白銀かぐやはどうにかしたい 〜2周目の恋路〜   作:チャリンコ2025

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───前回までのあらすじ


白銀御行等が助っ人として参加したサッカー部の交流試合は秀知院チームの敗北で幕を閉じた。
相手チームの四条帝とも束の間の交流を果たすが、文化祭「奉心祭」が近い為に、担当楽器決めを行う事になる。


061『白銀御行は決めたい』

 

 

 

───交流試合の日の午後

 

 

帝チームとの交流試合の助っ人を務めた白銀御行達は、一度帰宅後に石上優の指定した楽器店に集合した。

 

 

四宮かぐや発案

「文化祭に生徒会としてバンド演奏したい」

 

 

その為の担当楽器を決めて購入する為である。

 

発案した当日にかぐやは優に資金を渡し楽器集めを依頼していた。

御行は当初は吹奏楽部等に楽器を借りようと考えたが、既に先約が多数入っている為に断念。

どうするべきか優に相談したところ、優から楽器集めを打ち明けられたのだ。

優は事前に下見などをしておいたのと、藤原千花や伊井野ミコの希望を聞いて絞り込んでいた。

為に、藤原千花と伊井野ミコ用に電子ピアノ、白銀御行用はハーモニカ、石上優と四宮かぐやは私物を使うので購入せず、となった。

 

・・・ただ、

 

話を聞いていたからと、何故かかぐやに誘われた四条眞妃だけでなく、龍珠桃と子安つばめと柏木渚、白銀の妹の白銀圭まで集まっていた。

 

 

 

『これ、試しで叩かせて貰う?』

 

 

楽器店に展示されていたドラムセットに興味を示した眞妃に誘われ、他の面々も興味を示し順番に試しの演奏をさせて貰うが、皆が上手く演奏できない中で意外にミコが初めてにしてはなかなかの演奏をして盛り上がりを見せる。

 

 

 

『四宮先輩、あれも購入していいですか?』

 

『構いませんよ。

予算に余裕はあるのでしょう?』

 

『すいません。』

 

 

優としてはドラムを演奏してる時のミコが楽しそうで、こいつもこんな顔をするのかと思ったのだ。

結局、ドラムセットと予備という事でギターも一本購入し、かぐや個人はプレゼントとして圭にハーモニカを購入した。

購入した楽器類は意外に重く嵩張る物が多いので、週明けに学校に配達して貰う手続きを済ませる。

その後は、交流試合の打ち上げも兼ねてカラオケに繰り出す事が決まった。

 

 

───ここまでは順調だったが、この後に行ったカラオケボックスである事が難航する。

まだ、何を演奏して歌うか決まってなかったのだ。

 

まず生徒会の面々は、御行とかぐやとミコが勉学中心生活の為に流行歌や最新楽曲に疎い、優はアニソンなどが好き、千花は表現者として基準が厳しい為に流行歌等の好き嫌いがハッキリしてる。

結果、知らない歌ばかりで御行・かぐや・ミコが傍観する中、千花と優が互いに論陣を張って推しの楽曲を巡って不毛な言い合いに終止していた。

かぐやもバンドをやりたいとは言ったものの、演奏したい楽曲がある訳でもなかったので、二人の言い合いに困惑している。

眞妃達四人は圭を囲んでカラオケに興じていて、楽曲決めに加わってこない。

まだ、参加するかも保留状態である。

 

 

 

『こんなへんてこな、何を言いたいのかも分からない歌はだめ!』

 

『このキャラの魅力を前面に出した詩の何がいけないんですか!?』

 

 

さっきからこの調子で、話が進まないのだ。

 

 

 

『どうします、会長?』

 

『石上の希望も聞いてやりたいが、俺もこれを歌うとなるとな・・・。』

 

『私は嫌です。』

 

『伊井野はハッキリしてるな。』

 

『それなら、これなんかどうですか?

だいぶん前の流行歌ですけど、歌詞も分かりやすく共感しやすいですし。』

 

『どれだ?

ああ、この歌か。

この歌なら俺も知ってる。

伊井野はどうだ?』

 

『これですか?

・・・いいと思います。

こんな歌あったんですね。』

 

『まあ、俺達が生まれる前の歌だけどな。』

 

『歌ってみますか?

私は会長の歌声、聴いてみたいですし。』

 

『おいおい、原曲がネットで聴けるんだから、俺の歌じゃ。』

 

『でも、この歌を歌ってるのは男性ですから、会長か石上君が適任と思いますけど?』

 

『女性が歌って悪い訳ではないぞ、四宮。』

 

『・・・私は、・・・石上が適任と思います。』

 

 

そういうと、ミコは歌詞の一節を指差す。

御行とかぐやも、ミコの指差す一節を読んで確かにと納得する。

 

文化祭のステージ枠の関係で二曲分の時間しか確保できないので、これで一曲目が決まった。

 

次いで、もう一曲を決めるようと三人が大量の歌詞が書かれてる歌本をめくってると、言い合っていた優と千花が一時休戦して三人の向かいに座り直す。

他四人は、圭を中心に交代で歌を歌いカラオケを満喫していた。

 

 

 

『終わったか?

