝国を恐怖のどん底に陥れ、門閥貴族の決定的な失墜とラインハルトの覇権を決定づけるはずだった忌まわしき「ヴェスターラントの虐殺」は、怠け者の婿殿の恐ろしい笑顔一つで、極めて合法的でクリーンな「ヴェスターラント裁判」へと鮮やかに歴史修正される。

 

数百万の民衆の命が救われたと同時に、ラインハルト・フォン・ローエングラムは、敵の致命的な失策によって政治的勝利を確実にするという、最大のチャンスを永遠に失うこととなったのである。

 

「……補給線が切られただと?どういうことだ!」

 

「はっ。誠に申し訳ありません。レンネンカンプ艦隊の仕業です。我々の後方を守備していた輸送船団が、立て続けに三度、敵の奇襲を受けて壊滅的な打撃を受けました」

 

「なぜ防げない!レンネンカンプはあのような大胆な遊撃戦を得意とする将ではないはずだ。あいつはもっと頭の固い、教科書通りの戦法を好む男だろう!」

 

「その通りです。ですから、これは間違いなくロイエンタール提督の指示でしょう。あの金銀妖瞳の男が、我々の輸送艦隊の航行ルートを完全に読み切り、最も護衛の薄いポイントでレンネンカンプに待ち伏せ攻撃を仕掛けさせているのです」

 

「またロイエンタールか!あの男、敵に回してみると、まるで水を得た魚のように生き生きと暴れ回っているではないか!レンテンベルグでの撤退も、結局は我々の戦力を削ぐための布石だったということか!」

 

攻めあぐねているラインハルト軍の誇る純白の旗艦《ブリュンヒルト》の作戦司令室では、ラインハルトが苛立ちを隠せないまま、指揮席の肘掛けを苛立たしげに指先でトントンと叩いている。

 

彼の美しい蒼氷色の瞳には、かつてないほどの濃い焦りと疲労の色が浮かんでいる。オスカー・フォン・ロイエンタールの神出鬼没のゲリラ戦術を前に、有効な打開策を見出せずに唇を噛み締めているのだ。

 

「戦線が伸びきっています、ラインハルト様」

 

「分かっている、キルヒアイス!だが、退くわけにはいかないのだ!」

 

「敵はガイエスブルク要塞という絶対的な防御陣地に完全に引き篭もり、一歩も出てこようとはしません。我々が挑発を繰り返しても、まるで暖簾に腕押しです。その上で、ロイエンタールとレンネンカンプの遊撃部隊が我々の補給線をチクチクと削り続けている。……こちらの物資の備蓄も、決して無限ではありません。このままでは、兵糧攻めに遭っているのは我々の方になってしまいます」

 

「おのれ……ファルケンハインめ!自分が動くのが面倒だからといって、徹底的に待ちの戦術に徹しおって!あんな臆病な引きこもり戦法が、銀河の覇者を決める戦いと言えるのか!」

 

「言えるか言えないかは問題ではありません。現実に、我々は戦術的に劣勢に立たされつつあります。焦りは禁物です、ラインハルト様」

 

「分かっているさ!だが、何か打つ手はないのか!オーベルシュタイン、貴様は黙って何を計算している!」

 

主君の苛立ちを全く意に介することなく、淡々とした口調で絶望的な報告を続ける。

 

「……ヴェスターラントでの暴動に関する情報が入りました」

 

「ほう!ついに門閥貴族の足元に火がついたか!民衆の不満が爆発したのだろう。ブラウンシュヴァイク公の性格だ、必ず武力で徹底的な弾圧を行い、大虐殺を引き起こすに違いない!それを全宇宙に喧伝すれば、民心は一気に我々に傾く!我々の大義名分が完成するのだ!」

 

「……私もその失策を大いに期待しておりましたが、残念ながらその目算は完全に外れました」

 

「何?外れただと?」

 

「はい。敵は暴動に対して武力弾圧を一切行わず、帝国の法に則り、弁護団を派遣して粛々と公開裁判を進めているようです。一般市民には指一本触れず、首謀者のみを法廷で裁くという、極めて近代的な手続きを踏んでいます」

 

「ば、馬鹿な!あのブラウンシュヴァイク公が!?身内を殺されて、冷静に裁判を行うだと!?明日の太陽が西から昇るような話ではないか!」

 

