*……ここに至って明確な答えが分かるならこんなに苦労しない! 出来るのは相手の心揺さぶれそうな選択を挙げる事だけだ!*
*性格効果により全ての選択が効果のある物に変化する……*
3回勝負。
1、勇気:相手の心に踏み込む
2、理性:損得を語る
3、快楽:一旦場を和ます
4、恐怖:感情を語る
3D4=1→2→3
「なんで行きたいかは分かるよね」
「……義理を果たしたから、自分の為に自由を手に入れようとしてるんだね」
「ふふ、当たりー……はぁ…もーさー、疲れちゃったんだよ。人間関係」
最初の言葉は、そんなこと。
「強くなる為に魔法少女と仲良くなってー、国と連携してー、各地の魔法少女も管理任されてー……解放の日にみんなの洗脳が消えてからずっとそう! 人間の都合ばかりでやんなっちゃう! 辺り一帯倒すだけじゃダメなのかーって! 怒鳴りたい気分だったよ!」
「全部君が最初に始めたこと……だけど…うん、手伝わなかった私たちにも責任があるかもね」
「あるかもじゃなくて、本来なら人間がやることじゃん。私、赤の他リスなのに頑張ったよ? んーと勉強してさ、関わってさ、仲良くなって、強くなった! なのに、みんなみんな、私に全部押し付けようとしてるの!」
ゴウと、飛行機が飛び立つ音がする。
夜の空港は広く、空いていた。
普通、大半の人にとってここまで遅れた便を待つ理由はないからだ。
今回はお金が全額戻ってくると放送されたから、尚更。
誰もいない空港に、あなた達の声が響く。
今この場で二人きりだからだろう。リスは遠慮せず言った。
「理不尽だよ、やめたくなった! だからもうやめちゃう! アリスは強くなったし、悪い連中は倒した! 私がここに居なきゃいけない理由はもうないんだー! やめてやるぞこんな仕事ー!」
それは、リスがずっと貯めてきた不満だった。
ずっと頑張って、頑張って、誰かの為に頑張り続けた努力の、負の側面。
あなた達がこれまで押し付けてきた責務。その結果。
アリスの姿をやめたからこそ言える、本音。
「……と言っても、本当に辛いなって思ったのはあなた達と仲良くする事。私はリスの中でも一人で居るのが好きなリスだから、すっごくベタベタしてくるみんなに疲れちゃったのが7割。そりゃあ仕事は疲れるけど、生きる為の事だから許容は出来たんだよね」
「そっか。それは……ごめんね、分かってあげられなくて」
「ホントだよ。言っても無視するのが大半だしさー。適切な距離感ってものを考えて欲しいよー」
……鏡はあなたの姿を映す。
それはあなたと同じように映り、与えた分だけ与え返す存在だ。
しかし鏡が意思ある者だったなら……少なくとも、ベタベタと鏡面に指紋を残すような使い手からは離れたくなるだろう。
「リスの本質は、『鏡』だったんだね」
どんな気持ちでやったのであれ、叩き壊そうとしたり、落書きされるのを嫌悪する。
当たり前のように接しないのなら、考える鏡はあなたから離れるのだ。
「そうだよ。私は鏡。与えられた分だけ与え返す、そういう心のカタチなの。やっと分かった?」
「うん……ずっと映ってるものばかり見ててごめんね。確かに、私達はかなりダメな関わり方をしてきてたみたいだ」
鏡は何処までも律儀だが、触れる者の拒絶を願う。
その鏡面に映る者を選ばないし、光がある限りなんでも映せる。
リスにとって、誰かから貰った感情はそのようなものだった。
だからこそ、その相互の関係は絆と定義することができ──決してそれ以外の何かにはなり得ない。
「……あなたにとって、私達は友達ですらなかったんだ」
鏡のように、あなたを映す綺麗な眼と向き合う。
友情でも、愛情でも、親愛でも、執着でもない。
全てが「絆」でしかなく、1から15までの数値で規定出来る「情報」でしかない。
