「お兄さん・・・ハスキーさんたち、まだ帰ってこないのかな?」
ホークスとの密会を終えて寮に戻った界離が夕飯を作っていると、リビングのテーブルで夏休みの宿題をしていた壊理が、心配そうに顔を上げた。
「大丈夫だよ。大人になると、帰りが遅い事もよくある事さ・・・それに、皆も壊理ちゃんの事が大好きだから必ず帰ってくるよ」
“もう会えないんじゃないか”
そんな不安に壊理の瞳が揺れていた。
界離は優しく頭を撫で、不安を取り除くように優しく微笑む。
「さ、できたから夜ご飯食べよう。今夜はロールキャベツだよ」
「はーい!」
壊理はノートとドリルを片付け、皿を並べ始める。その姿を見て、界離は自然と頬を緩めた。
オーブンにはアップルパイ。
焼きあがる頃には、帰ってきてくれたらいい――そう思いつつ、界離は料理を盛りつけた。
◇◇◇◇
暗闇が、ゆっくりと形を持ち始める。
『っ! げえっ・・・げえっ・・・』
雲一つない真昼間なのに木々の影がやけに濃く、世界が薄暗く見えるほどの深い森林の中、のたうち回るドラゴンがいた。
『ぐ、る、じ・・・たず・・・』
身体を痙攣させ、吐き気による涎を垂れ流し、苦しみながらも意識ははっきりしているようで助けを求めている。
目の前で死にかけの
だってこれは――
(もう何度目でしょうか・・・あの頃を夢で見るのは)
ハスキー自身の過去の記憶なのだから。
私はここ――“僕のヒーローアカデミア”と呼ばれている世界とは異なる世界から来た、元人間のドラゴンだ。
この世界に“個性”と呼ばれる超能力があるように、あちらには“魔法”があり、人間、ドラゴン、獣人、魔族など複数の種族が争い続けていた世界。
そんな世界で人間として生を受けて二十二年過ごしたのち、紆余曲折合ってドラゴンとして世界を千年ほど放浪し、光竜の国の姫様に仕えるようになって数千年を生きたこの日、私は自ら命を断とうとしていた。
人間だった痕跡なんて、私の記憶以外全て消え去った長い竜生の中で幾度と無く、かつての同族と時には恋に落ち、時には別れを、時には裏切りを経験してきた。
例えば、私の力を利用しようと魔法で従属させようとしてきた魔術師。
例えば、私を倒してその死体を材料に襲いかかる冒険者。
そして、私の放った光で灰となってしまった人――私や姫様を、光竜の国を支配下に置こうとした魔導士。
私を裏切り、国王夫妻を殺し、皆に害を為そうとした
私は悲しみと怒りのあまり彼女に魔法を放ち、命を奪ってしまった。
敵の命を奪うことはあった。
それでも、一度は愛し合った人を殺すなんていけないことなのに。
殺さなければ皆が危なかった。でも、後悔で押し潰されそうだ。
ここに来る前のようにただ暴れ、悲しみの咆哮を上げれればどんなに楽だったか。
私が部屋から出れたのは一週間が経った頃だったが、仕事に身が入らず、それを咎めもされないことに発狂しそうになってしまったのだろう。
罪悪感からか、私が生み出した灰が人の形になり、私を責める夢を見るようにまでなった。
国王夫妻の命を奪い、私の心を壊して洗脳しようとしていたのに、それまで愛していた彼女の言葉が竜殺しの剣のように突き刺さるような錯覚に陥る。
『ごめんなさい・・・ごめんなさい!』
『メイド長!? ラドリーだよ、大丈夫!?』
天真爛漫なラドリーに心配されるほど、私の心は病んでしまっていた。
私の代わりに他のドラゴンたちが仕事をすると言ってくれて、感謝こそ言えたが、私は一向に立ち直れずさらに気分は沈んでいった。
そしてあの日、私はとある紫色の薬を入れた瓶を持ち、近くの森林まで飛んだ。
私の顔ほどもあるその瓶は、ドラゴンを殺すために特別に作られた毒が原液のまま入っている。
薄めて私や他のドラゴンに飲ませ、洗脳魔法をかけやすくしようとしたと聞く。
私が光魔法で灰にした、元恋人の遺物だった。どれ程の効果があるかは分からない。
処分するのも時間がかかるとして私が封印していたのに、私はその瓶の蓋を開けていた。
(もう・・・耐えきれない)
私がいなくても、姫様と他のドラゴンたちなら上手くやれるはずだと、毒液を全て飲み干した。
『っ! げえっ・・・げえっ・・・』
身体が痙攣し、吐き気による涎が止まらず、地面を掻きむしりながらのたうち回るが意識ははっきりしている。
『ぐ、る、じ・・・たず・・・』
これだけ濃い毒でも即死できないなんて――そう思いつつ、思わず助けを求める。
『い、やだ・・・じに、だぐ・・・な』
死ぬつもりだったのに、今更ながら死を恐れる。
(・・・浅ましいですね、私は)
だが、ここはモンスターの跋扈する魔の森。
こんな場所を好き好んで訪れる者など同族ですらおらず、ましてやどこに行くか伝言すら残していない私が今こうなっている事など、誰も知らない。
ドガッシャーーン!!!!
