それと、このヘンダーランドの大冒険編はさくら達の出番は暫くお休みです。出番がないとは言わないけど、終盤辺りになるかな。
ヘンダーランドの出現
群馬県にオープンしたという大型レジャー施設、ヘンダーランド。CMソングも中毒性があり、訪れる人達の満足度もかなり高い。
そんなレジャー施設に、一人の女性がやって来た。
イレイナ「ここが………ヘンダーランド……いや、明らかにおかしいでしょう」
彼女の名はイレイナ。ヘンダーランドに来た理由は、群馬県に突如として出来たというレジャー施設を見るため、こうして赴いたのだ。
しかし、彼女はずっとその違和感を感じ取っていた。
イレイナ(魔力が強い………此処に居るのは、余程強力な魔法の使い手でしょうね)
そうでなければ、これだけ大きな建物をこんな短期間で用意出来るのも納得だ。
イレイナは遊園地内を歩き出す。
遊園地はそれなりに楽しめた。アトラクションも遊園地としては妥当であり、食べ物も美味しかった。
イレイナ「まっ、楽しむとしますか〜」
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イレイナ。本名をイレイナ・ロベッタ。彼女は偉大な魔女ヴィクトリカ・ロベッタの娘である。
父親は知らない。ヴィクトリカ曰く、イレイナは色んな国を旅する内に色々な男達と性行為を重ねる内に、何処かの誰かの子を妊娠したそうだ。5歳の頃に聞かされた時は、子供ながらに母の自由さには呆れていた。
それでもヴィクトリカは一人の娘として愛して、旅をしながら女手一つでイレイナを育ててくれた。
しかしイレイナが7歳になった頃、母と泊まっていた宿で事故が起きた。寄りかかった事によって倒れた棚の上にある花瓶が頭に落下し、イレイナは頭を打って意識を失った。
そして、この世界の事、自分がどんなキャラクターとなったのか、そして前世の記憶まで。
彼女は知る由もないが、この世界にもう一人、前世の記憶を思い出した転生者が居る。
目を覚ました時の母の泣いた姿は、今も覚えている。その姿を見て、母がイレイナにとって理想の女性像だった。イレイナが思い出した『魔女の旅々』のヴィクトリカとは大きく印象が違うが、それでも娘への愛を確かに感じ取っていた。
そんな彼女の母との日々は、終わりを迎える。15歳のある日、母は姿を消した。置き手紙を残し、娘一人を置いて何処かへ消えた。行方不明になったのだ。
手紙の内容には、こうあった。
『イレイナへ。
今日からあなたの人生は、あなただけのものです。私は私の『続き』を探しに行ってきます。どこかの空の下で、すれ違うことがあったら、その時は他人として素敵なティータイムを楽しみましょう。
追伸:日記帳は置いていきます。あなたの旅の物語で、続きを埋めてくださいね』
17歳を迎え、イレイナは改めて旅に出た。行方不明の母を探す為に。母の旅の痕跡を探る為に。その手には、母から受け継いだ日記帳を握り締めていた。
―――――――――――――――――――――――
ヘンダーランドの施設を一通り楽しんだイレイナ。すると、とあるテントの前で足を止めた。
イレイナ「おや?此処は………」
人形劇用のサーカステントの中から、魔力の痕跡を感じた。
イレイナは杖を取り出し、杖を振って物を探す為の呪文を唱えた。
イレイナ「『レベリオ』」
すると、テント中から3つの生命の痕跡を見つけた。例え体は無機物でも、魂さえ宿っていればすぐに探知出来る。
イレイナ「目くらましの術…」
イレイナは透明になる。余程注意して見られない限り、イレイナは見つけられることは無い。
物音を立てないよう忍び歩きを行い、テントの中に入る。
テントの中は多数の人形やサーカスの人形が置かれており、布を被っている様子からまだ使われてない未開発の場所だと推測出来る。
イレイナ(これは?)
