あらすじ:クリスは同級生のロジャーに合コンに出てくれ、と頼まれる。

過去作「友達からの…」の番外編です。本編の第九話と最終話の間の時間軸の話で、過去作を読んでいた方がわかりやすいですが、読んでいなくても大丈夫です(一応、未読の方のために前書きに簡単な設定・説明を載せました)。楽しんでもらえたら嬉しいです!

注:ロジャーの扱いが酷いです。作中の女性キャラは皆モブです。FEシリーズに同名のキャラがいたとしても、その人ではありません。

※pixivとAO3にも投稿済み

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設定

ミシェイル:社会人。アカネイア有数の大企業マケドニア・ホールディングスのCEOであるオズモンドの息子で財閥の御曹司。
クリス:アンリ大学の三年生。孤児だったが武闘家マクリルの養子として育つ。


本編「友達からの…」のあらすじ

マケドニア財閥が寄付していた教会のボランティアで知り合い、様々なことを経てミシェイル22歳、クリス17歳のときに二人は友達から恋人同士になる。もともと本社で働いていたミシェイルはクリスの大学進学を機にアンリ市の支店に転勤、二人で同棲生活を始める。本作はそれから二年が経った頃のお話。


ハイスぺ男子と女子の誤算

 

 

「えーと、あと鶏肉とキャベツ、トマトに……」

クリスがメモを見ながら、ほぼ満杯になったカートを押す。

「牛乳に卵も買わねば。」

と隣でスペースにやや余裕のあるカートを押すミシェイルが付け足した。

週末。クリスとミシェイルは毎週の恒例である、一週間分の食材をまとめ買いするために、郊外の大きなスーパーマーケットに来ていた。同棲するときの取り決めでミシェイルが食費を出すことになっていたのだが(その見返りに基本クリスが食事を作っている)、一人でも買い物ができるようにと彼名義のクレカを一枚預かっていたものの、やはり支払う本人と買い物に来た方がいいとクリスが判断してのことだった。それに加えてクリスは車がないため、車を持っているミシェイルと来るのは合理的である。

二人がスーパーの中を行ったり来たりしながら必要な食材を着々とカートに放り込んでいた、その時。

「クリス!」

突如名前を呼ばれてクリスは声のした方を見た。

「ロジャー…」

大柄な身体を揺らしながら、同じアンリ大学の同級生・ロジャーが小走りでやってきた。もっとも同級生とは言え彼は一年浪人して且つ一年留年しているからクリスより二つ年上だった。

「ここで会うなんて奇遇だね。今ちょっと話せるかな?」

訊かれてクリスはミシェイルをちら、と見上げたが彼が小さく頷いたので、

「ああ。」

と答えた。

「あ。僕、ロジャーっていいます。えーと…?」

ロジャーがミシェイルの存在に気付き、自己紹介をする。

「ミカリスだ。」

ミシェイルは念のため外ではミカリスという偽名を使っていた。

「ミカリス、さん。よろしく。…それでクリス。今夜、何か予定あるかい?」

「予定、は特にないけど…」

それを聞いた瞬間ロジャーの顔がパアッと輝く。

「ホント!?それなら今夜、一緒に合コンに参加してくれない?友達がドタキャンしちゃってさぁ~」

「え…合コン?」

クリスは当惑して訊き返した。恋人がいることは周囲に話していて、ロジャーも知っているはずだった。

「ああ、うん。恋人がいるのはわかってるけど…今日だけ頼めない?女の子は三人来るのに男が俺一人だったらみんな怒って最悪、帰っちゃうかも…」

厳つい顔に情けない表情を浮かべてロジャーが肩を落とす。

「滅多にない出会いのチャンスなのに…」

「…うーん、参加してあげたいけど…」

大男がトホホと打ちひしがれる姿は思いの外、憐憫を誘う。クリスが弱ったような顔でミシェイルを見たので、彼が無言で可否を問いかけているのだとわかった。

――今夜はクリスとゆっくり過ごせると思ったのに…

ミシェイルは彼の手料理や彼と一緒に観るつもりだった映画を思い浮かべたが、彼が困っている友達を放っておけない性格であることはわかっていた。ミシェイルが小さく溜息を吐く。