「事実です。現在、全宇宙のネットワークを通じて、『身内を殺されても法と秩序を守る、慈悲深きブラウンシュヴァイク公』という、吐き気を催すようなプロパガンダ映像が絶賛放送中です。民衆は彼の寛大な処置に涙し、貴族連合軍への支持率は歴史的な最高水準に達しています」

 

「チッ!兄上め、門閥貴族を完全に飼い慣らしたか!あの御しがたい豚どもを、法治国家の立派な政治家に仕立て上げるとは……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁぁぁにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?今週分の『特製バラエキス配合最高級プラチナム美容液・銀河の輝きエディション』が届いていないじゃと!?あれがないと妾のモチベーションが保てぬというのに、一体どういう管理をしておるのじゃ!!」

 

彼女の背後で直立不動の姿勢をとっている補給担当の従兵は、顔面を蒼白にしながらガタガタと震え、手にしたタブレット端末を落とさまいと必死に握りしめている。

 

「は、はい……!誠に申し訳ございません、マルガレータ閣下!後方から輸送中であった第三十一補給艦隊が、レンネンカンプ大将の遊撃部隊による執拗な待ち伏せ攻撃を受けまして……!弾薬や食料を積んだ艦はなんとか逃げ延びたのですが、閣下の美容液や最高級のバスソルト、さらには特注のシルク製パジャマを積載していた特別コンテナ艦だけが、ピンポイントで集中砲火を浴びて宇宙の塵となりまして……!」

 

「おのれレンネンカンプ!あの融通の利かない堅物ヒゲオヤジめ!食料や弾薬ならともかく、乙女の肌の潤いを奪うとは、戦時国際法に違反する極悪非道なテロ行為じゃ!万死に値するぞ!乾燥はお肌の最大の大敵なのじゃぞ!艦内の空調はただでさえ肌の水分をゴリゴリと削っていくというのに、このままでは妾のプルプルのお肌が、干からびた砂漠のようになってしまうではないか!」

 

「お、おっしゃる通りでございます!直ちにオーディンの本国へ緊急追加発注をかけますが、前線のこの宙域まで届くには、最短でも二週間はかかると……!」

 

「二週間じゃと!?そんなに待てるわけがなかろう!二週間も美容液なしで過ごせば、妾の肌年齢が三歳は老け込んでしまうわ!ただでさえジークフリード・キルヒアイスという超鈍感な赤毛の堅物を振り向かせるために、毎日一ミリの隙もない完璧な美しさを維持しなければならないというのに!レンネンカンプめ、絶対に許さん!次に戦場で見かけたら、あの男の自慢のヒゲをむしり取って、艦のメインエンジンの燃料に放り込んでやるわ!」

 

マルガレータが鏡台を叩きながら地団駄を踏んでいると、ピンク色の自動ドアが音もなく開き、氷点下の冷気を纏ったような一人の男が部屋に足を踏み入れる。オーベルシュタインはマルガレータのピンク色のオーラと対極に位置するような、一切の感情を排した無機質な顔つきのまま、手には真っ白な医療用の包帯と消毒液のボトルを持っている。

 

「……マルガレータ閣下。顔の皮の乾燥度合いや肌年齢などという非科学的な概念よりも、今はその右胸の貫通傷の治癒状況を心配なさいませ。まだ抜糸も済んでいないのですよ。大声を出して暴れ回れば、せっかく塞がりかけた傷口が再び開いて、今度こそ致命的な出血を引き起こす確率が七十八パーセント上昇します」

 

レンテンベルグ要塞において、彼自身が放ったレーザービームによってマルガレータの右胸を貫通した傷跡は、当然ながらまだ完治していない。最新の医療ポッドで細胞組織を強制的に結合させたとはいえ、肉体的なダメージは計り知れないはずなのだが、当のマルガレータは全く気にする素振りを見せない。

 

「フン!何を言うかオーベルシュタイン!この右胸の傷跡など、名誉ある戦士の勲章じゃ!むしろ、この少しだけ覗く傷跡が、妾の完璧なプロポーションにワイルドな魅力を付加して、さらにセクシーさを増しているとは思わんか?ジークもこの痛々しい姿を見れば、必ずや『おお、マルガレータ嬢、私のためにこんな傷を……!』と涙を流して妾を抱きしめてくれるに違いないわ!だがな、カサカサに乾燥した肌はただの老化じゃ!セクシーさなど微塵もない、ただの自己管理の甘さの露呈じゃ!美容液がないという事態は、胸に大穴が開くことよりも遥かに深刻な国家規模の危機なのじゃ!」

