またしても何も知らない轟焦凍の従兄弟   作:細々した胡麻

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見なよ……俺の焦凍を……

 

 ついに始まる戦闘訓練……俺達はモニター室へと移され、ほかの面々の戦闘訓練の様を見学する事にした。一番最後ならば情報収集には事欠かない……少し狡い気がするが、プロヒーローになったら個性を晒すのは当然。と、思う事にしておこう。

 

 俺は轟と共にモニターを眺めて最初の対戦……爆豪飯田のヴィラン組と緑谷麗日のヒーロー組の戦いを眺めていた。緑谷は個性を使わず、機転だけで爆豪と渡り合っている。

 

 あいつも入試1位なのに…………聞いた話、緑谷は個性発現したてで扱いきれずに、使うと自壊するらしいからおいそれと緑谷も使えないのはわかるが。

 

 結局、緑谷は正面戦闘では爆豪に後れを取ったが、緑谷の文字通り捨て身の一撃が決まり、建物を吹き抜けにしてヒーローチーム勝利のきっかけを作った。

 

 八百万って人からは訓練と言う事にかまけた粗末な勝利とされたが、勝ちは勝ち。実際起点としては見事のひと言に尽きると思う。頭の回転いいんだな緑谷って。それに個性も制御不可の状態であんな化け物出力叩き出せるって……

 

「とんでもねぇ威力だな……マトモに食らいたくないわアレ。」

「……。」

「そう言えば、次はショートの番か?頑張れよ。」

「……あぁ。」

 

 轟も今の試合で熱が入ったのか、瞳の奥に炎が見える……そして同時に嫌な予感。こいつテンション上がったりすると個性の出力目茶苦茶になるかなぁ……

 

 一応、轟のペアの人にも軽く話しておくか……轟がその場を去った後、後をついて行こうとする轟のペアの大柄な男。障子目蔵に声をかける。

 

「えっと、障子くん……だっけ?」

「むっ……?確か氷室と言ったか。どうした、何か用が?」

「いや、用っつーか、助言っつーかなんつーか。あいつ結構目茶苦茶やるから……まぁ、その、迷惑かけるよ。」

「お前は轟のなんなのだ?」

「母親らしいぜ?」

 

 そう言って肩を窄めると、軽く言葉を交わして障子も轟ト共に試験場へ……すると、轟の対戦相手である葉隠やそのペアの尾白からも声をかけられる。

 

「ねぇねぇ!氷室君!轟くんの対策教えて!!」

「は、葉隠さん!?い、いくら何でもそれは卑怯なんじゃ……」

「いや!情報収集も立派な作戦!私は咎めないよ!」

 

 高笑いしながらオールマイトもグッドサインを出す。うーん……別に教えても良いが、人の個性を勝手にバラして良いものか……まぁいいか。どうせこれから否が応でも思い知るんだし。

 

「……ショートの個性は、まぁ個性把握テストの時に見てたから察してると思うが……氷を放出する個性だ。」

「うんうん!」

「まぁぶっちゃけると俺の氷の出力の5倍は力ある。」

「「5倍!?!?!?」」

「俺も氷を操れるけど、俺は形成とかそっち方向に特化してるからな。あとはまぁ、やられる時はマジで一瞬で制圧されるから気をつけろよ。」

 

 俺も轟とは何回も模擬戦をしたが、マジで初手ミスると一瞬で凍結されてそのままノックアウトだからな。だから相手の技を受けない工夫が必要なわけだ。

 

「対策は!?」

「初手を絶対避けるようにするって所か?俺はアイツが出した氷の水分を凍結して逆に操り返すって手が使えるから有利取れる事もあるけど……まぁ、やっぱデカい力だからどうしてもそこに頼った動きになる。そこで近接戦に持ち込めば勝機はあるかもな。」

 

 そんな風なアドバイスをすると、セッティング諸々の時間も迫るのか2人はその場から去ってしまった……すると、切島や上鳴は何処か不思議そうに俺に問いかけてきた。

 

「かぁ……すげぇ喋ってたな。」

「いいのか?あんなに教えちまって……」

「触りの部分しか教えてねぇよ。つーかショートが自分の個性知られて対策された位でやすやすと負けるわけねぇだろショート舐めんなよ?ショートだぞ?