「…クリスの恋人は俺も知り合いなんだ。彼が合コンに参加したことが恋人にバレても、何もなかったことを証明できるように俺も参加する。それでいいか?」

「え!?」

ロジャーがガバ、と顔を上げる。

「それは願ってもないことです。ぜ、ぜひ、よろしくお願いします。」

大男はペコリ、と頭を下げ、再び顔を上げるとクリスに向き直った。

「ところでクリス。ミカリスさんとはどういう知り合いなの?」

クリスはもちろんミシェイルのことは誰にも話してはいない。だが今、一緒に食材を買いに来ていることを不自然に思われないように。

「ルームメイトだよ。」

と答えた。

「へぇ…ルームメイト。ちなみにミカリスさん恋人は…?」

「いる。」

「デスヨネー。けど合コンの間だけフリー、ってことにしてもらえませんか?カノジョいる人を合コンに呼ぶのはルール違反なんで…クリスも。」

「わかった。」

「ああ。」

「よかった。じゃーねクリス。後で時間と店、ラインするから。ミカリスさんも、よろしく!」

ロジャーはほっとした様子で顔をくしゃっ、とさせて笑うと行ってしまった。

 

 

指定された店はメイン通りの外れにあるおしゃれでカジュアルな雰囲気のピザ&パスタのレストランだった。

「“ワーレン”……この店、雑誌に載っていたかも……」

クリスが呟き、ミシェイルと共に店内へと入ると20代と思われる金髪でセンター分けの若者と彼より年下と思われる癖のある赤毛の青年が出迎えた。

「ロジャーの連れなんだけど…」

「ご予約のお客様ですね。こちらへ。」

クリスが告げると金髪の店員が答え、赤毛の店員が奥の方の席へと二人を案内する。

「クリス!ミカリスさん!」

既に円テーブルの席の一つに着いていたロジャーが二人を見とめて笑顔で手を振ったので、クリスも軽く手を振り返してロジャーの隣に、ミシェイルはクリスの隣に座った。

「あ、えーっと。今回、合コンに来るのはどんな女の子たちなの?」

クリスは座ると早速、話題を振った。ロジャーは同級生だが特に親しいわけではなく、ミシェイルに至っては彼と今日知り合ったばかりで、更にこれから知らない女性三人と会うことになるため、多少なりとも話しておいた方がいいと思ってのことだった。約束の時間より早めに来たのもそのためだ。

「うーんとね。みんなアドリア大学の三年生で僕も面識があるのは一人だけなんだ。バイトで知り合ったんだけどケイト、っていうコでさ。けっこう可愛いよ。僕は彼女と付き合えたらな、って思っていたんだけど、突然『合コンするから友達を二人連れて来て』って言われて…。まあ、女の子と知り合うことができるのは嬉しいけれど…君も知っての通り友達にドタキャンされて…二人が参加してくれることになってホント、助かったよ。」

ロジャーが『ぅへへ』と奇妙な笑い声をあげる。

「ふ…ふーん?何かその…個性的、なコだね。その、ケイト、って子…」

――その子、ロジャーのことを何とも思ってないのかな?彼の意思を確認せずに合コンを企画するとか…彼をツテにしたかっただけ…?

クリスが訝しく思っていると、ロジャーが両手で頭をわしゃわしゃと掻き回した。

「あ~~!!それにしても、クリスはともかくミカリスさんがいたら…!!きっと俺、全然モテないだろうなぁ…」

「そ、そんなこともないと思うけど。人の好みは千差万別だし。」

「別に。誰がいようがお前だけを見てくれる女性でなければ付き合う意味などないだろうが。」

――クリスだけだったらコイツは自分がモテると思っているのか?