「絆を紡いで立ち上がる魔法……私の律動は、あなたの魔法をそう定義した……上辺だけ見ればまるで主人公みたいだけど、実態は違う」
「…………」
「"糸の様に紡ぐ"という事は絆を糸…物の様に扱い、道具にするって事だったんだね。"どんな関係でも絆として自分の道具にする"……あなたは、そういう考えを持っていたんだ」
「人聞き悪いけどそうだね……幻滅した?」
これからを問われる。
相変わらず、リスの眼は一切の揺らぎなくあなたを見つめている。
……本質を指摘されても痛く無さそうに振る舞っている。
それもそうだろう。元から逃げようとしていたのがリスだ。今更悪い側面を指摘しようと、今後関わる気がないのだから、どう言われようとどうでもいい。
「ま、幻滅してないのは分かってるんだけどねー」
何より、あなたとの絆が下がってないのが魔法で分かっているから、気にしていない。
あなたが気にしてないのだから、鏡が反省する振る舞いをする必要は全くないのだ。
「人間は仲間意識が強いし、そう簡単には諦めない。分かってたよ。だからこうして小細工弄して旅立とうとしてるんだしさー」
─────…律動。
(奔走)
「さて、無事に私の思考プロセスを暴いたみたいだけど……それで、あなたはどうしたいの?」
この場を離れたいという感情が読み取れた。
リスの旅立つ心が固まっていく音がする……。
……あなたは、一つの説得に失敗した事を悟った。
どうやら話題の切り込み方を間違えてしまったらしい。
走って息を乱し、考えがまとまってない中で喋ったのが不味かったようだ。
……あなたは相手の本心に踏み込んで知った事から、理詰めで話してみる事にした。
「……ごめん。来て早々いきなり失礼な事言っちゃって」
「いいよ別に。私とあなたの仲だもん」
謝罪で悪感情を次に影響させないようにしてから、あなたは次の説得方法を考えた。
「……リス、あなたはもうアリス達は大丈夫だっていうけど、本当にそう思ってるの?」
「思ってる。じゃなきゃこんな事しないよ」
「なら、まだ側に居るべき理由があるとしたら、どうする?」
リスが目を細める。
無言であなたに言葉を催促した。
あるなら言ってみろと。
「……財団員は、電子機器の溢れた現代ではいつアリスの所に来ても不思議じゃないし……元々遊び場にしていた財団員が消えたとしても……それは東京だけ。1〜2時間も車で走れば直ぐに他の財団員の遊び場だ。それなのに、もう安全だって言うのは……違うと思う」
「え、その為のあなた達、魔法少女の仲間じゃない? それとも、守ってあげないの?」
「それは違う! けど、私達はリスみたいに怪人被害を蘇生して無かった事に出来な……っ!」
息が詰まる。
意外そうな顔をしたリスを見て言葉を重ねて、言い終わった後に間違えたことを悟った。
そうだ、アリスの魔法は……。
「アリスなら出来るよ、同じ事。何でも叶う魔法なら、私みたいに食い溜めも使わずに蘇生出来る。それこそ一般人だけじゃなく、魔法少女もねー」
「それは……」
「私が消えれば東京で唯一蘇生出来る魔法少女になって、イヤでも守らないといけなくなるよね? なら、留まる必要なくない? 分かりやすい生命線は確かに狙われるけど、それだけあなた達が死ぬ気で守ってくれるってことじゃん」
「……リスが居ないと」
「私はあなた達なら出来るって信じてるけど……そんなに自信なーい?」
……ダメだ、これ以上言葉を重ねても平行線が続くだけ。
交わるやり方もあったかも知れないが、あなたは既にその機会を取り逃がしていた。
これ以上、損得で語っても無駄だろう。
「………はぁ…手強いなぁ、リスは」
26:25
「そりゃそうだよ。これは私が魔法少女になった時から準備していた事だからねー」
時間は刻々と過ぎていった。
あなたの積み重ねた幸運は、ずっと前から積まれていたリスの努力を崩さなかった。
