銀河英雄伝説 〜無能なる俗物が勘違いで英雄に祭り上げられ、気づけば貴族連合盟主としてラインハルトと雌雄を決する件について〜   作:斉宮 柴野

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ユリアンの初陣。

それは本来、静かな成長の物語であるはずだった。

……ただし、保護者がヤン・ウェンリーでなければ。


ユリアン・ミンツの初陣

宇宙暦七九八年

 

ヤン・ウェンリー総統は、臨時首都ハイネセンを離れ、遠く離れた最前線のイゼルローン要塞を「視察」という名目で訪れている。

 

彼の視察の本当の理由は、イゼルローン要塞司令部のデスクを力任せに叩きつける、この男の怒声の中に集約されている。

 

「何!ユリアンが哨戒艦隊の任務に出ているだと!?アッテンボロー元帥!君は一体全体、何を考えているんだ!」

 

イゼルローン要塞司令官ダスティ・アッテンボローに詰め寄る。

アッテンボローは、総統の突然の激怒にも全く動じることなく、呆れたように肩をすくめる。

 

「ええ?何をって、新任の少尉として、ごくごく当たり前の日常的な任務を割り当てただけですよ!しかも、最前線じゃなくて、帝国軍が現れる確率が極めて低い安全な宙域のパトロールです。全く問題ありませんよ」

 

「問題大ありだ!宇宙空間に絶対安全な場所なんて存在しないんだぞ!隕石にぶつかるかもしれないし、突然ワープアウトしてきた迷子の海賊船と遭遇するかもしれないじゃないか!だいたい、君は私との約束を忘れたのか!ユリアンは絶対に危険な任務には就かせないって、あれほど念を押しておいたじゃないか!」

 

「だから、安全な後方パトロールだと言っているでしょうが!先輩、少しは落ち着いてくださいよ。一介の少尉のシフトに、国家元首がいちいち口を出してこないでください。現場の運用が滅茶苦茶になりますよ」

 

しかし、ヤンの過保護な親心は、すでに論理的な思考回路を完全に焼き切っている。

 

「ぐぬぬぬ……なら、仕方ない。私の総統としての権限を発動する。ユリアン・ミンツ少尉をたった今、中将に特例で昇進させる!そして、絶対に前線に出なくていい、イゼルローン要塞の最も奥深くにある、安全なデスクワーク専用の新しい部署を作れ!『同盟軍お茶くみおよび歴史資料整理特別室』とかでいい!私にはその人事権があるはずだ、なんたって総統だからな!これで文句ないだろう!」

 

「いやあ、流石は独裁者殿だ」

 

その時、シェーンコップが、ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべながら口を挟んでくる。

 

「何の実績もない近親の若者を、自分の個人的な感情だけでいきなり少尉から中将という高官に据えるとは。……まさに、腐敗した専制政治における身内贔屓のお手本、教科書通りの完璧な独裁者の振る舞いですな」

 

「うっ……」

 

「後世の歴史家は、間違いなくこう書き残すでしょうな。『清廉潔白を謳ったヤン総統の腐敗は、金銭ではなく、一人の身内に対する異常な過保護から始まった。彼は愛する被保護者を安全な場所に囲い込むために、国家の軍事システムを完全に私物化した』と。いやはや、実に面白い歴史の1ページになりそうですぞ、閣下」

 

「……じょ、冗談だ。ちょっとしたジョークじゃないか。冗談だとも。そんな個人的な職権濫用をするわけがないだろう。私は民主主義の理念を誰よりも尊重しているんだ。本気にするなよ、アッテンボロー。今の発言はオフレコだぞ」

 

「分かっていますよ。全く、先輩のジョークは笑えないんですよ。……おっと」

 

その時、司令部の通信コンソールから、甲高い緊急を知らせる電子音が鳴り響く。

 

「緊急報告!イゼルローン回廊のパトロール中であった第8哨戒艦隊が、帝国軍の哨戒部隊と予期せぬ遭遇を果たしました!双方、警告を無視して戦闘状態に入りました!」

 

その報告を聞いた瞬間、ヤンの顔から血の気が引き、完全に真っ青になる。

 

「第8哨戒艦隊だと!?それは……ユリアンがいる部隊じゃないか!」

 

「何をしている!直ちに出撃するぞ!私自らが直接救出に行く!!ヒューベリオンを今すぐ発進させろ!!第13艦隊、全艦出撃だ!!一隻残らず出撃して、ユリアンの盾になれ!!」

 

「……いえ、ヤン先輩。少しは落ち着いてくださいってば」

 

「敵の規模はたったの200隻ですよ。小規模な哨戒部隊です。対して、こちらの第8哨戒艦隊は500隻です。数の上では圧倒的に有利なんです。落ち着いて現場の指揮官に任せておけば、すぐに敵を蹴散らして帰ってきますよ」

 

