銀河英雄伝説 〜無能なる俗物が勘違いで英雄に祭り上げられ、気づけば貴族連合盟主としてラインハルトと雌雄を決する件について〜   作:斉宮 柴野

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イゼルローン遠征を終え、帝国軍の将帥たちがオーディンへ帰還する。

その中には、軍籍も元帥号も永久に失ったはずの皇后アナスタシアと、彼女の旗艦《ブリトマート》の姿があった。

なぜ罪人である皇后が、再び帝国軍を指揮できたのか。

その答えは、皇帝の用意した盛大な屁理屈にあった。



軍籍なき総司令官

【帝都オーディン 軍用宇宙港】

 

 

イゼルローンから戻った皇帝直属の本隊は、シャンタウ星域から転進してきた部隊より一足早く帝都へ到着していた。アルブレヒトは宮殿へ戻ることなく、そのまま宇宙港へ居残り、別働隊の帰還を自ら出迎えることにしたのである。

 

もっとも、当の皇帝は、その赤い絨毯の長さを見た瞬間に顔をしかめた。

 

「長すぎないか、これ」

 

宇宙港の接舷施設から出迎えの式台まで、豪奢な深紅の絨毯が百メートル近くも伸びている。両側には近衛兵と軍楽隊、政府高官、報道用の撮影機器が寸分の乱れもなく並び、皇帝の一挙手一投足を待ち構えていた。

 

「俺たちはイゼルローンを取れずに戻ってきたんだぞ。戦勝式典みたいにする必要はないだろう」

 

儀典官は青ざめながら頭を下げた。

 

「恐れながら陛下。難攻不落の要塞外壁を正面から撃ち抜いたことは、帝国軍史上に類例なき大戦果でございます。臣民の士気を考慮いたしますれば、相応の――」

 

「分かった、分かった。お前の首を飛ばすつもりはないから、そんなに震えるな」

 

アルブレヒトは、面倒そうに手を振った。

彼は皇帝用の黒と金の軍装に身を包んでいる。胸元には勲章が並び、肩からは重いマントが垂れ下がっていた。

 

やがて、接舷施設の扉が開く。

最初に姿を現したのは、帝国軍最高司令官ウォルフガング・ミッターマイヤー元帥であった。

 

旗艦《ベイオウルフ》から降り立った彼は、待ち構えている皇帝の姿を認めると、儀礼的な歩調を維持しようとして――結局、途中から小走りになった。

 

アルブレヒトの数歩手前でぴたりと止まり、踵を鳴らして直立不動となる。右手が胸元へ上がり、迷いのない敬礼が形作られた。

 

「ただいま帰還いたしました、陛下」

 

「おう。ご苦労さん」

 

アルブレヒトは、皇帝への敬礼を続けるミッターマイヤーの肩を気安く叩いた。

周囲の儀典官がわずかに息を呑む。皇帝と帝国軍最高司令官の再会としては、いささか近所の友人を迎えるような気安さに過ぎた。

 

だが、二人にとっては今さらである。

 

「さすがは疾風ウォルフだ。お前たちがシャンタウ星域でアッテンボローたちを押さえてくれなければ、イゼルローン正面にあれ以上の艦隊が集まっていた。俺が要塞まで辿り着く前に、押し潰されていたかもしれん」

 

「もったいなきお言葉です」

 

「しかし、陛下のご戦果に比べれば、我々の働きなど陽動の域を出ません。通常兵器をもってイゼルローン要塞の流体金属層を貫き、外壁に巨大な風穴を開けられた。帝国軍の歴史上、誰一人として成し得なかった偉業です」

 

「通常兵器と呼ぶには、あの艦は少々でかすぎるがな」

 

「それに、俺一人の手柄でもない。ルッツやワーレンたちが働いて前線を支え、ヤンの陣形を押し広げてくれた。その真ん中を俺の艦隊がスッポ抜けただけさ」

 

「その道を見出し、敵中を突破なされたのは陛下です」

 

「外壁に穴を開けても、中身を取れなければ要塞攻略とは言えん。リューネブルクたちには危険な白兵戦をさせた挙げ句、呼び戻すことになった。共和国の増援に押されて退いた以上、戦略的には敗走に違いないさ」

 

ミッターマイヤーの眉がわずかに動く。

 

「敗走ではなく、戦略的撤退とお呼びください」

 

「お前まで政治家のような言葉遊びをするようになったか」

 

「軍の最高司令官となれば、報告書の言葉にも責任を持たねばなりませんので」

 

「なるほど。偉くなるというのは、負け方に綺麗な名前を付ける技術を覚えることらしい」

 

「陛下ほどではございません」

 

「言うようになったな」

 

アルブレヒトが楽しそうに笑った。

 

その直後、絨毯の向こうから、規則正しい軍靴の音が響いてきた。

 

