ソードアート・オンライン ~灰の剣帝の英雄譚~ 作:アキ1113
今回からアニメ沿いに話を進めていきます。
それでは、どうぞご覧ください。
デスゲームが始まってから半年が経った。その間にも様々な出来事があり、1つはアスナとミトがギルドに入ったということだ。ギルドの名は『血盟騎士団』といい、第25層のボス戦から台頭してきたギルドで、団長のヒースクリフは『神聖剣』と呼ばれる攻防一体のユニークスキルを所持しているプレイヤーだ。
そんなヒースクリフに、サツキたち4人は全員勧誘されたのだが、アスナとミトは了承したのに対し、サツキとキリトは断ったのだ。それによって、今まで攻略を共にしてきたパーティーは解消―――とはなったが、ボス攻略ではこの4人が要となることが多いため、必然的に組む機会があったり一緒に狩りをすることもあったりと、交流は続いている。
そんなある日、サツキはとある情報をアルゴから買い、1人で最前線から離れた層へ来ていた。
「今回は外れ、か……」
その情報とはPK集団に関するもので、何でも黒ポンチョの男を目撃したというものだった………サツキは第5層であの男と出会って以来、情報が入ってくれば時間を作って調査をしているのだ。今回の情報は外れだったものの、オレンジプレイヤーのアジトを発見し、そこにいたオレンジプレイヤーたちを戦闘不能にした上に黒鉄宮送りにすることに成功したのだ。
その後サツキは、最前線の層に戻ろうとしたが……
「ど、どうするんだよこれ!」
「囲まれた……!?」
その途中で、5人のプレイヤーがモンスターに囲まれているのを発見したのだ。それからのサツキの行動は文字通り早かった。
「しっ!」
「えっ?」
すぐに腰に下げた刀を抜くと、ソードスキルで一気にモンスターたちの一角を仕留めた。
「え、えっと―――」
「全員その場でじっとしてて。動かれると守れないから」
そう言った後、サツキは5人を囲んでいるモンスターに突撃し……
『GyAAAAAAAAAAA!!』
「フッ!」
『GyA!?』
「っ!」
『GyA……!?』
ソードスキルを使うことなく純粋な剣技のみで、次々とモンスターを倒していく。そして、1分も経たないうちに………
「ふぅ……」
その場にいた全てのモンスターを一掃してしまった。サツキは刀を鞘に納めると……
「誰も死んではいない、か……よし」
全員の無事を確認し、この場から去ろうとし―――
◇
「それでは、我々『月夜の黒猫団』と、命の恩人であるサツキさんに……乾杯!」
『乾杯!』
「か、乾杯……」
サツキはあの後、助けた5人のプレイヤーたちで結成しているギルド『月夜の黒猫団』に連れられ、この層にある酒場へ来ていた。
「今日は本当に助かったよ!」
「いや、礼を言われるほどのことじゃないし、気にしなくていいよ」
どうやら今日のお礼をしたかったらしく、サツキは断ることもできたものの、それをすることなくついてきていたのだ。すると……
「あのー……マナー違反だとは思うんですが、サツキさんってレベルはいくつぐらいなんですか?」
ギルドリーダーであり、棍使いのケイタがそう訊いてくると………
「今のレベルは………45だよ」
『!?』
サツキは隠すことなくレベルを答えた。
「よ、45!?」
「ということは、サツキさんって攻略組だったり……?」
「まぁ……そうだよ―――あ、それと敬語はいらないよ。多分、歳も近いと思うし」
「!そっか、ありがとう」
すると、サツキの格好を見ていたメイス使いのテツオが………
「ん?灰色のフード付きロングコートの刀使い―――!もしかしてサツキって……あの『灰の剣帝』!?」
驚いたようにそう言ってきたのだ。テツオの言う『灰の剣帝』というのはサツキに付けられた二つ名のことで、装備の灰色のフード付きロングコートと、他の攻略組プレイヤーとは一線を画す卓越した剣技がその由来となっている。
「!……やっぱり下の層のプレイヤーにも知られてたんだ、その二つ名」
だが、当の本人は複雑そうな表情でおり……
「二つ名で呼ばれるの、あまり好きじゃないのか?」
「そういうわけじゃないんだけど……」
そんな話をしていると……
「!そうだ、サツキに一つお願いがあるんだけど―――」
「待った」
「え?」
ケイタが何かを頼もうとする前に、サツキがそれを止めたのだ。
「その話を聞く前に言っておくことがある……僕は二つ名の他に『灰のビーター』とも呼ばれてる。そんな奴にお願いとかしたら、どう言われるか分からないよ?」