「何!帝国軍が200隻もいるのか!それは多すぎる!たった500隻で相手にするには危険すぎる数字だ!何か罠が張られているかもしれない!」

 

「ならば……ラップの第11艦隊も、急遽同行させる!圧倒的な火力で帝国軍を塵にするんだ!急いで通信を繋いで、出撃命令を……!!」

 

「……やれやれ。呆れて声も出ませんな」

 

シェーンコップがヤンの首根っこを掴み、無理やりソファへと引きずり戻して座らせる。

 

「離せ、シェーンコップ!ユリアンが危険な目に遭っているかもしれないんだぞ!」

 

「たかが200隻の小競り合いに、総統自らが数万隻の主力艦隊を率いて出陣すると?そんなことをしたら、それこそ帝国軍に『同盟軍の総統は、哨戒部隊の小競り合いに全軍を動員するほど暇で臆病だ』と宣伝されるだけですぞ。過保護もここまで来ると、完全に病気ですな。少しは自分の立場と、国家のトップとしての威厳というものを自覚してください」

 

 

 

 

 

 

一方、その頃。

 

イゼルローン回廊の暗礁宙域において、同盟軍の第8哨戒艦隊と予期せぬ遭遇を果たしてしまった帝国軍の哨戒艦隊

 

その司令官席には、ひどく青ざめた顔で、胃薬の錠剤を水なしでガリガリと噛み砕いている男の姿がある。

 

かつてリップシュタット戦役において、ガイエスブルク要塞でアルブレヒトに命を救われ(というより、大逆罪の脅迫材料として完全に取り込まれ)、結果として生き残ってしまったヒルデスハイム伯である。

 

「トホホ……。なんでこの私が、こんな危険極まりない場所で、哨戒任務などをさせられているのだ……。私は本来、オーディンの屋敷で、美しいメイドに囲まれながら、優雅にワインを飲んで過ごしているはずの身分なのに……」

 

アルブレヒトの腹黒い人事配置により、彼は、『貴族直轄軍』という名の、最も過酷で危険な前線部隊へと強制的に放り込まれているのだ。

 

「閣下!前方より敵艦隊が急速に接近してきます!同盟軍の哨戒艦隊と推測されます!その数、我が方の2倍、約500隻です!」

 

「な……なんということだ!2倍だと!?そんな圧倒的な戦力差で勝てるわけがなかろうが!帝国軍の誇りなど知ったことか!全艦、直ちに反転!エンジンの出力を限界まで上げて、一目散に撤退を……!」

 

恐怖で顔を完全に引きつらせ、即座に逃亡の指示を出す。

しかし、その彼の逃亡の意思を、怒りに満ちた声が完全に遮る。

 

「何をおっしゃいますか、閣下!!」

 

「戦わずして、敵に背を向けて逃げるなど、誇り高き『貴族直轄軍』として、絶対に許される行為ではありませんぞ!これは帝国の恥です!」

 

「恥でも何でも構わん!命があってこその貴族だろうが!あんな野蛮な反乱軍どもと、まともに撃ち合って無駄死にするなど御免だ!早く逃げるのだ!」

 

「閣下は、状況が全くお分かりになっていないようですね。もし我々が、ここで敵と一戦も交えることなく、無傷でオーディンに逃げ帰ったりすれば……あの、アナスタシア総司令官閣下に、軍法会議にかけられるのですよ!」

 

「あ、あの女の……いや、元帥閣下の軍法会議だと……!?」

 

「そうです!あの御方は、退却や無抵抗を何よりも嫌悪される、生粋の武闘派です!もし我々が逃げ帰れば、軍法会議という名目で呼び出され、そのまま文字通り物理的に首と胴体を切り離されますぞ!!『帝国軍人の誇りを忘れた腑抜けは、この宇宙に必要ありません!』と言って、笑顔で我々の頭を握り潰すに違いありません!」

 

「ひぃぃっ!あ、あの鬼女……いや、麗しきアナスタシア元帥閣下なら、本当にやりかねん!あの人は、怒らせたら宰相よりも遥かに恐ろしい、宇宙最強のバーサーカーなのだからな!」

 

同盟軍のビームで宇宙の塵になるのと、アナスタシアの義手で物理的に頭蓋骨を粉砕されるの、どちらがマシか。

 

答えは明白だった。アナスタシアの怒りを買うことだけは、絶対に避けなければならない。

 

「むうう……!背に腹は代えられん!逃げて殺されるくらいなら、戦って活路を見出すしかない!オペレーター!本国に大至急、援軍の要請を送れ!そして、全艦に通達!戦端をひらけ!敵の同盟軍を迎え撃つぞ!死ぬ気で、文字通り死に物狂いで戦え!!アナスタシア閣下に殺されたくなければ、目の前の敵を倒すしかないのだ!!」

 

