多世界食事処もふキッチン   作:野神 汰月

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 はい、ということで今回はベニマルさんご来店です。

 彼は甘党なので大量に甘いもの喰わせて糖尿にしてやろうと思います()


 それでは本日ももふキッチン開店です☆


紅い鬼人がスライムに連れられてご来店しました。

 前回リムルが来店しアームスヴァルトニル湖時間で三年ほどたった頃、またしても彼はこの地にやってきた。しかも今度はお供を連れて…。

 

 

 「リムル様、なんなんですここは……」

 

 「なんかアームスヴァルトニル湖っていう異世界らしいぞ」

 

 

 急にベニマルを引っ張ってどこに行くのかと思ったら、以前等身大リムルクッション(スライム型)を作るのに必要なサラサを手に入れるために来たことのあるあの湖だった。

 

 その中央のサラサで出来た中央の島にいつの間にかぽつんと現れた扉…。そこを潜ると別の世界へ通じていたなどと、ベニマルは体験した後でも信じられなかった。

 

 

 「リムちゃん、今日はお友達連れてきたニャ?」

 

 「ういっすバステトさん。友達っていうか…部下?」

 

 

 今日の扉番は豊穣の猫女神バステトだったらしく下から聞こえてくる声にリムルは下を向いて話しかける。

 

 いつものように薄着というか隠すとこだけ隠してるちんまい褐色系の毛並みを纏う彼女はとても淫靡だった。

 

 

 「なんなんですこの獣人は…。というか本当にどうなってるんだ…」

 

 

 未だ混乱中のベニマルを差し置いて、リムルは「そんじゃもふキチさんとこ行くから」と言ってベニマルの手を引っ張ってもふキッチンへと急ぐのだ。

 

 今回ベニマルを連れてきたのには訳がある。最近ベニマルの妹シュナに「お兄様は甘いものを最近食べ過ぎなのでしばらくの間甘味は禁止です!!」と禁止命令を受けたのだ。

 

 それから毎日「甘いものが食いたい…」と煩いので連れてきたのだった。

 

 今は未だ西方教会とのいざこざが片付いてないのに、戦力の要である侍大将がこの様子では困るのだ。だから連れてきたのだ。

 

 

 「ほら着いたぞ、ここで思う存分甘いもの食ってけ」

 

 

 しばらく歩いたのちにたどり着いたのは普通の店だった。字はベニマルには読めない文字で【食事処もふキッチン】と書かれている。

 

 

 「料理屋ですか?ここで甘いものが食えると?」

 

 「ああ、そうだ。俺のお気に入りの店なんだ。本当は誰にも教える気はなかったんだがなぁ…」

 

 

 ベニマルの質問にリムルが応える。いつもリムルに無茶な注文されても「あるよ」と答える妙な獣人が経営している店だ。

 

 

 「いいか?絶対この世界で刀を抜くなよ?恐ろしい目に合うからな」

 

 「抜きませんよ…ただリムル様への言動ではわかりませんがね?」

 

 

 大丈夫かな?と思いながらもリムルは店の引き戸を開けるのだった。

 

 

 ※※※

 

 

 またやってきたリムルに儂はまた無理難題かと思いつつ店に迎えた。じゃが今回はベニマルを連れてきておる。

 

 こやつ確か甘党だったはず……。ということは今回は甘味か?

 

 

 「いらっしゃいリムル…とベニマル」

 

 「な…っ!?」

 

 

 初顔合わせだというのに名前を言った儂にベニマルが驚き佩いていた刀の柄に手が伸びる。無駄じゃよ、ここでは刀は抜けん。

 

 刀の鯉口を切ろうとしたんじゃろうが、それも無駄に終わる。そこで儂は「ここでは武器の類は一切使えんよ」と言ってやると、警戒しながらも手を柄から離す。

 

 

 「で、今日はなんじゃ?甘味か?」

 

 「お、よく分かったな?まあ、ベニマルの事知ってるみたいだからそこからか?」

 

 「そんなもんじゃよ。で、どんなのがいい?」

 

 

 儂はそう言ってベニマルに尋ねる。

 

 じゃが奴は未だ警戒しているので儂に問いかけてくる。

 

 

 「ここは一体なんだ…それとアンタは何だ?リムル様の知り合いということは分かるが何故俺の名を知っていて、何故すぐに甘味が目的だと解る?」

 

 

 その問いかけに儂はいつものように答える。

 

 

 「儂はそこなスライムと同じで転生者じゃ。この世界、アームスヴァルトニル湖を管理しておる。あとは知っていることは知っているが知らないことは知らない…そういうことじゃよ」

 

 

 そう儂が説明するとある程度納得はしたのか、ピりついた空気をやわらげた。

 

 

 「それで、どんなのがいい?焼き菓子か?冷菓か?何でも言ってみ?」

 

 

 儂がもう一度何がいいか問いかけるとベニマルは悩み始めた。ふむ、そんなに悩むのならばアレを出してやろう。

 

 

 「そんなに悩む習わしがとっておきを出してやるわい」

 

 

 そういうと儂は準備に取り掛かるのだった。

 

 

 ※※※

 

 

 リムル様に連れてこられたここ、どうやら食事処もふキッチンというなの飲食店らしいのだがその店主があまりにもうさん臭かった。

 

 常に獣化状態の白い毛並み、リムル様に似ている青銀の長髪の狼系の獣人。リムル様からもここは異世界でもふキチという名のこの狼獣人が管理する世界だという。

 

 なんだそれは…神なのか?そう尋ねるとリムル様は「この世界に限ってはそれっぽいことを言ってた」と返答があった。

 

 

 「とっておきってなんでしょうね?俺は甘いものに関しては厳しいですよ?」

 

 

 と俺が嘯くとリムル様はからからと笑いながら「あの爺さんの作るものは何でも美味いから大丈夫だって!」とあの獣人を絶賛していた……爺さん?

