親友と楽しい学校生活を送ることを夢見る中学生三年生の絢瀬絵里は、一年生からの親友・岩田由奈と一緒に学校を過ごしていたが、由奈の部活が忙しく、すれ違いの日々が続く。
そんな中、一人で入った行きつけの喫茶店のテラス席で、絵里はめまいに襲われる。
意識が戻ると、夕方だったはずが昼になっていて、蕾だった桜も満開になっていた。
そして目の前には見知らぬおばあさんが座っていた。
“久しぶりだね”と親しげに声をかけてくる女に不信感を持つ絵里。
女はさらに、“ウチはえりちの親友なんだ”と照れくさそうに笑う。
絵里は再びめまいに襲われ、気が付くと女の姿は消えていた。
そんな不思議な体験が気にかかり、絵里は再び喫茶店を訪ねるが…。

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初投稿。拙い文ですが、見ていただけると嬉しいです。

ラブライブ!ののぞえりで世にも奇妙な物語の「相席の恋人」のパロです。
相席の恋人を見て、ずっと書きたかったものです。

最後のエンドロールにオリキャラたちのイメージCVも載せてます。

表紙はXのフォロワーさんに描いてもらいました。残念ながら、Xのアカウントはなくなっていましたが、快く引き受けてくれて素敵な表紙を描いてくれました。

【挿絵表示】



相席の親友

(BGM: いつもどんなときも,全員のために)

 

◇中学校・昼休み

 

主人公・絢瀬絵里は午後からの授業に向けて机で予習をしてる。

 

 

南條愛乃

 

 

絵里「(絢瀬絵里、15歳、中学3年生。 私は今、中1から仲良くしてる関西出身の親友、岩田由奈(いわたゆな)と一緒に楽しく学校生活を送っています)」

 

 

絵里の隣の机でスマホをいじってる紫のショートカットに緑色の瞳をしてる女子生徒が岩田由奈。

 

 

絵里「あ、ねぇ由奈」

 

由奈「んっ?なんや?」

 

 

由奈はスマホをいじりながら聞いてる。

 

 

絵里「今度の土曜、久しぶりに一緒に出かけない?」

 

由奈「あぁ~、その日ちょっと無理や」

 

絵里「部活?」

 

由奈「うん」

 

絵里「そう…」

 

 

由奈は昔絵里からもらった腕時計で時間を確認した。

 

 

由奈「あ、もう部室に行かな」

 

絵里「いってらっしゃい」

 

由奈「うん」

 

 

由奈は教室を出た。

 

 

 

◇夜・絢瀬家

 

絵里はリビングでくつろいでいると、妹の亜里沙が話かけてきた。

 

 

亜里沙「お姉ちゃん、由奈さんにおばあちゃんの腕時計あげたの?」

 

絵里「あげたわよ」

 

亜里沙「おばあちゃん、昔から言ってたもんね。 お姉ちゃんにとって本当に大切な友達ができたら、友情の証としてその時計をあげなさいって」

 

絵里「ええ。 由奈と親友になれて、おばあさまも安心させることができて本当によかったわ」

 

亜里沙「よかったね!」

 

絵里「だけど最近、由奈は部活最後の追い込み、私は生徒会が忙しくて、お互い時間がなくて遊びに行けてないけどね…」

 

亜里沙「そうなの? 寂しいね…」

 

絵里「大丈夫よ。 もう少ししたら由奈の部活も終わって時間が空くだろうし、その時一緒に出かけることにするわ」

 

亜里沙「そうだね! 亜里沙も中学になったら親友できるかな?」

 

絵里「できるわよ、亜里沙なら!」

 

 

 

-翌日-

 

放課後、絵里はいつも学校帰りに寄ってる喫茶店に寄った。

 

そこはテラス席がある素敵な喫茶店。

テラス席のそばには桜の木もあって、現在は蕾だが4月にはきっと満開になるだろう。

 

 

カランコロンカラーン♪

 

ウェイター「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」

 

絵里「はい」

 

ウェイター「ではあちらのテラス席へどうぞ」

 

 

店に置かれた大きな時計が、午後5時を知らせる音を鳴らした。

 

 

時計「ボーンッ、ボーンッ、ボーンッ・・」

 

絵里が席に座った瞬間、時計がいきおいよく時間を進める。

 

 

絵里「…?」

 

 

異変に気付いた絵里が周りを見渡すと、周りの人たちの動きが止まっていることに気付く。

 