ミッターマイヤーの足音が疾風なら、こちらは要塞の大扉が一歩ずつ閉じるような重さを持っている。

背筋を鉄板のように伸ばして近づいてきた。

貴族直轄軍副司令官、ならびに査閲部兼務のヘルムート・レンネンカンプ上級大将である。

 

歩幅、腕の振り、視線の角度。すべてが軍の教範から抜け出したかのように正確だった。皇帝の前で立ち止まると、一寸の狂いもない敬礼を行う。

 

「ただいま帰還いたしました、陛下」

 

「おかえり、レンネンカンプ」

 

「此度の遠征におきましては、大任を完全に果たすに至らず、面目次第もございません」

 

レンネンカンプの顔には、謙遜のための表情すら浮かんでいない。

本気で己の働きが不十分だったと考えているのだ。

 

「何を言っている。お前も久しぶりの最前線だったが、用兵はいささかも衰えていなかったそうじゃないか」

 

アルブレヒトは、その頑固そうな顔を見上げた。

 

「ラップの第十一艦隊を相手に戦線を支え、最後は殿として全軍を無事に引き上げた。実に良い働きだったと、ミッターマイヤーからも報告を受けている」

 

「はっ。過分なるお言葉、感謝に堪えません」

 

「お前の忠誠は、疑っていないさ」

 

「我が忠誠は、常に陛下と帝国と共にあります」

 

返答には、一切の揺らぎがなかった。

この男は命令に疑問を感じないのではない。疑問を感じたなら正面から問い、納得した命令には自らの全てを捧げる。その不器用さゆえに他者と衝突することも多かったが、アルブレヒトはむしろ、そこを信頼していた。

 

「相変わらず固いな、お前は」

 

わずかな沈黙の後、レンネンカンプは表情を崩さないまま答えた。

 

「……固いことを期待されておりますからな」

 

アルブレヒトは一瞬目を丸くし、それから満足そうに頷いた。

 

「違いない。俺の軍には、そういう骨が必要だ。速く駆けるためにも、肉だけでは形が保てんからな」

 

隣にいたミッターマイヤーが、ほんの少し笑った。

疾風と堅物。

異なる資質を持つ二人が同じ軍にいることこそ、現在の帝国軍に残されたもっとも大きな強みだった。

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

宇宙港の上空を、巨大な影が覆った。

《ベイオウルフ》や《ガルガ・ファルムル》をはじめとする帰還艦が並ぶ中、その艦だけは一回りも二回りも大きく見える。

 

灰色の巨大砲撃戦艦《ブリトマート》

 

無数の砲塔を備えた重厚な艦体が、低い駆動音を響かせながら接舷位置へ収まっていく。

共和国軍の将兵にとって悪夢以外の何物でもなかった砲口も、今は沈黙し、帝都の陽光を鈍く反射していた。

やがて、分厚い気密扉が左右へ開く。

 

タラップがゆっくりと地上へ伸びてきた。

 

宇宙港に整列していた将兵たちの間に、抑えきれないざわめきが生まれる。

《ブリトマート》が何者の旗艦であったか、知らない者はいない。

 

しかし、その持ち主はすでに軍籍を剥奪され、元帥号も軍歴も永久に抹消されたはずである。シャンタウ星域で誰が指揮を執っていたのかについても、軍上層部は正式な発表を避け続けていた。

 

まさか。

その疑念に答えるように、一人の女性が姿を現した。

 

肩口で切り揃えられた艶やかな黒髪。氷の刃を思わせる切れ長の瞳。人間的な温度を拒絶するような美貌は、彼女が一歩進むだけで周囲の空気を張り詰めさせる。

 

身に纏っているのは、かつての元帥軍装ではない。

階級章はない。元帥杖もない。肩にあるのは、ファルケンハイン朝の皇后であることを示す黒金の紋章だけだった。

 

右手には白い手袋。

そして左手も同じ白い手袋に覆われていたが、その下にあるのは生身の腕ではない。内戦で失った左腕の代わりに取り付けられた神経接続式の義手が、歩調に合わせて人間と変わらぬ滑らかさで動いている。

 

美しく、冷たく、そして恐ろしい。

かつて銀河の毒蛇と呼ばれた女。

アナスタシア・フォン・ファルケンハイン皇后である。

 

彼女がタラップを一段下りるごとに、将兵たちの声が消えていく。最後の一段を踏み終えた時には、広大な宇宙港は不自然なほど静まり返っていた。

アルブレヒトだけが、その沈黙を気にする様子もなく、満面の笑みを浮かべて両腕を広げた。

 

「おかえり、アナ」

 

その声を聞いた瞬間だった。

アナスタシアの顔から、敵将を射殺せそうなほど冷たい表情が消えた。

瞳が柔らかく細められ、唇に甘い微笑みが浮かぶ。

彼女は歩調を速めると、最後にはほとんど駆けるようにしてアルブレヒトの胸へ飛び込んだ。

 