彼の悲痛な叫びに呼応し、帝国軍の200隻の哨戒艦隊は、後退するどころか、2倍の敵である同盟軍の500隻に向かって、凄まじい勢いで突進を開始する。

 

彼らの士気は、同盟軍への憎しみではなく、自軍のトップであるアナスタシアへの絶対的な恐怖によって、限界を突破して引き上げられていたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スパルタニアンのコクピットの中

 

ユリアン・ミンツは操縦桿を力強く握りしめ、ヘルメットのバイザーの奥で荒い息を吐き出している。

 

「ついに、初陣か……。……生き残れるかな?いや、弱音を吐いている場合じゃないぞ、ユリアン・ミンツ。僕は、絶対に死ぬわけにはいかないんだ。ハイネセンで僕の帰りを待っているヤン提督の顔をもう一度見るまでは、絶対に死ねない!」

 

通信機からは、彼が所属する飛行中隊の隊長であり、撃墜王として名高いオリビエ・ポプラン大佐の、相変わらずの軽口が飛び込んでくる。

 

「よう、ユリアン坊や!初陣のチビり具合はどうだ?パンツの替えは余分に持ってきているか?ヤン総統から、『ユリアンに指一本でも触れさせたら、お前の年金を全額カットする』って、本気度百パーセントの脅迫メールが昨日だけで五十通も来ているんだぜ。頼むから俺の老後のために、絶対に被弾しないでくれよな!」

 

ポプランの声には、緊張感など微塵も感じられない。

 

「大佐、ご心配なく!パンツは替えどころか、オムツだって履いていませんよ!ヤン提督の過保護には僕も困っているんですから、気にしないでください。叩き込まれた操縦技術を、今こそ試してみせます!」

 

「はっはっは!言うねえ、坊や!どこまでやれるか見せてもらおうじゃないか!いいか、敵のワルキューレは直線的な機動が多い。俺が教えた通り、相手の射線に入ったら迷わずスラスターを吹かして、三次元的な変則機動で背後を取れ!ダンスを踊るように、優雅に、そして非情に撃ち落とすんだ!」

 

「了解です、ポプラン大佐!行きます!」

 

「来たな、帝国軍!……右から三機、編隊を組んで接近中。レーダーの反応からして、かなり練度が高い。でも、ポプラン大佐のシミュレーションの方が、百倍は嫌らしかった!」

 

「そこだ!大佐が言っていた、フォーメーションが崩れるコンマ三秒の隙!」

 

スパルタニアンの機首に装備されたレーザー砲から、眩い光の矢が放たれる。

光の矢は、回避運動に入ろうとしていた一機のワルキューレの推進部を正確に貫き、宇宙空間に小さな爆発の花を咲かせる。

 

「やった!一機撃墜!」

 

ユリアンが歓喜の声を上げる暇もなく、残りの二機が怒り狂ったようにユリアンの機体に食らいついてくる。

 

「甘いよ!そんな単調な動きじゃ、僕のスパルタニアンは捕らえられない!」

 

ユリアンは、機体の姿勢制御スラスターを巧みに操り、敵の視界から一瞬で消え去るような急激な上昇機動を行う。

 

そして、敵機が彼を見失ったその背後へと、完璧なタイミングで回り込む。

 

「ロックオン!もらった!」

 

再びトリガーが引かれ、連続して放たれたビームが、二機のワルキューレを次々と撃ち抜いていく。

 

連続する爆発の閃光が、ユリアンのコックピットを青白く照らし出す。

 

「……やったのか……僕が、やってしまったの……?たった数秒の間に、三機も……」

 

シミュレーターで何度も経験したはずの「撃墜」という文字。

 

しかし、現実の宇宙空間で、自分が放ったビームによって、確実にそこにいたはずの帝国軍のパイロットたちの命が消え去ったという事実は、彼の心に重く、そして冷たい感触をもたらす。

 

「おいおい、やるじゃないかユリアン坊や!初陣でいきなりスリーカードとは恐れ入ったぜ!俺の教え方が良かったってのもあるが、お前にはやっぱり天才的なドッグファイトのセンスがあるな!ヤン総統の養い子にしておくには惜しい才能だ!」

 

「……ありがとうございます。でも、なんだか……実感が湧かなくて。僕が人を殺したなんて……」

 

「馬鹿野郎、そんなナイーブなことを考えている暇があったら、次のターゲットを探せ!ここは戦場だぞ!お前が撃たなきゃ、お前が撃たれるんだ。殺した相手の顔なんて想像するな。ただの赤い的だと思え。それが、このクソッタレな宇宙で生き残るための唯一のルールだ!」

 

「……はい!わかっています!弱音を吐いている場合じゃありませんね!」

 

彼のスコアは瞬く間に跳ね上がり、周囲のベテランパイロットたちをも驚嘆させるほどの活躍を見せる。

 