 

絵里「えっ? えっ?」

 

 

そして絵里以外の人たちがスーッと消えていき、店は貸し切り状態になった。

 

 

絵里「嘘…!? どうなってるの…?」

 

 

空も昼くらいの明るさになっており、すぐ側にある桜の木も満開になっている。

 

 

絵里「何で…?」

 

 

戸惑ってる絵里のもとに、一人の女性が近づいた。

 

 

女性「すみません」

 

絵里「…?」

 

女性「相席ええですか?」

 

絵里「えっ? あぁはい…」

 

 

女性は絵里の前に座った。

 

 

絵里「…?」

 

 

その女性は、紫色の髪に緑色の瞳をしたおばあちゃんだった。

 

 

 

(BGM: 絵里のやりたいこと)

 

 

 

女性は懐かしむ笑みで絵里を見る。

 

 

女性「久しぶりやね~」

 

絵里「えっ?」

 

女性「元気そうで、安心したわ」

 

絵里「…?」

 

女性「驚かしてゴメンね。 “えりち”」

 

絵里「えっ? “えりち”?」

 

女性「もう…。 絢瀬絵里やから、えりち」

 

絵里「ど、どうして、私の名前知ってるんですか?」

 

女性「それは、ずっと一緒におったからやん」

 

絵里「えっ?」

 

女性「ウチは、えりちの、

 

 

 

 

 

 

 

“親友”なんや」

 

 

 

 

絵里「…!?」

 

 

絵里「………」

 

 

 

そして気が付くと…

 

 

 

絵里「………」

 

 

絵里は元の喫茶店に戻っていた。

 

 

絵里「…?」

 

空の明るさ、桜の木、周りの人たちも元に戻ってる。

 

 

絵里「今の…、何だったのかしら…?」

 

 

 

 

 

相席の親友

 

 

 

 

 

◇絢瀬家

 

晩ご飯のとき、亜里沙にさっきの喫茶店での出来事を話す。

 

 

絵里「夕方、私がいつも行ってる喫茶店があるでしょ?」

 

亜里沙「うん」

 

絵里「そこで変な夢を見たのよ」

 

亜里沙「どんな夢?」

 

絵里「相席のおばあさんが私の名前を知っていて、いきなりあだ名で呼んできて、『ずっと一緒にいた』とか『私の親友だ』って」

 

亜里沙「あはは、面白い夢だね! ハラショーだよ、お姉ちゃん! 由奈さんと最近遊べてないんでしょ? それでそんな夢見ちゃったんだよ」

 

絵里「確かに紫色の髪に緑色の目で、由奈に似てるといえば似てたかもしれないけど…、そうなのかしら?」

 

亜里沙「うん、そうだよ!」

 

絵里「……そうね! さっ、食べましょう」

 

亜里沙「いただきます!」

 

絵里「はい」

 

 

 

-翌日-

 

放課後、絵里は喫茶店に行った。

 

 

ウェイター「では、あちらのテラス席へどうぞ」

 

 

絵里が席に座ると、17時を知らせる時計が鳴り、昨日と同様周りの人たちの動きが止まり、スーッと消えていった。

 

 

絵里「えっ? また…!?」

 

 

 

気が付くと、また昼くらいの明るさになり、桜も満開になっている。

 

 

 

絵里「…?」

 

 

目の前には、自称絵里の親友と名乗ったおばあちゃんが既に座っていた。

 

 

 

(BGM:真剣な眼差し)

 

 

 

親友「やっほ~、えりち」

 

絵里「また変な夢見てるわ、私ったら…」

 

親友「あ…いや、これは、夢やないよ。 えりち」

 

絵里「えっ?」

 

親友「いや、ここは今一時的に、えりちが住んでいる時代と、ウチの住んでる“未来”が、繋がっとるんよ」

 

絵里「未来? ってことはあなたは、未来人なんですか?」

 

親友「うん。 ウチたちはね、本当は同い年なんよ」

 

絵里「そんなの信じられません」

 

 

ウェイターがチョコレートケーキと飲み物「ホットチョコレート」を二つ持ってきた。

 

 

ウェイター「お待たせしました」

 

親友「はい」

 

絵里「えっ? いや私、頼んでないんですけど…」

 

親友「いや、ウチが頼んだんや。 えりち、チョコレート大好物やろ?」

 

絵里「そうですけど…」

 

親友「あ、すみません。 ブルーベリージャム、頂けますか?」

 