反応が出ている場所に着くと、其処には黒く覆われた硝子のケースがある。それも人1人分の入れるスペースがある
イレイナは台のボタンを押す。すると、黒い靄のようなものが消えて、その中から綺麗なお姫様が姿を現した。そのお姫様は目から涙を流していた。不思議な事にお姫様は身動ぎもせず、まるで石像のように動かなかった。そして、時間経過で元に戻るのか、お姫様は再び暗闇に包まれて消えた。
イレイナ(これは?)
イレイナはお姫様の姿を目撃した後、後退りしようとした。
???「おや、可愛らしいお嬢さんじゃないですか」
イレイナは背後を振り返る。其処にはシルクハットを被った小太りの男性が立っていた。しかもイレイナを見ている。それも正確に、イレイナの居場所が分かるようだ。目くらましの術は完璧に透明になれる訳では無いが、それでもイレイナは気配を消しているつもりだった。
イレイナ「どうして私が見えるんですか?一応姿は消してる筈ですが?」
???「おや………もしや手品がお得意で?」
イレイナ「はい。種も仕掛けもございません」
イレイナは手を叩き、姿を現した。こんな事しなくても目くらまし術は解除出来るが、敢えて手を叩いた。
???「おおっ!素晴らしい!是非我々の元で働いてみませんか!?」
イレイナ「お断りさせて頂きます」
イレイナは身構える。彼はどうも怪しい気配がしたからだ。
彼の実力がどれ程か、確かめようではないか。
私は目の前の男に杖を向ける。魔力は僅かながら放っているから、余程の実力が無いと私の魔力は見抜けない筈だ。
???「っ!お前、もしや魔法使いか!」
イレイナ「魔法使いと見抜いたのですか。なら、話は早いです。このヘンダーランド、やはり魔法使いの居城でしたか。わざわざ遊園地にしたのは、カモフラージュが目的で?」
目の前の男が魔力を放出する。この男も魔法を使うようだ。
???「まさか、メモリ・ミモリ姫の事も気付いたのか!?」
イレイナ「メモリ・ミモリ姫?もしかして、この中に居た綺麗なお姫様ですか?その反応とレベリオの反応で確信しました。このお姫様は生きていて、更にこのテントの何処かに居る何かと繋がっている」
イレイナはボタンを押して、メモリ・ミモリ姫の姿を出現させた。
???「ッ!?そうかぁ!!そこまで知られた以上、生かして帰す訳には行かなくなったぞぉ!!」
すると、男の体が変化していく。全身に青い毛が生えていき、軈て狼のような頭と胴体に変化していった。
マッド「貴様は後悔する事になるぞ!このクレイ・G・マッドを怒らせた事を!」
クレイ・G・マッドと名乗った男は、私に向かって走って来た。
マッドは拳を握り締めてイレイナに振りかざす。イレイナは前転して攻撃を避けた後、杖の先端から魔法を唱える。
イレイナ「『メラ』!」
杖の先端から火の玉を放ち、マッドに当てる。マッドの体に当たった火の玉が爆発し、マッドは後方へ後退りした後に怯む。
「ごアァッ!?嘗めるなよぉ!!」
マッドは肩に引火した炎を気にしないまま、イレイナに向かって走って来た。両腕を開き、口を大きく開いた。イレイナを捕まえて食べようとしている。
イレイナ「人肉なんて食べても美味しくありませんよっと!」
イレイナはプロテゴを唱え、全身を魔力の壁で包みこんで攻撃を防ぐ。マッドは魔力の壁に弾き飛ばされて、後ろへ仰け反る。
イレイナ「『ステューピファイ』!」
イレイナはマッドに気絶魔法を放つ。マッドは飛んできた魔法を避けて、私に向かって走って来た。イレイナは光弾を連射するが、マッドは光弾を避けてイレイナに殴り掛かる。
イレイナ「『プロテゴ』!」