「よし、第一波の敵機はほぼ掃討したな!各機、推進剤とエネルギーの残量を確認しろ!補給が必要な機体は、速やかに母艦へと帰還せよ!欲張って深追いするなよ、命あっての物種だからな!」

 

ポプランの指示が飛び、ユリアンも自機のエネルギー残量が残り少なくなっていることを確認する。

 

「こちらユリアン。エネルギー残量三十パーセントを切りました。一旦、母艦に補給に戻ります!」

 

「了解だ、坊や。よくやった。母艦の食堂で熱いコーヒーでも飲んで、一息ついてこい。お前の初陣の祝杯は、ハイネセンに帰ってから俺のおごりで、最高級のオレンジジュースで乾杯してやるからな!」

 

「オレンジジュースですか?せめてノンアルコールのカクテルくらいにしてくださいよ!」

 

 

ドックに着艦し、キャノピーが開くと、整備兵たちが慌ただしく機体に群がってくる。

ユリアンはヘルメットを脱ぎ、汗で額に張り付いた前髪を拭う。

 

初陣を生き残り、しかも大きな戦果を挙げたという事実が、彼の中に少しずつの安堵感と、誇らしい気持ちを芽生えさせている。

 

「よう、ユリアン!無事に帰ってきたな!すごいスコアじゃないか!後で食堂で、撃墜のコツをこっそり教えてくれよな!」

 

「あ、トーマス先輩!ありがとうございます!先輩こそ、無事……」

 

ユリアンが、出撃前まで隣のロッカーで冗談を言い合い、「お前が怖がってチビったら、俺が代わりにオムツを替えてやるよ」と笑って背中を叩いてくれた、人の良い先輩パイロットの姿を探す。

 

しかし、彼が乗っていたはずの機体が着艦する定位置のデッキは、もぬけの殻となっている。

 

「……あれ?トーマス先輩は?まだ帰還していないんですか?エネルギーの補給のタイミングは、僕と同じくらいのはずなのに……」

 

「……ユリアン。……トーマスは、さっきの戦闘で……敵の集中砲火を浴びて、被弾したんだ」

 

「え……?被弾って……それじゃあ、脱出は?脱出カプセルは射出されたんですよね!?」

 

「……いや。直撃だったらしい。機体ごと、爆散したって……さっき通信が入った。……俺たちも、信じられないよ。あんなに、あんなに元気だったのに……」

 

直撃。爆散。

 

それはつまり、トーマスが、もう二度とこのドックに帰ってくることはないという事実を意味している。

 

「……そんな……。嘘だよね?だって、出撃する前、あんなに笑って……『帰ったら、一番にシャワーを浴びてやる』って……約束していたのに……」

 

ほんの数分前、自分も同じように敵にビームを撃ち込み、そして三人の帝国軍のパイロットを宇宙の塵に変えたのだ。

 

自分が殺した相手にも、きっと帰りを待っている家族や仲間がいて、出撃前には冗談を言い合っていたのかもしれない。

 

そして、トーマス先輩も、誰かの放ったビームによって、一瞬にして命を奪われた。

 

「……これが、戦争……。人が死ぬということ……」

 

「……ヤン提督。提督は、ずっとこの重さと、この悲しみと向き合って、あんなにたくさんの人たちの命を背負って、戦い続けてきたんですね……。僕には、まだ……こんなの、重すぎます……」

 

ユリアンは、両手で顔を覆い、堪えきれずにポロポロと涙をこぼす。

 

「おい、泣いている暇はないぞ!次発の補給、完了したぞ!帝国軍の第二陣が接近中だ!出撃できる機体は、直ちに発進準備に入れ!」

 

感傷に浸っている時間は、戦場には一秒たりとも用意されていないのだ。

 

「……」

 

「……泣いている場合じゃない。僕が泣いても、死んだ人は帰ってこない。でも、僕が戦わなければ、もっと多くの人が、トーマス先輩みたいに死んでしまうんだ」

 

「ユリアン・ミンツ、スパルタニアン、発進します!」

 

「うわああああああああっ!!!」

 

青白い推進炎を噴き上げ、ユリアンの機体が再び、光と死が交錯する漆黒の宇宙空間へと躍り出ていく。

 

少年は今、戦争の非情さをその身に刻み込み、一人の本物の戦士への階段を、駆け上がり始めているのである。

 

 

 

 

 

 

 

「もうない!もう一粒も胃薬が残っていないぞ!どうなっているのだ!我が軍の補給部隊は、弾薬よりも先に最高級の胃薬を優先して前線に届けるべきだろうが!」

 

「閣下、胃薬の心配をしている場合ではありません!敵の同盟軍、我が方の決死の突撃に最初は怯んでおりましたが、やはり数の暴力には勝てません!徐々に我が艦隊は包囲されつつあり、陣形がジリ貧になってきております!」

 