「ただいま戻りました、アル様」

 

白い義手と生身の右腕が、皇帝の背中へ回される。

アルブレヒトもまた、彼女の身体を強く抱き締めた。

並み居る将兵たちは、目の前の光景をどう受け止めればよいのか分からない。

 

軍籍を永久に失った皇后が、帝国軍の大艦隊を率いて戦場から帰ってきた。

明白な矛盾である。

少なくとも、普通の国家と普通の法解釈に従うのであれば。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

【皇帝即位直後 皇帝執務室】

 

アルブレヒトが玉座に就いてから、まだ日の浅い頃である。

皇帝執務室の机上には、二つの文書が並べられていた。

 

一つは、先のゴールデンバウム朝におけるアナスタシアへの処分を確定させた記録。

内務尚書および貴族直轄軍総司令官の地位を剥奪。元帥号を抹消。全軍籍と過去の軍歴を、永久に削除する。

 

もう一つは、新たに制定作業が進められているファルケンハイン朝銀河帝国憲章の草案だった。

 

机を挟んで立っているのは、軍務尚書ヘルマン・フォン・リューネブルク元帥と、内務尚書ハイドリッヒ・ラングである。

 

リューネブルクは、戦場へ持っていけば敵兵の首を刎ねられそうなほど重い法令集を片手で持ち、心底呆れた顔をしていた。

 

対するラングは、いつものように両手を腹の前で揉み合わせている。皇帝の意図を理解しようとしているというより、理解した瞬間に誰より早く賛同する準備を整えているように見えた。

 

「まず確認しておくぞ」

 

アルブレヒトは、処分記録を指先で叩いた。

 

「旧ゴールデンバウム朝において、内務尚書アナスタシア・フォン・ファルケンハインが犯した罪は明白だ。皇帝に対する弑逆未遂、複数の帝国元帥と閣僚への暗殺未遂。よって、俺は彼女の官職を奪い、元帥号も軍籍も、過去の軍歴も永久に抹消した」

 

「はっ。誠に公正にして寛大なるご処断でございました」

 

ラングが深々と頭を下げる。

リューネブルクは黙っている。

寛大という言葉には同意しても、公正という部分については、少々疑問を抱いているのかもしれない。

 

「永久という言葉は、永久だ。俺はあの宣言を撤回するつもりはないし、アナを元帥へ復職させるつもりもない」

 

「それは当然でしょうな」

 

リューネブルクがようやく口を開いた。

 

「陛下御自身が数百万の臣民の前で宣言されたことです。それを早々に撤回なされば、帝国法は皇帝の家庭事情で伸び縮みするゴム紐だと笑われますぞ」

 

「だから撤回はしないと言っている」

 

「では、なぜ私はここへ呼ばれたのです」

 

「アナを軍務へ戻すからだ」

 

一秒ほど、執務室の時間が止まった。

リューネブルクは手に持っていた法令集へ視線を落とし、次に皇帝を見た。そして、もう一度法令集を見た。

 

文字を読み違えた可能性ではなく、自分の耳が壊れた可能性を疑っている顔だった。

 

「……陛下。今しがた、復職させないと仰いませんでしたか」

 

「言ったぞ」

 

「軍籍も永久に消したままだと」

 

「その通りだ」

 

「その上で、軍務へ戻すと?」

 

「そうだ」

 

「矛盾しております」

 

「していない」

 

アルブレヒトは、もう一つの文書、帝国憲章草案を開いた。

 

「新しいファルケンハイン朝において、国家主権と統帥権は皇帝に属する。それはいいな」

 

「無論です」

 

「そして皇后は、皇帝と不可分なる帝国の共同統治者として、皇帝の委任を受けた場合、軍権および内政上の大権を行使できる。ここにそう書いてある」

 

リューネブルクは憲章草案を奪い取るようにして読み始めた。

確かに書いてある。

皇帝は帝国唯一の主権者である。同時に、皇后は皇帝を補佐する至尊の共同統治者として、明示された勅命の範囲内で皇帝大権を行使できる。

軍の統帥、官吏への監督、非常時における行政命令も、その対象から除外されていない。

 

皇帝と同じ権限を常時持つわけではない。

だが、皇帝が委任状へ署名した瞬間、その範囲においては、皇后の命令が皇帝の命令と同じ強制力を持つ。

 

「この条文、いつの間に入れられたのです」

 

「俺が入れさせた」

 

「何のために」

 

「アナに働いてもらうためだ」

 

あまりにも堂々とした私情である。

リューネブルクのこめかみに、太い青筋が浮かんだ。

 

「陛下は、帝国を私物化なさるおつもりですか」

 