マッドの拳が弾かれる。イレイナは魔法を撃とうとしたが、マッドは体勢を立て直してイレイナの腕を掴む。
マッド「ぬぅおおおおおっ!!」
マッドに投げ飛ばされ、イレイナは人形や木材に体を打ちながら、遠くへ投げ飛ばされた。床を転がってその場で悶える。
イレイナ「がっ………痛い……!」
痛みによって涙も出てきた。肩を上げたら痛みが走る。腕も痺れてきた。『此れで杖を手放さないのは流石私』と考えるイレイナ。
痛いがこのまま黙っている訳にはいかない。
あの男、思っていたより強い。いくら魔法を使えても、避けられたら意味が無い。そう考えていた時だった。
イレイナ「体勢を……ん?」
イレイナは起き上がると、目の前に何かがあるのに気が付いた。
イレイナ「此れは……人形?」
それは、頬の星型メイクと深緑カラーの道化師風の衣装が特徴的な人形だった。胸にはボタンがある。逆V字のような髪型をしてる。
そして、近くにはゼンマイが置かれている。
痛む体に鞭を打って、人形の側に近寄る。すると、人形の仙骨部に穴があった。もしかして、ゼンマイで動くのだろうか。そう考えたイレイナだが、念の為にレベリオを唱える。
イレイナ「『レベリオ』」
イレイナは呪文を唱えた。すると、人形から生命反応があった。しかも、さっきのメモリ・ミモリ姫から伸びていた糸がこの人形と繋がっている。
マッド「匂いを辿れば………其処に居るなァ!?」
あの男の声がした。
イレイナ「ッ!!この人形、まさか!?」
私はゼンマイを手にすると、人形を抱きかかえた。人形の仙骨部にある穴に差し込んでゼンマイを回した。ゼンマイを回す音が響くが、私はゼンマイを回し続ける。
暫く回した後、人形が動き出した。
???「ッハァ!!もしかして、貴女がゼンマイを?」
イレイナ「ええっ。確信はしてましたので」
???「貴女から魔力を感じる………貴女、魔女ね!?」
イレイナ「ええっ、まあ。さっき狼男に投げ飛ばされましたけど」
???「狼男?もしかして、クレイ・G・マッド!?戦ったの!?」
人形の少女は仙骨部のゼンマイを外すと、頭部に設置した。まるでリボンみたいだ。
可愛い。まあ美しいのは私です。そう思ったイレイナであった。
イレイナ「戦いましたよ。彼、中々強いですね」
???「当然よ!奴はオカマ魔女の手下よ!」
すると、沢山の物を吹き飛ばしてマッドが現れた。
マッド「ガアアアッー!余計な事をしやがってぇ!!だが、自惚れるんじゃあねぇぞぉ!!それでわしに勝てると思ってんのかよぉ!!」
イレイナ「これなら効きますね?『スイーツ』」
イレイナは杖をマッドに向ける。すると、マッドが突然動きを止めてその場で頭を抱え始める。
マッド「ぐっ!ちょ、チョコレートが食べたい………チョコレートが食べたい!」
???「えっ?よ、よく分からないけどチャンスね!」
少女は胸のボタンからトランプの入った箱を取り出すと、手慣れた手つきで蓋を開き、トランプを一枚摘んでその場を離れようとするマッドに翳した。
???「『スゲーナスゴイデス』!」
その時だった。少女が『スゲーナスゴイデス』と唱えた瞬間、イレイナはトランプから魔力が解き放たれたのを感じた。
その時、逃げようとしたマッドの全身の動きが止まり、全身が石になった。
イレイナ「今のは……貴女の魔法ですか?」
???「ええっ。スゲーナスゴイデスのトランプよ。残念だけど、人形の私じゃ倒すには至らないわ。このトランプは、ハートのある人間じゃないと本来の力を発揮出来ないの」
少女は胸のボタンにトランプを仕舞いながら言った。
イレイナ「成る程。兎に角、此処を離れましょう。この遊園地に居るのは愚策かもしれません」