ミシェイルは心の中で一人、ツッコんだ。

「う~~ん…そうだけどさぁ…」

クリスとミシェイルに正論を述べられて、ロジャーはまだ何か言いたそうだったが渋々納得したようだった。

「ところで…」

とロジャーがミシェイルを見て。

「ミカリスさん、学生じゃ、ないよね…?社会人…?」

「ああ。」

「何か…スパダリ感、パないけど、いいトコに勤めているエリートとか…?」

「エリートかどうかは知らんが…恐らく大きい方に分類される会社に勤めているな。」

「へ、へぇー…」

ロジャーが目をパチクリさせて。

「学生のクリスと、どうしてルームシェアすることになったんですか?」

素朴な疑問を口にした。

「友達だから?としか説明しようがない。」

「友達…」

「俺とクリスが友達なのがそんなに変か?」

ミシェイルが腑に落ちない様子のロジャーに問い返すと。

「い、いえ…。ただ、どこで知り合ったんだろう、って思って…」

「ボランティアだよ。」

ごにょごにょ言うロジャーにクリスが答えた、その時。

「「「きゃーーっ♡」」」

突然黄色い悲鳴が上がり、ブロンドのポニーテール、セミロングのアースブラウン、癖っ毛の黒髪の三人の女の子がロジャーたちの座るテーブルへとやって来た。三人ともそこそこ可愛い。

「(何に『きゃーーっ♡』なんだろ?)あ…ケイト。こんばんは。僕はケイトの友達のロジャーです。こちらはクリスとミカリスさん。今日はよろしくお願いします。」

女性たちの反応に戸惑いながらも立ってロジャーが自己紹介をし、クリスとミシェイルは彼に紹介されるとやはり立ち上がって無言で会釈した。

「ケイトです。今日はよろしく。」

「メアリーです。」

「アンです。」

とそれぞれ金髪・茶髪・黒髪の女の子三人が元気に自己紹介をした後、着席した。ケイトは肩まであるウェーブがかった髪に大きな瞳が印象的な、少し気の強そうな顔立ち、メアリーはボリュームのある癖毛を後頭部の高い位置で纏めたパイナップルのような髪型のサバサバした感じの女性、アンはワンレングスのちょっと大人びた感じの女性だった。彼女たちをテーブルまで案内してきた赤毛の店員は飲み物のオーダーを取ると去り、女性陣は興味津々といった様子でミシェイルに目を向けた。

「ミカリスさん、って何歳なんですか?」

早速ケイトが訊く。

「25だ。」

「ああ、じゃあ私たちの5歳上なんですね。」

「大人な感じが素敵♡」

「あ、僕、一年浪人して一年留年しているから22だよ?」

アンの言葉にロジャーが口を挟んだが、女性三人は彼に寒い視線を向けただけだった。

「ロジャーとはどういうお知り合いなんですか?」

ロジャーをスルーして今度はメアリーがミシェイルに訊く。

「彼とは今日が初対面で、クリスと彼は同級生だ。」

「ふーん…なら、クリスさんとはどういうお知り合いなんですか?」

アンが興味を引かれて尋ねる。

「5年前、教会のボランティアで知り合ったのが最初で、3年前からずっと友達だ。」

「ボランティアで…。」

「ちなみにミカリスさんって、どういうお仕事してるんですか?」

再びケイトが質問する。

「会社員だ」

「へぇー、会社員なんですね!私も将来は会社員になりたいなあって思ってるんですけど、やっぱり大変ですか?」

「それなりにな。」

「ですよねー。でも、ミカリスさんって、すごく仕事ができそうな雰囲気ですよね。」

「……別に。仕事の良し悪しは上のものや後進が評価するものだろう?」

ミシェイルが淡々と答えると。

「あはっ…。見かけに依らず謙虚なところがイイですね。……ところで。どこにお勤めなんですか?」

さり気なく最も訊きたかったことを訊く。が。

「……初対面なのに勤務先を言いたくない。それに俺ばかりでなくロジャーやクリスとも話したらどうだ?」

きっぱりと言われてケイト始め他の女性二人も一瞬、動揺し沈黙するがその時、タイミングよくファーストドリンクが運ばれて来て女性陣が歓声を上げた。皆がドリンクを手にしたのを確認してから、

「かんぱーい!」

とロジャーが乾杯の音頭をとる。ノリでカチン、とジョッキやグラスを軽くぶつけた後、皆がアルコールを口に運ぶとすぐにサラダの大皿も運ばれてきて(レディファーストで女性から)各々の小皿へ取り分けた。瑞々しく美味しいサラダとお酒のおかげで徐々に場の雰囲気も打ち解けていった。