「皇帝が帝国を私物化して何が悪い。俺は数百万の前で、『帝国は皇帝のものだ』と宣言して玉座を取ったんだぞ。今さら国民共有の貸し会議室ですと言い出す方が無責任だろう」

 

「そういう意味で申し上げたのではありません!」

 

「まあ待て、リューネブルク」

 

アルブレヒトは悪びれる様子もなく続けた。

 

「アナの軍歴は消えた。これは変わらん。彼女は元帥ではない。大将でも中将でもない。軍籍番号も持たず、元帥俸も受け取らず、軍人としての先任順位にも入らない」

 

「しかし、軍へ命令する」

 

「皇后としてな」

 

「言葉を置き換えただけではありませんか」

 

「違うさ。軍人は階級と職務によって軍を指揮する。皇帝は軍籍に入っているから統帥権を持つのか?」

 

「それは……」

 

「俺には軍歴があるが、皇帝になった今、軍籍上の元帥号を根拠に全軍を動かしているわけじゃない。皇帝だから動かせる。なら、皇后も同じだ。元帥でなくても、憲章に定められた皇后大権と俺の委任状があれば軍を動かせる」

 

「同じ人間が、昨日までは軍籍を剥奪された罪人で、今日は皇后だから軍を指揮するのですぞ」

 

「昨日と今日では王朝が違う」

 

アルブレヒトの口元に、極めて悪い笑みが浮かんだ。

 

「ゴールデンバウム朝の軍人アナスタシアは永久に消えた。だが、ファルケンハイン朝の皇后アナスタシアが持つ権限は、王朝の成立と共に新しく生まれたものだ。これは復職でも、処分の撤回でもない。新国家における、新身分の権限行使だ」

 

「屁理屈ではありませんか」

 

「法解釈と言え」

 

「法解釈の顔をした屁理屈です」

 

「玉座から言えば、屁理屈も勅令になる」

 

「最悪の開き直りですな」

 

リューネブルクは額を押さえた。

白兵戦で何万という敵兵に囲まれても怯まない男が、皇帝の家庭内法理には頭痛を覚えている。

その横で、ラングだけが感動したように目を見開いていた。

 

「なるほど……!実に見事な法理でございます、陛下!」

 

「どこが見事だ、ラング」

 

「先帝国における処分の永続性を一切損なわず、新王朝の憲法秩序によって皇后陛下へ新たな大権を付与する。これは復権ではなく、身分の新設に伴う原始取得でございます。法的には全く別の権利であり、矛盾はございません」

 

「本人が同じではないか」

 

「法は人格ではなく、法的地位を区別するものでございます、軍務尚書閣下」

 

「お前は皇帝に媚びるためなら、昨日の人間と今日の人間を別人として戸籍に登録しそうだな」

 

「必要とあらば、直ちに法務局へ手配いたします」

 

アルブレヒトは笑いを堪えながら、椅子の背へ身体を預けた。

 

「それにな。建国したばかりの初代から、『皇后は共同統治者だ。ただしアナスタシアだけは危険だから除く』などという特例を作れるか?」

 

「むしろ作るべきでは」

 

「駄目だ。法は平等でなければならない」

 

「陛下がそれを仰いますか」

 

「俺だから言うんだ。最初の皇后だけ権限を持たないとなれば、後世の皇后も皇帝の都合一つで権利を奪われる前例になる。夫婦喧嘩のたびに憲法改正をする王朝など、百年も持たん」

 

「その点だけは、否定しにくいですな」

 

リューネブルクは不承不承ながら認めた。

 

「だが陛下。私はアナスタシア様の軍事能力を疑っているのではありません。あの方が優れた指揮官であることは、身をもって知っている。問題は能力ではなく、敵味方の区別が夫への愛情で時々消滅する、その精神性です」

 

「分かっている」

 

アルブレヒトの顔から、ふざけた色が薄れた。

 

「だから委任は、俺の書面による個別命令がある時だけだ。作戦目的、指揮できる部隊、期間を明記する。軍刑罰と人事権は委任しない。勝手に粛清を始められては困るからな」

 

「それでも十分に危険です」

 

「危険だが、使わずに置いておくには惜しすぎる。銀河は三つに割れた。俺たちには、ロイエンタールもミッターマイヤーも、お前も必要だ。そして、アナの力も必要になる」

 

アルブレヒトは、机上に置かれた委任状へ署名した。

 

「何より、俺はあいつに命じた。俺のために死なず、俺のために生きて働けとな。皇帝が妻に仕事を命じておきながら、働く権限を与えないのは不誠実だろう」

 

リューネブルクは、しばらく皇帝の顔を見つめていた。

やがて諦めたように長い息を吐く。

 

「……軍務省は、皇后陛下への統帥権委任を受理いたします。ただし、陛下御自身が手綱を握られるという条件を、決してお忘れなきよう」

 

「任せておけ。アナの手綱を握ることには慣れている」

 