 

オーベルシュタインは彼女のセクシーアピールに一切の反応を示さず、義眼のレンズをチカチカと点滅させながら、ただ冷ややかにため息をつく。

 

「……やれやれ。美意識と戦術的合理性の間に生じる絶望的なまでの認識の乖離ですね。顔の皮膚の水分量が減少したところで、戦艦の主砲の威力が落ちるわけでも、装甲の強度が下がるわけでもありません。しかし、どうしてもその乾燥という物理的現象を解決しなければ気が済まないというのであれば、私の私物の備蓄からワセリンを提供しましょう。それで我慢なさい」

 

オーベルシュタインはそう言うと、軍服のポケットから、業務用の巨大なプラスチック容器に入った無色透明のゼリー状の物体を取り出し、マルガレータの目の前に突き出す。

 

それは、高級美容液のような華やかな香りは一切しない、純度百パーセントのただの鉱物油である。

 

「な、なんじゃこれは!?全くバラの香りがしないではないか!こんな無骨な油を、乙女のデリケートな肌に塗れというのか!」

 

「これは高度に精製された白色ワセリンです。私は常にこの義眼の眼窩部分の摩擦を減らし、サイボーグ部品の乾燥と劣化を防ぐために、このワセリンを大量に常備しているのです。肌の表面に強力な油膜のコーティングを形成し、内部の水分蒸発を完全に遮断するという点においては、貴女の言うプラチナムなんとかという法外な値段の液体よりも、遥かに科学的かつ効率的に保湿機能を発揮します。成分は極めて安定しており、無香料・無着色ですのでアレルギー反応のリスクも最低限に抑えられます。さあ、遠慮なく顔面に塗布してください」

 

「義眼の潤滑油を顔に塗れじゃと!?お前は本当にデリカシーという言葉を辞書で引いたことがないのか!……しかし、背に腹は代えられぬな。この艦内の恐るべき乾燥地獄からお肌を守るためには、もはや手段を選んでおる余裕はない。貸せ!」

 

意外にも、その無骨なワセリンは彼女の肌にすっと馴染み、強力な保湿効果を発揮して、乾燥による突っ張り感を瞬時に解消していく。

 

「む……!これは……!香りは皆無で全くテンションは上がらぬが、保湿力という一点においては確かに完璧な仕事をしておるな!肌が外の空気から完全に守られているという、謎の安心感があるわ!」

 

「当然です。私の計算に基づく物理的なコーティング処置ですからな」

 

「気が利くな、オーベルシュタイン!お前のような冷血漢が、まさかこんな実用的なスキンケアアイテムを常備しておるとは思わなんだわ!見直したぞ、愛い奴め!この功績に免じて、お前を妾の愛人候補ナンバーツーから、暫定ナンバーワンに格上げしてやろう!もちろん、本命は永遠にジークじゃがな!」

 

オーベルシュタインは肩を叩かれる振動に合わせて義眼を明滅させながら、微塵も嬉しくなさそうな平坦な声で「光栄の極みです」と即答するが、マルガレータは全く聞いていない。

 

 

 

 

 

 

難攻不落の巨大要塞ガイエスブルクと、白亜の美しさを誇るラインハルト軍の総旗艦ブリュンヒルト。敵対する二人の英雄のもとに、全く同じ時刻、全く同じ絶望的な内容の報告が、青天の霹靂のごとくもたらされようとしていた。

 

要塞の防衛機能は完璧に機能しており、門閥貴族たちの不満も、先のフレーゲル男爵の粛清劇によって完全に沈黙している。ラインハルトの軍勢は補給線の延長に苦しみ、要塞の手前で足踏みを続けている。戦況は完全にアルブレヒトの描いた「引きこもり戦略」の盤上にあり、何も心配することはないはずだった。

 

目前に迫りながらも決して扉を開こうとしないガイエスブルク要塞の堅牢さと、後方でチクチクと補給線を削り続けるロイエンタールのゲリラ戦術。そして何より、ヴェスターラントでの暴動を武力ではなく法による裁判で解決し、逆にプロパガンダに利用して支持率を上げてみせたブラウンシュヴァイク公の政治的手腕。武力、知略、そして大義名分。その全てにおいて、ラインハルトは目に見えない巨大な壁に阻まれ、身動きが取れなくなっているのだ。

 