後一回は話題を変えて話すことは出来るだろうが……2回も失敗した以上、あなたに出来る事は少ないだろう。
だったら……だったら………。
「……ねえ、最後に聞かせてよ」
「なにをー?」
「向こうで何したいかを」
26:30
皆様大変お待たせ致しました。もう間も無くカナダ便が──…。
「……いいよ。そろそろ移動しないとだから、飛行機の入り口までね」
「うん。一緒に歩こう」
リスがのっそりと立ち上がり、キャリーを引いて歩き出した。
あなたも、その横を歩く。
ポーン、ポーンと聴こえる静かな港に、二人の足音が加わった。
「私ね、元々はカナダのリスだったんだ」
程なくしてリスは己を語り始める。
ここまで来たあなたに送る、最後の絆のお返しだ。
「そうなの?」
「うん。私が眼も開けられないくらい小さな頃、それこそ産まれたばかりで、お母さんの巣で餌を貰っていた頃。アリスと会ったのは、そんな日だった」
「拾われたの?」
「ううん。巣の中にいた私を、その日旅行に来ていたアリスが巣穴から取り出して帰ったんだ。日本までね」
カツンと、踵を鳴らす。
「……アリスから日本で買ったって聞いた記憶があるんだけど」
「それうっそー。私ってば、産まれた瞬間からの全部を覚えてるの。都合の良い嘘なんて一発で分かるんだぜー?」
「……里帰りってことか」
「そ。産まれも名前も全部アリスの与えた偽物だから、折角なら本当の自分に会ってみたい……なーんて、感傷的かな?」
「たとえ数日しか居なかった故郷でも?」
「ニブちんねー。人並みに賢い私が産まれた所だよ? 財団の暴れる昨今だよ? 何かあるんじゃなー?……って、訝しんじゃう気持ちが沸き立たない?」
コロコロと、キャリーがタイヤを鳴らす。
「……それはそうかも」
「でしょー? 自認リスでも更に奥の真実は人間でしたー…あり得そうだから、調べに行きたかったし、新天地は縁のある場所に住みたかったのでーす」
「偽物、コンプレックスだったの?」
「……まーね。魔法だって
一面のガラス窓から映る夜景は、ビル上の赤い光が印象に残る。
「最後の魔法は?」
「この際言っちゃうと
「分かりやすく例えると?」
「他者をPCとすれば、それを操作するプレイヤーになる魔法……プレイヤーの自分を創り出す魔法って所。噛み砕けば子機による思考誘導かな」
「怪人の時私を即死させてた気がするけど」
「プレイヤーの私にPCの自殺ボタンを押させた。アナログに言えば、斜線を引いてHPを0と書き直させた感じだね」
「強くない?」
「そうでもないかな。絆を紡いだ相手じゃないと無理だし、味方殺しが強い訳ないし、効果も少し思考を纏めるのを手伝うくらいだし……私には何の役にも立たない魔法だから」
……飛行機の入り口が見えてきた。
リスのの歩みは、変わらない。
「さようなら、鼠クン。最後は楽しかったよ……ちょっぴりね」
あなた達以外に誰も居ない。
どうやら最終的にリスだけが飛行機に乗る形になったらしい。
リスが飛行機に乗って、扉が閉まっていく。
「……これで良かったのかな」
考える。
最後の最後であなたはリスを尊重したが、果たしてこれでよかったのだろうか。
穏やかに別られられたが、これはもう二度と会えなくなる別れだ。
どれだけ愛しても、憎んでも、ここで終わる。
「……この選択しか、選べないのかな」
あなた自身の思いを伝える事が出来なくなる。
だけど……今のあなたは、リスの手を繋ぎ止める重しにはならない。
出来ることは、何もない。
| →傾向累計達成済み/記憶復帰済み/[経験蓄積]3/フラグ:最後の魔法の知識 |
| *今と過去が混ざり合い、あなたは性格を取り戻した*
「隣人」『葬譜』「色欲」 「共に歩み続ける」「死者の鎖を結ぶ」
*………傾向選択を自由に出来るようになった* |
「……リス!!」
───いや、まだあるだろう?