ラングが思わず視線を逸らした。

リューネブルクは、心底嫌そうな顔をした。

 

「家庭内の意味では聞いておりません」

 

かくして、アナスタシアの元帥号と軍籍は、宣言通り永久に抹消された。

そして同時に、軍の階級表よりさらに上、皇帝大権のすぐ隣に「皇后」という新たな席が用意されたのである。

 

旧い軍人としての彼女は消えた。

だが、新しい王朝の狂気は、より強い権限をまとって帰ってきた。

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

 

【帝都オーディン 軍用宇宙港】

 

 

「アナ。見事な突撃だった」

 

アルブレヒトは、腕の中にいる妻の顔を覗き込んだ。

 

「共和国軍の偽装後退を見抜いた上で、その罠ごと食い破ろうとするとはな。《ブリトマート》の火力を、久しぶりに思う存分振り回せたんじゃないか?」

 

「はい。とても楽しい時間でございました」

 

戦争から帰ってきた妻に対する質問と、その返答としては、少々物騒に過ぎる。

 

「ですが、アッテンボローもラップも、以前より腕を上げています。次はもう少し長く戦って、確実に仕留めて差し上げたいところです」

 

「次があっても、仕留めることだけを考えるなよ」

 

アルブレヒトは、彼女の腰を抱き寄せた。

 

「それより、俺の『深追いするな』という命令をよく聞いたな。昔のお前なら、撤退命令を受け取った後に『あと一撃だけなら深追いには含まれません』とか言って、敵の首都まで追い回しかねなかった」

 

「私は、アル様に従う皇后ですから」

 

「成長したじゃないか」

 

「ご褒美をいただけますか?」

 

「もちろんだ」

 

答えるより早く、アルブレヒトは彼女の顎へ手を添えた。

そして、並み居る将兵たちの目の前で、その唇を塞いだ。

 

宇宙港の空気が、再び停止した。

最初は帰還を祝う短い口づけだと思われた。

 

だが、皇帝は妻の腰をさらに強く抱き寄せ、終わらせる気配を見せない。

軍楽隊の指揮者は、演奏を始めるべきか迷ったまま指揮棒を上げ下げしている。

儀典官は式次第を握り締め、顔を真っ赤にして立ち尽くしていた。

 

ミッターマイヤーは、そっと空を見上げた。

よく晴れた美しい青空である。今この瞬間、彼にとって銀河で唯一、安全に視線を置ける場所だった。

長い口づけから解放されたアナスタシアは、普段の冷徹さを失っていた。白い頬が赤く染まり、瞳は熱に潤んでいる。

 

「んっ……アル様……。だめです。将兵たちが、皆、見ております……」

 

「見ていればいいさ」

 

「皇帝と皇后が愛し合っている姿を臣民に見せることも、立派な国家宣伝だ。少なくとも、夫婦仲の悪化による宮廷内乱を心配する必要はないと分かる」

 

「そのような理屈を……」

 

「それに俺は今、無性にアナを抱きたいんだ」

 

アナスタシアは一瞬だけ恥じらうように目を伏せる。

だが、次に顔を上げた時には、毒蛇の毒気など一滴も残っていなかった。

 

「……はい。アルの、お好きなように……」

 

アルブレヒトが、もう一度彼女を抱き寄せようとする。

その時である。

 

「ゴホンッ!!!!」

 

二人のすぐ横には、レンネンカンプが立っていた。

その表情は先ほどから一切変わっていない。だが、背後に整列する将兵、止まったままの軍楽隊、崩壊しかけている式次第へ、無言の視線を順番に向けた。

 

「……陛下。皇后陛下。帰還式典は、まだ終了しておりません」

 

「分かっている」

 

「帝国軍最高司令官以下、各司令官の帰還報告。戦没者への黙祷。陛下から将兵へのお言葉。報道撮影。その後に軍議が予定されております」

 

「分かったと言っているだろう」

 

アルブレヒトは、いかにも残念そうにアナスタシアの腰から手を離した。

 

「やれやれ。固いことを期待しているからには、仕方あるまい。お預けか」

 

「夜まで、我慢いたします」

 

アナスタシアが小声で囁く。

ミッターマイヤーは、まだ空を見ていた。

レンネンカンプだけが何事もなかったように一礼し、乱れかけた式典を教範通りの軌道へ戻していった。

 

帝国軍には、やはり骨が必要であった。

 

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

 

帰還式典を終えてから数時間後。

 

作戦会議室の中央には、イゼルローン回廊と三国の版図を映し出す巨大な立体星図が展開されていた。

 

アルブレヒトは上座に腰を下ろさず、星図の前に立っている。

その左右にはアナスタシア、ミッターマイヤー、レンネンカンプ。さらにルッツ、ワーレン、メックリンガー、グリルパルツァーら、遠征から帰った将帥たちが並んでいた。

ただ一つ、帝国宰相の席だけが空いている。

 