そんな静寂と焦燥が交錯する二つの空間に、同時に、けたたましい非常警報のサイレンが鳴り響く。

 

「緊急入電!!フェザーン方面より、超光速通信による最高機密データを受信しました!!」

 

ガイエスブルク要塞のオペレーターが、血相を変えてアルブレヒトに向かって叫ぶ。全く同じタイミングで、ブリュンヒルトの通信士も、顔面を蒼白にしながらラインハルトに向かって絶叫している。

 

「……なんだ?フェザーンからだと?このクソ忙しい内戦の最中に、あの黒キツネのルビンスキーが何の用だ。まさか、我々とラインハルトの間に割って入って、内戦の仲介でもする気か?それとも、軍資金の貸し付けの利息を上げるとかいう、世知辛い金の話か?」

 

フェザーン自治領は、帝国と同盟の間に位置する中立の商業国家であり、常に両国の争いを利用して甘い汁を吸い続けてきた狡猾な存在だ。彼らが動く時は、必ず金か権力が絡んでいる。

 

「……ルビンスキーの戯言か?あのフェザーンの成り上がり者が、私の覇業に口を挟むつもりか。仲介などという生ぬるい提案なら、通信を即座に切れ。私は兄上と、完全に決着をつけるまで引く気はない」

 

ラインハルトもまた、金髪を揺らしながら不快感を露わにする。彼にとって、フェザーンの中立などというものは、いずれ宇宙を統一する上での障害でしかない。

 

しかし、二人のオペレーターの口から飛び出した言葉は、彼らの予想を遥かに超える、全く次元の違う絶望的な内容であった。

 

「ち、違います!!ルビンスキーからの通信ではありません!発信元はフェザーン駐在の帝国高等弁務官事務所ですが、すでに職員の大半が拘束されている模様です!フェザーン自治領が……同盟軍のヤン・ウェンリー総統によって、電撃的に軍事占領されました!!」

 

「何!!??」

 

ガイエスブルク要塞のアルブレヒトと、ブリュンヒルトのラインハルトの口から、全く同じタイミングで、驚愕の叫びが上がる。

 

同盟軍が?あの自由惑星同盟が?しかも、あの「魔術師」ヤン・ウェンリーが率いる軍勢が、不可侵の中立地帯であるはずのフェザーンを軍事占領しただと?

 

「自治領主府はすでに陥落!ルビンスキー自治領主の行方は不明!フェザーンが保有する莫大な経済資産、および帝国と同盟を結ぶ全航路データは、全て同盟軍によって接収されました!同盟軍はフェザーンの宇宙港を完全に制圧し、フェザーン回廊は物理的にも情報的にも、完全に封鎖されました!!」

 

オペレーターの絶叫が、それぞれの司令室に木霊する。アルブレヒトはソファから立ち上がり、目を見開いたまま絶句する。

 

ヤン・ウェンリー。自由惑星同盟の軍人であり、徹底した民主主義者であり、そして何よりアルブレヒトと同じように「退役して年金をもらって昼寝をしたい」と公言してはばからない、究極の怠け者のはずの男。

 

その彼が、総統という独裁的な地位に就いたという情報だけでも十分に驚きだったが、まさかここに来て、帝国と同盟の緩衝地帯であるフェザーンに軍事侵攻を行うなど、狂気の沙汰としか思えない。

 

「……どういうことだ。あのヤン・ウェンリーが、自分から戦争を仕掛けただと?あの男は、防衛戦でしか力を発揮しない、引きこもり気質の平和主義者じゃなかったのか!なぜフェザーンを獲った!これでは、同盟軍がいつでも我々の背後である帝国領内に、無傷で雪崩れ込んでくることができるではないか!」

 

アナスタシアが表情を硬くしている。彼女の指摘通り、フェザーン回廊を同盟軍が完全に制圧したということは、帝国の喉元に常にヤン・ウェンリーの凶刃が突きつけられている状態になったことを意味する。

 

一方、ブリュンヒルトでは、ラインハルトが怒りと混乱で拳を震わせている。

 

 

「オーベルシュタイン!貴様の計算ではどうなっている!フェザーンの動きを予測できなかったのか!」

 

ラインハルトが、厳しい視線をオーベルシュタインに向ける。冷徹な参謀長は、相変わらず無表情のまま、義眼をチカチカと点滅させて答える。

 