「わかっている!見ればわかる!我が軍の200隻に対して、敵は500隻だぞ!しかも相手は、イゼルローン要塞を拠点とする精鋭部隊だ!いくら我々がアナスタシア閣下の恐怖でブーストされているとはいえ、物理的な戦力差はどうにもならん!援軍はまだか!本国への救難信号はどうなっている!このままでは、我々は同盟軍のビームの餌食になるか、逃げ帰ってアナスタシア閣下の餌食になるかの、地獄の二択だぞ!」

 

「……!閣下、レーダーに大規模なワープアウトの反応があります!この識別コードは……間違いありません!我が帝国軍の援軍です!」

 

「おおっ!本当か!どこの部隊だ!どれくらいの規模だ!」

 

「鉄壁の防御を誇る、ナイトハルト・ミュラー上級大将の麾下の艦隊です!その数、約3000隻!現在、全速力でこちらへ急行中とのことです!」

 

「よ、よし!助かった!流石はファルケンハイン宰相閣下だ、この私のような貴族の命すらも見捨ててはおられなかったか!ミュラー提督の3000隻が合流すれば、たかが500隻の同盟軍の哨戒部隊など、赤子の手をひねるようなものだ!一気に形勢逆転だぞ!全艦に持ち堪えろと伝えい!合流次第、一気に押しつぶしてやる!」

 

勝利の確信が、彼の小心な心に巨大な余裕をもたらしている。

 

しかし。

その勝利の喜びは、わずか数十秒しか持続しなかった。

 

「い、いえ!閣下!お待ちください!レーダーに……レーダーに、さらに巨大なワープアウトの反応が……!」

 

副官の顔が、先ほどの歓喜から一転して、この世の全ての絶望を凝縮したような、恐ろしい形相へと変貌していく。

彼の声は、完全に裏返り、ガクガクと震えている。

 

「なんだと!?また援軍か!今度はどこの部隊だ!ビッテンフェルトか!?それともワーレンか!?」

 

「ち、違います!帝国軍の識別コードではありません!敵です!同盟軍の増援部隊です!!」

 

副官が、メインスクリーンのレーダー画像を指差しながら、悲鳴のような声を上げる。

 

「同盟軍の増援だと!?馬鹿な!たかが哨戒部隊の救出に、どれだけの数を出してきたというのだ!千隻か?二千隻か?」

 

「そ、そんな生易しい数ではありません!レーダーの解析結果が出ました!数は……さ、3万5千!3万5千隻の大艦隊です!!しかも、先頭を走っている旗艦の識別コードは、同盟軍総統ヤン・ウェンリーの座乗するヒューベリオン!総統自らが、第十一・十三艦隊の全軍を率いて突撃してきます!!」

 

「はああああああっ!!??」

 

「さ、3万5千隻だと!?ヤン・ウェンリー自らが率いているだと!?ふざけるなああああっ!!」

 

ヒルデスハイム伯が、艦長席から転げ落ちるようにして立ち上がる。

 

「たかが!たかが国境の哨戒部隊が遭遇しただけの、ちっぽけな小競り合いだろうが!!なんでそこに、国家元首が艦隊を丸ごと率いて、親の仇みたいにすっ飛んでくるバカがいるんだ!!ヤン・ウェンリーという男は、暇を持て余した頭のおかしいヒマ人なのか!!」

 

たった200隻の敵に対して、3万5千隻の大艦隊で包囲網を敷くなど、大人気ないという言葉すら生ぬるい、完全なオーバーキルだ。蚊を落とすために核ミサイルを撃ち込むようなものである。

 

「か、閣下!どうしますか!ミュラー提督の3000隻が合流したとしても、3万5千隻の艦隊が相手では、文字通り一瞬で消し炭にされます!包囲される前に、決断を!」

 

「決断もクソもあるか!こんな理不尽な数の暴力、流石のあの鬼女……いや、アナスタシア総司令官閣下だって、絶対に『戦わずに逃げていい』と言うに決まっている!というか、これを戦えと言われたら、帝国軍を辞めて海賊にでも転職してやるわ!!」

 

「撤退だ!!全速力で逃げろォォォッ!!エンジンが焼き切れても構わん、イゼルローン回廊の出口に向かって、ミュラー提督の艦隊に合流する前に、一目散に逃げ帰るのだ!後ろを振り返るな!同盟軍は全員狂っている!関わったら命がいくつあっても足りんぞォォォッ!!」

 

帝国軍は、迫り来る3万5千隻の同盟軍という、あまりにも大人げない巨大な影から逃れるべく、文字通り尻尾を巻いて、なりふり構わず宇宙空間を逃走し始める。

 

こうして、ユリアンの初陣は、彼自身の涙と成長という極めてシリアスな青春のドラマの裏側で、保護者の度を越した職権濫用による、宇宙規模の大迷惑なギャグ空間へと変貌を遂げたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

イゼルローン要塞 司令部

 

 

