短い。
ポケモンマスターを目指す少年・サトシがパートナーのポケモン達と共にポケモンバトルの世界王者になってから、数年の月日が流れた。
あの頃の希望に満ちた眼差しはそのまま、背が伸び、少し大人びた青年へと成長したサトシ。
彼は今、かつて共にカロス地方を冒険した仲間の故郷である街・ミアレシティにいた。
───いよいよだぞ!オレ達の新しい挑戦の始まりだ!
「プリズムタワー……まさか、あんな力が眠ってたなんてな」
ミアレシティを象徴し、街の中心にそびえ立っていた塔・プリズムタワー。
そのプリズムタワーはひと月前に起きたある出来事が原因で、先端が二又に分かれて至る所にツタが生え、サトシ達の冒険していた頃とは見違える程、廃墟としか言い表せない姿になってしまった。
「……それにしても、ゲッコウガ達が駆除してた負のエネルギーにそっくりだったよな。フレア団が占拠した時にあれも使われてたら終わりだったかも……」
プリズムタワーの一件の後片付けが終わり、野生のポケモンが生息するエリアとなったタワーの下で、サトシはピカチュウ達とこの街での出来事を振り返っている。
「あれから暴走メガシンカしたポケモンも出てないし、オレ達の役目は終わりかな。帰る前にマスカットさん達の所に行かなきゃ。ホテルとかメガストーンとか、色々お世話になったし」
本来メガシンカは人とポケモンとの絆で起きる現象であり、ポケモンがメガストーンを持っておく必要のあるものだったが、野生のポケモンやメガストーンを持っていないトレーナーのポケモンにも起こり、暴走してしまうという事件がミアレシティで発生していた。
それを対処するため、サトシは“クエーサー社”というミアレシティの都市開発を担っている会社に協力を依頼されていた。
依頼を受けているとはいえサトシは、クエーサー社から“ホテル シュールリッシュ”の無料宿泊や、そのホテルで行われるミアレシティの強者を集めたパーティーという名のバトル大会に、スーパーユカリトーナメントなる何故か参加者がサトシともう一人しかいない謎のトーナメント大会への招待、ついでにルチャブルナイトやオニゴーリナイトなどのメガストーンの支給という、手厚すぎる待遇を受けた。
「……よし!そろそろ行こうか。……って……」
「やぁ、サトシ」
「アラン!それに……!」
ピカチュウを肩に乗せ、ベンチから立ち上がったサトシの前に、青い炎のようなマフラーをした青年・アランと、“エムゼット団”というグループのメンバーで、成長したサトシの仲間の一人と共にジガルデをメガシンカさせ、この街を救った青年がやって来た。
「……どういう組み合わせ?」
「頼んだんだ。一緒に君達を探して欲しいって」
「あ、そういえばマチエールさんの手伝いも……」
青年はサトシの言葉を聞き、頷いた。
「ホテルに来てくれればすぐ戻れたのに……」
「……あそこだとちょっとな……」
「……癖強いもんな、あの人達。……それで、わざわざ街中を探してまでオレ達を見つけたかったって事は?」
「ああ。サトシ、バトルしよう!」
アランがサトシにポケモンバトルを申し込んだ。
二人ともしばらくこのミアレシティにいたのだが、暴走メガシンカやプリズムタワーの騒動などで一度もバトルをしていなかった。
サトシはアランの誘いに乗り、二人はバトルをする事になった。
勝負は6対6のフルバトル。
エムゼット団の青年や野生のポケモン達が近くで観戦する中、二人は一進一退の激戦を繰り広げる。
お互い五匹目のポケモンであるサトシのピカチュウとアランのドドゲザンが相打ちとなり倒れ、残すポケモンは一匹ずつとなった。
「ゲッコウガ!君に決めた!」
「行けっ!リザードン!」
サトシはゲッコウガを、アランはリザードンを繰り出した。
「ゲッコウガ、みずしゅりけん!」
「コウガッ!!」
「躱せ!」
「ばぎゅあ!!」
ゲッコウガが連続で投げつける みずしゅりけんを、リザードンは間一髪で躱していく。
みずしゅりけんの弾幕が止み、リザードンは宙へ飛び上がった。
「かえんほうしゃ!」
「ばぎゅあ!!!」
「ゲッコウガ、突っ込め!」
リザードンは飛びながらゲッコウガへ かえんほうしゃを放つ。
それに向かってゲッコウガは走っていく。
「初めからゼンリョクだ!行くぞ!!」
「コウガ!!コォォォォォ……!!!」
ゲッコウガは全身に水を纏った。
水の中に見えるゲッコウガの姿は、サトシと絆現象でシンクロしたサトシゲッコウガの姿となった。
サトシゲッコウガは水を纏ったまま、かえんほうしゃの中を突き進む。
「ばぎゅ……!!」
「コウガッ!!」
「みずしゅりけん!」
「ゲッ……コウッ!!!」
リザードンの かえんほうしゃが止まった。
その隙を逃さず、ゲッコウガは纏っていた水を みずしゅりけんに集めて大きくし、リザードンを切りつけた。
「やるな……!……リザードン!」
アランは腕に着けているメガリングに触れた。
すると、リザードンのリザードナイトXと反応し、眩い光がリザードンを包んだ。
「我が心に応えよ、キーストーン!