「……申し訳ありません。ヤン・ウェンリーという個人のパーソナリティが、独裁者としての権力を手にした途端に、これほどまでに攻撃的かつ覇権主義的な行動に出るという変数は、私の計算モデルには存在しておりませんでした。彼は民主主義の擁護者であるという強固な前提が、完全に崩壊いたしました。ヴェスターラントでの失策も期待しましたが……敵は法に則り、粛々と裁判を進めているようです。『慈悲深いブラウンシュヴァイク公』というプロパガンダすら流れており、我々の政治的優位性も失われています。戦略的にも、政治的にも、我々は完全にチェックメイトの一歩手前まで追い込まれたと言わざるを得ません」

 

「ヤン・ウェンリーという想定外の怪物までが動き出すとは!なんという理不尽な宇宙だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤン・ウェンリー。あの男、軍人を辞めて強盗にでも転職したのか?いや、ただの強盗じゃない。宇宙規模の超大型詐欺師兼、武装強盗団のボスだぞ!フェザーンの莫大な借金を踏み倒すために、軍事力で債権者ごと制圧するなんて、前代未聞にも程がある!しかもその理屈が最高だ」

 

「聞いてくださいよ、義父上。ヤン・ウェンリーが全宇宙に発信した声明文です。『我が自由惑星同盟は、建国の理念において国家という枠組みを超越した自由な市民の集まりである。ゆえに、同盟政府という法人は本質的に存在せず、したがってフェザーン自治領に対して負っている莫大な国家債務も、契約の主体が存在しないため根本的に無効である』……だとさ!天才か、あいつは!屁理屈もここまで堂々と言い切れば芸術の域だぞ!」

 

「な、なんという無茶苦茶な理屈だ……!金を借りるだけ借りておいて、自分は国じゃないから返す義務はないなどと、そんなデタラメが宇宙の法廷で通用すると思っているのか、あの下民は!」

 

彼ら門閥貴族にとって、借金というものは領地と並んで絶対的な財産であり、それを言葉遊びで踏み倒そうとするヤン・ウェンリーの態度は、親の仇よりも許しがたい暴挙に映るらしい。

 

「いやあ、通用するかどうかはどうでもいいんですよ、義父上。ヤン・ウェンリーは法廷で争う気なんて最初からないんですから。彼らは法廷の代わりに、数万隻の宇宙戦艦と主砲のビームを用意したんです。『文句があるなら撃ち合いで決めようぜ、あ、俺たちもうフェザーンの宇宙港占拠しちゃったけどね』っていう、究極の物理的解決策ですよ。まさに力こそパワー。ヤン・ウェンリー、あいつ絶対俺と同じで、面倒くさい事務手続きとか借金の返済計画とか考えるのが嫌になって、全部力技でリセットボタンを押しやがったんだな。親近感が湧いてきたよ」

 

「アル様、呑気に感心して笑っている場合ではありません!事態の深刻さが本当にお分かりですか!フェザーン自治領が同盟軍の軍事占領下に置かれたということは、帝国の経済の首根っこを、あのヤン・ウェンリーに完全に握られたということなのですよ!これは、内戦どころの騒ぎではありません!」

 

彼女は手元のタブレット端末を操作し、巨大なメインスクリーンに帝国の経済指標と物流ルートの図を表示させる。

 

「フェザーンは、帝国と同盟を結ぶ唯一の経済的パイプでした。我々が消費する物資の流通、貴族たちの金融資産の運用、さらには裏ルートでの資源の調達まで、その大半がフェザーンというブラックボックスを経由して行われていたのです。それが同盟軍の手に落ちたということは、彼らが気まぐれで関税を千パーセントに引き上げたり、物流を完全にストップさせたりすれば、帝国の経済は干上がります!兵士に給料も払えなくなり、戦艦を動かすエネルギーも枯渇するのですよ!」

 

アナスタシアの理路整然とした経済的危機の説明に、周囲の貴族たちもようやく事の重大さに気づき始め、顔色を青ざめさせてざわめき始める。

 

「そ、そんな馬鹿な!私のフェザーン銀行の隠し口座にある莫大な預金はどうなるのだ!まさか同盟軍に没収されるのか!?」

 

「私の領地の特産品をフェザーンの商人に売り捌くルートが絶たれれば、今年の税収がパーになってしまうぞ!」

 

「ヤン・ウェンリーめ、なんというえげつない真似を!あの男には血も涙もないのか!」

 

彼らにとって、領土を奪われることよりも、自分の懐の金が減ることの方がよほど深刻な問題らしい。

 