「さて」

 

アルブレヒトが全員を見回した。

 

「今回の遠征において、我々はイゼルローン要塞を占領するという最終目標を達成できなかった。これは事実だ。死者も少なくない。そこを誤魔化して、勝った勝ったと騒ぐつもりはない」

 

星図の中央で、イゼルローン要塞が拡大される。

球形の表面には、《ロンゴミニアド・スピア》が穿った巨大な傷が赤く表示されていた。

 

「だが、戦略的に何も得られなかったわけでもない」

 

アルブレヒトは傷口を指した。

 

「絶対の盾というものは、完全に破壊しなければ価値を失わないわけではない。『破れることがある』と証明した瞬間、もはや絶対ではなくなる」

 

ミッターマイヤーが一歩進み出る。

 

「陛下は、共和国の防衛戦略そのものが変化するとお考えなのですか」

 

「ああ」

 

「これまでヤンは、イゼルローン要塞とトールハンマーを共和国防衛の動かぬ支点にできた。敵が帝国側から来れば回廊で受け止め、要塞を背にして艦隊を動かせばいい。外で多少無茶をしても、最後には絶対に破られない城へ戻れる」

 

「しかし今は、同じ前提に立てない」

 

アナスタシアが星図を見つめながら言った。

 

「外壁の修復には時間がかかり、トールハンマーも損傷している。何より、同じ攻撃を再び受ける可能性を無視できません」

 

「その通りだ。次に俺が《ロンゴミニアド》を持ち出せば、ヤンは要塞の外へ艦隊を出して、近づく前に止めなければならない。守備兵も修理要員も増やす必要がある。要塞は共和国を守る盾であると同時に、共和国が守らなければならない巨大な負傷者になった」

 

レンネンカンプが腕を組む。

 

「ならば、共和国は専守防衛を捨てざるを得ないと」

 

「少なくとも、今までのようにイゼルローンへ引きこもっていれば安全、とは考えられなくなる」

 

アルブレヒトは星図を操作した。

共和国の領土が青く、公国が白く、帝国が赤く染め分けられる。

 

「そこでヤンの選択肢だ。守り切れないのなら、攻めて敵の力を削る。実に分かりやすい積極策だが、どこを攻める?」

 

グリルパルツァーが、公国領へ視線を向けた。

 

「現在、共和国が最も奪還を望んでいるのはハイネセン。そして、公国の富を支えるフェザーンでしょう」

 

「だが、攻めにくい」

 

ミッターマイヤーが答えた。

 

「公国軍は、新型のエンジンによって常識を超えた機動力を得ています。今回、共和国の迎撃艦隊を振り切り、短時間で背後へ現れた事実が、それを証明しました」

 

「正面から決戦を挑む必要すらありませんな」

 

レンネンカンプが続ける。

 

「共和国軍が大軍をもってハイネセンへ向かえば、公国軍は戦いを避け、その補給線のみを狙えばよい。こちらが追いつけぬ速度で輸送船を襲われ続ければ、いかなる大艦隊も干上がります」

 

アルブレヒトは満足そうに頷いた。

 

「ヤンも同じことを考えるだろう。艦隊戦なら地形と陣形で封じる余地はある。だが、兵站線は広く、長い。全ての補給船へ主力艦隊と同じ護衛を付けることなどできん」

 

「占領地を守ろうとせず、焦土作戦と奇襲だけに徹すれば、公国は共和国の攻勢をいくらでも空回りさせられる。フェザーンでも同じだ。公国は現在、もっとも攻める価値が高く、そしてもっとも攻めたくない国になっている」

 

「では、必然的に……」

 

アナスタシアの指が、赤く染まった帝国領へ触れた。

 

「共和国が積極策を採るなら、こちらへ攻め込む可能性が高いということですね」

 

「そうなる」

 

アルブレヒトは、帝国と共和国の境界にある旧帝国辺境領を拡大した。

 

「公国と比べれば、帝国軍の速度は常識の範囲内だ。航路も補給基地も、共和国は占領統治を通じて把握している。領土をさらに切り取り、こちらの国力を削り、自国との格差を広げる。それが、ヤンの取り得るもっとも現実的な積極策になる」

 

「加えて、公国は現在、公王の懐妊問題で内政が揺れております」

 

メックリンガーが静かに言った。

 

「公王配と軍務尚書のどちらが父親かという醜聞は、公国の正統性にまで影響を及ぼしている。マルガレータ公王本人もしばらく前線へ出られないでしょう。共和国から見れば、公国の動きが小さくなる今は好機に映るはずです」

 

「ラインハルトがいる以上、完全に動かないわけではないがな」

 

アルブレヒトの声には、義弟への信頼と警戒が同時に含まれていた。

 

