殺すのに名前も顔も必要ない「ウルトラ・スーパー・デラックスデスノート」を拾った男
デスノートを読んだら誰もが一度は妄想するような、現実世界を舞台にした一発ネタです。
※タイトル時点で藤子不二雄先生のパロディ要素を含みます。
※現実世界なので原作キャラは一切出ません

ネタ被りするかな?と調べましたが出てこなかったので、
妄想を形にさせて頂きました。


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ウルトラ・スーパー・デラックスデスノート

『ウルトラ・スーパー・デラックスデスノート』

男が拾ったノートの名前である。

 

彼は『デスノート』という作品を知っていた。それ故に誰かが悪ふざけで作ったのであろうと最初は一笑に付していた。ノート自体の作りは中々に良いのだが、その説明文がふざけている。

 

◆使い方

・このノートに制限はありません

・顔も名前も知る必要がありません

・〇〇なもの、〇〇な人と書けばそれに該当する人間が全員死にます

・死神なんていません

 

…ふざけ過ぎである。

最早名前通りの無法っぷりでいっそ清々しく感じる程だ。

 

冗談の一つとして男はノートに書いてみる。

やれるものならやってみろと

 

「生活保護を不正に受給してる人、及びさせた人」

「万引きを5回以上した人、強要された場合はそれを強要した人」

「薬を転売している75歳以上の老人」

 

ぱっと思いついた、男がクズだと感じた存在をそこに書く。

 

回数とかは適当である。

ただ気の迷いで済まされない数なら赦す必要もないだろうと考えただけだ。

 

これで本当に死んだら凄いな等と考えて、その日は寝た。

 

 

――翌朝、ニュースはそれはもうえらいことになっていた。

 

 

 

「ええ…本物かよ…引くわ」

結構な数の人間が世界各地で突然死したようである。後になって気づいたが、日本とは特に指定していなかったので、対象は世界全体に適用されていた。

 

(薬の転売については実負担1割を悪用してる人を狙ったんだが…まあいいか…生活保護についても国のセーフティネットの悪用者として扱われたのか?)

 

男は己の失態を自覚したが、まあいいかとあっさりと流した。

図太さだけは某主人公を超えているのかもしれない。

 

ネットの掲示板では「キラ降臨」とか「デスノート作者の責任論」とか「Lはよ」などの益体の無いスレが乱立している。どうでも良いが…やってしまったものは仕方が無い。

 

(最低限の責任は持つか)

 

男は溜息をついて、ノートを開く。

今度はより正確な記載を意識してから『裁き』を始めた。

 

 

*

 

――1か月後

世界人口の5%が減少した。

 

「売国奴多すぎだろ…自国民のためとか世界全体のためとかは除外して完全な私利私欲に限定したのに想定の10倍死んだぞ…」

 

当然、世界中が大混乱の渦中である。

混乱を利用した新たな悪事、『裁き』の穴をついた新たな犯罪等も多数発生したが、漏れなく後出しで叩きつぶしている。

 

顔も名前も不要で指定はアバウトでも問題ない

『ウルトラ・スーパー・デラックスデスノート』様様である。

 

「いやまさかここまでとは…死神とかも本当に来ないし」

 

最早『原作』に掠りもしない事態である。

そもそも『原作』が漫画として存在しているので今更であるが…

 

*

 

――1年後

混乱は徐々に収まり、代わりに新たな宗教が発生したりした。

突然死する人間の数が大幅に減ったというのも大きな理由であるが、やはり死んだのが比較的『クズ』に分類されることが最大の理由であろう。

 

正直死ぬ程の罪では無いのが大半であるが、社会に迷惑をかけた人間の率としては限りなく100に近い割合だ。処理さえ済めばあとは「助かった」と思う人間の数は多い。

 

罪では無く思想でも殺す『キラ』を批判する声も多いが、少なくとも俺は否定する気はないし当然『裁き』の対象外だ。自分の行動が絶対的な正義だなんてはなから思って無いし、思想の制限は良くないことだと『自分でも思っている』。だから俺は何もしないし彼らは今日も元気に『キラ』を批判するだろう。

 

自分を捕まえようとする勢力もいるようだが…まあ無理だろう。

名前も顔も必要なく、単に思い付きのままノートに死ぬ条件を書くだけで殺せてしまえば足の着きようが無い。流石にやりたくはないが最悪『このノートの所持者を逮捕・殺害・拘束しようと考えているもの、及びそれに利用されているもの』と書くだけで終わってしまう話でもある。

 

*

 

――10年後

世界のありようは大きく変わった。

少なくともここ10年で戦争は発生せず、目に見える犯罪は激減した。

働きアリの法則か、今まで悪事をしたことも無い人が悪事をするケースも当然見られるが、社会的な生物の行動を完全に制御すること等出来はしない。

 

俺はこの状況を良しとし、ここ数年は変わらず熟考してからノートに書くようになった。今では『裁き』の頻度は週に1回程度である。

 

明確に『善人』の割合が多くなったように感じるし、迷惑な行動をする人間は出歩いても殆ど見かけなくなった。その生活がストレスな人間はどこかで爆発して『裁き』の網に引っ掛かる。10年と言う月日は最早あって当然の自浄作用として機能するようになった。

 

*

 

――50年後

男の寿命が近づいて来ていた。

「このノート…どうしたものかな」

最早社会は『裁き』を前提に回っている。

ここで急に止まればまた世界は大混乱に陥るだろう。

 

案は複数あるのだが…以下の理由で却下である。

・他人に託す

⇒俺は俺しか信頼していない。

・学習させた自立AIに任せる

⇒試験はしたし運用に問題は無いが、いずれ今の考え方が悪となることもあり得る。それで人類が滅びるのは後味が悪い。

 

「元々無かったシステムなんだから、あとはなんとかやれるだろう」

 

男は己の人生の中では責任は果たしたと自己完結し、ノートを処分することに決めた。ただ燃やしても砕いてもノートは一切劣化しない。どうにもこうにも耐久力まで『ウルトラ・スーパー・デラックス』のようだ。

 

「返却する死神もいないなら、もう封印するしかないか…」

 

男は小型の核シェルターにノートを入れ、更に頑丈な金庫に入れた後、猛毒を散布して誰もまともに手に取れないように厳重に封印した。

 

「これでまた使われるなら俺は知らん」

 

数週間後、男は死に、ノートは誰も来ないシェルターの中で眠り続けた。

 

 


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