彼の瞳から先ほどまでのふざけた色が完全に消え去り、冷徹な総司令官としての光が戻る。

 

「ああ。分かっているさ、アナ。……財布を盗まれて、しかもその財布のクレジットカードで勝手に買い物をされている状態で、いつまでも兄弟喧嘩を続けている場合じゃないな。……ヤン・ウェンリーの野郎、俺たちの内戦という最高の見世物を、一番美味しいところで横取りしやがった。このままじゃ、俺もラインハルトも、あの借金踏み倒し強盗の踏み台にされるだけだ」

 

「……さて。どうやってあの金髪の意地っ張りを、交渉のテーブルに引きずり出すか、だな」

 

アルブレヒトの低い呟きが、警報音の鳴り止まないガイエスブルク要塞の司令室に、静かに溶け込んでいく。

 

一方。ラインハルトの率いる純白の旗艦ブリュンヒルトの作戦司令室もまた、全く同じ絶望と戦慄に包まれている。

 

「フェザーン回廊とイゼルローン回廊、その二つの戦略的要衝を、同時に同盟軍に抑えられたか……!これでは、我が銀河帝国は完全に袋の鼠ではないか!」

 

「ヤン・ウェンリー……!あの男、なぜいつも私の覇業の前に立ち塞がるのだ!アムリッツァの時といい、今回といい、私の一番見られたくない弱点を、なぜあそこまで的確に突いてくることができる!」

 

彼の周囲に立つ提督たちも、皆一様に重苦しい沈黙を守っている。

 

「ラインハルト様」

 

「お怒りはごもっともです。しかし、今は感情に流されている余裕はありません。……ファルケンハイン元帥との決着をつけないままでは、帝国内部に巨大な火種しか残りませんが……このまま兄上と無益な争いを続けていれば、ヤン・ウェンリーに完全に漁夫の利をさらわれます」

 

「漁夫の利、だと?この私が、あのヤン・ウェンリーの引き立て役にされると言うのか!」

 

「現実問題として、そうなります。我々がガイエスブルク要塞の前で釘付けになり、物資と兵力を消耗している間に、同盟軍はフェザーンの莫大な資産を吸収し、その戦力を飛躍的に増強するでしょう。そして、我々と貴族連合軍が共倒れになった隙を突いて、一気に帝都オーディンへと攻め込んでくる。……ヤン・ウェンリーの性格からして、そのような野心はないかもしれませんが、同盟の政治家たちがその絶好の機会を見逃すはずがありません」

 

キルヒアイスの冷徹な情勢分析が、ラインハルトの心に重くのしかかる。彼がどんなに武力に自信を持っていようとも、補給線を絶たれ、背後を同盟軍に脅かされている現在の状況では、ガイエスブルク要塞を落とすことは物理的に不可能に近い。ここで意地を張って内戦を続ければ、待っているのは共倒れという最悪の結末だけだ。

 

「……分かっている。お前の言う通りだ、キルヒアイス。私の頭では理解している。だが、どうする?今さら停戦などと、どの口が言えるというのだ。私は兄上に『賊軍』というレッテルを貼り、全宇宙に向けて宣戦布告をしてしまったのだぞ。今になって『フェザーンが攻められたから、やっぱり喧嘩はやめましょう』などと、あまりにも滑稽ではないか。私のプライドが、そのような無様な真似を許さない!」

 

彼の高い自尊心と、これまでに流してきた将兵の血が、彼に立ち止まることを許さないのだ。

 

「ラインハルト様、プライドで宇宙は救えません。時には、膝を屈してでも未来を掴み取る泥臭さが必要です。それが、真の覇者というものではありませんか」

 

ラインハルトはキルヒアイスのまっすぐな瞳を見つめ返し、しばらくの間、無言で葛藤を続ける。

 

「……チッ。ヤン・ウェンリーめ。本当に、どこまでも私の計算を狂わせてくれる男だ。……だが、私から頭を下げることだけは、絶対にしない。兄上の方から泣きついてくるのを待つまでだ」

 

その子供のような強がりに、キルヒアイスは困ったような、それでいてどこか安心したような微かな微笑みを浮かべる。

 

同じ頃、ガイエスブルク要塞の司令室。アルブレヒトは、通信機の前に立ち、まるでこれから死地に赴く兵士のように、深く、重い息を何度も吐き出している。周囲のオペレーターたちは、総司令官のただならぬ雰囲気に圧倒され、息を潜めて彼の次の行動を見守っている。