ウェイター「かしこまりました」

 

 

ウェイターはブルーベリージャムを取りに行った。

 

 

絵里「何で、私がチョコレート好きだって知ってるんですか?」

 

親友「それは、えりちの親友やから」

 

絵里「何かその“親友”っていうのすごい違和感があるんですけど…」

 

親友「そう言われてもな~。 ウチとえりちはホンマに親友なんよ」

 

 

ウェイターがブルーベリージャムを持ってきた。

 

 

親友「あっ、ありがとう」

 

 

親友は、チョコレートケーキにブルーベリージャムをかける。

 

 

絵里「チョコレートケーキに、ブルーベリージャム…ですか…?」

 

親友「えりちも試してみる?」

 

絵里「あっいえ、私は大丈夫です」

 

親友「あっそう? えぇ~じゃ、いただきます」

 

 

親友はチョコレートケーキを一口。

 

 

絵里は手をつけず、ただ親友を見ていた。

 

 

親友「んっ? 食べないの?」

 

絵里「知らない人にご馳走になるわけにはいかないので」

 

親友「…! 知らない人だなんて…、寂しいな~…。 えりちの親友なのに…」

 

絵里「…?」

 

 

親友のしてる腕時計に気付いた。

 

 

絵里「その時計…!」

 

親友「…?」

 

 

その腕時計は、今由奈にあげてるおばあさまの腕時計だった。

 

 

絵里「ちょっと見せてもらってもいいですか?」

 

親友「あぁ~、えりちに貰った時計だよ」

 

 

親友は腕時計を外して、絵里に渡す。

 

腕時計の裏を確認すると…

 

 

 

AYASE

 

 

 

と書かれていた。

 

確かに、由奈にあげてる腕時計だ。

 

 

絵里「ありがとうございました…」

 

 

絵里は、腕時計を親友に返す。

 

 

するとまた気を失い、気が付いたら、元の喫茶店に帰っていた。

 

 

 

-翌日-

 

◇中学校・昼休み

 

 

由奈が部活から帰ってきた。

 

 

絵里「おかえり」

 

由奈「ただいま…」

 

絵里「さっ、お昼ご飯食べましょう!」

 

由奈「あぁ~ウチはええわ。 もう部員と食べてきた」

 

絵里「そうなの?」

 

 

由奈は腕時計を外して机の上に置いた。

 

 

由奈「あのさ、昼休み部活のときは待っとかんでええよ」

 

絵里「えっ? でもほら、一緒に食べたほうが美味しいじゃない」

 

由奈「最近いつもそう言うけど、どうせ今度は・・」

 

 

ピンポンパンポーン

 

 

放送「生徒会長絢瀬絵里さん。 至急職員室へ来てください。 繰り返します・・」

 

由奈「今度は絵里が呼ばれる。 いつものパターンやろ?」

 

絵里「え、えぇ…ごめんなさい…」

 

由奈「はぁ…、疲れた……」

 

 

由奈は机に突っ伏す。

 

 

絵里「………」

 

 

絵里はその隙に、由奈が机に置いた腕時計の裏を見て、昨日相席の人がしてた時計であることを再確認した。

 

 

(BGM: にこの過去)

 

 

◇未来の喫茶店

 

放課後、喫茶店に行ったら、また自称親友が現れた。

 

 

絵里「あの…、あなたは私の親友なのよね?」

 

親友「うん」

 

絵里「私のことどのくらい知ってるか、ちょっと試してみてもいいかしら?」

 

親友「ええよ」

 

絵里「それじゃ、私は子供の頃、何を習ってたでしょう?」

 

親友「バレエや。 主な曲は『白鳥の湖』。 趣味はアクセサリー製作。 妹に亜里沙ちゃんという女の子がおる。 好きな食べ物はチョコレート。 嫌いな食べ物は梅干しと海苔。 嫌いな場所は暗いところ」

 

絵里「ハラショー! あ、ひょっとして、私の一番行ってみたい国も分かるかしら?」

 

親友「ニューヨークやね? 高校卒業したあと友達何人かとで行ったよ」

 

絵里「そうなの? いいわね~! ほかには? ほかにはどんなところ行ったの?」

 

親友「ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、もちろんえりちの故郷ロシアにも行った。 あっ、インドじゃウチがお腹壊して大変だった・・」

 

絵里「あっ、待って!」

 

親友「…?」

 