「だが、マルガレータが自ら桃色竜騎兵を率いて飛び出せないだけで、公国の攻撃力が落ちるのは事実だ。ヤンが時間を買おうとするなら、今のうちに我々を叩こうと考えても不思議ではない」

 

レンネンカンプが腕を組んだまま、星図を睨む。

 

「しかし、共和国が我が帝国を一息に破れず、長期戦へ陥ればどうなります」

 

「公国が笑う」

 

「俺たちと共和国が互いに血を流し、艦隊を減らし、国庫を空にしたところで、公国軍が無傷のまま出てくる。まさに漁夫の利だ」

 

「ならば、ヤン・ウェンリーほどの人物が、その危険を理解しないはずはありませんな」

 

「もちろん分かるだろう。だから、もう一つの選択肢がある」

 

「消極策、ですか」

 

ミッターマイヤーの言葉に、アルブレヒトは頷いた。

 

「無理に動かず、イゼルローンの修復を急ぎ、国境を固め、三国の均衡を保つ。ヤン個人が選びたがるのは、たぶんそちらだ。あの男は勝てない戦争を始めるほど愚かじゃないし、必要のない戦争を好む性格でもない」

 

「共和国の国内が、それを許すでしょうか」

 

アナスタシアが問う。

 

「そこが問題だ。絶対と信じていた要塞に穴を開けられ、二万の将兵を一撃で失った。何の反撃もせず修理だけしていれば、弱腰だと騒ぐ者は必ず出る。総統としてのヤンは、軍人として最善の手だけを選べるわけではない」

 

星図の青い領域が、赤と白の間で細く引き伸ばされていく。

 

「積極策を取れば、公国に背後を取られる。消極策を取れば、広大な領土を守る費用だけが積み上がり、帝国と公国に準備の時間を与える。どちらへ進んでも、共和国は少しずつ苦しくなる」

 

「戦略的な手詰まり……」

 

「そうだ。すぐに倒れるわけではない。艦隊総数だけなら、共和国は今なお三国で最大だ。だが、守るべき領土も最大で、要塞は傷つき、もっとも取り戻したい土地には土星の翼がいる。巨大であるがゆえに、身動きが取れなくなりつつある」

 

疾風ウォルフの瞳に、戦場を前にした時の鋭い光が宿っている。

 

「……であれば、陛下」

 

「何だ」

 

「我らが奪われた旧帝国辺境領を、こちらから取り返しましょう」

 

ミッターマイヤーの指が、共和国のネオ・フリー特区へ食い込んだ。

 

「共和国が積極策へ移るために艦隊を再編し、兵站を前へ伸ばそうとするならば、必ず隙が生じます。その瞬間を疾風の機動をもって叩く。あるいは、敵が動かず防備を固めるのであれば、こちらから複数方面へ圧力を加え、守備戦力をさらに分散させる」

 

レンネンカンプも力強く頷く。

 

「奪われた帝国臣民を解放し、国境を本来の位置へ戻す。大義も我らにあります。全軍、いつでも出撃できる用意がございます」

 

「そうだな」

 

アルブレヒトの口元に、獰猛な笑みが浮かんだ。

 

「奴らが積極策へ転じようと動く、その隙を突いて逆にこちらから攻め込む。領土を一度に全て奪い返す必要はない。補給拠点と主要航路を一つずつ取り戻し、共和国の足場を削る」

 

赤い光が、青い領域へゆっくりと伸びていく。

 

「ヤン・ウェンリーを殺す必要もない。艦隊を全滅させる必要もない。領土と国力を削り、守るための負担だけを増やす。そして共和国を、三国の中で一番弱い国家へ叩き落とす」

 

将帥たちの顔に、闘志が広がった。

 

「そのためには――」

 

アルブレヒトが言葉を切る。

ミッターマイヤーが身を乗り出した。

 

「そのためには?」

 

「まずは、ロイエンタールに相談して、機嫌を取らないといかんな……」

 

「は?」

 

レンネンカンプが、会戦中にも見せなかったほど怪訝な顔をした。

 

「いや、考えてもみろ。今回の遠征で、ロイエンタールだけ前線へ出してやれなかったんだぞ」

 

アルブレヒトは空席になっている宰相の椅子を見た。

 

「新しい超戦艦《ゲイ・ボルク》まで渡しておきながら、帝都の留守を守れと命じた。俺とラインハルトはイゼルローンで暴れ、ミッターマイヤーたちはシャンタウで派手に撃ち合い、アナまで《ブリトマート》を持ち出した」

 

「帝国宰相として、帝都を守ることも重大な軍務です」

 

レンネンカンプが正論を述べる。

 

「それは本人も分かっている。分かっているからこそ、命令を完璧に果たした。帝都の治安も、公国方面への警戒も、補給も、全部何一つ問題を起こさなかった」

 

アルブレヒトは深刻そうに首を振った。

 