「……はぁ。どうやら、本当に逃げてくれたみたいですね。帝国軍、全艦が完全にこの宙域から離脱したことを確認。いやあ、助かりましたよ。もしあそこで本当に3万5千隻全軍で突撃をかましていたら、後世の軍事教本に『銀河の歴史上、最も不経済で恥ずかしいオーバーキル戦術』として、確実に未来永劫語り継がれるところでしたからね」

 

「君は、国家の最高権力者に向かって、なんという失礼な口の利き方をするんだ、アッテンボロー。私はただ、同盟軍の将兵の命を、不測の事態から確実に守るために、万全を期した最善のバックアップ体制を敷いただけじゃないか。危機管理の基本だろう?オーバーキルだなんて人聞きの悪いことを言うな」

 

彼の態度は、完全に開き直っているようにしか見えない。

 

「万全を期すにも限度というものがあるでしょうが!先輩のその万全は、どう見ても一個人の、それも特定の養い子に対する個人的な溺愛と過保護からくる暴走にしか見えませんよ!だいたい、出撃のサイレンを鳴らされた整備班や、急に叩き起こされた他の提督たちが、どれだけ迷惑を被ったか分かっているんですか!ラップ提督なんて、寝巻きのまま艦橋に駆け込んできたんですよ!」

 

「まあまあ、アッテンボロー元帥。結果的に、一人の犠牲者も出さずに敵を追い払うことができたのですから、ヤン総統の威光が宇宙の果てまで轟いているという、素晴らしい宣伝効果になったと考えれば、安いものではありませんか」

 

副官のフレデリカ・グリーンヒル大佐が、常にヤンの味方である彼女らしく、極めて好意的な、しかしどこかピントのずれたフォローを入れる。

彼女の手には、先ほどの戦闘における詳細なデータがリアルタイムで更新され続けるデータパッドが握られている。

 

「そうだろう、フレデリカ。君は本当に話の分かる優秀な副官だよ。私のアグレッシブな防衛思想を正しく理解してくれるのは、この宇宙で君だけかもしれないな」

 

「それで、フレデリカ。前線で交戦状態に陥っていた第8哨戒艦隊の被害状況と、その……ユリアンの安否は、どうなっている?敵の猛攻を受けて、機体が傷ついていたり、怪我をしていたりはしないだろうな?もし指一本でも怪我をしていたら、私はオーディンまで単身で乗り込んで、ファルケンハイン宰相に直接慰謝料と治療費を請求する覚悟があるぞ」

 

「ご報告します、ヤン総統。第8哨戒艦隊の被害は軽微です。そして、ご心配のユリアン・ミンツ少尉ですが……彼は全くの無傷で無事生還いたしました」

 

大きく息を吐き出し、胸をなで下ろす。

 

「そうか……。無事か。ユリアンが無事に帰ってきたんだな。ああ、良かった。本当に良かった。……あの子が無事なら、この宇宙の平和の半分は守られたようなものだ」

 

「総統閣下、報告はまだ終わっておりません」

 

「ユリアン少尉の、初陣における具体的な戦果のデータが上がってきております。……ユリアン・ミンツ少尉のスコアは、敵単座式戦闘艇ワルキューレ、確認されているだけで6機を単独で撃墜。……さらに、なんと巡航艦2隻を完全破壊。これは、初陣のパイロットとしては、前代未聞、まさに歴史的な大戦果と言って過言ではありません」

 

フレデリカの澄んだ声が司令部に響き渡ると、アッテンボローや周囲のオペレーターたちが、一斉に息を呑み、信じられないというように目を見開く。

 

「なっ……!巡航艦を2隻も沈めただと!?あのユリアンが!?」

 

アッテンボローが、驚愕のあまり裏返った声を上げる。

 

「ほう」

 

「巡航艦を2隻?それも、初陣でですか。いや〜、驚きですな。俺の初陣も、白兵戦で何人かの敵兵を血祭りに上げる程度の派手なものでしたが、流石に巡航艦を落とすような超絶技巧は持ち合わせておりませんでしたよ。これはまさに、ヤン総統閣下の日常的な、そしてスパルタ式の英才教育の賜物、素晴らしい薫陶を受けていると言ったところですかな?」

 

「いや、違う。違うぞ、シェーンコップ。スパルタニアンの操縦訓練や、ドッグファイトの戦術をあの子に叩き込んだのは、間違いなくポプランだ。私が教えたわけじゃない。私にそんな戦闘艇を操るようなアクティブな技術や運動神経があるわけがないだろう」

 

「私が教えたのは、歴史の事実と、紅茶の美味しい淹れ方と、あとはせいぜい、権力者というものがどれほど面倒くさくて嫌な生き物かということくらいだ。まあ、あの子が今回、一生分の幸運のチケットを前借りで使い果たして、奇跡的に生き残っただけかもしれないさ。ビギナーズラックというやつだ。……とにかく、あの子が怪我一つなく無事で、生きて帰ってきてくれた。今はそれだけで十分だ。戦果なんてどうでもいい」