絵里「全部聞いちゃうと、もったいないわ」

 

親友「あぁ~ごめん。 調子にのってしゃべりすぎたわ」

 

絵里「でもそんなにいっぱい外国に行けるなんて夢みたいね!」

 

親友「ハハッ」

 

ウェイター「お待たせしました」

 

 

ウェイターがチョコレートケーキとホットチョコレートを二つ持ってきた。

 

親友用のブルーベリージャムも。

 

 

親友「あっ、ありがとう」

 

 

親友はブルーベリージャムをチョコレートケーキにかける。

 

 

絵里「喧嘩ってしたことある?」

 

親友「ん~、ウチたちはあんまりないけど、ほかの友達は痴話喧嘩みたいなのはしょっちゅうしてたな~」

 

絵里「ほかの友達って高校からのよね? その子たちってどういう性格?」

 

親友「えっとね・・」

 

絵里「あっ!やっぱり言わないで!」

 

親友「…?」

 

絵里「ごめんなさい。 すごく気になるんですけど、何か知るのが怖い気もして」

 

親友「うん。そうやね。 知らないほうがええこともあるよね?」

 

絵里「でも、もう一つだけ聞いてもいいかしら?」

 

親友「何?」

 

絵里「あなたが今までで、一番幸せだったのってどんな時?」

 

親友「……みんなで一緒に部活を頑張ったり、遊んでいた時が一番幸せやったよ」

 

絵里「そんな普通のことが幸せだったの?」

 

親友「うん…。 歳を取るとね、普通のことが幸せになるんよ」

 

絵里「へぇ~、そうなのね。 あ、それじゃ、いただきます」

 

親友「うん、食べて食べて!」

 

 

絵里はホットチョコレートを一口飲んだ。

 

 

絵里「(不思議ね。 未来の由奈とこうして話せることができるなんて。 それにしても、あの気が強い由奈が、未来だとこんな穏やかな性格になるなんて何だか信じられないわね、ふふっ。 確か明日は由奈、部活が休みだったはず。 久しぶりに一緒におやつでも食べようかしら)」

 

 

桜の花びらが舞い散る。

 

 

 

-翌日-

 

◇中学校・昼休み

 

 

絵里「ねぇ由奈、私今日チョコレートケーキ作ってきたの。 よかったら食べて」

 

 

チョコレートケーキには、ちゃんと由奈のためにブルーベリージャムをかけている。

 

 

由奈「はっ? 何でチョコケーキにブルーベリージャムかけてんねん?」

 

絵里「えっ? ダメかしら?」

 

由奈「ダメっていうか、普通はないやろ?」

 

絵里「そうなの?」

 

由奈「まあ、別にええけど…」

 

絵里「それじゃ、いただきま・・」

 

由奈「あのさ」

 

絵里「…?」

 

由奈「この間から言おうと思っとったことがあんねんけど…」

 

 

由奈のスマホ「♪~」

 

 

絵里、由奈「…?」

 

 

由奈は電話に出る。

 

 

由奈「何や? わかった、すぐ行くわ…」

 

絵里「どうしたの?」

 

由奈「別に。 後輩に呼ばれたから部室行ってくるわ」

 

 

由奈は部室に行く準備をする。

 

 

絵里「そういえば、さっき何か言おうとしてなかった?」

 

由奈「また今度言うわ。 今日も遅くなるから、先帰ってて」

 

 

 

(BGM: 悲しみの夜)

 

 

 

絵里「えぇ…、わかったわ…」

 

 

由奈はチョコレートケーキを一口も食べずに、部室へ行った。

 

 

絵里「………」

 

 

 

◇未来の世界の喫茶店

 

親友は、いつものようにチョコレートケーキにブルーベリージャムをかける。

 

 

絵里「いつからブルーベリージャムかけるようになったの?」

 

親友「う~んと確か…。 …! 【咳】」

 

絵里「…!? ちょっと!大丈夫!?」

 

 

親友はポケットから、薬のような物を取り出して吸った。

 

 

親友「はぁ…、大丈夫…、大丈夫や…」

 

絵里「大丈夫じゃないじゃない! もしかして病気?」

 

親友「えっ?  うん…。  ああでも、大したことないから」

 

絵里「ダメじゃない! ちゃんと寝てないと!」

 

親友「そうやけど、病院にいるより、えりちと話してたほうが楽しいから」

 

絵里「でも、未来にも私がいるんじゃないの?」

 

親友「…!」

 

