読むときは法螺だと思って読んでください。
少なくとも私には霊感はありません。
国道沿いに、古いカラオケ店があった。
私の住んでいる場所から近いこともあって、よく家族で利用していた。
しかし、少し車で走らせたところに別のカラオケ店ができて。
音質も曲の数も多く、そしてこれは後から知った話だが、そちらの店の方が圧倒的に安かったそうだ。
なので最終的には古いカラオケ店を利用することは無くなり、いつの間にかそのカラオケ店は潰れていて、今はカラオケとは何の関係もない別の店になっている。
さて、これは私が初めてその古いカラオケ店に入ったときのお話。
正確には初めてではなかったらしいのだけど、少なくともそれよりは前にその店に入った記憶はなかったし、そこで初めてカラオケという物を認知したので、私の感覚では間違いなく初めて店に入ったとき、少なくともそれぐらいの幼少期の話だ。
その店は、というかおそらくだけど、まだ設備が進んでなく。
本で曲を探して、リモコンで送信するシステムで。
部屋の奥には段差があり、歌う人はそこに立って歌うというスペースになっていた。
「今日、ここに泊まるの?」
私は母に訪ねると、泊まらないよと笑いながら答えられた。
今にして思えば、笑われるのは当然とも言える問いかけだった。
ならば、あれはなんだろうと、歌唱台の奥。
部屋の角にあった、押入れにも似た収納棚の戸を見た。
後から思うと、予備の機材などが入っているのかと考えるのが普通だろうに。
部屋の押入れに布団等が積まれている光景しか知らなかった私は、その戸棚の奥には寝具が入ってると思ったのだ。
戸棚に近づくと、少し戸が開いていて、隙間から白いものが見えた。
やはり布団かとよく目をこらすと、外の光景が見えた。
最初に話した通り、その店は国道沿いにあった店で、その隙間から、道路を走る車が見えたのだ。
もしかして窓だったのか?
そう思い、私は歌唱台に足をかける。
当時、未就学児だった私は一人では階段を降りることができず、足元を見ないと登れない子供だった。
なので私は段差を登るためにその隙間から目を離してしまった。
視線を戻すと、そこには何もなく。
何の変哲もない、ただの部屋の角があった。
初めて部屋に入ったときから、確かにあったはずだった。
母に問いかけたときに目をはなし、そして視線を戻したときにもまだあったはずだった。
部屋の角を触ったが、壁紙が綺麗に張られていて、隙間すらなかったのだ。
そしてどういう訳か、私はすぐに興味を失ってしまい。
親が開いてくれたアニソン集のページから知っている曲がないかと探すのだった。