 

「……すまん、アッテンボロー、フレデリカ。私は、ちょっとだけ席を外す。あの子の顔を見て、少しだけ労いに行ってくる!公務は、後でまとめてサインするから、適当にデスクに積んでおいてくれ!」

 

「あっ、ヤン先輩!まだ帝国軍の動向の最終確認が……!」

 

止める声も虚しく、ヤンは司令部のドアを突き破るような勢いで飛び出していく。

 

「あーあ、行っちゃいましたよ、我らが総統閣下は。全く、部下の戦果報告よりも、息子の顔を見る方が優先だなんて。歴史上、これほどまでに公私混同を悪びれない国家元首が、かつて存在したでしょうかね」

 

「いいじゃないか。それが、ヤン総統の人間らしいところであり、俺たち同盟軍の将兵が彼を信じてついていく最大の理由なのさ。ユリアンも、ヤン総統の顔を見れば、きっと初陣の緊張も解けて安心するはずさ」

 

全速力で、息を切らして走っていく。

 

彼の頭の中は、ユリアンのことで完全に占められている。

 

『あの子は泣いていないだろうか。自分が撃って人が死んだことに、ショックを受けてトラウマになっていないだろうか。私が、あの子の父親代わりとして、しっかりと守ってやらなければ……!』

 

ヤンは、かつてないほどの保護者としての強い責任感と愛情を胸に燃やしながら、ユリアンが帰還したはずの第一格納庫を目指して、ひたすらに走り続ける。

 

そして、広大な第一格納庫。

 

ヘルメットを小脇に抱え、疲労困憊といった様子で、しかしどこか成長した戦士の顔つきで立ち尽くしているユリアンの姿を、ヤンの目はついに捉える。

 

「ユリ……!」

 

ヤンが、息を弾ませながら、愛する養い子の名前を呼び、彼に向かって駆け寄ろうとした。

まさにその瞬間である。

 

「ユリアンーー!!!」

 

「……え?」

 

ヤンが見たものは、彼自身の目を疑うような、そして彼のこれまでの人生設計と家族観を根底から覆すような、信じがたい光景だった。

 

スパルタニアンの陰から、同盟軍の真新しい女性用の軍服を身に纏った、見知らぬ、しかし非常に顔立ちの整った、気の強そうな可愛い少女が、まるで弾丸のような凄まじい勢いで飛び出してくる。

 

そして、その少女は、全く躊躇することなく、一直線にユリアンの胸に向かって飛び込み、彼の首に両腕を回して、勢いよく、情熱的に、そして公衆の面前であることを完全に無視して、ギュッと強く抱きついているのだ。

 

「あ、カリン!!わぷっ!ちょっと、危ないよ!整備の邪魔になるから……!」

 

しかし、彼の手は、少女を突き放すわけでもなく、最終的には彼女の背中にそっと、優しく回されている。

 

その二人の距離感、空気感、そして互いに見つめ合う瞳の熱量。

誰がどう見ても、それはただの友人や戦友のそれでは絶対にあり得ない。

 

間違いなく、恋人同士の、それもかなり親密な関係を築いている男女の、甘く、そして初々しいイチャイチャの空間そのものである。

 

「……」

 

『え?なんだ?あの見知らぬ可愛い女の子は誰だ?なぜ、私の、あの真面目で奥手で、紅茶を淹れることと勉強しか興味がなかったはずのユリアンに、あんなに親しげに抱きついているんだ?そして、なぜユリアンはあんなに顔を赤くして、あの子の名前を「カリン」などと親しげに呼び捨てにしているんだ?私が知らない間に、私の可愛い養い子に、彼女ができている?ガールフレンド?恋人?いやいや、そんな馬鹿な。あの子はまだ十五歳だぞ。そんな、思春期の青春ドラマみたいな展開が、私の目の前で、このむさ苦しい軍隊の格納庫で起こるはずがない。これはきっと、私が最近の激務で疲れているせいで見ている、極めて悪質な幻覚に違いない。そうだ、幻覚だ。ヤン・ウェンリー、落ち着け。まずは深呼吸をして、現実を直視するんだ……』

 

脳内会議を白熱させていると、イチャイチャしていた二人の視線が、不意に、石像となっているヤンの姿を捉える。

 

「あ、ヤン総統!」

 

ユリアンと、彼に抱きついていた少女カリンが、同時にヤンの存在に気づき、バネ仕掛けのおもちゃのように慌てて体を離す。

 

「お、お疲れ様です、ヤン提督!……いえ、ヤン総統!ユリアン・ミンツ少尉、ただいま哨戒任務より無事帰還いたしました!」

 

「……あ、ああ。ユリアン。無事で何よりだ。……ところで、君の隣にいる、その、可愛らしい女性は……一体、誰なのかな?」

 