「だがな。理屈で納得することと、感情で拗ねないことは別だ。あいつは自尊心が高い。皆が戦場で武勲を立てた話を聞かされて、自分だけ留守番だったとなれば、絶対に面白くないに決まっている」

 

ミッターマイヤーは、親友の性格を思い浮かべたのだろう。否定するどころか、難しい顔で黙り込んだ。

アナスタシアは楽しそうに笑い始めた。

 

「ふ……ふふふふ。そうですね。あの方は、とても誇り高い方ですから」

 

「笑い事じゃないぞ、アナ」

 

「いえ。アル様が、あのロイエンタール宰相の御機嫌をどうやって取られるのかと思いまして」

 

「普通に次の総司令官を任せると言えばいいだろう」

 

「それでは、『私が拗ねているから、子供を宥めるように戦場を与えるのか』と、さらに不機嫌になられるかもしれません」

 

「面倒くさいな、あいつ!」

 

「アル様が育てられた部下です」

 

ミッターマイヤーが咳払いを一つして、慎重に口を挟んだ。

 

「陛下。ロイエンタールは、職務と私情を混同するような男ではありません」

 

「お前は親友だから、そう言ってやりたいんだろうが」

 

「ただし」

 

ミッターマイヤーの視線が、空席へ向けられる。

 

「次の作戦構想を、自分が呼ばれていない会議でここまで進めたと知れば、職務上の問題として非常に不機嫌になる可能性はあります」

 

「ほら、やっぱり拗ねるじゃないか!」

 

「拗ねるのではなく、帝国宰相として正当に抗議するのです」

 

「言い方を変えただけだろう!」

 

「分かった。今日はここまでだ。正式な作戦立案は、ロイエンタールを呼んでからにする」

 

「御意」

 

「アナ。今夜、あいつを夕食へ招こう。堅苦しい御前会議ではなく、皆で同じ食卓を囲む。酒と料理を出して、最近の苦労を聞いてやる。その上で、次の戦争の相談をする」

 

アナスタシアが楽しげに頷いた。

 

「ええ、そういたしましょう。呼びましょう、呼びましょう。ミッターマイヤー元帥も、レンネンカンプ提督も御一緒に。リューネブルク軍務尚書やラング内務尚書も呼べば、賑やかな食卓になります」

 

「ラングまで呼んだら、ロイエンタールの機嫌を取る前に喧嘩が始まらないか?」

 

「それもまた、家族団欒というものです」

 

「その家族観は、少々間違っている気がするぞ」

 

「では、ロイエンタール宰相への招待状には何と書きましょう」

 

アルブレヒトはしばらく考えた。

 

「『お前を仲間外れにしたわけではない。今度は一緒に戦争をしよう』」

 

「陛下」

 

ミッターマイヤーが真顔で止めた。

 

「その文面は、余計に機嫌を損ねます」

 

「なら、お前が書け」

 

「私がですか!?」

 

「親友だろう」

 

「こういう時だけ親友を便利に使わないでください!」

 

会議室に、久しぶりの笑い声が広がった。

 

 

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

 

その頃。

 

オスカー・フォン・ロイエンタールは、遠征軍の帰還報告書を一人で読んでいた。

シャンタウ星域でのミッターマイヤーの機動。レンネンカンプの撤退指揮。《ブリトマート》の突撃。そして、イゼルローン要塞へ風穴を開けた《ロンゴミニアド・スピア》

 

どれも見事な戦果である。

 

ロイエンタールは報告書を閉じる。

 

「……別に、前線へ出られなかったことを気にしているわけではない」

 

誰も問いかけていないのに、彼はそう呟いた。

 

「帝国宰相として帝都を守る者が必要だった。陛下の判断は正しい。私ほどの者でなければ、三国が動く最中の帝都を安心して任せられなかった。それも理解している」

 

部屋には返事をする者がいない。

 

「ただ、次の戦争の軍議を開くのであれば、宰相たる私へ最初に相談するのが組織として当然だと言っているだけだ。これは私情ではない」

 

やはり、誰も何も言っていない。

その時、机上の通信端末が短く鳴った。

皇帝夫妻からの夕食への招待。そして、ミッターマイヤーから添えられた短い私信が表示される。

 

『今度は一緒に行こう。陛下も、お前を頼りにしている』

 

ロイエンタールの瞳が、しばらくその文章を見つめた。

やがて、唇の端がほんのわずかに上がる。

 

「……まったく。余計な気を回す連中だ」

 

彼は招待への出席を示す承認ボタンを押した。




お読みいただきありがとうございました。

今回は帝国軍の帰還、アナスタシアの戦場復帰を可能にした法解釈、そして次なる戦略をめぐる軍議を描きました。

皇后大権を利用したアルブレヒトの屁理屈や、最後のロイエンタールの反応について感想をいただけると嬉しいです。
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