「取り敢えず、お兄ちゃんと呼んでくれないか?」
その日、私に、新しく兄が出来た。
—————————————ああ、うれしぃうれしぃ
口の中に残った彼の味から、思わず口元が歪んでしまう。
はじめて、好きな人と、ひとつになれた。
きっかけは些細な事だった、卒業式も終わり、教室にも残っている人間はまばらだった、私もそろそろ帰ろうかと思ったとき、彼に声をかけられた。
「渡我さん、少しだけ話があるんだ、ついてきてもらってもいいかな」
不意打ち気味に彼にそう言われ思わずはいと返してしまう、ぼーっとしている間に彼に手を引かれ、気付けば校舎の奥の方にある、いまは誰も使っていない空き教室の一つへと連れられてしまった。
「トガさん!ずっと前から好きでした!付き合って下さい」
心臓が跳ねる、それと同時に得体の知れない興奮と期待が胸のうちから込み上がって来た。
いつも見ていた、だれにでも優しかった彼、いつも誰かのために手を差し伸べ、悪や卑怯な事には決して屈しなかった彼。どんな時でも全力で何事にも真剣に取り組んでいた彼…いつもボロボロで…傷だらけで…カアイくて大好きな彼。
彼なら、彼なら私を受け入れてくれる。
私が彼を好きなように、彼も私が好きなんだから。
私が彼を受け入れて来たように、彼も私を受け入れてくれる
彼の大きさ、動き、匂い、味、全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部
「良いですよ、よろしくお願いします」
思わず口の端から笑みが溢れてしまうがなんとか返事を返す。
「本当!良かった…「ただ」
「私、みんなと違って少し変なんです、それでもいいの?」
彼は少し迷い応える
「大丈夫!皆んなと同じ普通になれるよう僕もサポートするから!これからよろしくね!」
あーあ………ダメだ………
気づけば体が動いていた。いつも帰り道にカアイイものを探す為に使っていたカッターを振り上げ、彼に襲いかかる。
驚き、逃げようとする彼を転ばせ後ろから切りつける。
ジタバタと暴れる彼を抑え、刃を突き立てる。
血が吹き出し彼が呻き声をあげ助けを求める。
彼が降ってくる。
彼に染まる。
今まで道で見つけたカァイイこたちとは比べものにならない喜びが体の中を駆け巡る。
痛い痛いと叫ぶ彼をさらにカァイイくしていく。
彼に染まる。
彼になっていく。
抵抗が弱まり朧げな言葉しか吐かなくなった彼の首を切る。
彼になっていく。
彼と繋がっていく。
彼が動かなくなった。
カァイイ
カァイイ
カァイイ
彼をもっと感じたい。
彼になりたい。
彼の体にそっとストローをさす。
「ちうちう、ちうちう」
私は今、間違いなく世界で一番幸せな女の子だろう。
短い