(((轟への全幅の信頼ヤベェ!?)))

 

 いいか?轟は強いし凄いんだよ。すげぇし、強いし……なんかもう色々とすげぇんだ。

 

 っと、そんな会話をすれば始まる第二試合。障子が個性を使い体の部位のついた腕(あとで聞いたら複製腕と言うらしい)で、音を聞き索敵し……そして次に轟が……ビル丸ごと凍らせて葉隠と尾白を凍らせて勝った。流石にここまで速攻仕掛けるのは想定外だったぞ……

 

 この凄まじい様子を見て、途端に俺に視線が集まる……お前こうなるの知ってたのか?的な視線だ。知らない……知ってたらさすがに教える。ここまでやるとはマジで思わなかった……

 

「お、おい!?なんでああする事尾白に教えてやらなかったんだよ!?

「いや流石にあそこまでやるとは思わなかった……テンション上がってんなアイツ……」

 

 確かに学んだ格闘術はあくまでも懐に入られた時用。個性に頼った大ざっぱな動きだと相手が油断して格闘戦を仕掛けた際に虚を突く技。

 

 轟の個性的に、こうして射程にはいる前に制圧したほうがよっぽど理にかなっている、建物の被害も水浸しになるくらいなものだ……けど……流石にやりすぎだろ!?

 

 いやだぁ俺アレのあとで俺の氷系個性見せなきゃアカンの……?地味って言われるよ多分………

 

 あぁでも……

 

「やっぱすげぇな……ショート……!!」

(((なんかすごい誇らしげ!?!?)))

 

 

 

 

「勝ったぞヒューガ。」

「やったなショート!」

 

 帰ってきた轟が無駄にやってやったぜ感を出して帰ってきた。流石だ轟。周りからは若干ドン引きされてるが気にしないでおこう。そして障子も若干ジト目になりながら俺に声をかけてくる。

 

「……氷室、お前の言った事が少し理解できた……」

「なっ?目茶苦茶やるだろ?こいつ。」

 

 すると、悔しそうな葉隠さんやそれを宥める尾白も戻ってくる。

 

「くそぉ!悔しい!あんなやられ方するなんて!」

「は、葉隠さん?そろそろ落ち着きなって……」

 

 うん、まぁ俺も逆の立場なら悔しさで咽び泣くくらいには悔しい。ぶっちゃえ訓練としてはかなり酷いアレだと思う……

 

「あっ、氷室くん……情けないな。折角教えてもらって忠告もしてくれたのに……」

「うん、アレはもう……俺もいきなり建物ごと氷結されたら普通動けないわ……」

「やっぱ推薦入試組は違うなぁ!!」

 

 そんな言葉が耳に入ってくる。いやぁ、友達が褒められるってのも存外悪い気分じゃないな……みなよ……俺のショートを……

 

「……いやっ、ヒューガの方が凄い」

「「「えぇっ!?」」」

「ちょっとショート君!?」

 

 轟ぃッ!?なんの対抗意識!?やめろ変なこと言うな!?アタリ引いた俺への期待値が上がる!

 

「ヒューガは俺なんかより凄いぞ……」

「よくねぇわ馬鹿ッ!?変なこと言うなよ!?」

「日向はすげぇ、個性を使って何でも作るし体術も得意。間合いに攻め込まれたら俺も腹を括るような奴だからな。

「「「おぉ……!」」」

 

 頼むから変なこと言うなよぉ!?こういう注目はあんまされたくねぇんだよ!!コレで俺コケたらえらい空気になるだろーが!!

 

「流石実技試験1位通過!才能マンの爆豪と肩を並べるだけはあるんだな!」

「……クソッッッッ……がァァァァッッッ………!!」

 

 あぁ爆豪がエゲツねぇ顔してる!?なんかよぉしらんけど緑谷と戦ってからアイツ機嫌がメルトダウンしてない!?ヤバい……胃が痛くなってきた……

 

 

 

 

 

 

 

 そんな俺を横目に戦闘訓練は順繰りと続いていき…………ついにラスト。俺の番が回ってくる事になる。

 

「さぁ!シメは当たりを引いた氷室少年の番だ!さぁ、コンビ相手を決めてくれ!」

「あーっ……そう、だなぁ……」

 

 んー、誰にしようか?俺の個性的に索敵はあったほうが良いから障子かイヤホンジャックで音を拾える耳郎さん?ヒーロー側なら隠密行動が出来て俺が囮やれる葉隠さんも選択肢に入るな……後は純粋な戦闘力で決めてなんか強かった常闇とか?