空が裂けたような轟音。土砂が舞い、衝撃波が森を揺らす。
そして、地面に突き刺さるように“何か”が落ちてきた。
私は毒で苦しみながらも、その“何か”を見た。
地面から生えた人間の下半身と両脚だった。
『ムム・・・ムーッ、ムーー・・・ぷはっ! 抜けた~』
しばし藻掻いた何者かの上半身が地面から抜け、呑気な声が森に響いた。
深海のような暗い青髪と、空のように澄んだ青い瞳の人間の青年。
その青年は周囲を見渡し──痙攣する私を見て、顔を青くした。
『ちょちょちょちょ! 大丈夫ですか!? どこに直撃させちゃいました!? えっと、打撲に効く回復魔法は・・・』
倒れている理由を誤解していた彼に、私は途切れ途切れにあの毒のせいだと伝えた。
『あれのせいか・・・よし任せろ』
青年は、まだ半分ほど毒が残っていた瓶を手に取ると――一気に飲み干した。
人間が耐えられるはずのないはずの代物だが、彼は『蟹の食べられない所みたいな味がする』と味の感想を口にするほど何故かケロッとしている。
『飲んで』
次の瞬間、青年はナイフで手のひらを切り、溢れた血を私の口へ流し込んだ。
言われるがまま血を飲み込むと、痙攣が収まり吐き気も嘘のように消え去った。
『驚いた? 俺の身体ちょっと特殊で、毒なら現物を飲めば一瞬で解毒薬を作れるんだ』
あっけらかんという青年に対し、私は呆然とした。
自然界に存在しない毒を一瞬で無毒化する解毒薬を作れる特殊体質など、国王夫妻すら聞いた事がないはずだ。
『あなたは・・・一体?』
『夏空ヒロト。しがない冒険者だ』
にこやかに笑うその顔を見て、“今の私”は胸が締め付けられた。
(ヒロト・・・)
“この時の私”は知らないが、“今の私”は知っている。
彼との出会いに、私だけでなくどれほど多くの者たちが救われたか。
私がどれほど深く彼を愛し、彼との別れでどれほど深く傷つくことになるのかを。
1:貞操逆転ヒロアカ転生者
よし、準備完了!
2:男女比1:30世界のアイドルリーダー
いよいよ会いに行くんやな。
原作じゃ出番なんて二回くらいで、ほぼモブ同然やったのに・・・めっちゃ読者から人気出た、あの“一般女性”さんに
3:男女比1:5世界の新社会人
“
まあ界離君の世界だけでの名前だろうけど
4:男女比1:30世界のアイドルメンバー4
で、その狐々神さんとデートするのか結城界離。
お前この前13号先生ともデートしといて・・・気が多すぎるぞ
5:男女比1:30世界のアイドルメンバー5
英雄色を好むって言うが、程々にしとかねえと痛い目見るぞぉ~。
特に貞操逆転世界じゃ、男が外に出ないのは珍しくねえから一生
6:貞操逆転ヒロアカ転生者
変な言いがかりは止めてくださいお二方。
狐々神さんとは会って話をするだけですし、13号先生とはデート演習しただけです!
7:迅雷風柱
そういう事にしといてやるかぁ
8:転生元トップレス
狐々神リコと話をするだけで終わらないに私は一万賭けるが、皆はどうする?