絵里「どうしたの?」

 

親友「………」

 

絵里「もしかして、もう死んでるの…?」

 

親友「………」

 

絵里「私が死ぬ時、そばにいてくれた?」

 

親友「ずっとそばにおったよ!!」

 

絵里「…!?」

 

親友「毎日えりちのお見舞いに行って、病院に泊まろうとしたら、『ここはあなたのホテルじゃありません!』って叱られたわ…」

 

絵里「………」

 

親友「ウチは…!  ウチは…、何もして…あげられへんかった……。  ゴメンね…!  ゴメンね…、えりち……!!」

 

 

親友の目から涙が出る。

 

 

絵里「…そばにいてくれれば充分よ」

 

 

 

(BGM: 友情)

 

 

 

絵里「だって、普通のことが幸せなんでしょ?」

 

親友「うん……」

 

絵里「はい」

 

 

絵里は、ハンカチを差し出した。

 

 

親友「ありがとう……」

 

 

親友はハンカチで涙を拭く。

 

 

絵里「ねぇ、もっと楽しい話しましょうよ!」

 

親友「…うん、そうやね!」

 

絵里「じゃ、気になってたんだけど、いつから私のことをえりちって呼ぶようになったの?」

 

親友「それは、こう・・、あっ…、いや…、その話は内緒やね」

 

絵里「えっ? 何でよ?」

 

親友「それもほらっ、楽しみにしといてほしいんよ」

 

絵里「ふふっ、じゃあそれも未来へのお楽しみにってことにしといてあげるわ!」

 

親友「ハハッ」

 

 

 

◇元の世界・スーパー

 

絵里は夕飯の買い物にしてる。

 

 

絵里「今日の夕飯、何にしようかしら?  んっ?」

 

 

横をふと見ると、奥のほうに由奈がいた。

 

 

絵里「あら、由奈じゃない?」

 

 

声をかけようと由奈に近付こうしたが…

 

 

由奈は辺りをキョロキョロし、不審な動きをしてる。

 

 

絵里「…?」

 

 

誰も近くにいないことを確認した由奈は、商品を手に取り、それを鞄の中へ入れた。

 

 

絵里「…!?」

 

 

そして足早にその場を去っていった。

 

 

絵里「えっ? ちょっと! ゆ、由奈!」

 

 

絵里は追い駆けようとするが、見失ってしまう。

 

 

絵里「………」

 

 

 

 

 

 

------------------------------------------

 

 

 

 

 

 

~翌朝~

 

◇中学校・登校時間

 

絵里は席に座ってた。

 

 

絵里「………」

 

 

由奈が登校してきた。

 

 

絵里「由奈…、おはよう…」

 

由奈「…? おはよう…」

 

絵里「ねぇ、昨日部活終わった後、どこ行ってたの?」

 

由奈「えっ? どこって…、部活終わった後はそのまま家に帰ったわ…」

 

絵里「そう…」

 

由奈「何でそないなこと聞くん?」

 

絵里「私ね…、昨日見たのよ…。 由奈がスーパーで万引きしたところ…」

 

由奈「えっ?」

 

絵里「どういうこと?」

 

由奈「いや、それは…」

 

絵里「何で…?」

 

 

ピンポンパンポーン

 

 

放送「生徒会長絢瀬絵里さん。 3年2組の岩田由奈さん。 至急校長室に来てください。 繰り返します。生徒会長絢瀬絵里さん・・」

 

絵里、由奈「………」

 

 

 

(BGM: 誰もいない)

 

 

 

◇校長室

 

コンコンコンッ

 

 

絵里「失礼します…」

 

由奈「失礼します…」

 

 

既に担任が校長と話していた。

 

 

担任「絢瀬さん…、岩田さん…」

 

校長「岩田さん、呼び出された理由はわかりますね?」

 

由奈「はい…」

 

絵里「校長先生、私はなぜ?」

 

校長「後で話します。 まず確認ですが岩田さん。 昨日スーパーで万引きを働いたというのは本当ですか?」

 

由奈「本当です…」

 

担任「昨夜警察から電話があった時は驚いたわよ! 何してるの!! あなたもう少しで卒業なのよ!!」

 

由奈「すみません…」

 

絵里「………」

 

校長「はぁ…本当か…。 わかりました。 今日は岩田さんは家に帰ってください。 処分は明日伝えます」

 

由奈「はい…、わかりました…」

 