???「そうね」
イレイナ「あっ、申し遅れました。私はイレイナです」
トッペマ「自己紹介ありがとう。私はトッペマ・マペット。トッペマで良いわ」
イレイナ「ではトッペマさん。私に掴まってください」
トッペマ「ええっ」
イレイナ「『ルーラ』!」
その瞬間、イレイナ達はその場から真上に飛ぶように消えた。天井をすり抜けるように貫通し、遥か上空へ一瞬で消えた。
これこそ、イレイナの魔法の一つ、『ルーラ』だ。これにより、もしも危険な状況へ追い込まれた時、こうして危険から逃げ出す事が出来る。
イレイナの逃げる先は、県外の嘗て利用していた格安ビジネスホテルだ。東京都内に存在するそのホテルは、東京へ来た時によく利用していたホテルであり、よく東京観光の拠点にしている。
イレイナは取り敢えず、群馬から離れられて安心した。しかし、敵の襲来はまだ終わらなかった。
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夜のヘンダーランド。客も居なくなり、静寂が支配している。
そして、ヘンダー城の中で二人の男女が跪いていた。一人は先程石化したクレイ・G・マッドであり、今は人間の姿に戻っており、シルクハットにタキシードを身に着けている。
二人目は白髪褐色肌のセクシーな美女だ。チョキの髪飾りを頭につけ、水着並に露出の多い黄色いレオタードのような格好をした豊満な魔女である。
彼女はチョキリーヌ・ベスタ。クレイ・G・マッドと同じくオカマ魔女の手下であり、幹部でもある。
二人が跪く先には暗闇が広がっている。しかし、闇の中から二人の男達が姿を現した。スポットライトが二人を照らし、その全容が明らかとなる。
マカオ「トッペマの奴が、スゲーナスゴイデスのトランプを隠し持ってた訳ね」
ジョマ「しかもあたし達と同じく魔法を使える女が、この世界に居たそうじゃない」
マカオ「アベンジャーズの警戒を避ける為に、ヘンダーランドを遊園地に改良して開業したのに………」
ジョマ「早くも見抜かれるなんて思わなかったわ」
彼等は、マカオとジョマ。このヘンダーランドの実の支配人であり、異世界からこの世界へやって来たオカマ魔女だ。
金髪で薄めの頭の方がマカオ、黒髪で団子頭に結っている方がジョマ。二人はバレエの舞台衣装をモチーフとした服装であり、マカオの方は胸と背中にダイヤの装飾が入った全身タイツにスリングショットを身に着け、ジョマの方はレオタード・チュチュ・トゥシューズという女性用の衣装を身に着けており、胸元と股間にハートマークがあしらわれている。
マッド「マカオ様、ジョマ様!私は彼女の顔を目撃しております!必ずや――」
マカオとジョマ「「お黙り!!」」
マッド「ひっ!?」
マッドが目をつむる。恐怖のあまり目を閉じたのだ。
マカオ「油断して石にされた癖に!」
ジョマ「アタシ達が元に戻して上げなければ、この世の終わりまで石だったのよ、アンタは」
マカオとジョマが畳み掛ける。話す間に二人は、バレエを彷彿とさせるポーズを取っている。因みにマカオが先にマカオが先に話し、ジョマが後に話している。
マカオ「それにアンタは顔が知られてる」
ジョマ「今送っても返り討ちに遭うだけ。それにスゲーナスゴイデスのトランプの魔力は半端じゃない」
マカオ「トッペマが使っても大した効果は無いけど、それでもクレイ・G・マッドが動けなくなる位よ」
ジョマ「オマケに魔法を使える魔女も居るなら、尚更油断は出来ないわ」
マカオ「良かったわ。ジョーカーだけ取っておいて」
ジョマ「ええっ、良かったわ」