そんな中で。ケイトは今度はクリスに狙いを定めた。彼女はミカリスが滅多に知り合うことのできないハイスぺだと確信しており、クリスと親しくなればその場限りで終わらせることなく、また彼と会える可能性があると思ったからだ。

「クリスはアンリ市出身なの?」

自然に、にこやかに話し掛ける。

「いえ、アリティア市です。」

「じゃあ大学進学のためにアンリ市に来たの?」

「そうです。」

「それならミカリスさんと5年前に知り合った、ってのはアリティア市で?」

「ええ。」

「あれ?それなら何でミカリスさんはアンリ市に来たの?」

「転勤だ。」

メアリーが口を挟むとミシェイルが答え、

「へぇー。ちょうど在学中に友達が近くに転勤になってよかったわね!」

とメアリーがクリスににっこりと笑った。

「皆はアンリ市出身なの?」

ちっとも話しかけてもらえないロジャーがやっと話に加わる。

「私はレフカンディ市よ。」

「私はメニディ市。」

「私はグラ州。」

ケイト、メアリー、アンがそれぞれ答えた。

「へぇー…色んな処から来ているんだね。僕はここ、アンリ市出身だよ。」

ロジャーが地元民であることをアピールする。異郷出身者の中で地元民が一人しかいなければ『今度、地元民オススメの隠れた名所を案内して!』という話しの流れになることを心の中で期待したが。

「ふーん。そっか。」

というケイトの短い反応だけだった。その時ピザが運ばれてきて、再びテーブルは色めき立った。

「クリスは学生寮に入っているの?」

皆でピザを食べる中、ケイトがクリスへの質問を再開する。アンリ大学には幾つかの学生寮があり、ほとんどの市外出身者は寮に入っているのを知っていた。だが予想に反して。

「ア…アパート、です。」

とクリスが控えめに答える。実際はマンションだったが、学生の身としては分不相応に思われると思い、クリスはそう答えた。それでも、ケイトは意外な顔をした。

「へぇー…アンリ市ってけっこう家賃高いけど、クリスの家、お金持ちなの?」

「え?いえ……けどバイトもしている、し…?」

クリスがケイトにツッコまれて言葉を濁したとき。

「ああ!クリスとミカリスさんはルームシェアしているんだよね?」

ロジャーが声を上げたので皆が思わず彼の方を見た。ロジャーが笑顔で続ける。

「今日の昼間、二人が一緒にスーパーで買い物しているところに偶然会っちゃって!いや~~、やっぱ二人で生活費を折半できるって、いいよね!僕も”こどおじ”にならないうちに家を出たいなあ~~」

「「「……」」」

女性陣がシン…となる。このとき彼女たちの頭に、ミシェイルとクリスが(学生のバイト代で折半できるほど家賃の安い)古アパートで暮らす姿が浮かんだ。微妙な空気の中、アンが口を開く。

「へ、へぇ~~クリスとミカリスさん、ルームシェアしてるんだ?」

「けっこう節約になる?」

明らかに引き攣った笑顔でメアリーがクリスに訊くと、クリスは後ろ頭に手を遣った。

「そう…ですね。俺はとても助かっています。」

実際はミシェイルによる恩恵が大きい。家賃も水道光熱費も彼の会社持ち、クリスが料理する(これはクリスの方から申し出た)代わりに食費はミシェイルが出している。アメニティも彼が買い揃えたものをほとんど共用させてもらっていた。

「俺も(クリスが家事をしてくれるので)助かっている。」

とミシェイルが相槌を打ったことで、彼女たちの”ミカリスはハイスぺどころか低収入のリーマン”という思い込みは決定的になった。

それから……その会話を境に女性陣のテンションも下がり……当たり障りなく趣味や家族のことを話したりもしたが、弾まない時折の会話と乾いた笑い声の中でメインの肉料理、デザートと、コースは終わりに近づいていき……デザートを皆が食べ終わる頃。

「ねぇねぇ、二次会どうする?」

ロジャーが彼女たちに切り出したものの。

「「「今回はパス。」」」

三人は口を揃えて言い、その日の合コンはお開きとなった。

 