校長「それでは岩田さんは退出ください」

 

由奈「失礼します…」

 

絵里「由奈……」

 

校長「絢瀬さんは残ってください」

 

絵里「…?  はい…」

 

 

由奈と担任は校長室を出て行った。

 

 

校長「はぁ…。まいったなぁ…」

 

絵里「校長先生、岩田さんはどうなるんですか?」

 

校長「そのことなんですが、絢瀬さんには明日岩田さんに処分を伝えていただきます」

 

絵里「えっ? 私がですか?」

 

校長「我が校では、生徒会長が処分を言い渡す決まりになっていますので」

 

絵里「………。 わかりました…」

 

校長「まったく…卒業間近の生徒が万引き…!  そんなことが世間に知られてしまったら我が校の評判が落ちてしまいますよ!」

 

絵里「…それで私は、何て伝えたらいいんですか…?」

 

校長「ここまで言えばわかるでしょ、絢瀬さん。 言われなくても察しなさい!  岩田さんに、退学を命じなさいと言ってるんだ!」

 

絵里「えっ!? 退学!?」

 

校長「そうだ!」

 

絵里「ちょっと待ってください! 校長先生!  確かに由奈…、岩田さんは万引きをしてしまいした! でも後少しで私たちは卒業なんですよ!」

 

校長「卒業間近だということをわかっていながら、犯罪を犯すなど許されることではありませんよ!」

 

絵里「そうですけど…! けど! きっと何か理由があるはずなんです! 反省もしてると思います! だから・・!」

 

校長「絢瀬さん!! 友達だからって甘えは許しませんよ!! 生徒会長として、しっかりと退学を命じなさい!!」

 

絵里「…………………!!」

 

 

◇帰り道

 

絵里「なんなのよ!! あの校長!! 勝手すぎるわよ!!」

 

 

放課後、絵里は喫茶店による気分になれず、その日は真っ直ぐ家に帰った。

 

 

 

◇翌日・生徒会室

 

絵里は生徒会長席に座ってる。

 

 

絵里「………」

 

 

絵里の脳裏には、今まで由奈と過ごしてきた思い出が映し出される。

 

 

絵里「………」

 

 

コンコンッ

 

 

絵里「…!」

 

 

絵里は涙を慌てて拭いて、姿勢を正す。

 

 

絵里「はい、どうぞ」

 

 

由奈が入ってきた。

 

 

絵里「由奈…」

 

由奈「なんや? こんなところに呼び出して…。 今から処分聞きに校長室行かなアカンのやけど…」

 

絵里「行かなくていいわ。 私があなたに処分を言うことになったの」

 

由奈「そうなん…?」

 

絵里「…………岩田由奈さん、本日をもって退学を命じます」

 

由奈「………。 そっか…。 わかったわ…。   ほなっ」

 

 

由奈は出て行こうとする。

 

 

絵里「えっ…?  ちょっと待って!」

 

由奈「…?」

 

 

 

(BGM: 未練)

 

 

 

絵里「何でそんなにあっさりしてるのよ!? わかってるの!? 退学なのよ!!」

 

由奈「別に。もう決まったことやろ」

 

絵里「最近あなた変よ! 何言っても空返事だし、全然楽しそうじゃない! 部活で何か嫌なことでもあったの?」

 

由奈「絵里には関係ないやろ!?」

 

絵里「関係あるわよ! 私はあなたの親友よ! 親友が困ってたら力になりたいって思うのが普通でしょ!?」

 

由奈「はぁ…、………さい…」

 

絵里「何か訳があるんでしょ!? 話してよ!! 一人で抱え込まないで!  もう一度、校長先生のところ行きましょう! 私からも考えなおしてほしいってお願いするから!」

 

由奈「……るさい…!」

 

絵里「万引きしたのは由奈が悪い! でも絶対こんなのおかしいわ! 私は一緒に卒業したいわよ! だから・・!!」

 

 

由奈「うるさい!!!」

 

 

絵里「…!?」

 

 

由奈「絵里はいつもそうや!! 人の気も知らんで出しゃばってきてうんざりなんよ!! 余計なお世話や!!」

 

絵里「なによそれ……!?  私はあなたのこと心配して言ってるのよ!!」

 

由奈「それが余計なおせっかいやって言うてんねん!!  退学でええよ!! こんな学校こっちから辞めたる!!」

 

絵里「…!? 由奈…?」

 