──進化を越えろ!メガシンカ!!」
光に包まれたリザードンの身体が変化していく。
リザードンは光から解き放たれ、黒い身体に青い炎の灯った、メガリザードンXにメガシンカした。
「リザードン、かみなりパンチ!!」
「ゲッコウガ、いあいぎりだ!!」
メガリザードンXの かみなりパンチと、サトシゲッコウガの いあいぎりが激突する。
どちらも引けを取らない、互角の戦いだ。
「ハイドロポンプ!!」
「コウガッ!!!」
「フレアドライブ!!」
「ばぎゅあ!!!」
リザードンが激しい炎を纏い、ハイドロポンプを蒸発させて一直線にゲッコウガへ突撃していく。
「そう来る……!?みずしゅりけん!」
フレアドライブにゲッコウガはハイドロポンプを止め、みずしゅりけんで迎え撃つ。
二つの技が激突し、フレアドライブが爆発して二匹は爆風に吹き飛ばされた。
「危なかった……まさかやり返されるとは……」
「コウ……!」
効果はいまひとつとはいえ、特性かたいツメのメガリザードンXによる、ほのおタイプの技の中でもトップクラスの威力を持つフレアドライブは流石のサトシゲッコウガでも何もせずに受ければ危なかっただろう。
「リザードン!ドラゴンダイブ!」
「かげぶんしんで躱せ!」
ゲッコウガは分身を作り出し、リザードンのドラゴンダイブを回避した。
「みずしゅりけん!!」
「コウガッ!!!」
「ブラストバーンだ!」
「ばぎゅあ!!!」
「……!?コウ……ッ!?」
「ぐっ……!?」
リザードンに向かってゲッコウガが みずしゅりけんを手に取り、大量の分身と共に接近した。
……が、リザードンは自分の周りにブラストバーンを放ち、ゲッコウガの分身を全て消し去った。
「リザードン!かみなりパンチ!」
「まだまだ……!みずしゅりけん!!」
「ばぎゅあ!!」
「コウガッ!!」
かみなりパンチと みずしゅりけんが激しくぶつかり合う。
「フレアドライブ!!」
「ばぎゅあ!!」
「ゲッコウガ!かげうち!!」
「コウッ……コウガ!!」
「……!?」
ゲッコウガは かげうちでリザードンの後ろを取り、フレアドライブを回避して蹴りを叩き込んだ。
「やるぞゲッコウガ!みずしゅりけん!!」
「コウガッ……!!!」
ゲッコウガは みずしゅりけんを天に掲げ、高速で回転させる。
すると、みずしゅりけんは赤く熱を帯びた光輪のようになった。
「来るぞリザードン!ブラストバーン!!」
「ばぎゅあ!!!」
「行っけぇ!!」
「コウッ……ガァ!!!」
ゲッコウガの みずしゅりけんとリザードンのブラストバーンがお互いに直撃し、大爆発が起きた。
「く……大丈夫かリザードン?」
「ばぎゅあ……!!」
アランのリザードンはまだ立っていた。
サトシのゲッコウガの姿は爆煙により見えない。
すると─────。
「……!なんだ……?」
煙の奥で、眩く輝く二つの光が見えた。
煙が晴れると、それはサトシゲッコウガの状態を解除したゲッコウガと、サトシのキーストーンから放たれている光である事がわかった。
「ゲッコウガ、アランとリザードンに見せてやろうぜ!オレ達の新しい力を!」
「コウガ!!」
ゲッコウガのゲッコウガナイトと、サトシのキーストーンが反応した───!
「オレ達をもっともっと強く!!
──ゲッコウガ!メガシンカ!!」
二つの光が線となって合わさり、ゲッコウガを包み込んだ。
サトシとアランの勝負は、まだまだ続いていく───。
「サトシゲッコウガがメガシンカ!!メガサトシゲッコウガだ!!!」でも良かったのですが、それよりもサトシゲッコウガとメガゲッコウガを使い分けてバトルするサトシとゲッコウガの方が良いかなと思いました。
相手の怪獣によって力を使い分けるウルトラマンみたいなあれです。