「う~~ん、途中から全然盛り上がらなくなっちゃったけど、何が悪かったのかなぁ?」

店を出て女性たちと別れた後、三人で駅まで歩きながらロジャーが言うと。

「確か、ルームシェアの話題が出た辺りからだよね。女性はルームシェアに悪いイメージがあるのかな?」

クリスも首を傾げる。

「あーあ、二次会も行けなかったしメアリーとアンの連絡先も訊けなかったし……」

「別にあの女たちでなくともこれから幾らでも出会いがあるだろうが。」

ロジャーがぼやくが、ミシェイルがあっさりと言ってそれからは会話もなく歩いた。

そして最寄り駅でロジャーと別れ、マンションに帰った後。ミシェイルは待ち望んでいたクリスと二人の時間を過ごしたのだった。

 

 

数日が経ち、ミシェイルもクリスも合コンのことをすっかり忘れていた、ある日の夜。ミシェイルは会社借り上げのマンションのリビングでリクライニングハイバックソファに深く腰掛け、タブレットで経済ニュースをチェックしていた。隣ではクリスがローテーブルに置いたパソコンでレポートの最終チェックをしている。静かで落ち着いた、いつもの夜だった。

ルルルルル……

その静寂を破ったのは、ロジャーからの通話通知だった。

「ロジャーからだ。」

クリスは何だろう?と一瞬首を傾げたが、ミシェイルの邪魔にならないように廊下に出てから通話に出た。

「やあ、クリス!今、話せる?」

通話ボタンをタップした途端、ロジャーのやけに明るい声が、耳障りに響く。

「ロジャー、何か用?」

彼は普段頻繁に連絡を取り合うような親しい友達ではないので何か用があるのかと思ったのだが。

「実は、この前の合コンを企画したケイトって子が、ミカリスさんのことをもっと知りたい、って言っているんだよ!」

「へ?何で今になって?二次会に行くのを断ったのも向こうだし、連絡先だって訊いてこなかったじゃないか。」

「あ、いや、それはそうなんだけど。今朝ミカリスさんが高級マンションから出てきたのを見たんだって。彼女、彼のことを誤解してた、って言っていて…」

「……」

――何の誤解なんだろう?

クリスは思った。だがその追求よりも。

「彼には恋人がいる、って言っただろ?あの時は君が困っていたから成行きで俺と一緒に参加してくれたけど、もう合コンすることなんてないよ。」

「うーん、けどもう一度ミカリスさんとクリスとの合コンをセッティングしてくれって頼まれちゃったんだよなぁ……今週末、何とかならない?」

「ロジャ…あっ、」

「貸せ!」

いつの間にかクリスの傍に来ていたミシェイルがクリスのスマホを奪い電話に出た。

「ミカリスだ。断る。二度目はない。」

ミシェイルが冷たく言い放つ。

「そ、そんな…。お願いしますよミカリスさん!僕もケイトといい感じになりたいし…」

「いい加減にしろ、ロジャー。」

ミシェイルの声には、諭すような響きがあった。

「お前は、金に惹かれて擦り寄ってくる女と付き合いたいのか?」

「え、それは…」

「よく聞け、ロジャー。ケイトはお前を利用しているだけだ。」

「……」

ロジャーが黙り込む。

「そんな女と付き合えたところでお前に利用価値がなくなったら捨てられるだけだ。」

「…そんな、きついことを言わなくても…」

ミシェイルの言葉にロジャーは完全に打ちのめされたように、小さな声で呟いた。

「俺はお前のためを思って言っているんだ。現実を受け止めろ。……じゃあな。」

ミシェイルは通話を切った。

「もう二度と、あいつの誘いに乗る必要はない。」

ミシェイルはスマホを返してクリスの肩を抱き、彼の髪にキスをした。

「さあ、リビングに戻ろう。」

「ああ。」

クリスは擽ったそうに笑うと、ミシェイルに抱き着き返す。彼らの日常は、再び平穏な静寂を取り戻したのだった。

 

~終わり~

 

 




Geminiに感想や助言を訊きながら書きました。ネタは自分、文章も9割以上自分が書いたものなのでAI生成タグはつけていません。でも問題があるなら知らせていただけるとありがたいです。本作のような山場のない、平坦な短めの話を書くのもいいですね。
最後に、本作を読んでくれてありがとうございました。(_ _)

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