世界で一番幸せな女の子と犬(成人男性国家公務員) 作:mimi11111111
スコッチとさよならバイバイをした後の私は相変わらず公安の保護下のもと、三食おやつ付きの生活を送っていた。組織(私がいた方)はボスが消えたということでほぼ壊滅状態になったらしいが、まだ警戒状態であることに変わりはないので、私の処遇は宙に浮いたままである。
何人かの公安警察がかわるがわるお世話をしに来てくれるので、感謝感謝の日々である。お忙しい中恐縮です。
あまり外出を許されない私は、普通の日本語を話せるように訓練中で、他にも若干の義務教育を通信制でゆったり受けている。私の周辺を取り巻く状況にもよるが、うまくいけば高校からは学校に通えるかもねという感じ。
環ちゃんの知能グラフはとがりまくっているので、学力の方は全く問題ないが、コミュニケーションや一般常識が絶望的。そのへんの齟齬を直すためにも、学校で集団生活できるといいねと管理官にも言われた。(意訳)
というわけで、環ちゃんはこの平和な日本で、なが~い春休みを満喫中である。私がこの体で目を覚ましてはや10年、私の目標はほぼほぼ達成された。今はまだ家の中だが、日本警察は良心的で、そのうちもっといろいろなことを楽しめるようになる。おしゃれも、ごはんも、ゲームも、お友達を作ったっていいし、もしかしたら誰か、親みたいな人ができるかもしれない。
…親か。あのお別れから数か月、スコッチが私の前に訪れることはなかった。まあ、そうなるようにしていたところはある。中国で私の世話を強制されていた彼が、日本に戻ってもなお、私を世話する必要はない。だから、あの日、彼が私に愛想をつかすように、いつも通りの帝王チャイニーズを使って、わざと横柄にふるまった。それでもお礼は言いたかったので、お家で練習したありがとうを披露したあと、ダッシュで公安の車に乗り込んだ。長野に無理やり連れて行って置いてったわけだし…ほんとに嫌われたかも。いや!いいんだけどね全然!!
それでもまだ、一人の部屋で起きるのにはなれない。
まあまあ…これもそのうち時間が解決してくれるでしょう!多分!!
しんみりしたのは置いといて、今日はなんとなんと、環ちゃんの外出解禁日なのだ!!まだ大手を振ってちょっくらコンビニに、とは行かないが、そろそろ社会生活も営んでみようということで新たなお部屋におひっこしである。新しい家の準備はもう公安の皆様で済ましてくれたらしく(本当にありがとう、公安の人。いっぱい寝てください。)、私は身一つで新居に向かっている。なお、運転手はあのトリプルフェイス、降谷零様である。
彼も何度か私のお世話に来てくれて、ごはんやらなんやら作ってくれる。これがうまいのなんの。まだスコッチが目を覚ましていなかったときに、彼のお見舞いに同行してくれたのも降谷さんで、ちょっとだけだがおしゃべりもしたのだ。ふふん、うらやましかろう。
「引っ越しをするにあたって、環さんの保護者が決まりました。」
降谷さんは非常にスマートな運転(中国のチンピラとは違うぜ!)をしながら、私にそう言った。
「ほごしゃ?」
「ええ、いままでのようにひとつの家から何人も違う男が出入りするのは不自然ですからね。新居は住宅街にありますし。」
な~るほど?たしかに、これからできるであろうお友達に「環ちゃんちって、お父さんがいっぱいいるの?」などと聞かれてしまったらきまずすぎるしね
「彼は、一通りの家事のほか、有事の際にあなたを守る役割もありますから、なんでも頼るといいですよ。」
「はい。」
そこでちょうど、車が新居についたらしく、車から先に降りた降谷さんが、私の側の扉も開けてくれる。かたじけねえ。その大きな褐色の手まで差し伸べてくれるので、大人しく手を乗せ、車から降りる。
「本人もぜひこき使ってほしいとのことです。」
え?なんそれ?降谷さんの言ってることに混乱しながら新居に目を向ける。
扉の前には、一年前までは見慣れた姿があった。思わず目を見開く。
「おかえりなさい、環様。ここが俺らの新しいおうちですよ!」
にっこにこで両手を広げる様子に、私が固まっていると、彼は私を見て笑う。
「はは、その顔初めて見た。
…本日より、訓練を終え、天城環氏の護衛任務にあたります。公安所属諸伏景光です。」
彼は日本警察らしい、しっかりとした敬礼をして、自己紹介を終えた。
「もう俺のこと捨てないでくださいね。」
ふっと優しく笑うその声に、胸がいっぱいになった。もう何も言えなくて、気づいたら、私は彼に抱きついていた。
暖かくて、懐かしくて、涙が頬を伝っていくのを感じた。
あとがき ここまで読んでくださりありがとうございました。無事、不幸な女の子が世界で一番幸せな女の子になれました。これにて完結です。
以下おまけと駄文
ヒロとのお別れ舞台裏
「ぜーっ!!はあはあっ!!」
「だ、大丈夫ですか?」
『早く車を出せっ!この役立たず!!(見つからないうちに車を早く出してください!)』
「は、はいっ!」
「あっ、ち、ちがう…あ、いやちがわない…」
し、しまった。焦りから車で待ってくれていた風見さんを意味もなく怒鳴りつけてしまった。スコッチにバレないように猛ダッシュして車に乗り込んだ私は車で必死に息を整える。ぜえぜえ…これ、角度的にはお兄さんの方にめちゃめちゃみられていたのでは…??いや考えない考えない!!とりあえず、ありがとうは言えたし、ばいばいスコッチ、どこかで元気にしていてください。
猛ダッシュによる疲労とスコッチとのお別れの感傷で心中めちゃくちゃな私が、スコッチに帰りのチケットを渡し忘れていたのに気づくのは東都についてからだった。
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思いついたら、環ちゃんwithヒロの米花町編を書きたいですね。
・うっかり帝王中国語を話してしまい、コナン君にドン引きされる環ちゃん
・高明さんに詰められる環ちゃん
・FBIに詰められる環ちゃん
・少年探偵団に癒される環ちゃん
・蘭ちゃんにナンパから助けてもらう環ちゃん
・助けてもらう前に自分で捻り上げてしまいコナン君にドン引きされる環ちゃん
・自分の撃った銃を風見さんに押し付ける環ちゃん 「かざみさん、かっこいー」
・ヒロとのご主人様プレイを見られてしまい、コナン君にドン引きされる環ちゃん
などなど
妄想は無限大ですね。