由奈「あぁもう!ホンマ腹立つわ!!   この間から言おうと思っとったけど、あんたホンマうっとおしいんや! もうウチとは関わらんといてよ!」

 

絵里「何でそんなこと言うのよ…!? この間話そうとしてたのってこのこと!?」

 

由奈「そうや! いい加減我慢の限界超えたしな!」

 

絵里「何でよ…?  私たち、ずっと2人でやってきたでしょ…!?」

 

由奈「もう話も聞きたない!!   とにかく! もうウチとあんたの関係は終わりや!   これも返すっ!!」

 

 

 

由奈は、腕時計を外して、絵里に投げつけ

 

 

絵里「…!!」

 

 

 

由奈「………」

 

 

 

 

ようとするが…、思いとどまったのか、そっと机の上に置いた。

 

 

 

 

由奈「この時計…、もっとちゃんと絵里のこと大切にしてくれる奴にあげたほうがええよ…!」

 

 

由奈は走り去った。

 

 

絵里「由奈!! 待って!!」

 

 

追い駆けようとしたが、もう見えなくなっていた。

 

 

絵里「………」

 

 

 

◇万世橋

 

夜になっても家に帰る気になれず、絵里は万世橋に立っていた。

 

 

絵里「………」

 

 

由奈から返された腕時計を握りしめて見る。

 

 

絵里「………」

 

 

 

 

親友「ウチは、えりちの、“親友”なんや」

 

 

 

 

絵里「あなたは…、誰……?」

 

 

絵里は、走って喫茶店に向かう。

 

 

 

◇喫茶店

 

ウェイターが席を案内する前に、いつもの席に座る。

 

 

絵里「………」

 

 

そして目を閉じ、未来の世界へ。

 

 

 

◇未来の世界

 

 

絵里「…!?」

 

 

前の席に、親友は座ってなかった。

 

 

絵里「あれ?」

 

 

ウェイターが来た。

 

 

ウェイター「絢瀬絵里さんですか?」

 

絵里「…? はい、そうです」

 

ウェイター「相席のお客様から、こちらのお手紙をお預かりしております」

 

 

 

(BGM: 希の胸の内)

 

 

 

ウェイターから手紙を渡される。

 

 

絵里「ありがとうございます…」

 

 

ウェイターは一礼して店内に戻った。

 

 

絵里「………」

 

 

絵里は、手紙を開いて読むことにした。

 

 

 

 

 

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えりちへ

 

 

 この手紙をえりちが読む頃、きっと、ウチはもうこの世にはいません。

 

 最後に、どうしてもえりちに伝えたいことがあって、この手紙を書きました。

 

 

 ウチの住んでる未来の世界では、時空を一時的に繋ぐことで、亡くなった親しい人と面会出来るシステムがあります。

 

 

 ウチは、ウチと出会う前の人生で一番落ち込んでいた頃のえりちを励ましたくて、このシステムを利用することにしました。

 

 

 面会場所はえりちが学校帰りにいつも寄っていた喫茶店にしました。

 

 この喫茶店は、未来でもまだ営業していて、時空を繋げるのに最適やったんや。

 

 

 でも突然、周りの人がいなくなったり、ウチが現れたりと、えりちを随分驚かせてしまったね。

 

 ごめんなさい。

 

 

 さて、ここから本題や。

 

 

 

 えりち。

 

 今、どんなに悲しくても、生きていることが辛くても、えりちは必ず幸せになれるよ。

 

 

 えりちはそのままのえりちでいいんだよ。

 

 

 

 えりちはみんなから頼りにされる生徒会長になって、部活ではみんなから優しいお姉さんとして慕われるんやから。

 

 

 

 

 未来の友達はみんな、えりちのことが大好きだよ!

 

 

 

 

 これでもう、お別れやね。

 

 

 

 ウチは寂しくないよ。

 

 

 若い頃のウチが、えりちとまた出会えるはずやから。

 

 

 えりちのおかげで、ホンマに幸せな人生やった。

 

 

 

 

 ありがとう

 

 

 

 

 さようなら

 

 

 

 

 

------------------------------------------

 

 

 

 

 

-数日後-

 

◇絢瀬家

 

絵里「いただきます」

 

 

 

(BGM: 絵里のやりたいこと)

 

 

 

朝食を食べて、中学校へ行く。

 

 

◇中学校・教室

 

由奈はいなくなり、話し相手はいなくなった。

 

休み時間、予習を行ってると…

 

 