 

「……。」

(轟と爆豪めっちゃ氷室見てる……)

 

 うぅん……もう轟が視線で俺と組もうって言ってるし爆豪は視線で俺と戦えって言ってる…………んじゃあ……

 

「じゃあ、パートナーは轟で……」

「ッ!」

「OK!それじゃあ相手はどうする?要望がなければランダムで決めるが「俺とやれ白髪野郎!!」

「誰が白髪だテメェッ!!??俺のは灰髪なんだよ!!灰髪!!!」

(((そこそんなキレる所!?)))

 

 上等だこのボンバーマンが、一生手足バタバタさせて移動してろ……

 

「んじゃ相手一人は爆豪で……粉々にしてやる……」

「う、うん!それじゃあ爆豪とペアを組む子は……」

「あっ!じゃあ俺がやるっす!」

 

 そう言って手を挙げるのは切島。すげぇな。俺間違っても爆豪とペア組みたいとか思わねぇぞ……いや、戦闘力とか云々の話じゃなくて、人間性的な意味で……

 

「よし!それじゃあ氷室少年と轟少年のヴィランチームVS

爆豪少年と切島少年のヒーローチームの勝負だ!」

「おぉ!推薦入試と入試1位の戦いが見れるのか!」

「切島も何気硬くて強かったもんね!こりゃみものだ!!」

 

 そんなラストのちょっとした熱気に溢れ……俺の戦闘訓練は幕を開けることになった……

 


 

 

 

 

 と、言うわけで……俺と轟は建物の中にある核のある部屋で作戦会議中だ。

 

「さて、と……どうするかな。ショートの建物全体氷結は使っても効果薄そうだしな。爆豪の爆破で吹き飛ばされる未来しか見えねぇ。」

「どの道核を持ち込んだのに冷やし固めて駄目にする真似はヴィランとしちゃできねぇからな。」

「まぁ、轟には防衛に専念してもらって……攻めるのは俺の方が良いよな?」

「大丈夫なのか?お前と爆豪……相性良くねぇだろ。」

 

 轟の言う通り……俺の個性は言っても氷だ。爆豪の爆破や爆炎で氷が砕かれるのは自明の理だろう……だが、俺は覚えてる。爆豪と入試で出会った時の事。

 

 

 

―――大体何だてめぇは……よりによって氷使やがって……!お陰で身体が冷めて汗が引くんだよボケがっ!―――

 

 

 あんな言い方するってことは、奴の爆破の仕組みは汗にあると見る。それだけ分かれば十分だ……だが、あの篭手からぶちかまされる大爆撃は食らえばどうしようもない。

 

 だが、ヒーローとしては核を刺激した上に建物破壊は完全にタブー。あいつもそれが分かってるならそんな真似はしないだろう、意外とそういう所考えてそうな奴だし。

 

 切島は逆に小技なしで攻めてくるのは分かる……戦闘訓練の時も正々堂々ぶつかってたしな。どの道どちらもあまり間合いにはいれたくないタイプだ。

 

「で、どうする日向。」

「兎に角、ショートは守りに専念で頼む。俺は直接下に向かって攻めるから何かあれば下に降りて…………部屋は扉に氷でも張ってバリケードを………ん?バリケード………っ!!!」

 

 その瞬間、俺に電流走る。

 

「いいこと思いついた…………良いこと思いついたぜショートぉ……!」

「ッ!」

「上手く行くかは賭けだが、上手くいけば核を駄目にせず爆豪と切島を直接叩ける手が…………」

「っ!謀るのか?日向。」

「っし!そうと決まれば準備だ!行くぞショート!」

「よし……!!」

 

 

 

 こうして、俺……いや、俺達の戦闘訓練は幕を開ける事になるのだった。

 




キリが良いのでここまでで……
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