 

 

 「あの獣人そんな爺さんと言われる年齢ではないはずですが…見た目も声も」

 

 「あ~、俺も聞きかじった程度だから詳しくは知らないが、もう二〇〇は超えてるらしいぞ。あの見た目と声で」

 

 

 そんなバカなと思った。いくら獣人と言えど魔王と呼ばれる程のものならともかく二〇〇も生きてたら相当に老けてるはずだろ?

 

 

 「半精神体、もしくはミリムさまや悪魔どもと同じで受肉した精神体だったりするんですかね?」

 

 「解んないんだよなぁ…これが全く。この世界に来ると俺たちのスキルは生命維持なんかの重要なものだけで解析鑑定やら攻撃系のスキルは全く使えないないんだ」

 

 

 そう言われれば先ほどから少し体が重い気がする…。刀も鯉口が切れなかったところを鑑みるに本当に戦闘行為が禁止されているのだろう。

 

 思考加速もできないうえこれでは本当になすすべはなし…か。

 

 そうこうしてるうちに、先ほどの獣人……もふキチ殿が奥から何やらでかい器を持ってやってきた。

 

 

 ※※※

 

 

 甘いもの好きなら徹底的に甘いもので攻めてやろうと儂は巨大パフェを作っていた。

 

 重量にして五キログラム。昔若い頃に見た大食いチャレンジかというほどの重量じゃ。果物も大量に使い、アイスもソフトクリームとダブルで。焼き菓子もこれでもかと積んでやったわい。

 

 ま、残したらリムルが食うじゃろ。そう思って儂はそれをベニマルの出す。

 

 

 「もふキチスペシャルパフェじゃ。たんと食うがよい!」

 

 

 置くときにドスンと重量物がのっかる音と共にスプーンとフォークを添えて出してやる。

 

 ベニマルはそれを見て目がキラキラと光っておる。反対にリムルは胸の所をさすっておる…。見ただけで胃もたれしそうなレベルのパフェじゃからな。

 

 

 「リムルにはこれじゃ」

 

 

 そう言って儂は普通のサイズのプリン・ア・ラモードを出してやる。

 

 リムルは「いや俺今遠慮したい気分なんだが…」と言うので「お残しは許しまへんで!!」と古の食堂のおばちゃんのネタをかましてやった。

 

 甘いものだけじゃとあれだからコーヒーも付けてやったわい。これでちょうどいい塩梅になるじゃろ。そう思っていたんじゃが……。

 

 

 「もふキチさん、砂糖とミルクは?」

 

 

 とか聞いてきよったので甘いもの食うのに必要ないじゃろと返しておいた。

 

 そんなやり取りの合間にベニマルは「甘い…冷たい…美味い…」とぶつぶつ言いながらパフェをもう既に三分の一消費しておった。

 

 こやつ、多分甘いもの限定じゃが大食いチャレンジしたら成功するんじゃなかろか?そう思っている最中でも奴の手は止まることはなかった。

 

 

 「なんか胃もたれしてきて普通にブラックコーヒー飲めてるのにびっくりしたわ」

 

 「ブラックもいいもんじゃろ?いい豆使っておるからこれからブラックも飲めるようにせんとヒナタに笑われるぞ」

 

 「―――あんた本当に何でも知ってるのな?」

 

 

 リムルはそう言って自分もプリン・ア・ラモードに取り掛かって行った。

 

 

 ※※※

 

 

 しばらくして、ベニマルは五キロもあるジャンボパフェを完食し満足げな表情をしていた。こんなに食ったら太りそうだがベニマルだから大丈夫だろう。すぐにカロリー消費するだろうし。

 

 俺も出されたプリン・ア・ラモードを完食し、ブラックコーヒーも消費した。甘いものと一緒ならブラックも飲めることがわかって収穫はあった。

 

 

 「そんじゃお代なんだけど…いつも魔鋼塊じゃん?今日はちょっと珍しいもので払おうと思って」

 

 

 俺はそう言って胃袋からとっておきのオリハルコンを取り出した。最近できたばかりの新技術で作り上げたそれは煌々と輝きを放っていた。

 

 

 「お、オリハルコンじゃな。まあええじゃろ…少し貰いすぎなきもするでな、これもってけ」

 

 

 あまり驚かれなかったところを見るとこの爺さんオリハルコンも知ってるようだ。そして差し出されたのはコーヒー豆の入った袋だった。

 

 

 「キリマンジャロじゃ。お前さんでも知ってるじゃろ?それ持って帰って挽いて淹れてブラックも飲めるようになるんじゃよ?」

 

 

 からからと笑うもふキチさんに「わかったよ」と言って礼を言い袋を持ってカウンター席から降りる。

 

 

 「毎度どうも、また来るんじゃぞ」

 

 

 そうもふキチさんに言われながら俺とベニマルは店を後にするのだった。




 ということで今回はベニマル回でした。

 一度こいつに大食いチャレンジかよ!!っていうほどのパフェ食わせてみたかったんですよね…。



 それではまた次回お会いしましょう。See you next story,バイバイ☆
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