ヤンが、自分の声がかすれているのをごまかすように咳払いをして、なんとか平静を装って尋ねる。

 

「お初にお目にかかります、ヤン総統閣下!私は、イゼルローン要塞防空隊に所属しております、カーテローゼ・フォン・シェーンコップ伍長と言います!みんなからはカリンと呼ばれています!そして、私は今、ユリアンと真剣にお付き合いをしております!結婚を前提にした、真剣交際です!」

 

「……??ええと、カーテローゼ……フォン?シェーンコップ??」

 

シェーンコップ。

その名前は、同盟軍において、ただ一人の男の顔しか思い浮かばない。

 

白兵戦の達人であり、そしてそれ以上に、数え切れないほどの女性と浮名を流し、同盟軍で最もタチの悪い不良中年として名を馳せている、あの男だ。

 

「……『シェーンコップ』だと?まさか、君は……」

 

嫌な汗を全身から吹き出しながら、その最悪の可能性を口にしようとした、その時である。

 

「……小官の、世界一可愛い自慢の娘でしてな」

 

「なっ!?」

 

「き、貴官……!娘だと!?娘がいたなんて、そんな話はこれまで一度も聞いたことがないぞ!それに、だいたい貴官は独身の自由を満喫している、同盟一のプレイボーイのはずだろう!いつの間に、け、結婚を……?」

 

「ええ。まあ、私の華麗なる女性遍歴については、総統閣下もよくご存知かと思いますがね」

 

「実は、我々の給料が、信じられないほど大幅にベースアップしましてね。私の口座にも、見たこともないような莫大な額の特別ボーナスが振り込まれたのです。そこで私は、この有り余る富をどう有意義に使うべきか、深く考えたわけですよ」

 

「で、思い出したのですよ。ずっと昔、私がまだ若くて血気盛んだった頃に付き合っていた、ローザラインという素晴らしい女性のことを。彼女とは色々と行き違いがあって別れてしまったのですが……思い切って彼女の元に連絡を取り、もう一度プロポーズをしに行きましてね。そしたら、彼女も私の誠意(と莫大な預金残高)に打たれたのか、見事にヨリを戻すことができまして。つい先日、正式に籍を入れさせていただいたというわけです」

 

「そして、そのローザラインとの間に、昔こっそりと生まれていて、彼女が一人で立派に育て上げてくれていたのが……この、私の美貌と才能を完璧に受け継いだ、愛娘のカーテローゼというわけです。どうです?父親に似て、非常に気が強くて、可愛らしくて、そして男を見る目がある、最高の娘でしょう?」

 

ヤンは、その内容の濃さと、事態の飲み込みきれなさに、完全に口を開けて呆然としている。

 

「ちょっと、お父さん!馴れ馴れしく総統閣下に話しかけないでよ!それに、私がお父さんに似てるなんて、絶対に言わないでって言ったじゃない!」

 

その気の強さと口の悪さは、確かに父親譲りのものを感じさせる。

 

「はっはっは、照れるなカリン。お前のその素直になれないところも、若き日の俺にそっくりだぞ」

 

「もうっ!お父さんのバカ!」

 

カリンがプイッとそっぽを向く。

 

「ヤン総統……。いや、提督」

 

「報告が遅れてしまって、本当に申し訳ありません。でも、僕から、直接提督にお伝えしたかったんです。……僕は……カリンが、カーテローゼのことが、心から好きなんです。彼女と一緒に、これからの厳しい時代を、同盟の未来を生き抜いていきたいと、本気で思っています。……僕が彼女とお付き合いをすること、ダメですか?」

 

「ぐはあ!!」

 

ヤンは、胸を両手で強く押さえ、まるで心臓を物理的に撃ち抜かれたかのように、大きな悲鳴を上げてその場に膝から崩れ落ちる。

 

「ヤン提督!?大丈夫ですか!?」

 

「総統閣下!しっかりしてください!」

 

「あ、ああ……。私の、私の可愛いユリアンが……いつの間にか大人の男になって、こんな不良中年の血を引く娘にたぶらかされて……。しかも、シェーンコップと私が、親戚同士になる日が来るなんて……。民主主義の崩壊よりも、帝国軍の侵略よりも、私にとってはこれが一番の、この宇宙で最大の悲劇だ……。神よ、私に美味しい紅茶と、永遠の年金生活と、そして昔のままのユリアンを返してくれ……」

 

イゼルローン回廊の平和は守られたが、ヤンの心の平穏は、完全に木っ端微塵に粉砕されたのであった。




ユリアンの初陣。

それは本来、静かな成長の物語であるはずだった。

……ただし、保護者がヤン・ウェンリーでなければ。

長期化して初期との表記揺れも目立ってきたので最初から書き直すべきでしょうか?

  • 最初から書き直すべき
  • 加筆修正で保つべき
  • そもそもいらない
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