担任「絢瀬さん」

 

絵里「はい」

 

担任「また今回のテストも1位よ。 すごいわね!」

 

絵里「ありがとうございます」

 

 

 

◇絢瀬家

 

亜里沙と晩ご飯。

 

 

亜里沙「由奈さん、信じられないよ!! おばあちゃんの腕時計も返すなんて!!」

 

絵里「もういいわよ、亜里沙」

 

亜里沙「よくないよ! お姉ちゃん!」

 

絵里「大丈夫よ。  由奈は、私の親友じゃなかったのよ。  本当の親友はほかにいるから」

 

亜里沙「えっ? そんな人見つけたの?」

 

絵里「えぇ。 まだ会ったことはないけどね」

 

亜里沙「…? なにそれ?」

 

絵里「フフッ」

 

 

 

-4月-

 

絵里は音ノ木坂学院に入学した。

 

 

入学式

理事長の話

 

 

理事長「新入生の皆さん、入学おめでとうございます。 今日から皆さんは、この音ノ木坂学院の一員です。 これから始まる学園生活をぜひとも楽しく、充実したものにしてほしいと願っております」

 

 

入学式が終わり、教室で自己紹介が始まる。

 

 

担任「それじゃ一人ずつ自己紹介をお願いします。 じゃまず絢瀬さんから」

 

絵里「はい」

 

 

絵里は席に立つ。

 

 

絵里「皆さん、初めまして。 絢瀬絵里といいます。 よろしく」

 

 

絵里は座る。

 

 

 

初日の学校は終わり、帰りに喫茶店へ寄った。

 

テラス席のそばの桜の木も満開になってる。

 

絵里は席に座れたが、その日は珍しく満員だった。

 

ホットチョコレートを飲んでると、ウェイターが近づいてきた。

 

 

ウェイター「恐れ入ります」

 

絵里「…?」

 

ウェイター「店内、大変混雑しておりまして、相席お願いしてもよろしいでしょうか?」

 

絵里「はい、いいですよ」

 

ウェイター「ありがとうございます」

 

 

ウェイターは絵里と同じ音ノ木坂学院の制服を着た女の子を連れてきた。

 

 

ウェイター「こちらの席、どうぞ」

 

女の子「すみません、相席いいですか?」

 

絵里「はい」

 

絵里「(一緒の学校? リボンは水色ってことは学年も一緒なのね)」

 

 

相席の人は席に座る。

 

 

女の子「チョコレートケーキください。 あと、

 

 

 

 

 

 

"ブルーベリージャム"も頂けますか?」

 

 

 

 

ウェイター「かしこまりました」

 

絵里「えっ?」

 

 

絵里は相席の女の子のほうを見ると、女の子は綺麗な紫色の髪に、緑色の目をしていることに気付く。

 

 

その女の子は、チョコケーキが来てすぐ、ブルーベリージャムを相席の女性と同じようにかけた。

 

 

絵里「あなた、もしかして…」

 

女の子「ふふっ、一緒のクラスだよね? 絢瀬絵里ちゃんだっけ?」

 

絵里「そうだけど、あなたは?」

 

 

 

 

 

希「ウチ、東條希! よろしくね、えりち」ニコッ

 

 

 

 

 

絵里「……!  ふふっ、よろしくね、希」ニコッ

 

 

ふわりと桜の花びらが舞う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ストーリーテラー「奇妙な世界への扉は日常の中に隠されています。 皆さんも相席を頼まれた時は一度考えたほうがいいかもしれません。 奇妙な世界に迷い込んでしまうかもしれないので、ご注意を」

 

                                      世にも

                                       

                                      な物語

 

 

 

 

 

 

                  ストーリーテラー

                    タモリ

 

 

                  [相席の親友]

 

 

                  絢瀬絵里●南條愛乃

 

 

                  岩田由奈●愛美

                 絢瀬亜里沙●佐倉綾音

                   東條希●楠田亜衣奈

 

 

              現在のウェイター●小西克幸

              未来のウェイター●石谷春貴

                 中学の担任●山村響

                 中学の校長●田中亮一

                    放送●安済知佳

               音ノ木坂の担任●美名

              音ノ木坂の理事長●日髙のり子

 

 

                  相席の女●杉山佳寿子

 

 

                    脚本●ハヤシライス(あいライス)

 

 

                表紙イラスト●みぃ

 

 

                   原作●世にも奇妙な物語

                      「相席の恋人」


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