9:転生波紋使い
それじゃあ賭けが成立しないわ・・・
せめて何が起きるかで賭けない?
10:異世界森の民
俺はアドレス交換するに三万賭けるぜ
11:異世界Dキッズ
密会した事が梅雨ちゃんお茶子ちゃんたちにバレて、しっぽりぬっぽりなるに五万
12:男女比1:30世界のアイドルメンバー5
じゃあ俺は一般女性・・・もとい狐々神リコとぬっぽりしっぽりに十万だ
13:男女比1:30世界のアイドルリーダー
賭けんな賭けんな。
ところで界離くん、準備は・・・ばっちりみたいやな
14:貞操逆転ヒロアカ転生者
はい。
今夜には東京行って、I・アイランド行きの便に乗りますからかなりのハードスケジュールに・・・
あれは、ハスキーさんの?
――玄関でペンダントを拾う界離――
15:貞操逆転ヒロアカ転生者
一旦渡しに戻・・・るか・・・
――ペンダントが開き、シュトラールと青い髪の青年が写った写真が視界に入りフリーズする界離――
1:男女比1:5世界の新社会人
界離君!?
何が起きた!?
2:国家元首なMS乗り
分からない・・・
だが、どっちかというと界離君が意識を失ったせいみたいだが
3:雷門中のエアコンヒーロー
メイド長のペンダントを見た瞬間だったよな・・・
なにか、意識を奪う魔法でもかかってたのか?
4:転生ユザレ
ラルクちゃん、あなたの千里眼で何か分からない!?
彼の心が見えれば、目を覚まさせることが出来るかもしれないわ
5:転生トップレス
今やってる!
界離の頭の中に映ったのは・・・誰かの記憶か?
シュトラールと・・・デートしてるのか?あ待て!まだ途切れるな!!
せめて顔だけでも・・・ペンダントの男の顔?
6:貞操逆転ヒロアカ転生者
『お兄さん!・・・お兄さんしっかりして!!』
『ハッ!!』
――壊理ちゃんに揺さぶられ、意識を取り戻す界離――
7:キューピット岩柱
目を覚ましたか界離君!
何があったか覚えているか?
8:貞操逆転ヒロアカ転生者
全く思い出せない・・・
何か見えた気はするんだけど・・・
9:男女比1:30世界のアイドルメンバー5
それより、時間大丈夫か?
お前一時間くらい気を失ってたぞ
10:貞操逆転ヒロアカ転生者
え・・・やっば!?遅れちゃう!!
じゃあ、失礼します!
11:国家元首なMS乗り
界離君は行ったか。
ラルク、リサリサ・・・君たちは最近の事、どう見てる?
12:転生波紋使い
体育祭で私たちが界離君の世界に飛ばされた事
遊戯王のモンスターに酷似したメイドたち
13:転生元トップレス
そして、中一の冬と職場体験の死穢八斎會戦で遭遇した角の女たち
14:男女比1:30世界のアイドルリーダー
体育祭で界離くんをけしかけた神さんの言動とか見てると・・・
またロランちゃんみたいなんが起きる前兆なんかもしれへんな
15:キューピット岩柱
とにもかくにも、ここからが界離君にとっても我々にとっても正念場なのは間違いないな
16:迅雷風柱
I・アイランドの後は、合宿に神野事件も控えてる・・・
オール・フォー・ワンへ嫌がらせする気満々の界離の事だから、確実に介入するだろうなぁ
・この世界について
僕のヒーローアカデミアをベースに、貞操逆転並びに複数の要素のクロスオーバーを確認
例:結城界離の先輩である甘露寺蜜璃・結城界離の親族など
・この世界の歴史
1963年:中国で光る赤子が誕生。超人社会が始まる
2030年(超常第三世代期):
2093年3月18日:結城界離誕生
同年3月21日:結城界離、誘拐されかける(第1話)
2097年3月:結城界離と蛙吹梅雨が初めて出会う(第2話)
2105年12月:結城界離、甘露寺蜜璃、ミルコ、インゲニウムと共に角の女と初交戦
2108年:結城界離、雄英高校に入学(第17話~)
・壊理について
原作ではヒーローインターン編にて登場した特異な個性を持つ少女だったが、この世界では職場体験の初日に結城界離と接触。時期故に原作よりも治崎廻に植え付けられた恐怖心が浅かったこともあり、界離の手を取ったことで原作の壊理よりも大きな変化が発生する。