「─っとと、最後の最後に呼び止めて、どうしたの?」
「また、会えるかな!?」
それは──またねと、いってやることだ。
「また、一緒に遊んで、食べて、お泊まりとかさ! いつか、遊びに来てくれるかなぁ!?」
声を荒げ、精一杯の感情を込めて叫ぶ。
正直な話、もう自分でも、リスにこんなにも執着しているのか分からない。
訳が分からなくなるくらい、感情が混迷として渦を巻いている。
「絆とか、魔法とか関係なくさ、ただの──友達として!」
僕とずっと一緒にいて、僕の後輩として、リーダーとして導いたあなた。
私が進むべき道を示してくれて、偉大な力と心で道を切り拓いたあなた。
「いつか財団も何もかも居なくなった時に、また会って、遊ぼうよ!」
"そんなものよりも、等身大のあなたと一緒に居たい"
「──そんな約束……出来ない、かなぁ…?」
結局あなたがこんなにも頑張っている理由は、たったそれだけの願いだ。
眼に涙を溜めて、恋しそうに手を伸ばして、いっそ男として情けない程弱々しく振る舞って。
それであなたと一瞬でも一緒に居れるなら、幾らでもそうしよう。
これがあなたなりの──鏡に対する答えなのだから。
「……弱ったなあ。最後だからって喋り過ぎたかも」
だからこそ──鏡は、その感情を定量で跳ね返せない。
「鏡の裏面を見て尚そう言われちゃったら、何をするにも気不味いんだよなぁ……」
鏡に映る望んだ姿がない以上、鏡はそれを自分の内側で受け止めるしかないのだ。
眼を逸らして、頬を掻いて、目線を幾らか彷徨わせ……そうしてやっと、リスはあなたに小指を差し出した。
「……だから約束。指切りげんまん。また会いに行くから、代わりにその時はみんなにバレないようコッソリと……それでいい?」
「………! うん! ありがとう、リス!! ずっとずっと、待ってるから!」
あなたとリスの小指が絡まり、一つ、ささやかな約束が結ばれた。
ヒュォオオオオ───……。
飛行機が
鉄の鳥は轟音と共に瞬く間に星のような小さな点となり、程なくして全ての痕跡を消して消え去った。
「……行っちゃったな」
結局、あなたに出来た事はリスを見つけて、話して、口約束を結ぶことだけだった。
必死に自分の世界を広げて、力を蓄えて、決断して、仲間を増やして……最後に残ったのは、細やかな小指を絡めた約束だけ。
最善を尽くし、最適を選び、考えた結末は、ふたりぼっちの別れ。
「……でも、いつかは絶対──会えるから」
それでも……あなたは、この選択を後悔することは決してないだろう。
「だから──そのいつかが平穏であるように、魔法少女になって戦うんだ」
そのいつかに手が届くまで、あなたの歩みは決してたまらない。
死者すら巻き込んで、全ての縁を自らに結んで、先に達むのだ。
「──帰ろう、僕/私達の居場所へ」
最後の最後……どうやら、あなたはその手を掴めたのだから。
ルートNo.23「約束」
財団を倒し、リスとの繋がりもか細くも残った。
完全無欠ではないだろうが、確かにあなたは終わりではなく、未来に続く道を進めた。
ならばいつかたどり着くだろう。
あなたとリスが笑い合って遊ぶ、そんな未来へ。
そんなあなたは、記憶を取り戻した魔法少女だ。
*あなたに掛けられたリスの魔法に、僅かなノイズが挟まる……『──パシャリ』*
*死にかけながら影に帰還したパララナイトが、そのノイズを写真へと捉えた!*
「何処にでもある写(捉えた文字が、次第に掠れ消えていく……)」
コレにてあなたが主役の物語は閉幕です。
結末としてはゲェム側の用意された終わりではなく、確かな未来へ向かい始める閉幕となりました。21の終わりを乗り越えた先の4つのルート、その2番目、√23です。
これから様々な苦難が待っているでしょうが、実力が極まってる彼女達なら大丈夫でしょう。
次は恋愛物……の前に、一回呪術廻戦の呪霊転生家門使い捨てサバイバルを追ってみたいと思います。
(今作で使わないままお蔵入りした怪人が勿体無いから)バトルしようぜバトル。
ではまた、呪いが巡った時に逢いましょう。