石上、藤原。』

 

『喉が渇いたから休憩です。』

 

『藤原先輩、頑固すぎます。』

 

『石上君に言われたくない!』

 

『俺達は、これがいいんじゃないかと思うんだが?』

 

 

御行はそういうと、優と千花に歌本の一冊を広げて件の歌の歌詞ページを指差す。

 

 

 

『・・・良いと思います、僕は賛成です。』

 

『私も、良いと思います。

歌詞が、読んでると元気が出ますけど、切なさもありますね。』

 

『そうか。

それでな、この歌は男性歌手が歌ってるから、俺と石上で歌おうと思うんだ。

四宮や伊井野も賛成してくれた。

どうだ、石上?』

 

『僕・・・、ですか?』

 

『そうだ。』

 

『私も伊井野さんも、藤原さんもコーラスは参加するわ。』

 

『ふ、不本意ながら・・・。』

 

『伊井野、嫌なら別に・・・。』

 

『私・・・、合唱は経験あるけどコーラスは経験ないから、上手くできるかなって。』

 

『ミコちゃん、大丈夫。

ついこの間まで、ド下手くそな人が居たんですから。』

 

『藤原、あんまりな言われようなんだが?』

 

『でも、上手くなったじゃないですか。』

 

 

そういうと、千花はハンカチを取り出して目頭を押さえ、そんな千花に同調するようにかぐやは手で口元を押さえ俯いて、二人で泣くふりをする。

 

 

 

『ああ、悪かったな。

おかげで上手くなったよ、ありがとうな!』

 

 

御行は二人の態度にわざと大袈裟な態度を返し、三人で笑い出す。

ミコと優もつられて笑ってしまう。

知らずに交流会(コンパ)に参加した夜、かぐやに叩かれてから御行は自分の欠点を知られる事に免疫が出来た様だ。

 

 

 

『伊井野、俺が言うんだ。

気にするな。

どうしても気になるなら練習に付き合うぞ。

なにせ、鬼軍曹がいるからな、ここに。』

 

『ああ、酷い言い草。

もう知りませんからね、会長。』

 

 

御行に指差されてむくれる千花はそっぽを向く。

まるでコントの様な流れにかぐややミコは笑ってしまう。

欠点がバレてしまったが、それを笑いに出来る御行は大きな存在になった様にミコと優には感じられた。

 

 

 

『なになに?

どうしたの?』

 

 

歌う順番の関係で、手持ち無沙汰になっていたつばめが五人の輪に入ってくる。

 

 

 

『いえ、今度の文化祭で何を演奏するかという話でして。

なかなか決まらなくて、という状況です。』

 

『へぇ~。

優君は、何を歌いたいの?』

 

『えぇっ・・・、僕は・・・あんまり分からなくて・・・。』

 

 

最近気になってる相手に、流石に「萌え萌えキュンキュン」等と歌詞の入ってる歌を歌いたいとは言えず、優ははぐらかす。

その態度と二人のやりとりを聞いていて直前まで言い合っていた千花と、ミコは不機嫌になる。

普段、君がどんな歌を聞いてるか知ってるんだぞ、と。

 

結局、二曲目は曲名から御行が選んで、歌詞が良いと賛成が多かった事から、御行が選んだその曲に決まった。

 

帰り道、妹の圭と二人で歩いていた御行は、嬉しそうにラッピングされたハーモニカを持つ圭を眺めながら話し掛ける。

 

 

 

『良かったな、圭ちゃん。

四宮がプレゼントをくれるとは思わなかったが。』

 

『・・・うん。

なんか・・・、嬉しい。

先輩達も楽しい人や優しい人ばかりで。

でも・・・、お兄とお揃いって・・・。』

 

『ハーモニカは一種類しか取り扱いがなかったから、仕方なかったろう。

 

 

・・・ごめんな。』

 

『・・・なんで、謝るの?』

 

『・・・いや、圭ちゃんへの俺からのプレゼントとか、もっと気の利いた物渡してたら良かったのになって。』

 

『・・・いいよ。

お兄が頑張ってるの、知ってるから。』

 

 

圭の本音としては、かぐやと御行が仲良くしてるところをさっきまで見てる上に、ゴールを決めたからと抱き合ってしまう二人の関係性やかぐやの本心を知ってるだけに、兄の希望が叶った事は喜ぶべくなのだろうが、気恥ずかしさと反抗期が邪魔して素直には祝えない。

 

ただ、キスまでしたのにそれ以上に進展してない事にもどかしさは抱えてはいる。

 

 

 

 

 

─────つづく

 

 

 

 

 

 

 

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