公安委員会旧会長の判断で察処分されそうになったが、堪忍袋の緒が切れた結城界離の反乱および、レディ・ナガンが身元引受人となった事で処分が保留となる。
以降、筒美壊理として結城界離と生活を共にし、普通の人生を謳歌している。
・壊理の通う学校および、友人のプロフィール
雄英からは私鉄駅四つ分くらい離れている位置にある小学校。轟凍焦の姉――轟冬美が勤務している学校であり、彼女が担任のクラスに在籍している。
個性:空気振動『長時間発生することで物体の原子を振動させ発火させたり凍らせたりできる。ただし、発動には時間がかかるため歌う形でしか使えない』
人物像:
・垢離里乙女ヒーロー団の中では一番の大柄
・ぽっちゃりした体形で、食いしん坊
・うな重が何よりの好物。(物の値段の話が出た時は大抵うな重何杯分か聞き返すほど)
・勉強は苦手
・ガキ大将的な言動が目立つが、他人を気遣う優しい性格である
個性:放電『頬にある電気袋に電気を蓄えたり、放ったりできる。上鳴電離と異なり長時間使っても脳がショートする事は無い』
人物像:
・頬にある赤い電気袋がチャームポイント。
・垢離里乙女ヒーロー団のメンバーの中では一番頭が良く物知りである
・教師をやってる親の影響で誰にでも敬語を使う
個性:時間停止『自身を中心に半径三メートルの人間の動きを封じる事が出来る。ただし、停止できる時間の長さは深呼吸で息を数時間の長さの半分までである。時間経過か息を漏らすと時間停止は解除される』
人物像:
・垢離里乙女ヒーロー団のメンバーの中では一番の小柄
・転校してきたばかりの壊理を垢離里(こりさと)乙女ヒーロー団に誘ったのも彼女
・素直かつ純情な性格
個性:犀『サイのようなことは何でもできる』
人物像:
・常々高飛車な態度をとり女王様気取りで周囲に振る舞うため、クラスメイトからは何かと酷評を受けることが多く人望がない
・ただし、こうした態度とは裏腹に、内心では同級生たちと仲良くしたがっている
・壊理の事がめちゃくちゃ大好き(少しでも体が触れると「ぼへえぇぇ」と絶叫しながら高揚して悦に浸ったり、結婚したいと口走ったりするほど)
・実家が金持ち
・界離の事をライバル視しつつ、いつの日か胸を張って壊理さんを私にください!といえる人間になると誓いを立てている
・壊理ちゃんに引っ付いて垢離里(こりさと)乙女ヒーロー団の面々と行動することが多いが、本人は入団を否定している
・垢離里乙女ヒーロー団
声形万凛、輝宙光、時止小声の三人が結成した団。後に編入した壊理ちゃんも加わっている。
全員将来プロヒーローを目指しているため、原作緑谷みたいにヒーローやヴィランの情報を集めて研究している。声形万凛がリーダー格。
・角の女たちについて
知的生命体の根絶を目指す神々のリーダーである創世神クレアモクがが創造した天使たちの生き残り。
結城界離の抹殺と、創世神クレアモクの復活のためオール・フォー・ワン、異能解放軍、公安委員会、死穢八斎會を巻き込み暗躍する。
ルシフィナ
天使たちのリーダー格の女。冷徹な仮面の奥には結城界離への復讐心を煮えたぎらせている。
レヴィ
ルシフィナを慕う天使。苦しむ相手の姿を嬉々として記録する根っからのサディストである。
サータン
創世神クレアモクの創造した天使たちの中で最も好戦的であり、最も粗暴な天使。
自身の右目と心臓を潰した戦士たちの生まれ変わりである結城界離の抹殺を誰よりも望んでいる。
ヘルロス
創世神クレアモク率いる知的生命体根絶派の神の一柱。
ラルクネキの妹分であるロランの最期にも関わっている。
事態は非常に切迫しており、神野事件での結城界離の行動次第では我々の介入をさらに深める必要があることをここに報告する
今話で貞操逆転世界のヒロアカー序ーは一旦完結となります。
続きとなる貞操逆転世界のヒロアカー破ーまで少しお待ちください