すると、チョキリーヌが声を上げた。
チョキリーヌ「マカオ様、ジョマ様。私にお任せください。必ずスゲーナスゴイデスのトランプを回収し、裏切り者のトッペマも、この世界の魔女も、全員始末してみせます」
マカオ「待ちなさいチョキリーヌ・ベスタ」
ジョマ「アンタだけでは対抗出来ないわ」
マカオとジョマがそう言って、動こうとしたチョキリーヌ・ベスタを引き止めた。
マカオ「アンタ達の仲間の新幹部よ」
ジョマ「仲良くしてあげて」
マカオ「チョキリーヌと一緒にスゲーナスゴイデスのトランプを回収しに行くわ」
ジョマ「ついでにイレギュラーのお客も、トッペマも始末してもらうわよ」
マカオとジョマ「「ス・ノーマン・パー!」」
オカマ魔女がそう叫んだ後、その場に雪だるまが出現した。
ス・ノーマン・パー「だーもう、ヤダねヤダね! 他人のおドジのせいでこの俺が?このス・ノーマン・パー様が、直々に逃げ出した裏切り者やイレギュラーの魔女の相手をしなくちゃいけないとはねぇ~」
手袋のような手で頭を掻くス・ノーマン。
マカオ「あら言うじゃない」
ジョマ「素敵ね。ウフフ」
こうして、イレイナとトッペマを追跡する手筈が整った。敵幹部が二人も襲撃を仕掛ける。
二人の危機は、着実に迫って来ていた。
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ビジネスホテルにやって来たイレイナとトッペマ。
ホテルに戻ってきたイレイナは、トッペマを部屋に招待して、これからの事について話し合った。ホテルは本来一人部屋なのだが、トッペマは人形として荷物の中に紛れ込む事で侵入を可能にしている。
イレイナ「さて、改めて聞かせていただけますか?貴女は何者です?」
トッペマ「ええっ。改めて、私はトッペマ・マペット。異世界から来たオカマ魔女達によって造られた人形よ」
トッペマはイレイナに紙芝居形式で説明していく。トッペマは自らの名前を叫んだ途端、紙芝居が出現した。物を出現させる魔法を使える時点で、かなり上積みの実力だと分かるイレイナ。
トッペマ「オカマ魔女というのは、あのヘンダーランドの今の支配者で、手下はクレイ・G・マッドと、チョキリーヌ・ベスタ。この4人はとっても悪い奴等で、
イレイナはトッペマの説明と紙芝居に注目し、彼女の話の中にあるある言葉を聞き逃さなかった。
イレイナ「オカマ魔女達に造られたんですよね?」
トッペマ「えっ?ええっ」
イレイナ「私の住んでいた世界とは?まるで最初から住んでいたように言ってましたが、あのお姫様と何か関係が?誤魔化しても貴女とあのお姫様には魔力の繋がりがありましたよ」
トッペマ「それは………いえ、言うわ。私の中には、あのお姫様……メモリ・ミモリ姫の心が入ってるの。記憶も引き継いでいるから、奴等を倒す為に行動してるのよ」
トッペマは一瞬言い淀むが、イレイナに下手な誤魔化しや後回しも通じないと見て、全てを話した。
イレイナ「そうですか。でも、私にそれを手伝ってほしいと?」
トッペマ「そうよ。それに、私は奴等を倒せる切り札もちゃんと作ってあるわ」
トッペマは胸のボタンから、トランプの束を取り出した。
トッペマ「これは、スゲーナスゴイデスのトランプよ。このトランプカードは、『スゲーナスゴイデス』と唱える事で強い魔力を発揮して願いを叶えてくれるのよ」
イレイナ「じゃあ貴女がやればいいでしょう?」
トッペマ「それは無理よ」
トッペマは次の紙芝居で、オカマ魔女達や手下達にボコボコに殴られる絵を用意した。
トッペマ「魔法は本来人間の為にある力。人形の私じゃ、雑魚はともかくあの4人には歯が立たないわ」