 

「……プライドを捨てて、現実を取るか。……これ以上、無意味な血を流すわけにもいかんしな。それに、このまま長期戦になれば、俺の睡眠時間がどんどん削られていく。それだけは絶対に避けなければならない最優先事項だ」

 

彼にとって、自尊心などというものは、快適な昼寝の時間を確保するための取引材料でしかないのだ。

 

「おい、通信士」

 

「は、はっ!通信士、スタンバイしております!」

 

「……全回線を開け。暗号化は不要だ。最高出力で、対象宙域の全ての艦艇に届くようにしろ」

 

「全回線、暗号化なしでございますか!?しかし、それでは敵味方問わず、全ての通信が筒抜けになってしまいますが!」

 

通常、軍の最高司令官同士の通信は、厳重な暗号化を施した専用回線で行われるのが常識だ。

 

「それでいい。むしろ、筒抜けにするのが目的なんだ。コソコソと裏口で交渉するような面倒くさい真似はしたくない。全宇宙の将兵に、俺たちの話し合いを聞かせてやる。そうすれば、後で『言った、言わない』の泥沼の論争になるのも防げるからな。……宛先は、帝国軍ローエングラム元帥だ」

 

「待つのだ、アルブレヒト君!ラインハルトに通信を繋ぐなど、我々が負けを認めたようなものではないか!門閥貴族の威信はどうなるのだ!」

 

「そうだ!せめて第三者を通じて、もっと慎重に探りを入れるべきだ!」

 

ブラウンシュヴァイク公をはじめとする貴族たちが、慌ててアルブレヒトを取り囲んで抗議する。

 

「義父上たち。威信で飯が食えるなら、いくらでもそうしますよ。だが、フェザーンをヤン・ウェンリーに抑えられた今、我々の銀行口座は完全に凍結される一歩手前なんです。口座の残高がゼロになったら、貴族の威信なんて、紙くず以下の価値しかありませんよ?」

 

「……通信士、準備はいいか」

 

「は、はい!全回線、オープン!いつでも発信可能です!」

 

「よし。……通信プロトコルに、メッセージを一つ付け加えろ。『兄より、弟へ』とな。……ちょっとクサいセリフだが、あいつのシスコン気質と家族愛を刺激するには、これくらいベタな方が効くはずだ」

 

アルブレヒトが、少し照れくさそうに頭を掻きながら指示を出す。

 

「『兄より、弟へ』……ですね。了解いたしました。送信します!」

 

『緊急通信受信。発信者:アルブレヒト・フォン・ファルケンハイン』

 

『メッセージ:兄より、弟へ』

 

その文字を見た瞬間、ブリュンヒルトの艦橋は水を打ったような静寂に包まれる。誰もが、その信じられない発信者の名前に釘付けになっている。

 

「……来ましたな。閣下の思惑通り、いや、それ以上に早い決断です。やはりファルケンハイン元帥は、ただの怠け者ではありません」

 

ラインハルトは、スクリーンに点滅する『兄より、弟へ』というメッセージを、瞬きもせずにじっと見つめている。彼の胸の奥で、敵対する総司令官に対する警戒心と、かつて自分を導いてくれた頼れる「兄」に対する郷愁が、激しく入り交じって渦巻いている。

 

「……ああ。避けては通れんか。兄上も、ヤン・ウェンリーの暴挙を前にして、ついに重い腰を上げたというわけだ。私から頭を下げる手間が省けたと思えば、悪くないタイミングだ」

 

「回線を開け!……ファルケンハイン元帥と話をする!私と兄上で、この狂った宇宙の落とし前をどうつけるか、直接交渉だ!」




ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

ヴェスターラントの歴史改変。
フェザーンの軍事占領。
そして「兄より、弟へ」

本来ならば決定的だったはずの虐殺が回避され、
代わりに銀河全体の構図が崩れました。

・ヴェスターラント裁判はアリだったか
・ヤンの決断は理解できるか
・アルとラインハルト、どちらの選択が正しいか
・この二人の停戦は成立すると思うか

ぜひ皆さまのご意見をお聞かせください。

宇宙を統一するのは誰だと思いますか?

  • アルブレヒト
  • ラインハルト
  • ヤン・ウェンリー
  • マルガレータ
  • ロイエンタール
  • ルビンスキー
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