サツキは自分と一緒にいたことで、このギルドの悪評が広まることを防ぐためにそう忠告したのだが……
「その名前は俺たちも知ってる―――けど、サツキが噂通りのやつには見えないよ」
「え?」
「それにさ、僕たちのことを何の見返りなく助けてくれたサツキが、噂みたいなことするとは思えないよ」
「そうそう。それにそんな噂、ここら辺じゃ誰も信じてないよ」
逆に黒猫団のメンバーたちにそう言われてしまったのだ……最前線から少し離れた中層や下層のプレイヤーたちは、危ないところをサツキに助けられたという人が多く、未だサツキのことを灰のビーターと呼ぶのは極一部となっていた。
「……そっちがいいならいいんだけど―――で話を戻すけど、お願いって?」
「!あぁ、そうだった……僕たちのギルドの前衛って、メイスが使えるテツオだけでさ……前衛が危ないんだよ。それで、コイツ」
そう言ってケイタは、1人のプレイヤーをサツキに紹介した。
「サチって言うんだけどさ、槍使いから盾持ちの片手剣使いに転向させようと思ってるんだ。でも、勝手が分からなくて困ってて……だから、サチには片手剣の使い方を、俺たちには戦闘のレクチャーを頼めないかな?」
それからサツキは少しの間考えた後……
「いつもってわけにはいかないけど、攻略の間でよければ」
「ありがとう、助かるよ!」
その頼みを了承するのだった。
◇
「じゃあ、試しにやってみようか」
「う、うん」
それからサツキは、攻略の合間を縫って黒猫団に戦闘のレクチャーを続けていた。 集団戦の方は実力をメキメキと伸ばし、それは攻略組と比べても近いうちに遜色ないほどまでに成長するまでだった。だが、問題も発生しており……
「はぁっ!」
それがサチの盾持ち片手剣への転向だ。今は互いに木の武器で打ち合い―――というよりは、ほとんどサチがサツキに攻撃をしているのだが。
「やぁっ!」
「っ!」
「あっ……!」
「よし、一度休憩にしよっか」
サツキはサチの持つ盾と剣を手から落とすと、そう言って2人で休憩に入った。そこで……
「……サチ、一つ訊いてもいい?」
「う、うん、いいけど……」
「間違ってたら悪いんだけどさ……もしかして戦うの、怖い?」
「っ!?」
サツキは急にそんなことを訊いたのだ。それを聞いたサチは、思わず驚いた表情をした後……
「……うん、あたり」
観念したようにそう口にした。
「やっぱりこんなんじゃダメ、だよね……みんな戦ってるのに……」
すると……
「……別に怖くてもいいと思うよ」
「えっ?」
「というより、それが普通の感覚だと思うよ。みんな、死ぬのは怖いと思うしね」
サツキはサチに、木剣の刀身を見つめながらそう言ったのだ。サチは自身が想像していたことを言われなかったことに、少し困惑した様子でいた。そんなサチに対し……
「これは僕の考えだけどーーー戦うとなったら、怖がりすぎるのはもちろんよくないけど、逆に恐怖心が全く無い方が死ぬ確率は高いと思う……だから、サチのその感覚は大切にして」
サツキは恐怖という感覚を忘れないように、と助言をした。
「……うん、分かったよ。ありがとね、サツキ……じゃあ、私も一つ訊いてもいい?」
「?それは構わないけど……」
それからサチは……
「サツキはさ、何のために戦ってるの?」
「……」
そう質問を返してきた。その質問に対して、サツキは少しの間考える素振りを見せた後……
「……少なくとも一つ言えるのは、この世界で知り合ったみんなを現実に帰すため、かな」
「みんなを、現実に……」
「正直言うと、今生きている全員は助けられない。このゲームにいる以上、誰かの死は避けては通れない……それが攻略組となれば、なおさらに――――――だからせめて、周りの人たちだけでも、ね」
真剣な表情でそう答えたのだ。サツキの言葉を聞いたサチは、少しの間何かを考え……
「……私も、黒猫団のみんなを守りたい。みんなに、死んでほしくない……!」
「……」
そんなサチの言葉を聞き……
「……分かった。どこまでできるか分からないけど、やってみようか」
サツキも改めて、サチに協力する意思を示したのだった。
「それで早速、提案なんだけどさ――――」
読んでくださりありがとうございます。
原作とは違い、オリ主であるサツキが黒猫団と関わることになりました。果たしてサツキは、黒猫団の運命を変えられるのか……。
それでは、次回『危機』もどうぞよろしくお願いいたします。