イレイナ「そうですか……それを何故私に?」
トッペマ「何故って、貴女はあのクレイ・G・マッドと互角に戦い、勝利してみせたじゃない」
イレイナ「石にしただけですけどね。でもまあ、手伝ったら私に何か与えてくれますか?」
トッペマ「何かって?」
イレイナ「例えば………そのトランプですよ。それを私にくれませんか?」
イレイナはスゲーナスゴイデスのトランプを指差す。
トッペマ「バカな事を言わないで!このトランプは貴重な物よ!それに、トランプの残りは51枚しかないし、正義の為に使わないと効果はすぐに消えるのよ!」
イレイナ「残念。せっかく大金持ちになれると思ったのに。でも、お宝として集めるには充分ではないですか?報酬てしてください。じゃないと助けませんよ?」
トッペマ「ちょっと!?人の話を聞いてた!?このトランプは本来私達の世界の宝物なのよ!」
イレイナ「じゃあ、他に何を与えてくれます?」
トッペマ「ああっ、もう!分かった!分かったわよ!でも悪用しないと約束して!それに、これは奴等みたいな連中に渡されるより、貴女が持ってた方が良さそうだもの!」
トッペマは渋々、イレイナとの交渉に応じた。
イレイナ「ありがとうございます。ふふっ、これは前金として貰いますね」
すごい力を持つトランプを手に入れたイレイナ。イレイナはトッペマからスゲーナスゴイデスのトランプを受け取ると、そのまま懐に仕舞い込む。
イレイナ「明日、改めてヘンダーランドに向かいましょうか。幸いにも、切り札を握ってるのは此方ですし」
トッペマ「ええっ。結構欲深い奴だけど、話が分かる人で良かったわ」
イレイナ「褒めないでくださいな。さて、夕食にしましょうか。トッペマさんは?何か食べます?」
トッペマ「いや、私は人形だから飲み食いとかは無理よ」
イレイナ「だから、これを1枚使わせてください。トッペマさんが食べる事が出来るようにします」
トッペマ「えっ?良いの?」
イレイナ「良いんです。私はこれまで一人で旅して、作ったり食べたりしましたけど、やはり隣に誰かが居てほしかったんです」
旅をすると、一人で色々とやる事は結構あるのだ。旅先で食材を買って宿泊先で料理したりするし、その土地の店で食べる事もある。個人で楽しんできたイレイナでも、長く一人で居るのはやはり寂しさがある。
母が行方をくらました時、恥ずかしながらも泣いた。沢山泣いた後、一人で生きると決めたイレイナであったが、21歳を迎えた今年、やはり寂しさを感じる。
そんな時に、トッペマと出会った。彼女が物を食べられないなら、やりようはいくらでもある。
イレイナ「では遠慮なく。『スゲーナスゴイデス』」
イレイナはトランプを1枚手に取り、呪文を唱える。
すると、トッペマの体が一瞬だけ光る。光ったかと思えば、すぐに消えた。
トッペマ「……あれ?舌の感覚があるわ!」
トッペマはメモリ・ミモリ姫だった頃の生き物としての感覚を取り戻し、舌の感覚も蘇って涎の感触も感じた。
イレイナ「これなら飲食が可能になる筈です。さて、改めて行きましょうか」
トッペマ「………欲深い奴だけど、根は良い人みたいね」
イレイナ「勿論です。それが私です」
トッペマ「余計な一言さえ無ければなぁ」
イレイナとトッペマは食事の為に近くのレストランに向かい、夕食を済ませた。
因みにイレイナがトッペマが食べやすいようお子様ランチを頼もうとしたが、赤面したトッペマに却下された。
時系列的には、温泉シャークの騒ぎが起きている間位ですかね。
スゲーナスゴイデスのトランプ。枚数制限はあるけど、何気にクロウカードに並ぶチートアイテム過ぎる……。